[KATARIBE 25824] [IC04N] 小説:『Welcome to コルチキンタワー』(4)

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Wed, 5 Mar 2003 16:34:29 +0900
From: "Motofumi Okoshi" <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 25824] [IC04N] 小説:『Welcome to 	コルチキンタワー』(4)
To: "Kataribe ML" <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <000701c2e2e9$a8c90980$0200a8c0@VAIO>
X-Mail-Count: 25824

Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/25800/25824.html

MOTOIです。IC小説の完結版です。

**********************************************************************
小説『Welcome to コルチキンタワー』
===================================
登場人物
--------
 久保原新平(くぼはら・しんぺい)
  :とにかく野球をするのが生きがいの高校生。


We are Pro-Wrestling club.
--------------------------
「オラァ、どけどけ!」
 いきなり、ベンチからマッチョな兄ちゃんたちが現れたんだ。確か6人だっ
たと思う。
「なんだ、お前らは」
 鹿沼さんが応対したんだ。
「この部室は、今から俺達『殺人悪役プロレス部』のモンだ!てめぇら、とっ
とと消え失せろ!」
 リーダー格の男が叫んでた。いかにも悪役らしい格好で、覆面かぶってたり
してたなぁ。

 僕はというと、そんなのお構いなしにノックを受けてたよ。脇で騒いでたっ
て、集中すれば気にならない、気にしない。

「乗っ取りの連中か……。優!」
「あいよ!」
 優ちゃんが、その連中に向かってペットボトルを投げつけると……大爆発!
さらに、何本も投げつけて、次々と爆発していったんだ。ちょうどノックが終
わったから、僕も爆発の様子を見ていたよ。

「な、何?どうしたの?」
「これがあたいの能力。こっから何だって出せるんだよ」
 なるほどね、優ちゃんは、あのクーラーボックスが核アイテムなんだ。後で
聞いたら、あのクーラーボックスからペットボトル入りの液体を出す能力なん
だって。液体なら何でもOKで、今はニトロを出したんだって。僕がスポーツド
リンクをもらって落ち着いたのも、精神安定剤が入れてあったらしいよ……。

「さて、次はフリー打撃だ。久保原、打撃の方の実力も見せてくれ」
 鹿沼さんは、何事もなかったように練習に戻ろうとしたんだけど……。


I'm berserker?
--------------
 僕が、バットを持って打席に向かおうとしたとき。
「う゛ッ!?」
 鹿沼さんが、突然倒れたんだ。背中から、大量の血が流れてた。チームメイ
トのみんながざわついてたっけ。
「この程度の爆発で、俺が殺れるとでも思ってたのかァ!?」
 さっきのリーダー格のやつだった。多少すすをかぶってるけど、ほとんど無
傷だったみたい。
「てめぇ、何しやがった!」
「サービスで教えてやらァ、あんな爆発は俺の『防御の霧』で簡単に防げんの
よ!こいつは『刃の霧』で心臓を一突きしてやったぜ!!」
 あいつの能力は、「霧を吐くこと」だったみたい。チームメイトのみんなは
戦う能力を持ってる人はほとんどいないみたいで、次々とあいつの餌食になっ
ちゃった。
「ふざけんなーーーっ!!」
 優ちゃんは、さらにペットボトル爆弾を投げつけたけど、どうしてもあいつ
には効かない。そんな優ちゃんを、『刃の霧』ってやつが容赦なく襲ったんだ。
「あぐっ!うっ!ぐ……」
「へへっ、譲ちゃん、これでもう物は投げられねェなァ」

 優ちゃんは、両腕を斬られて、そこにへたり込んじゃった。そのときの僕は、
震えてたらしいんだ。え? どうして『らしい』なのかって? だって、自分
でもよく覚えてないんだもん。
「お前ェみたいな気の強い譲ちゃんは好きだぜェ、後でじっくりと殺ってやる
よ」
「ふざけんな!殺すならさっさと殺せ!」
「冗談言うねェ、さっさと殺したら面白くねェだろうがよ」
「……くも……」
「あァ?どうしたてめェ、震えてやがるぜ!?恐ろしくてちびったかァ!?」
「よくも、練習を台無しにしたなあああああっ!!!」

 それから、記憶がぷっつりと切れてるんだよね。気付いたら、さっきの覆面
男はいなくなってたんだ。でも、チームメイトの死体はそのままだったから、
今起こったことは現実だったってことだよ。そしたら、一人の女の子に話しか
けられたんだ。
「すごいですぅ!あの大男を簡単に投げ飛ばすなんて!」
「え?キミは誰?」
「マネージャーで1年生の左畑華子(ひだりはた・かこ)ですぅ。久保原さん
のことは右田さんから聞きましたぁ」
「あいつを投げ飛ばしたって、誰が?」
「久保原さん、何とぼけてるんですかぁ?あいつのパンチをミットで受けて、
あそこへ放り投げたじゃないですかぁ」
「え、僕がそんなことを?」

 華子ちゃんの話によると、僕はまずあいつの『目潰しの霧』をミットでつか
んで投げ返したんだって。で、あいつは苦し紛れにパンチしてきたんだけど、
僕はそのパンチをミットでつかんで、あいつを天井に放り投げたんだってさ。
あいつは、天井を突き破ってどっかに行っちゃったらしいよ。


This is usual.
--------------
「あ、そういえば、優ちゃんは?」
「右田さんは、私が治療しておきましたぁ。明日になれば腕もくっつきますぅ」
 見ると、優ちゃんの腕は包帯でつながれていたっけ。華子ちゃんは、どんな
怪我でも治しちゃうんだってさ。死んじゃったらどうにもならないんだけどね。
「なんだ、生き残ったのはお前だけかよ。情けねぇやつらだ」
「これでは、これ以上の練習は無理ですぅ」
「仕方ねぇな、今日は適当に練習して、気が済んだら帰れよ」
「皆さんには、明日改めて自己紹介するんですぅ」
「え、どういうこと?」
「死んだやつは、生き返りはするけど、死んだ当日の記憶は丸々抜け落ちるん
だよ」
「そうなんだ……」

「あ、言っとくけどよ、今日みたいなことはしょっちゅうだぜ」
「え?」
 一瞬、耳を疑ったっけ。
「部室襲撃は、ありふれたことなんですぅ」
「ってことは、いつもあんなふうに練習の邪魔されるの?」
「いつもは、右田さんがみんな追っ払っちゃうんですけどねー」
「そう練習の邪魔はさせねぇよ。今日みたいに骨のあるやつは、まあ月に1回
出るか出ないかってとこだな」
「……ちょっと頭痛くなってきたなぁ」
「まぁ、ちょっとずつ慣れていきゃあいい。住めば都って言うぜ」
「無限都市でわからないことがあれば私たちに聞いてくださいー」
「……ははは……」

 ちょっと苦労しそうだけど、でも、野球さえできればなんとかなるさ。がん
ばって生きていこう、そう思って練習を再開したんだ。

 さて、僕がここに来たときの話はこれでおしまい。キミ達はどんな風にここ
に来たのかな?

$$
**********************************************************************

motoi@mue.biglobe.ne.jp
Motofumi Okoshi

 ---------------------------------------------------------------------
http://kataribe.com/ 語り部総本部(メインサイト)
http://kataribe.com/ML/ メーリングリストの案内
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/ 自動過去ログ
Log:	http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/25800/25824.html

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage