[KATARIBE 25802] [IC04C] 小説:『Welcome to コルチキンタワー』

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Date: Mon, 3 Mar 2003 23:07:31 +0900
From: "Motofumi Okoshi" <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 25802] [IC04C] 小説:『Welcome to 	コルチキンタワー』
To: "Kataribe ML" <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。IC参加の第1弾として、小説なぞ書いてみました。
ICの世界設定については、まだ理解しきれていないところもありますので、
おかしいところなどありましたら、ご指摘いただきたいと思います。

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小説『Welcome to コルチキンタワー』
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登場人物
--------
 久保原新平(くぼはら・しんぺい)
  :とにかく野球をするのが生きがいの高校生。


Where is here?
--------------
 その日も、いつものように授業中寝てたんだよね。え?いつも授業中寝てる
のかって?当ったり前じゃん、授業なんてつまんないもん。寝てたほうが時間
早く進むから、その分放課後の部活の時間が早く来るでしょ?まぁ、教師によ
ってはチョークが飛んできて叩き起こされることもあるけどさ。

 えっと、どこまで話したっけ。そうそう、授業中に寝て、それで起きたら周
りに誰もいないんよ。その授業はまだ午前中だったからみんな帰ったわけはな
いし、移動教室の時間でもないはずなんだよね。
 で、あたりを見回してみると、なんか変なんだ。黒板とかあって、一応教室
みたいなんだけどさ、床が板張りで、天井は打ちっぱなしの鉄筋コンクリート
(いや、鉄筋かどうか正確にはわかんないけどね)で、壁は鏡張り。しかも、
机とかにまじって、1つダブルベッドがあって、僕、そこで寝てたんだよね。

「ここって……どこだろ?」

 もちろん、最初は夢かな、と思ったよ。それで、頬を思いっきりつねってみ
たんだ。

「っっっっ痛ぇーーーーーーーー!!」

 我ながら思いっきりつねったもんだよ。めちゃくちゃ痛かった。痛いってこ
とは、夢じゃないってことだよ。
 で、今度は、もしかして誰かに拉致られたんじゃないかって考えたわけ。で
もさ、これも却下。いくらなんでも、教室に知らない男(女でもそうだけど)
が入ってきて生徒を拉致ったりしたら、騒ぎになるから、いくら僕だって起き
るよ。
 そこで、昔読んだ某ネコ型ロボットの漫画を思い出したんだ。普段、僕らは
「時間」という川の流れに乗っかって生きている。ところが、ごくまれにこの
流れが乱れて、渦ができて人を飲み込んだりするんだって。俗に言う「神隠し」
ってやつ。もしかして、僕はその「神隠し」に会ったんじゃないかって、ふと
思ったわけよ。

 そのネコ型ロボットの解説によると、「神隠し」にあった人間は、永遠に亜
空間を彷徨うか、運が良ければどこかに出口があるかもしれないんだって。こ
こが亜空間なのか、それとも過去なのか未来なのかわからないけどね。

 まぁ、そんなことはどうでもいいけど。一つだけ心配なのは……

「野球……できるのかなぁ……」

 野球は僕の人生そのもの、もし野球ができなくなるのなら、いっそのことビ
ルの屋上から飛び降りてやろうか、とか思ったよ、そのときはね。……まぁ、
今になってみれば、そんなこと考えてもぜんぜん意味なかったんだけどさ。


We love baseball.
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 とりあえず、ベッドから身を起こしてみたんだ。すると、ベッドのすぐ下に、
見覚えのあるカバンがあったんだ。間違いない、僕の野球道具一式が入ったカ
バンだ。

「良かったァ、ミットもユニフォームも全部入ってる」
そのときは、これがないと生きていけなくなる(正確には生きてはいけるんだ
けど……でもねぇ)なんてことは考えもしなかったよ。
「とりあえず、外に出てみようかな……」
いつまでも誰もいない教室?の中に入ってもしょうがないから、とりあえず外
に出てみようと思ったんだ。

 部屋から出ると、どうも廊下みたいなところだった。壁にはいくつかドアが
ついてて、通路が直線で10mくらい続いてる。そこで通路は曲がり角になって
る。反対側も同じようなもんだった。で、とりあえず右の方に向かって歩いて
みたんだ。そしたら、向こうから人が来たんだ。

「む?そこにいるのは何者アルか!?」

 出てきたのは、迷彩服、野球帽で、ニセモノの中国人みたいな喋り方をする
マッチョな兄ちゃんだった。最初見たときは、「危ないやつがいる……」と思
ったんだけど、今になってみるとあんなのまだ普通なんだよね。

「あ、僕のほかにも人がいるんだ」
「ふざけるんじゃないアル!何者かと聞いてるアル、質問に答えるヨロシ!」
「僕?僕は○○高校の一年生の久保原新平だよ」
「○○高校?聞いたことないアルね」
「そういうキミこそ誰なのさ」
「殺人野球部エースピッチャーの華僑系二世、王太郎ネ」
「野球!?」

 「野球」って言葉に素早く反応したよ。ここはどこだかわからないけど、野
球のある世界だってことはわかったから、すごく安心したんだ。

「ここには野球部があるの!?」
「む、お前も野球好きアルか?」
「野球、大好きだよ!」
「ふむ、それでは、我が殺人野球部に案内してもいいアルよ」
「え、ちょっと待ってよ。『殺人』てどういうことよ?」
「我が殺人野球部は、『真の死』を求め、野球で人を殺すことを活動内容とし
ているアル」
「……キミ、アホ?」
「誰がアホアルか!」
「野球で人なんか殺せるわけないじゃないの」
「そう思うなら、実際に見せてやるアル!」

 そう言って、王くん、いきなりボールを取り出したんだ。僕も、なんとなく、
あわててカバンの中からファーストミットを取り出したんだ。いや、なんでか
って言われても、ホントになんとなく、本能的に取り出したんだ。

「中国四千年の歴史を味わうヨロシ!ジャッキー・チェン投法アル!!」

 ジャッキーは四千年も生きてないよ、って思ったけど、王くんのボールは確
かに速かった。僕は、ファーストミットでその球をがっちりとつかんだ。あの
とき、王くんめちゃくちゃ驚いてたっけ。

「いい球投げるじゃない。ボール返すよ、ホラ」

 軽く王くんに向かって投げたんだけど、軽く投げたはずなのにさっきの王く
んと同じぐらいのスピード(147km/hは軽く超えてたね)でボールが飛んでっ
た。そして、そのボールが王くんに当たると、その勢いで王くんの体が宙を舞
い、そして、天井に当たって……砕け散ったんだ。

「え?え?ええ??」
 そのときはもうパニックになったっけ。ボールが当たったくらいで、人が砕
け散るわけがないじゃない?(少なくとも僕らが元いた世界では。)そのとき、
あの人が声をかけてくれたんだよ。

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motoi@mue.biglobe.ne.jp
Motofumi Okoshi

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