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Date: Wed, 26 Feb 2003 17:47:31 +0900 (JST)
From: みぶろ <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 25762] [HA20P] エピソード:『コンビニ店長殺人事件』(発端編)
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200302260847.RAA65398@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 25762
2003年02月26日:17時47分31秒
Sub:[HA20P]エピソード:『コンビニ店長殺人事件』(発端編):
From:みぶろ
みぶろでっす。
まだ入部者がないころのお話しとしてつくりました。
次の(問題編)とあわせてハウダニットとしてお楽しみください。
それにしても、漣が見事に横島君な感じ(笑)
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エピソード:『コンビニ店長殺人事件』
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登場人物
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楽鈴寺 光太郎(がくりょうじ こうたろう)
:正体が人面竜身な美少女霊能探偵(自称)。
月影 美沙希(つきかげ みさき)
:呪いの元に生まれた光太郎の助手。
当麻 漣(たいま れん)
:光太郎と美沙希の同級生。寄生した怪異を操って退魔稼業を行う。
時系列と舞台
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高一 四月中旬 夕方 コンビニ
発端
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図書館の閉館時刻5分になった。放課後は図書館で過ごすのが日課となっ
ている。探偵倶楽部に入部したものの、部室も無い探偵ごっこ同好会などに
顔を出すつもりにはなれなかった。
漣はいつものように借りられるだけ本を借りて図書館を出た。通学路のコ
ンビニに、週刊誌を立ち読みすべく立ち寄る。そこに探偵倶楽部の二人がい
た。
光太郎 :「あっ、当麻漣!」
漣 :「奇遇だな」
光太郎 :「奇遇も土偶も無いわよ。あんたなんで部活に出ないのよ。
:サボり一回につき部室掃除だからねっ」
光太郎は左手を腰に当て、右手の人差し指を伸ばしてを漣の鼻先につきつ
ける。絵になる。『びしぃ』という音がいまにも聞こえてきそうだった。
漣はその指先をかわしつつ(追尾してきたが)面倒くさそうに反論した。
漣 :「部室が出来てから言え。以上」
光太郎 :「なんでよけるのよ。やましい証拠ねっ」
漣 :「それは証拠ではなく憶測だ。いやしくも探偵を名乗るな
:ら用語は正確に使え」
光太郎 :「何が証拠かは私が決定するのよ」
舌戦が白熱しかけたその時だった。
声 :「きゃーーーーーーー!!」
悲鳴が店内に響き渡った。見ると店員が倉庫の中を見ながら震えている。
店員A :「し、し、し……」
漣 :「素人のど自慢大会?」
光太郎 :「新人歌手新春シャンソンショー?」
店員A :「死んでるー!」
その声に、店内にいた客達も倉庫を見に移動していく。
漣 :「ツッコミのタイミングがもうひとつだな」
光太郎 :「そうね。ゴールデンタイムは遠いわ」
美沙希 :「(意外に息があうのか……?)」
介入
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光太郎 :「どれどれ……あー、死んでる死んでる。完璧ね」
光太郎は並み居る野次馬を押しのけ、倉庫に悠然と入っていった。あまつ
さえ手袋をはめて死体を触り始めた。
光太郎 :「ふむふむ。死因は後頭部打撲っと」
店員B :「ああ……店長、蛍光灯を付け替えるって言ってたから…
:…」
光太郎 :「ふーん。それを知ってるのは誰?」
店員B :「みんな知ってましたよ?」
漣 :「おい。警察のために現場は保存しとけ」
光太郎 :「ばっかねー、何のために現場を保存すると思ってんの?
:捜査のためでしょ? 今私が捜査してるんだからいいのよ」
漣 :「話にならん。君、警察に連絡を」>店員A
店員A :「で、でも」
美沙希 :「光太郎、そろそろ帰るぞ」
美沙希が中に入り光太郎を連れ出そうと倉庫に入った。清涼飲料水コーナ
ーの裏側で入れ替え作業をするための場所らしい。
ダンボールなどが雑多に積み上げられ、搬入のための出入り口が店内へつな
がる扉――ギャラリーが集まっている――のそばにある。
スタッフルームの中は薄暗かった。見上げると蛍光灯が二本ほど切れてい
る。死体(おそらく店長だろう)はその真下に仰向けに横たわっており、傍
に脚立が転がっていた。凶器らしきものはなく、壊れた腕時計の破片が散ら
ばっているだけである。
光太郎 :「なにいってんの。今面白いところなんだから」
美沙希 :「蛍光灯を付け替える作業中に落ちたんじゃないのか」
光太郎 :「ふっ。これは殺人事件よっ」
わざわざギャラリーのいるところまで出てきて大見得をとる光太郎。ギャ
ラリーは期待通りどよめいた。
光太郎 :「そして出入り口は二つ。店内へ続く扉は丸見えで、外へ
:続く扉は鍵がしてあるわっ。つまり」
漣 :「密室というわけか」
光太郎のローファーが漣の腹部にめり込んだ。
漣 :「ぐ……つま先……」<崩れ落ちる
光太郎 :「探偵のセリフを取るなんて、56億7千万年早いのよっ。
:……えーとなんだっけ? そう、つまりこれは密室殺人事
:件というわけ!」
ふたたびどよめくギャラリー。そのどよめきがセンセーショナルなセリフ
に対するものなのか、先程の無慈悲な一撃に対するものなのかは定かでない。
美沙希 :「(いかん。止められないかもしれない)」
野次馬 :「でもよぉ、たまたま見てないだけでそこの扉から普通に
:店ん中に逃げたかも知れへんやん」
光太郎 :「それはないわ。だいたい、密室のほうが面白いでしょ」
野次馬 :「……」
漣 :「ビ、ビデ……」
光太郎 :「んー? 何? この期に及んでセクハラ?」
うずくまる漣を冷ややかに見下ろしつつ、後頭部をぐりぐりと踏む。
店員A :「あっ、そうです。ビデオを見れば誰が出入りしたかわか
:ります」
なるほど、盗難防止用のビデオが清涼飲料水コーナーから扉にかけてを撮
影しているようだ。光太郎とギャラリー達はレジ裏のスタッフルームに移動
した。漣はまだ倒れている。
野次馬 :「あんちゃん、元気だしなよ」<ぽむ
野次馬 :「あ、でも俺ちょっと踏まれてみたいかも」
漣 :「…………(殺す)」
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