[KATARIBE 25634] [HA20P] エピソード:『スリーサイズを調べろ!』

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Date: Sat, 8 Feb 2003 23:04:45 +0900 (JST)
From: みぶろ  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 25634] [HA20P] エピソード:『スリーサイズを調べろ!』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200302081404.XAA03635@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 25634

2003年02月08日:23時04分45秒
Sub:[HA20P]エピソード:『スリーサイズを調べろ!』:
From:みぶろ


 みぶろでふ。
 EPにしてはト書きが多いぞっと。推敲してから投稿したかったが、迅速乱発を
旨としていきましょう(ぉ
 はたから見るとちょっぴし変態さんです。
 時系列は5月下旬でええんやろか?
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エピソード:『スリーサイズを調べろ!』
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登場人物
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 当麻 漣(たいま れん)         
      :寄生した怪異を操って退魔稼業を行う高校生。

時系列と舞台
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 高一 五月下旬 深夜 西生駒高校

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本文
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  薄い月明かりの下に、校舎が黒々と立っている。
  漣は駐車場で夜光虫を解放した。淡い青の光が体から染み出し、生ぬるい
 夜気に溶けていく。
  二年前に漣に寄生したこの化け物は、なんでも食べる。そして捕食対象の
 動静に敏感だ。漣はこの性質を利用してレーダーとして使っていた。
 
 漣      :「(一階の事務室に二人……箱状のものからエネルギー放
        :射――テレビか――脅威レベルの霊的存在なし……)」
 
  西生駒高校は宿直制ではなく、警備員を使っているらしい。その代わり、
 セキュリティシステムは使用していなかった。
  漣は食堂の脇を抜けて、校舎の北側に回る。窓ガラスと廊下の向こうに保
 健室のドアが見える。しかし、引き戸式であるため、鍵の破壊は可能でも修
 復が難しい。大事にしないためにも、破壊は最小限が望ましい。

  漣は放課後のうちに侵入ルートの下調べを済ませていた。保健室の、坪庭
 ――というにはいささか大きいが――に面した壁に大きな窓がある。そして
 鍵は、今いる正面の窓と同様、クレセント錠だった。
  校舎北側の窓のクレセント錠の先端を切断して開錠し、廊下に侵入。職員
 用トイレに入り、奥の窓から坪庭に。そして保健室の裏側の窓も同様にして
 開錠。切断した鍵は瞬間接着剤でくっつければ、後で気付かれるおそれも少
 ない。閉め忘れ、で片がつくはずだ。

  漣はもう一度事務室のほうをうかがった。動きは無い。
  夜光虫を操作して、廊下の窓と保健室の窓の錠を切断し始める。蚕が桑の
 葉を食むように、やすやすと金属で出来た錠をを消化していく。漣はさらに、
 自分の周りに夜光虫を集め、「音」を喰らわせる。足音や作業音を消すため
 だ。もちろん、校舎内の索敵も怠るわけには行かない。
  一つ一つは容易なことだったが、並行処理が厳しい。漣の背中にじっとり
 と汗が湧き出てきた。
  夜光虫がクレセント錠の切断を完了した。先端が床に落ちる。漣はがらり
 と――音は消してあるが――窓を開けて校舎に侵入した。落ち着いて鍵を修
 復し、職員用トイレに入る。
  ここからが難所だった。保健室までの道のりは、事務室から丸見えである。
 消音結界を張ればかえって見つかりやすい。なんせ、音の無い青い玉が動い
 ているのだ。それを怪異と思わせるという手もあるが、かえって誘き寄せて
 しまうかもしれない。

 漣      :「ちと怖い思いをしてもらうか……」

  漣は額の汗を拭いながら、夜光虫の一部を事務室に向かわせる。蛍光灯の
 電力を喰わせるためだ。部屋の明かりが消え、TVだけがうつる状況。事務
 室の明かりが消えれば、坪庭はほぼ完全に闇になる。暗順応していない目で、
 坪庭を走る漣の姿をとらえるのは困難だろう。
 
 警備員1   :「うわっ、停電?」
 警備員2   :「いや、TVが……」

  混乱する警備員をレーダーで捕らえつつ、トイレの窓から坪庭へ。採光の
 ための坪庭であったが、傾いた月明かりではそこを照らすことはかなわない。
  暗がりをひっそりと走り、保健室の窓の下へ至る。保健室の窓の鍵は既に
 切断済みである。窓を開け保健室に入り、事務室の明かりを元に戻した。

 警備員1   :「あ。戻った」
 警備員2   :「気味が悪いな……一応見回りいっとくか」
 警備員1   :「知ってるか? この高校、怪談多いんだぜ」
 警備員2   :「やめろよ」

  何か会話をしているようだが、さすがに内容までは聞き取れない。夜光虫
 を集中させれば可能なのだが、気付かれる可能性があった。なにより、余裕
 も無い。重要なのは位置のみと割り切って漣は作業を開始した。
  目指すのは身体測定の数字が記入してあるファイルである。部員名簿にス
 リーサイズを掲載する意味はよく理解できないが、個人的興味もないわけで
 はない。

 漣      :「しかし、普通反対しそうなもんだが。よほど自信が……
        :これか」

  目指すファイルは簡単に見つかった。ガラスの戸棚の中に、ご丁寧に背表
 紙にラベルまで貼ってある。警備員の位置に注意しつつ消音結界をはり、ま
 ず部員のサイズを調べる。続いて、一年女子で割と美人な生徒のサイズも調
 べ、写す。新聞部などに売り、交友関係を調査させる餌に使うのだ。そして
 この後は職員室にも潜入し、生徒情報もコピーする予定だった。
  一度の侵入で二重三重の効果を得る計画。漣は己の能力に自信を持ってい
 た。人外の能力。それを運用する知能。退魔稼業でも大きな失敗をしたこと
 がなく、大人と充分渡り合っている。光太郎の「役立たず」呼ばわりは彼の
 プライドを刺激した。
  ちょっとした違和感を感じながらも、すばらしい速さで作業を進める漣。

  めぼしいサイズを写し終え、ファイルを元に戻す。保健室の窓の鍵の修復。
 そして、指紋を消すために、いままで使用した経路についている皮脂を、夜
 光虫に喰わせる。完璧だった。……だが何か引っかかる。

  そして気付いた。

 漣      :「……身体測定で、ウェストやヒップは測らんわな」


本日の収穫
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  部員の身長・体重・胸囲
  一年生で結構美人な女生徒達の身長・体重・胸囲
  部員の生年月日・血液型・中間テストの成績・本籍・親族・簡単なプロフィール

解説
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  PLも「保健室に忍び込めば3サイズくらいちょろいね」と思って書き始
 めた(爆)計画完璧、実行も完璧、でもそもそもずれている、という例だね。

  なかば漣の異能を紹介するつもりで書きましたが、どんなもんでそ。
  光や音も捕食対象なので、色や話を捉えることも可能。でもESPには劣
 る。拡散すれば目視は不可能なので、ステルス能力もちょろっとあり。昼間
 は「夜行性:2」がマイナスに働くので弱くなるけど、光らなくなるので、
 一般人に気付かれることはまずない。
  戦闘B感知A情報B移動D隠密C環境操作Dってとこか。

  しかし3サイズ、困ったね(笑) 生で測りましょう(わきわき)

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