[KATARIBE 25625] Re: [HA20P] エピソード『オカルト研と昴の遭遇 ( 仮) 』

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Date: Sat, 08 Feb 2003 19:11:43 +0900
From: gallows <gallows@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 25625] Re: [HA20P] エピソード『オカルト研と昴の遭遇 ( 仮) 』
To: kataribe-ml@trpg.net
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gallowsです。

> >EP化進めましょうか。赤マントはただのチョイ役に使うにはもったいない感じ
> >がするので大鼠あたりで行ってみましょうか。伝承でもたいしたギミックのな
> >い大きくてそこそこ強いだけの鼠です。
> 
>  ふぅむ。ただの鼠なら解析不能になってあんだけ強力な攻撃ぶちか増すか少
> 々疑問です。
>  せめて、頭が二つある鼠くらいにはなりませんかにゃ

 大型犬くらいの鼠という描写にしてみたので充分奇異なものではあるとおもい
ます。日ごろから妖怪に関わっているという事がなければ認識不能と判断しうる
んじゃないかとおもうのですがどうでしょう。とりあえず体毛が針のように堅い
という設定を増補してみました。

 そして部室に引き込んでナナシと合流するまでの描写を追加。

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エピソード『オカルト研と昴の遭遇(仮)』
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登場人物
--------
 槐昴     :愛称ロボ子。ロボットですから。
 鞠宮彩夏   :1年生。この頃はまだクラスで目立つ不良、という存在。
 宮本奈々紫  :

少女ロボット
------------
 床と天井と壁がシンメトリィに収束していく廊下。既に時計は18時をまわり
左手に規則的に並んだ窓から射し込む日も翳りを見せ始めていた。視界は一定
の間隔で上下し、呼吸は乱れることなく続けられる。
 毬宮彩夏がこの「追いかけっこ」を始めて既に10分以上経過してしまった。
自分と仲間以外の生徒は既に全員帰っているはずだがどんなことにも例外はあ
る。誰かに見られる前に片を付けたい。そのためには……
 前方約5メートル程を走っていた灰褐色の「それ」は、針のように伸びた体
毛を壁に擦り付けながら直角に折れた廊下を曲がる。ガリガリという音を立て
壁に無数の細かな傷が走る。それは大型犬程の大きさの、鼠。暗くなると現れ
ては校舎や備品に損害を与え、遂には夜勤中の教師を襲って全治一週間の怪我
を負わせた。今回のターゲット。彩夏も右手を壁につけ、体重をかけて勢いを
殺さずに曲がりきる。
 再び目標を視認。いけるという確信。カーブで一気に差を縮めた彩夏は最後
の追い上げを計ろうとし、前方を確認する。その時走者達よりさらに前方の扉
が開き、図書室から人影が現れた。

 彩夏     :「つっ、戻って!」
 大鼠     :「しゃあっ」

 女子生徒だった。彩夏の仲間ではない。気づいているのか気づいていないの
か鈍く振り返る。飛びかかる獣。制服から伸びた腕に親指大に発達した前歯が
深く突き刺さる。鈍い音。赤い血は、流れなかった。

 彩夏     :「っ!?」
 昴      :(表面装甲にダメージ軽微。戦闘モードにシフト)

 無傷のように彩夏には見えた。女子生徒は何事でもない、というような平坦
な態度で水滴を切るかのように大鼠を振り払う。驚いた鼠は床に転がされるが、
野生の本能ですぐさま体勢を立て直す。

 昴      :「問題ありません。ロボット ですから」
 彩夏     :「ボっ?」
 昴      :「敵戦闘力の解析。戦略を練ります......解析不能。情報
        :が不足しています。これより、全力を持って撃破します」

 キュィィと低く唸って、機械仕掛けの瞳孔が収縮する。右腕がスライドして、
制服のしたから物々しい機械のアームが数本伸びる。それらは既に帯電してい
てバチバチと唸っていた。

 昴      :「備蓄エネルギー開放。攻撃エネルギーに還元します。
        :多重時空振動槍放射」

 昴の手から伸びた、光の槍が大鼠の胴体部分を貫く。

 昴      :「消去(デリート)します」
 大鼠     :「ギィッ!」

 静かな宣言と同時に、大鼠の存在する空間そのものが多重にぶれて、ばりば
りと崩壊していく。断末魔の咆哮さえも飲み込む熱量。
 後には、存在の痕跡すら残らなかった。

 彩夏     :(……ロボット! すごぉい! 欲しーー!!)
 昴      :(エネルギー消耗率40%。通常モードにシフト)
        :「戦闘を終了します」
 彩夏     :「スッゲー! 驚いた、本当にロボットなの!?」
 昴      :「質問を 肯定します」

我らオカ研
----------
 彩夏はいくつか質問したいことがあるという名目で昴と名乗ったその「ロボ
ット」を自分のアジトに半ば強引に連行した。そこはオカルト研究会という標
札のかかった溜まり場で、教室を二つに区切ったうちの片方を利用している、
いわゆる部室だ。
 中はロッカー、会議机、掲示板といった通常の備品のほか、バットやボール、
絵筆、壊れたキーボード、魔術書の数々、バリ島の魔女を模した像、宇宙人の
写真などなど値打ちのありそうなものからどこかから拾ってきたようなものま
でが所狭しと並べられていた。彩夏達が部室に入ると中央の会議机に腰掛け
ノートパソコンに向かっていた男子生徒が顔を上げる。青白い顔をして横に長
いレンズのはまった眼鏡をかけている。オカルト研究会の部長だ。

 部長     :「毬宮さん。おかえりっ」
 彩夏     :「おかえりじゃねーっつの、人に走らせといてのん気にな
        :にしてんだぁ」
 部長     :「いや。ちょっと、調べ物をしてました」

 ぎこちなくノートパソコンを閉じて立ち上がる部長。彩夏は空いた席にぞん
ざいに腰を落とし足を机に乗せて周囲を睨みつける。部長は落ち着かない様子
で窓の外を眺めたり昴のほうを見たり足元をみつめたり天井の染みを数えた。
沈黙が流れる。
 彩夏はようだかおうだか言って部長の座っていた席を指差し、昴に座るよう
に促がした。椅子に浅く腰をかけしゃんと背を伸ばす昴。肝が据わっているの
か気が回らないだけなのかはその様子からは掴めない。結局沈黙を切ったのは
部長だった。

 部長     :「で、うまくいった?」
 彩夏     :「まあね。ねずみは完全に消滅。あと頼むよ」

 あまり嬉しくもなさそうに答える彩夏。机に投げ出した足を降ろし、今度は
腕を枕にして居眠りをするような姿勢になる。

 部長     :「こちらの方は?」
 彩夏     :「あたしの客。これからジジョーチョーシュだから」
 部長     :「なるほど。それじゃ俺は報告して帰るね」
 彩夏     :「バイバーイ」

 投げやりな挨拶を交わし部長を追い出す。
 部長は部長でそんな態度に腹を立てる様子もなくいそいそと部室を出て行く。
退散退散という声が聞こえてきそうな逃げ腰だ。扉が丁重に閉められる。彩夏
はつっぷしていた顔をあげてしげしげと昴の様子をうかがう。昴は真っ直ぐな
視線で部室にあるガラクタを解析していた。

 彩夏     :「でさぁ……」
 SE     :「ガラガラ!」

 けたたましく扉が開く音。息を切らしながら真っ白な女が入ってくる。

 奈々紫    :「ハァハァ……部長に聞いたよ。終わったんならさっさと
        :連絡よこして……よね。ずっと走りまッゲボハッゲホッ」
 彩夏     :「あ、わりー。ちょっとごたごたしててさ。とりあえず水
        :のめ」

 彩夏は会議机の上にあった封を切ってないミネラルウォータのペットボトル
を投げ渡す。

 彩夏     :「紹介するよ。こっちの白いのは奈々紫。そして私が彩夏。
        :で、私らはこの部の一年生」
 昴      :「部 ですか」
 彩夏     :「そ。さっき廊下で見なかった? あたしらはオカルト研
        :究会。あんたのような人材を歓迎するものだ」

 彩夏は立ち上がり、両腕を広げた。


#とりあえずここで切ります。勧誘編はまた別シーンかな。

-- 
gallows <gallows@trpg.net>


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