[KATARIBE 25506] [HA06P]エピソード:『ストレス発散』

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Date: Mon, 27 Jan 2003 21:45:37 +0900
From: Onotetuya <metral@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 25506] [HA06P]エピソード:『ストレス発散』
To: "[kataribe-ml]" <kataribe-ml@trpg.net>
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小野です。
ごそごそ探ってたら、書いたはいいけど出してないエピソードあったんで。
2000年の冬のものらしいので、ちょいと関係が違うけど(^^;

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エピソード『ストレス発散』
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登場人物
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 原口奈緒子(はらぐち・なおこ):髪を操る作家
 長生哲也(ちょうせい・てつなり):カレー魔術師。奈緒子の婚約者

年末進行の名の元に
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 この仕事に一本化してから既に3年は過ぎているが、どうにもこれには慣れ
ない。○○進行、特に年末のそれである。元来、自分の時間に好き勝手に書い
ていた人間としては、枠にはめられるのが駄目なのである。
 自分は自由人だ、と踏ん張って見ても締め切りは変わらない。
 とりあえず奈緒子は、ストレッチをしてみた。

 奈緒子    :「うぅーー。あうぅ」

 手が早いといっても、考える速度より早く打てる訳ではないから、やはり、
相当な時間机に向かってる訳である。元々肉の多くない肩や背中は、ばきばき
と悲鳴をあげた。

 奈緒子    :「こう、あれよね。もっと日本人は自由を得るべきよね。
         それには、こー、締め切りを押し付けてくる市場至上主義
         を打破するテロを起こすべきよ。うん」

 などと、物騒な事をつぶやいてみて、ネタ帖に何か書き付ける。
 このネタ帖、A5の紙を沢山重ねたメモ帳みたいになっている。短い鉛筆が
紐で繋がってて、それで書くらしい。「NO14」と表紙には書かれている。

 奈緒子    :「あう。ここでネタ書いてりゃ世話無いわ。うう」

 電話。
 丁寧な対応。
 編集者かららしい。

 奈緒子    :「後5枚、なんだけどなぁ。殺すべきか生かすべきかぁ。
         ……散歩しよ」

 外の世界は、午後3時、小学生や中学生ならそろそろ帰宅の時間である。

奈緒子も歩けば・・・・・・
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 下校していく子供たちを見るともなしに歩いていく。見た目はぼーっとして
いるようにも見えるが、その実結構考え込んでいたりする。でも、目に入る情
報によって思考がぶちぶちと飛ぶあたりは、あまり能率的でもなさそうだ。奈
緒子に言わせると、それが発想の転換を呼ぶそうなのだが、定かでない。

 奈緒子    :「今回の話は、結構ずるずる続いちゃったしなぁ。・・・・・・
         あ、あの中学生いいなぁ。首筋とか細そうで、血を吸いや
         すそう・・・・・・。隣の娘は、彼女かなぁ?初々しいねぇ」
 奈緒子    :「うーんと、そーじゃなくって。よし決めた。殺そう。カ
         ップルむかつくし」

 付近に人が居たら聞き咎めそうな台詞を独り言でのたまう。
 ふと、気が付き周りを見ると風景が変わっていた。大学近く。哲也のカレー
屋台があるあたりだ。

 奈緒子    :「でも、こー、後をどうするか・・・・・・」
 哲也     :「お、どーしたー? 俺の顔を見に来てくれたのかい? 
         スイートハニー?」

 周りの客が、哲也の傍若無人の求愛行動に衝撃を受ける。

 奈緒子    :「ちっがーーう! 殺すことにしたの!」
 哲也     :「ええ? なんでまた? 俺なんかした?」
 奈緒子    :「息してた」
 哲也     :「んな、無茶言われてもー」
 奈緒子    :「ていうか、なんでこのあたしが、あんたの所にわざわざ
         来なくちゃいけないわけ? 変よ! 変! 哲也のアホ」
 哲也     :「ひ、非道い。なんで遭っただけなのにそこまで言われに
         ゃ、ならんの? 原因は何? ひょっとして原稿?」
 奈緒子    :「うるしゃい」
 哲也     :「うぐぅ。・・・・・・じゃ、さ。あの、気分治しにカレーでも
         どう? おごりにしとくからさ」
 奈緒子    :「・・・・・・。なんで、気分治しにカレーなのさ? このカレ
         ーフェチ。まぁ、でも折角だから食べたげる」
 哲也     :(にこにこ)
 奈緒子    :「あ、あたしのことはいいから、早く仕事!お客さん待た
         せてるでしょ!!ほんとにもー」
 哲也     :「はいはい♪」

 哲也は、接客に戻る。馬鹿話を交えながらの接客は、なかなかで、学生にも
上手く入り込んでる。その様子を眺めてる自分に、奈緒子は気づいた。

 奈緒子    :「あー、もぅ。今度は生かしておいてやるか」

 残ったカレーをかきこむと、奈緒子は哲也の屋台を手伝い始めた。

時系列
------
 2000年12月中旬吹利市内。

解説
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年末進行に煮詰まった奈緒子は街をさまよう。ふと足が向いた哲也の屋台で、
奈緒子は何かを見出す。

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