[KATARIBE 25339] [HA20P] エピソード『入学式の朝』

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Date: Wed, 15 Jan 2003 16:08:19 +0900
From: 香野 雨月 <uzukikono@hotmail.com>
Subject: [KATARIBE 25339] [HA20P] エピソード『入学式の朝』
To: kataribe-ml@trpg.net
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エピソード『入学式の朝』
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登場人物
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 真堂魅月(しんどう・みつき)	:鬼退治を生業とする斯神家血筋の鬼狩り。
                :男勝り。
        
 神田辰巳(かんだ・たつみ)  :実年齢より老けてみえる霊銃の整備担当。
               :表の職業は一応探偵。

どたばたした朝
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 魅月     :「だぁーーっ!!」

 どたどたと階段を駆けおりる音。魅月がブレザーを引っ掛けながらおりてく
る。玄関へと走っていると祖母が話しかけてきた。

 祖母     :「もうこんな時間じゃない。間に合うんか?」
 魅月     :「無理かも〜」
 祖母     :「学校まで走っていきなさい!」
 魅月     :「違うでしょ、駅まで!中学と違うんだから〜。あ、そう
        :だお父さんは?」
 祖母     :「なんかわからんけど今日は早くでかけたよ。私もだめだ
        :からね。忙しいんだから」
 魅月     :「仕方ないか……。んじゃ、いってきま〜」

 魅月が玄関の戸を開けた、その時……

 辰巳     :「おはよーございまーす」
 SE      :ばんっ
 魅月     :「わ、わあっ!」

 運悪く同時に玄関に入ろうとした辰巳にぶつかってしまう。相手は驚いただ
けだったが魅月は大きくよろけた。

 辰巳     :「おっと」
 魅月     :「っつ……。あ、じじいっ!危ねーじゃんか!!」

 ぶつかった相手が辰巳だと気づいた途端口調が変わる魅月。

 辰巳     :「いいかげんその呼び方やめろよ……。っていうかおまえ、
        :それ迎えに来てやった奴に言うセリフかぁ?」
 魅月     :「へ?」
 祖母     :「あらぁ〜辰巳君じゃないの。朝からどうしたの?」

 魅月とは違った意味で態度が変わった祖母。

 辰巳     :「あ、おはよう御座います信子さん。なんか魅月が遅刻し
        :そうになってるような気がして来てみたんすけど…案の定
        :ですね」
 祖母     :「まあ〜いつもありがとうねえ、辰巳君。魅月をお願いし
        :ます」
 辰巳     :「はい。ほら、ぼーっとしてないで行くぞ」
 魅月     :「え?あ、ぁあ」
 辰巳     :「じゃあ失礼します」

 扉を閉めて外に出ると銀色のバイクが止めてあった。魅月にヘルメットが渡
される。

 魅月     :「朝からバイクかよ……(ヘルメット嫌だぁ…)」 
 辰巳     :「急いでんだろ」
 魅月     :「確かに車より有利そうだけど…」
 辰巳     :「何ごたごた言ってんだ。ほら、早くしろ」
 魅月     :「ぐふぅっ。しゃーないな、安全運転しろよ」
 辰巳     :「はいはい」

 歩けば電車に遅れそうだというのに仕方なさそうに後ろに乗る魅月を乗せ、
バイクは走り出した。


駅の前
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 駅の前にバイクがとまる。いそいでヘルメットを頭からはずす魅月。

 魅月     :「ふぅ、やっとはずせたぁ」
 辰巳     :「そんなに嫌かよ」

 そう言いながら続いて辰巳がヘルメットをはずしバイクからおりる。魅月は
髪を整えながら時計を見上げた。

 魅月     :「うわ、時間どおり」
 辰巳     :「はあ〜。今度から二度寝すんなよ」
 魅月     :「なんでわかったのサ…」
 辰巳     :「おまえそれで中学ん時から遅刻しそうになってるんじゃ
        :ねーか。それぐらいおめぇのおばあさんから聞いたよ」
 魅月     :「おばあちゃんめ…」

 駅の中に向かって魅月が歩き出す。

 魅月     :「えっと、まあ……ありがとう」 
 辰巳     :「ん?いえいえ」
 魅月     :「じゃあいってきます」
 辰巳     :「……ちょい待て」
 魅月     :「何?」

 魅月が立ち止まり首だけ後ろを向かせる。明らかに嫌そうな顔。それに対し
て真剣な辰巳。

 辰巳     :「気ぃつけろ。あすこらへんは中学ン時と違う」
 魅月     :「違うって……」
 辰巳     :「チャカ持ってるな」
 魅月     :「チャカ言うなよ。ヤクザかてめーは」
 辰巳     :「持ってんだな?」
 魅月     :「たりめーだろ」
 辰巳     :「ならいい。でも絶対離すなよ」
 魅月     :「お、おう……わかった」
 辰巳     :「ん。じゃな」

 背を向け手をひらひらさせてバイクへと戻る。魅月はそれを不思議な顔で見
送った。

 魅月     :「……なんだよ、それ」




時系列と舞台
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 西生駒高校の入学式の日という設定です。とは言っても舞台は学校ではなく
真堂家と駅です。



解説
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 初エピソードです。辰巳は鬼狩り本家に頼まれて幼少時から魅月に凶鬼の危
害が加わらないようにしている言わばお守り役という事になっています。試行
錯誤する内にこんな物になってしまいましたが、魅月がどういう奴かなんとな
くでもわかっていただければ嬉しいです。


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