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Date: Sat, 28 Dec 2002 12:18:58 +0900 (JST)
From: 月影れあな <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 25233] [HA06N] 小説『送り狼冬景色』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200212280318.MAA69848@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 25233
2002年12月28日:12時18分57秒
Sub:[HA06N]小説『送り狼冬景色』:
From:月影れあな
月影れあなです。
ちぃと千緒っちとたつきちくんの書いてみた。こんな感じでよいのかな
登場人物の紹介お願いします
この後も続けようと思ったんだけど、会話とか思いつかなかったんであきら
める。
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小説『送り狼冬景色』
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登場人物
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月影宗谷 ：IC水島の常連。よく気の利く良い子。
水凪龍樹 ：
水凪美留 ：
藤咲千緒 ：
本文
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賑やかだった店内から、ふと喧騒が絶えた。
空調と、時を刻む時計の針だけが、規則的に音を立てている。窓の外はすっ
かり暗くなっている。時計を見た龍樹が「もうそろそろ時間だな」と呟いた。
「さて、んじゃ、お暇するか」
結夜が手早く荷物を持って立ち上がる。他の面々もそれに倣って次々と帰り
支度を始めた。
「バッイビー」
最早死語と成り果てた言葉を独り言のように呟いて、あっさりと店から出て
行く。彼は、こういう点に関しては至極簡素だった。気持ちの切り替えが早い
と言おうか、気まぐれな猫のように、少なくとも表面上は、直前の事に見向き
もしない。ただ単に不器用なだけかもしれない。
店内からは、人が消え、人が消え、みんなそれぞれの場所へと帰っていく。
同じ様に帰る用意をしていた千緒に、宗谷が声をかけた。
「外暗いけど、大丈夫？ 途中まで送ろうか？」
姉の教育が行き届いている所為か、さりげなくマメな所によく気がつく彼だっ
た。しかも、それが天然であるから、タチが良いのか悪いのか今一つ判別でき
ない。少し考えて、千緒は答えた。
「そやね、そーちゃんが良いんなら送ってもらおうかな」
「あっ、ちょっと……」
焦ったように龍樹が悲鳴をあげる。そう、まさしく悲鳴と言ってしまえるほ
どに頓狂な声色だった。
「なに？」
「ええと、千緒ちゃんは僕が送っていくから」
ここで引き下がるわけにはいかない。ライバルは宗ちゃんと言うようなこと
を示唆した前野の発言を思い出しながら龍樹はあたふたと宣言した。
「お店の後片付けはどうするの？」
痛いところを切り返される。
「あっ、ええと、待っててくれないかな？」
「えっ、あたしが待つんですか？」
不平、と言うよりむしろ驚きの声が千緒の口から漏れる。まずい、どうした
ものだろうか。バイトとして、店の後片付けをサボるわけにも行かない。サボっ
て送ると言い張ったところで、千緒ちゃんが良しとしないだろう。かと言って、
待っていてもらうなどと言うことが出来よう筈もない。店長はいないし、先日
見つけた全自動掃除機は全面的に使用禁止になった。嗚呼、都合よく店長が帰っ
てきてくれないだろうか……
と、悶々としていると、見かねた美留が龍樹の服の袖を引く。
「あたしがやっとくから……」
その時の龍樹の表情の輝きを、筆者は一生涯忘れることは出来ないだろう。
それは天啓だった。ヨルダンの川のほとりにて大天使ミカエルと対面した救世
主の表情をそのまま体現したと言っても差し支えはあるまい。
「ありがとう、美留ちゃん！ じゃあ、いこうか」
「はぁ、別にいいですけど」
龍樹は今にも弾み出さんばかりに上機嫌で、店の奥にかけておいたコートを
着込む。千緒は少々戸惑いながらも、龍樹の同行を特に拒む意思はなさそうだ。
「難儀だねぇ……」
「ほんと……」
後に残された二人は顔を見合わせて年不相応な溜息を吐くと、そのまま無言
で店の片づけを始めた。
ある冬の日の、送り狼のお話
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