GURPS回想記:安宿の恐怖

GURPS回想記:安宿の恐怖


 今回のお題は宿泊です。
 宿泊、甘美なる響き。
 実際には非常に痛い出費になったりするわけですが。

 さて、宿泊と言えば体力の回復です。
 ゆっくり休んで疲労が回復したり傷を落ち着いて治療できたりするオイシイ時間です。
 特に、しっかりとした食事と睡眠をとらないと回復しない類の疲労だの生命力減少だのがあったりするので、かなり重要な要素だったりするのです。
 げふん。
 さて、宿泊と言えば思い浮かぶものが、食事と睡眠です。
 然しPLがお金を渋ってやっすい宿を取ってしまった場合、酷い事になります。
 昔の記憶をたどると。

GM:「食事は一応出たよ」
PL1:「一応って何ですか一応って」
GM:「嫌なら別に食わなくても良いけどね」
PL1:「どうする?」
PL2:「どうしよっか」
PL3:「外で食うのもアリだよね」
GM:「折角部屋まで持ってきてくれた店の人、あまり良い顔しないけど良いの?」
PL1:「どんな人?」
GM:「容貌で-15CPぐらかな、それでST15は堅いね」
PL2:「それ絶対宿の人チガウ」
GM:「雇ってるんじゃないの?暴れる奴も多そうだし」
PL1:「安宿で人相悪いのを雇ってるあたり物凄い理不尽さを感じてならないんだが」
GM:「気にするな。それに一番安くてアレな宿でいいやって言ったの君たちやん」
PL2:「いやだからって」
PL3:「マジかよー」
GM:「てか店の様子全然聞かなかったじゃん」
PL1:「……どうする?」
PL2:「……」
PL3:「ええやん、食おうやないかい」

 多分料理と思われる何かが無造作に並べられます。

お兄様:「残したら……覚えとけよ」
PL1:「おっしゃー、食うぞー」(棒読み)
PL2:「いえーい」(とてもやる気なさげ)
PL3:「(無言)」
GM:「盛り上がってるところ悪いけど、取り敢えず意志判定どうぞ」
PL1:「え? 何の判定?」
PL2:「意図がつかめんのだが」
GM:「食べる気になれるかどうかの判定」
PL2:「どんな食事じゃい」
GM:「ご想像にお任せしますが、描写して欲しいならするよ」
PL1:「言わんといて」
PL2:「しゃあない、行くぞー」

 三人とも成功。

GM:「チッ」
PL3:「俺らは腹減ってるんですよ」(えっへん)
GM:「まあいいか」
PL2:「うまいうまい」(がつがつ)
GM:「訳無いだろうが」
PL一同:「えー」
GM:「味覚判定どうぞ」
PL1:「そんなに酷いのか?」
GM:「うん(即答)」
PL1:「……所でPLが振っていいの?」
GM:「別に、何かを感知するためではないのだから良いでしょ」

 一人成功、二人失敗。

GM:「ククククク」
PL1(成功):「いよっしゃーっ!」
PL2&3(失敗):「……」
GM:「じゃあ失敗した人」
PL2&3:「(ゴクリ)」
GM:「何も無い」
PL一同:「は!?」
GM:「成功した人生命力判定」
PL1:「マテやこら。おかしいやろ、成功して損害って」
GM:「別に判定に成功したら必ず有利になるというルールは無いのだが」

 実際、生命力判定に成功すると効果の消えてしまう薬なんてのもありますからね。
 然しながら、今振り返れば、最初から生命力判定を要求したほうが良かったかもしれません。

PL1:「ぐっ」
GM:「いやー、鋭敏感覚が仇になったね、判定どうぞ」
PL1:「くそう」

 普通に成功。

GM:「ケッ」
PL1:「助かったー」
GM:「と言うわけで暫く君は気分が悪くなってしまう。特にペナルティーは無いけど気持ち悪い」
PL1:「どんな味なんだよそれ」
GM:「聞きたい?」
PL1:「結構です」
GM:「そうか。さて、君たちは強い意志と駄目な味覚によって、この壮絶なる食事を何とか消化器の中に押し込むことに成功した」
PL3:「何だか言い方に強い疑問を感じます」
GM:「まあ気にするなって。で、皆残さなかったよね?」
PL一同:「(コクリ)」
GM:「そうか……(遠い目)」
PL1:「何だそのあからさまに怪しいリアクションは」
GM:「焦るなって。さて食事から30分ぐらい経ったろうか」
PL2:「生命力判定には成功してますよ」
GM:「残念。生命力-1判定なんだ」
PL3:「あの、私目標値7なんですが」
GM:「生命力下げてCP稼ごうなんて思った君が悪い。そもそも、冒険をする以前の問題として健康的かつスムーズに一般生活を送る上で生命力と言うパラメータは非常に重要なものでな、それを下げられるギリギリまで下げたって事はこういう危険に対しての対処を半ば放置していると言うことであってつまり(以下延々)」

 医療が未発達の世界であるのに、結構生命力が8とか9のPCを見かけます。
 生命力は戦闘ぐらいでしか役に立たないとでも思っているのでしょうか。

PL2:「聞き飽きたので長話は良いからゲームを進めてください」
GM:「はいはい。じゃあ判定どうぞ」

 全員成功してしまいます。
 全くもって強運な人たちです。

PL一同:「(ふうー)」
GM:「ちぇっ」
PL1:「みんな無事かー?」
PL2&3:「おおー」
GM:「くそうくそう、この後物凄い形相で外に飛び出していってもらおうと思っていたのにーっ」
PL2:「運命には逆らえないのだよ」
GM:「くうう。ではそろそろお休みの時間かな?」
PL3:「そだねー」
GM:「そうかー」
PL2:「GMが笑っていますよ」
GM:「気のせいだ」
PL3:「まあいいや。寝る」
GM:「そうだね、一応ベッドはある」
PL1:「をを、意外や意外」
GM:「あのさ、寝床の無い宿なんて流石に無いってばさ」
PL2:「ほほう」
GM:「その位の良識はあるんだよ一応」
PL1:「へー」
GM:「(げふん)さて、もう遅くなってきた。いい子はもう寝なさいな」
PL2:「はいはい」

 皆ベッドに潜り込みます。

GM:「寝たか……」
PL一同:「(こくり)」
GM:「さて判定のお時間だ」
PL2:「何時も通りの聴覚判定ですな」(ころころ)
PL3:「(ころころ)よし成功」
GM:「何で知覚判定をPLが振っとるんだ」
PL2&3:「あ、そうでした」

 良くやります。
 支障が無い場合はそのまま進めてしまうことも多いのですが。

GM:「まあいいか、何も聞こえなかったよ」
PL2:「って事は泥棒とかそういう類のものじゃなかったのか」
PL1:「いや、音声系の呪文があるだろう」
PL2:「ああそうか」
GM:「(別に泥棒じゃないんだが)取り敢えず意志判定な」
PL3:「意志判定? 何でまた」
GM:「安宿が害虫を払ってあると思うか?」
PL一同:「何っ!」
GM:「さーて、今頃無数の蚤や虱が君たちの体液をすすっていることだろう」
PL2:「何と」
GM:「勿論思うさま痒い。そりゃもう痒い」
PL1:「寝れるかどうかってか」
PL2:「DDT欲しいなあ……」
GM:「お前、TL3の世界にそんな代物あってたまるかっての」

 今では既にDDTの聞かない虫が増えてしまっているらしいのですが。
 さてはて、二人ほど判定に失敗したようです。

GM:「わーいわーい」
PL2&3:「……」
PL1:「よし、俺様余裕で爆睡」
GM:「と言うわけでお二人方、君たちは三時間ほど寝れずにベッドの中でボリボリボリ」
PL2:「余分な所に余分な要素を入れよってからに」
GM:「任せろ(胸を張る)。と、言うところでもう一度意志判定だね」

 PL1と2は成功。PL3は再び失敗。

PL2:「良かったこれで寝れる」(ばたり)
PL1:「ぐーぐー」
PL3:「うえーん」
GM:「これで更に三時間眠れなくなったな、ふははははは。さて最後のチャンスだ、もう一回判定を」

 再びPL1と2が成功。PL3の出目は……
 18でした。

PL3:「……ああ、サイコロ様が逃げていく」
GM:「これは俗に言うファンブルと言う奴か?」
PL1&2:「うわあ……」
PL3:「何でもかかってきやがれやぁ」(なげやり)
GM:「ふうむ……君には先ず、全く眠れなかった事によるペナルティが課せられる」


PL3:「ぐああ」
GM:「それに加えて、痒みによって今日一日の間、全ての判定に-2の修正を受ける」


PL3:「くうー」
GM:「他の二人は特にペナルティ無しで良いよ」
PL1:「はいはい」
PL2:「……変な宿にはもう泊まりたくないなあ」
GM:「そうだね」
PL一同:「あんたが言うなっ!」

 こんな感じです。
 昔は虫も多かったらしいですし、安い宿に泊まるとこんな感じだったのではないでしょうか。
 やり過ぎかもしれませんが(笑)

 ではでは。

さいごに

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月刊TRPG.NET 2003年07月号

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