「日シナの理緒ちゃん」(3)

「日シナの理緒ちゃん」(3)

1.

 薄暗い室内。天井から下がる2本の鎖に、理緒がいましめられていて、その 脇に老人とロボットが立っている――

 老博士「シナリオ1級資格所持者を捕獲できたか。ご苦労だったな」
 ロボット「…………」
 理緒「何事?」

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2.

 老博士「私はロボット博士。マスタリング用のロボットを開発することにしてな。君はそのための研究材料と言うわけだ」
 理緒 「研究って、なに」

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3.

 老博士「とりあえず解剖するか」
 理緒 「ちょっと、待てー!」

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4.

 理緒 「私がシナリオ1級に合格したのは、60年の実績がある日シナのマスタリング講座のおかげなの」
 老博士「ほう?」

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5.

 理緒 「バインダー式で扱いやすいテキストと、実用新案のマスタリング練習機があるから、超一流の先生方の親切ていねいな指導が確実に身に付くわ」

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6.

 理緒 「1日20分の練習を続けていれば、シナリオ検定にも楽々合格。シナリオ1級の合格者の9割以上が、日シナの出身なのよ」

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7.

 理緒 「だからー、マスタリングを覚えさせたいなら、そこのロボットに、日シナのマスタリング講座を受けさせればいいと思うのー」
 老博士「一理あるが、どうにも迂遠な手段に思われるな」
 ロボット「…………」

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8.

 老博士「やっぱり解剖するか……」

 ロボットが老博士を、背後からの一撃で倒す。

 老博士「ぐわっ」

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9.

 ロボットに救助される理緒。

 老博士「主人の私を、裏切るのか」
 ロボット「理緒のほうが、マスターと呼ぶにふさわしい」

さいごに

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月刊TRPG.NET 2003年01月号

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