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「ねーねー。マスタースクリーンって何であるの?」 いつの頃からマスタースクリーンはそういう使い方をする為の道具になったのだろう?マスタースクリーンを使う目的は幾つかある。『シナリオをプレイヤーの目から隠す為』、『GMとプレイヤーのチャート類の便利な参照の為』、『ダイスをプレイヤーから隠す為』。ダイスの目を誤魔化すというのは、この最後の目的が派生したに過ぎない。 ダイスをプレイヤーから隠す理由には、現在では大きく二つある。一つは「ダイス目を誤魔化す為」であり、もう一つは「ダイス目をプレイヤーに知られない為」である。 ■□■□■ ダイス目を誤魔化す必要はなぜあるのだろう?本来、ダイスとは『GMもプレイヤーも関与しない乱数発生装置』であった。しかし、近年のTRPGのストーリ嗜好の増大の中、ダイスが発生させる特定の状況がストーリーを壊す事が起こる。それにGMが関与したくなったというのがその理由だろうと私は考えている。ダイスを誤魔化す理由には二つある。『都合の悪い状況の変更』と『都合の良い状況の発生への納得増大』である。 『都合の悪い状況の変更』とは、GMにとって(時にはプレイヤーに)都合の悪い状況がダイス目によって発生した場合、それを変更したり、発生しなかったとする事である。例えば、セッション序盤に於いて、プレイヤーの出目、GMの出目、GMのデータバランスの欠如のせいでプレイヤーのキャラクターが死んでしまった場合、GMがダイス目を誤魔化して死ななかった事にするという事例などである。 『都合の良い状況の発生への納得増大』とは、GMにとって都合の良い状況をダイス目で『自然に起こった』とする事で、GMが一方的にその状況を発生させる時に生じるプレイヤーの不満を軽減させる役割がある。例えば、ワンダリングモンスターと称して特定のモンスターを登場させたい時のダイスにこの手法が用いられたりする。 ダイス目を誤魔化す理由は、上記の事柄を考えると、GMの技術が未熟(シナリオのバランスが悪い)であるか、『GMが自分の都合の良いストーリーをダイス目を越えて行いたい』とする場合がある。前者の場合は同上の余地があるが、ダイス目を誤魔化す事を繰り返していると、『シナリオがGMの恣意的にしか進まない』という嫌疑をプレイヤーに抱かせてしまう場合がある。更に特定の状況(序盤ではキャラクターは死なない)事に対する『プレイヤーの甘え』が発生し始める。それを考えれば、『ダイス目を誤魔化す』という行為はTRPGでは行うべきでは無い。 ダイス目を誤魔化した場合の問題を避ける為に『思い通りの目を出す訓練』や『ダイスを振った後にプレイヤーに伝えていない情報(データ等)を変更する』という手法は存在するが、これは結局は問題が発生する事を先送りにしているだけで解決にはなっていない。 ダイスを振るのであれば、ダイスを振って起こりえる事柄というのは『起こり得る』のである。起こりえる事を無視したり誤魔化す手法を考えるよりも、事前の策や事後の策を考える事が、プレイヤーやマスターの勤めではないだろうか?システムで公然と『ダイスを誤魔化してよい』と書いている場合は私はデザイナーを疑うばかりである。(繰り返すが、技術が未熟なマスターにはまだ考慮の余地があるとは私は思っている。ただ、誤魔化す事がいつでも正しいいう事ではない) 例えば、ダイスを振らせるのであれば『そのダイス目を振ったときの最悪の状況』をマスターとプレイヤーは納得しておくべきである。プレイヤーがその可能性に気づいていないかも知れない。それならばマスターは、それを伝えるべきである。プレイヤーは、その可能性が起こるのが納得できないのであれば、回避に向けて努力するべきであろう。それはプレイング技術の上昇に繋がる。もし、全く回避が不可能な戦闘を仕掛けたいがキャラクターを殺したくないとマスターが考えているのであれば、戦闘の序盤をやり「そうこう戦闘をしているうちに君達は勝ったよ」とする方がいい。 また『1回死んでも仲間がいれば復活できるポーション(もちろん全滅では使えないだろう)』を持たせ、それを使えば冒険達成に何らかのペナルティーがあるなど、もしくは死んでしまった後、お助けキャラを出すでもいい。『死んでしまった』と新しくキャラクターを作ってもらっている間に新キャラクターを合流する事を考えるのも手だろう。キャラクターが死んでしまった人間にとっては、合流できない時間は、死んだ事がペナルティーなわけだ。(それが避けたい事なら戦闘を避けるか死なない事だ)ダイスを誤魔化す事は、この種の可能性の全てをマスターへの嫌疑を増大させながら失ってしまう事である。 ■□■□■ 次に、ダイスを隠す理由の二つ目である『ダイス目をプレイヤーに知られない必要』はなぜ生じるのだろう?それには二つの理由がある。『キャラクターが知らない事象の発生をプレイヤーに類推させない為』と『キャラクターが知りえない行動の達成度をプレイヤーに知らせない為』である。 『キャラクターが知らない事象の発生をプレイヤーに類推させない為』とは、例えば道を歩いていて罠が発動する板を踏んで、それにキャラクターが気づかなかった場合などである。それをキャラクターのプレイヤーに判定をさせてしまうと、プレイヤーは『何かが起こった』という事に気づいてしまい、後の行動が変化してしまう場合がある。これはプレイヤーが『プレイヤーとキャラクターの分離』が出来ていれば回避できる問題でもある。しかし、マスタリングテクニックからこれを回避する手法も幾つか考えつくがそれに関しては後述したいと思う。 『キャラクターが知りえない行動の達成度をプレイヤーに知らせない為』とは、例えば部屋を捜索した時にプレイヤーが探索のために振った出目が低ければ、『自分が探索に失敗した可能性』を類推できてしまうのである。自分が行った行動の結果が参照できる類の行動ならば(例:自分で自分を化粧してみて鏡を見る等)問題にはならないが、探索などは『成功の度合い』は自分の技術から類推は出来るが、その場その場で類推できるものではないだろう。これは対応が難しい。 なぜならば、通常、この手の判定はマスターに行わせているシステムが多いが、これは『マスターが出目を誤魔化す』場合を考えると避けたい。昔は、『マスターが出目を誤魔化す』という事例は少なかったから、この場合は問題無く安心できた。今は安心できるだろうか?GMが隠し扉を見つけさせたいのだったら成功にしてしまうようなセッションで、どんなプレイヤーが隠し扉の発見の能力を上げようと思うだろうか? 結局の所、『キャラクターが知りえない行動の達成度をプレイヤーに知らせない為』に関しては、プレイヤーに振らせ、『プレイヤーが知っている事は、キャラクターが知っている事ではない』という『キャラクターとプレイヤーの分離』をプレイヤーに行ってもらう事を期待するのがいいと思われる。もしくは、他のプレイヤーにダイスを振らせ、その結果を当事プレイヤーには知らせずにマスターに伝えるという方法もある。 『ダイスを振る事で事象を類推させない』事の手法としては、マスターが何も事象が生じていない時にもダイスを振るという『空振り』が一つのテクニックである。マスターは、これを『何回も振って好きな目を採用』というダイスの振り方と混同しない注意が必要である。実際にいつのダイスがどの判定に使われ、どのダイスが使われていないかは、セッションの時間軸を念頭に公平に行うのが良いでしょう。また、GMがゲーム中に振るダイス目を全て事前に振っておき、それを表にしてゲーム中に上から当てはめていくという方法は考え方として新しいと思うがいかがだろう? ■□■□■ ダイスというものが隠す必要があるとすれば、それは始めは『ダイス目をプレイヤーに知られない必要』の為であった。それが『ダイス目を誤魔化す為』という目的も加わった時、『ダイスを隠す』という行為は、TRPGをGMの恣意的に進む物という、つまらないものにしてしまった。 『ダイスを誤魔化す必要はあるか?』といえば実際は必要が無い。一時的な問題回避をした後に害ばかりあるだけだ。TRPGにおいて全員がダイスが本来持つ『GMもプレイヤーも関与しない乱数発生装置』という意味と『プレイヤーとキャラクターの分離』を納得していれば、ダイスは隠す必要はどこにも無い。 ダイスを隠さなければ、キャラクターが死ぬ事もある。ならば死なない努力をしよう。ダイスを隠さなければ、GMもプレイヤーも予期せぬ事が起きる事がある。それがTRPGじゃないか?ダイス目を隠さないと決めた時、そこには未知の物語が開け、君には様々な学べる事が転がっている。 |