第5話 雪

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残された白い雪

▼アンの話を要約すると……。
 20年程前にプロミジーの氷が溶けはじめる異常気象があり、プロミジー王がマティウ以下数人の冒険者に原因をさぐらせると、氷に封印されているアブアイマが氷の精霊力を従える術を身につけようとしており、そのためにプロミジー一帯の氷の精霊力が弱まっているということがわかったのです。
 事態を重く見たプロミジー王は、各地から冒険者や魔術師を集め、マティウたちの見つけた入り口から妖精の島へ送り込み、まだ力が完全に復活していなかったアブアイマをなんとか撃退したのです。
 その時、アブアイマは冒険者たちに呪いをかけました。その呪いこそが、サーラに自分の存在を植えつけることであり、また、アンの健康の喪失でもあったのです。

ギャレット この人も、その時の冒険者の一人だったんだ。

カレン 20年前?

GM 異常に気づいたのが20年くらい前。異常が最も激しくなったのと、撃退に成功したのが16年くらい前です。4年ほど探索に費やしたってことですね。

イン 撃退っていっても、たった16年じゃ、先延ばししただけじゃねぇか。

サンスター あれ、4年探索してたんだよね。サーラさんと年が合わないけど……。

GM(アン) 「その探索の旅の間に、マティウとクレアは結ばれていたのです。結婚の儀はまだだったようですけどね」

カレン クレアさんも冒険者だったんですね。は〜、この世界の実力者って、みんな冒険者なんでしょうか。

ミレイユ あなたとマティウさんは冒険仲間だったんですか?

GM アンは「いえ、その……」と口ごもる。有り体に言えば、元婚約者だったんだ。二股かけられてたの。

ギャレット ひどいヤツ〜。俺の親父みたいに悪い男だな!

サンスター クレアさんも冒険仲間だったってことは、氷の迷宮にもついて行ったの?

GM クレアは身重だったので、最終決戦には参加してない。

リラク ところで、マティウ氏が妖精の島に行ったのはひょっとして、そのアブアイマ関係? 再封印に行ったとか……。

GM(アン) 「はい。かつての仲間を集めて、亡骸を破壊しにいきました。しかし、今のアブアイマの力は封印を逃れた外部のアンテナを得て増大し、かつての仲間たちの全員が揃ったわけでもありません。数少ない仲間たちも呪いを受け、さらに若さを失った今となっては、どこまで対抗できることか……」

カレン 止めなかったんですか? 王様に応援を頼むとか、他に方法はあるでしょう。

GM(アン) 「彼は彼なりに思うところがあるのでしょう。我が子を思う親を止めることはできませんよ」

イン 事情を知らない連中だと、サーラに植え付けられた存在を外せないのかもしれないと考えたのかもな。

リーヴ ところで、ダーク・ダルクってヤツについて心当たりは?

GM(アン) 「……あの子が何か?」

イン ひょっとして、あんたの子供とか?

GM(アン) 「いえ、違います。そのようなものですけれど。この寺院を開いたとき、孤児院も開いたんですよ。そこで育てていた子です。あの子はわたしによくなついてくれました。とても優しい子で、下の子の面倒見もよく、病身のわたしは大変助けられたものです」

カレン その子の命令で、サーラさんは何度も命を狙われているんですよ。

GM(アン) 「あの子が? ……あの子、わたしがマティウに捨てられたと勘違いしているんです」

ギャレット 違うの?

GM(アン) 「わたしはこんな病身ですし……」

イン 身を引いた、とでも言いたいのかよ。子供から見たら同じさ。

GM(アン) 「あの子は多分、わたしの為に……」

ミレイユ 仕返しの手段として、サーラさんを傷つけることを選んだと?

GM(アン) 「マティウを苦しめたいなら、最も有効な手段でしょう……」

ミレイユ そんなの、おかしいじゃないですか! どうして正々堂々とマティウとやり合わないんですか? 16歳の女の子を精神的に苦しめるだなんて、男のやることじゃないですよ!

サンスター そうは言っても、ダニエルが絡んでいるのかもしれないし……。

ギャレット ああ、サーラの双子の妹か。

リラク そういう憶測を立てられないこともないって段階ですけど。

カレン でも、ダルクの意図に関してはだいたいわかりましたね。

イン そうだな。そんな私情で動いているんだったら、ヤツはやりすごすことができる。

ミレイユ わたしたちがしなくちゃならないのは、アブアイマを再封印して、サーラさんを救うことですからね。

イン そういうことだ。ガキの遊びに付き合ってやる必要はない。

カレン でも、ダルクが悪魔に取り憑かれていたりする可能性は?

ミレイユ 会ってみないとなんとも言えませんよね。わたしたち、彼については話を聞いただけですもんね。

カレン マティウさんは、妖精の島へ行ったんですよね。

GM(アン) 「ええ。そして、恐らくはダルクも。実は、数日前にあの子が一度ここを訪れて、そんなことを……。身体が不自由なわたしには、止められなかったんです。こんなことを頼める義理ではないのですが……あの子を止めてください。本当はとてもいい子なんです」

イン けっ、そういうのを他力本願っていうんだよ。あんたがそんなんだから、ヤツは救われないんだろ。

ギャレット ま〜ま〜、この俺に頼んだからには、大船に乗ったつもりでいてよ!

リーヴ 第1話と言ってることが変わってないな(笑)。

ミレイユ じゃあ、妖精の島へ行く方法を聞いたら、さっさと部屋を出ましょう。

GM 方法はすぐに教えてくれる。アンは部屋を出ようとするサーラの手を取って、「ここで負けないでくださいね……」とつぶやいた。


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