わたしのサイトのリプレイは、ありがたいことに皆様から好評を頂いております。ありがたやありがたや。リプレイを発表するに当たって、ずいぶんと研究した甲斐があったというものです。
市販のリプレイを読みまくって傾向と対策を練り、リプレイ研究室などで正直な賛否を聞いては何度も修正し、読みやすくて面白いリプレイを作るために尽力しました。
というわけで、今回は2000年3月現在までに培った「読みやすいリプレイ」のノウハウをまとめてみます。
まず、リプレイの位置づけを考えてみましょう。
リプレイは「TRPGの紹介」という役目を持っています。TRPGがまだ浸透していなかった頃、一体どのようにして押し進められるゲームなのか、その雰囲気が分かるように台本形式で内容を書き示したものが、「リプレイ」の出発地点でした。
ただゲーム内容を書き示しただけでは、人んちのホームビデオを見ている、という状態と大して変わらないのではないでしょうか。
つまり、読み物として昇華したものの方が「読みやすいリプレイ」、しいては「面白いリプレイ」へと通じるはずです。
ここで注意しなければならないのは──
実際のプレイとリプレイは違う!
──ということですね。
実際には、リプレイにも色々なスタンスがあります。ゲーム内容に忠実なもの、もしくは小説形式のもの……。どれが優れているとは言えませんし、必要性によって違うと思います。
わたしは、読み手がTRPGを知らなくても楽しめるように、どちらかといえば物語性とキャラクター性を重視した台本形式をとることにしました。
つまり、この段階で既に実際のプレイとリプレイは違うのです。
面白いリプレイだからといって、真似をして良いプレイになるかどうかは別の問題です。
それを踏まえた上で、リプレイの書き方を順を追って説明しましょう。
1)はじめに!
わざわざ書くのもアホらしいですが、リプレイを書くためには、まずプレイを録音しなければなりません。
会話を録音するということは、これがなかなか緊張するもので、プレイヤーの意識改革にもなるのではないか、と思います。
後からテープを起こす人のことを考えて、なるべくひとりずつ話したり、誰も分からないような会話は控えるように、と伝えておくと良いかもしれませんね。
それから録音は、90分〜120分の長時間テープに録音するのがオススメのようです。MDですと、作動音が静かなために、止まったのに誰も気がつかなかった、ということも良くあるようです。
自宅の場合は、持っているラジカセにマイクを繋げば良いですが、公民館などでプレイする場合はポータブル録再レコーダーを使います。録音機能を使うと電池がすぐに無くなるので、たくさん持っていきましょう。
……ところで、ACアダプタをこっそりと公民館のコンセントに繋ぐのは、やはり悪いことなんでしょうか……?
2)テープを書き起こす!
これが一番面倒な部分です。あまり数をこなしていないので大したことは書けませんが、これだけはハッキリと言えます。
テキトーにやれ。
真面目にやると、死にます。ホントに。テープを起こしてくれた人には、心から感謝するべきですね。
とりあえず、テープ起こしに有用だと思われる要点を、いくつか書いてみましょう。
・雑談を切り捨てる。
テープを聞き返すと、いらない会話というのが非常に多いものです。プレイヤー同士の雑談は楽しいものですが、読み手にしてみれば内輪ウケはどうでも良いことだと思います。
冷酷にザックリと切り捨てましょう。
切り捨てる雑談の頻度の高いものとしては、「TV・本・他のゲーム等」から引用した会話でしょうか。他にもファンタジー世界で「電化製品の話」とか、文明レベルを無視した会話も、あまり評判が良くないようです。
次に多いのは、身内ネタですね。インターネットなどに公開する場合、読み手にしてみれば、そんなことは知ったこっちゃないのですから。
では、ちょっと切り捨ての例をあげてみます。
マスター 港では不審な男たちがカバンを交換しているよ。
A子 刑事ドラマにありがちなシチュエーションだわ。
B夫 嘘くさ〜。
マスター うるさいな。で、どうするんだよ。
A子 麻薬取引ね。現場を取り押さえるわ!
B夫 俺は西部警察よろしくライフルを構えて撃つぞ。
A子 ……ええっ?!
B夫 チャララ〜チャララ〜。
マスター それ、太陽に吠えろのテーマだし(笑)。
B夫 ズギューン、ひとりに命中。
マスター 1人は「ギャアッ」と叫んで倒れた。取引していた男は「あそこだ!」とコッチを指さしている。
A子 馬鹿者〜っ!!
──いや、これも面白いとは思うんですよ。でも、西部警察も太陽に吠えろも知らない人にしてみれば、面白いかどうかも分からないですよね。それを踏まえて切り捨てると、こうなります。
マスター 港では不審な男たちがカバンを交換しているよ。
A子 麻薬取引ね。現場を取り押さえるわ!
B夫 俺はライフルを構えて撃つぞ。
A子 ……ええっ?!
B夫 ズギューン、ひとりに命中。
マスター 1人は「ギャアッ」と叫んで倒れた。取引していた男は「あそこだ!」とコッチを指さしている。
A子 馬鹿者〜っ!!
読んで分からない人がいる可能性のある雑談、ゲームの世界観から考えてイメージを壊すような会話は削除する、という考えで良いでしょう。
・流し聞きをする。
プレイヤーにエンジンのかかりにくい、前半1時間程は特に雑談が多いと思います。つまり、切り捨てる率は前半が非常に高いということ。はじめから気合いを入れすぎると、後で非常に寂しい思いをします。
数分間ほど流して聞いて、重要そうな会話だけを巻き戻して書き起こす、くらいで充分だと思います。
はじめてテープ起こしをした頃のわたしは、笑い声の「わははは……」の“は”の数を数えるため、何度もテープを巻き戻していました。“(笑)”で済むと知った時、しばらくテープレコーダーと絶交する程ショックでした。……過去の思い出です。
ちなみに、“(笑)”を多用するのも、読者を狭める傾向があるようです。
・ボケツッコミはまとめてしまう。
楽しいゲーム中の会話は、全員でワイワイ騒いでいるものです。しかし、その1つ1つがどんなに楽しくても、それを全て書き起こしていたのでは、読む人に優しくありません。
たくさんの人が同時に話すことは出来ても、同時に会話を読めるわけではないからです。
ですから、たくさんの楽しいボケやツッコミが乱立していても、同じような内容の発言ならば、その内の1〜2つ程度を起こすか、こっそりまとめて1つにしてしまうと良いでしょう。
さて、これで内容は、平均で半分から3分の2程度の量になります。
この段階で既にセリフが消滅してしまう人もいますが、ま、そんなこともあるさ、ということで次回に期待。
3)推敲をする!
リプレイを読み物として昇華するためには、推敲が必要です。
わたしが気をつけていることを、大きなことから小さなことまであげてみましょう。
まずは大きなことです。
これはこなしておいた方が良い、という推敲です。基準は「自分自身、内容を忘れた頃に読んでイライラするか否か」という、非常にアバウトなものですけどね。
今のところ思いつくのは4つです。
・場面を効率よく展開させる。
プレイヤーは先が見えない状態でゲームをプレイしていますから、必ずしも能率の良く動けるわけではありません。「さっきの場所に戻って……」ということもよくあります。
同じことの繰り返しが面白いですか? わたしは面白くありません。
まとめても問題ないシーンなら、順番を入れ替えたり削除した方が、テンポも良いし、ページ数も省略できます。適当な例として、給料の前借りリプレイを考えてみましょう。
C美 ドキドキしながら社長室をノックします。コンコン。
マスター(社長) 「なんだね、君は」
C美 そのぉ、来月のお給料の話で……。
マスター(社長) 「そういう金の話は経理課長にしてくれたまえ」
C美 きゃっ、失礼しましたぁ。それでは経理まで行きます。
マスター 経理課長がいます。
C美 課長、来月のお給料を前借りしたいんですけどぉ。
マスター(課長) 「何故ですか?」
C美 えっと、母が入院して急きょお金が必要なんです。
マスター(課長) 「そうですか。では、社長に了承を得てください」
C美 コンコン。社長、あのぉ。
マスター(社長) 「おお、さっきの君か。課長から聞いたぞ」
C美 それで、来月のお給料の話なんですけど……。
マスター(社長) 「来月の分だけで良いのかね?」
C美 大丈夫です。では、経理まで戻ります。
マスター 了解。
C美 うふっ! 課長、社長から了承もらってきましたぁ。
マスター(課長) 「はい、来月分のお給料です。どうぞ」
これが元となる文章だとします。ゲームの雰囲気を伝えるリプレイとしては良いと思うのですが、物語性(つまり前借り達成)を重視して考えた場合、少々まだるっこしく思えます。
場面は社長室と経理部を行ったり来たりしています。この場合、一番最初のC美さんと社長の会話は無駄です。ズバッと切り捨て可能なわけです。さらに順番を入れ替え、修正を加えると──
C美 課長、母が入院して急きょお金が必要なんで、来月のお給料を前借りしたいんですけど。
マスター(課長) 「そうですか。では、社長に了承を得てください」
C美 ドキドキしながら社長室をノックします。コンコン。社長、来月のお給料の話なんですけど……。
マスター(社長) 「おお、課長から聞いたぞ。来月の分だけで良いのかね?」
C美 大丈夫です。うふっ! 課長、社長から了承もらってきましたぁ。
マスター(課長) 「はい、来月分のお給料です。どうぞ」
──はい、非常に短く整理されました。しかも、読み手にはC美さんが巧く立ち回っているように映ります。これぞ一石二鳥。
これがもし、前借りに失敗するという物語なのであれば、当然、最初の社長との会話は有効になります。社長に悪印象を与えておく時や、能率の悪いC美さんを演出するのにも有効です。
つまるところ、後々にどのような影響を与えるかによって、その場面の重要性が定まるわけです。
別に前借りの成功を、ドラマチックに演出する必要もないでしょう。あってもなくても変わらない会話は、物語性重視の場合、削ってしまっても何ら問題はありません。
あんまりだ、と思いました? イイんです。リプレイですから。
・セリフの順番を入れ替える。
プレイヤーは、先に喋ってる人の会話が終わるのを待ってから、次の話をします。ですから、会話がなかなか途切れないと、後からずいぶんと前の話を持ち出すことになってしまいます。
これも文章がダラダラと長くなる原因となり、読み手にしてみれば非常に苦痛です。
同じ場面の会話をひとつの段落と考え、まず、段落の結果を考えます。そして、その結果に至る方法として最も良いと思われる順番にセリフを入れ替えましょう。
そのためには、長い会話は途中でブツ切りにし、他のPCの会話を挿入することも必要です。
適当な例として、理科の学習リプレイを考えてみましょう。
D介 先生、どうしてリンゴは地面に落ちるんですか。
マスター(先生) 「それはニュートンの発見した万有引力があるからです。地球の方がリンゴより大きいので、リンゴが地面に落ちるわけです」
D介 リンゴの方が大きければ?
マスター(先生) 「地球の方がリンゴに落ちるように思えるはずですよ。他に質問は?」
E奈 ハイ! ニュートンって誰ですか(笑)。
マスター(先生) 「……イギリスの物理学者です」
E奈 万有引力ってどういう意味なんですか。
マスター(先生) 「お互いに引き合う力のことです。つまり、先の例だと、地球とリンゴはお互いに引き合っているのです」
D介&E奈 なるほど。
このままでも別に構わないのですが、説明があまり上手ではなく、頭にスッと入ってきませんね。なおかつE奈さんの天然ボケが不本意、もしくは意味のないものである場合──
D介 先生、どうしてリンゴは地面に落ちるんですか。
マスター(先生) 「それはイギリスの物理学者、ニュートンの発見した万有引力があるからです」
E奈 万有引力ってどういう意味なんですか。
マスター(先生) 「お互いに引き合う力のことです。つまり、地球とリンゴはお互いに引き合っていますが、地球の方がリンゴより大きいので、リンゴが地面に落ちるわけです」
D介 リンゴの方が大きければ?
マスター(先生) 「地球の方がリンゴに落ちるように思えるはずですよ」
D介&E奈 なるほど。
──おお、非常に効率の良い理科の学習ではありませんか。美しい。良い子のみなさんはこうでなくてはいけません。
あんまりだ、と思いました? イイんです。リプレイですから。
・状況説明は文にしてしまう。
プレイ中、何が一番長いセリフかといいますと、大抵はマスターの状況説明です。これを会話のままで読むのは、辛いことではないでしょうか。
演劇の台本ですと、状況説明や行動などは文章として描写されています。それに倣って、説明的な部分は説明文として書いてしまった方が良いようです。
その方が分かりやすいし、ページ数も省略できます。しかも、描写の量を増減しても全然バレません。
では、どうでもいいような一例を見てみましょう。
マスター 君たちが職員室に入ると、先生が誰もいない。
F太 どうして?
マスター わからないよ。
G恵 聞き耳をたててみます。
マスター そうすると、奥の部屋から人の声がボソボソと聞こえる。
G恵 そっちに行ってみるわ。
マスター 奥の部屋に通じるドアには小さな窓がついている。
F太 覗いてみるけど。
マスター 君たちの担任がいるね。
G恵 何を話しているか聞こえる?
マスター 担任はこう話しているよ。「F太は退学にしてしまいましょう!」
G恵 ……って言ってるけど(笑)。
F太 でええ!
まあ、これはこれで楽しいですが、これを省略するとなると──
ふたりは職員室に行くが、中には誰もいなかった。教師たちはどうやら奥の部屋に集まっているようで、G恵が耳をそばだてると……。
マスター(担任) 「F太は退学にしてしまいましょう!」
G恵 ……って言ってるけど(笑)。
F太 でええ!
このあたりが無難かな? もっと省略すると──
ふたりは職員室に行くが、中には誰もいなかった。教師たちはどうやら奥の部屋に集まっているようで、G恵が耳をそばだてると、担任が「F太は退学にしてしまいましょう!」と激昂しているのが聞こえた。
──まあ、これは省略しすぎかとも思います。しかし、このシーンが大して重要でなければ、このくらい省略してしまっても問題ないでしょう。読み飛ばしても問題ない部分は、この程度でも何の問題もありません。
この場合、F太が退学になるかどうか、もしくは担任に嫌われているかどうかが、物語として大きな問題でないのならば、省略しても良いのです。
あんまりだ、と思いました? イイんです。リプレイですから。
・文章量を意識する。
このサイトに掲載されているリプレイは、1話を何ページかに分け、1ページを基本的に100行以内と決めました。この規定は特に決められたものではなく、わたしの持つヘナチョコパソコンでは、これ以上のページ容量だと読む上でストレスを感じるからです。
1話を1ページにまとめるのも、ダウンロードが簡単というメリットがあるので、特に推奨するわけではありませんが、1場面がだらだらと長く続くことはなるべく避けたいものです。
推敲を重ねていくと、どうでもよいセリフにまで愛着を覚えてきます。1段落毎に量の規定を決めておけば、例え自分の発言だろうと切り捨てることが出来るようになります。断腸の思いですけどね。
はっきりと計算したわけではありませんが、推敲後、半分から3分の2程度の量になるくらいで調度いいと思います。
おおっ! テープ起こしの段階と合わせると、4分の1の量になってしまうではありませんか。
あんまりだ、と思いました? イイんです。これがリプレイですってば。
次に小さなことです。
ここからは、載せる人の好みに左右されると思いますが、読みやすさを追求するならば、気をつけておいた方が良い、ということを書いてみます。
とりあえず思いつくのは4つです。
・難しい漢字や言葉は使わない。
インターネットでリプレイを公開する場合、難しい漢字にルビをふることが出来ません。そうなると、なるべく難しい漢字を使わないようにすることが重要になってきます。
あまりに漢字が多くなってくると、読んだ感想として、重たく、テンポの悪いものになることが分かります。
難しい言葉も同様です。難しい言葉を使いたがる傾向のある人もいますが、読み手に意味が通じなければ何にもなりません。
辞書をひかなければならない状況に陥ることだけは避けたいですね。あくまでも、誰もが分かる漢字や言葉を選び、かみ砕いて書くのが良いと思います。
そうですね、対象年齢は小〜中学生程度が良いでしょう。ラッキーなことに、わたし自身の言語能力はその程度なので、わたしが分かれば大丈夫、ということにしています。
難しい漢字だけではなく、読み方が色々ある漢字も避けるのが良いのではないかと思います。個人的な意見をいえば、例えば“私”という漢字です。“わたし/わたくし”の違いはずいぶんと大きいと思うのですが、どうでしょう。
実際の市販リプレイなどによくよく目を通すと、漢字の使い方などに一貫性があり、非常に読みやすい漢字配分となっていることに気がつきます。
さすが、伊達にプロではありません。
・見慣れている表記に統一する。
リプレイなどを読む場合、ただ内容を追うだけではなく、表記の方法なども見ておくと良いと思います。
例えば、“(笑)”の表記位置ですが、文末が“。”の時は大抵“(笑)。”となっています。“!”や“?”の時は“!(笑)”“?(笑)”ですね。
他にも、“「」(カギカッコ)”の中の文末の“。”は省略したり、“!”や“?”の後に続く文の前には半角程度のスペースが空いていたり、“…”は2つずつ綴ったり……。
リプレイや小説には、読みやすくするための決まりが色々とあるようなので、研究してみると結構面白いと思いますよ。(……面白くない?)
・キャラクター毎に読みやすくする。
リプレイは台本形式ですから、キャラクター毎に会話が分かりやすくないといけません。これは、既に色々なところで発表されているリプレイを見て、自分が見やすいと思う方法をとるのが良いと思います。
わたしが行っているのは、名前を太字にする、という方法です。何故なら、非常に簡単だからですね。名前を「検索/全置換」でタグつきの名前に変換してしまえば良いのです。
「A子」というキャラクターがいれば、「A子 」という文字を検索し、「<b>A子</b> 」という文字に全置換させるのです。これで、A子さんの名前は、アッという間に太字になります。
ちなみに、名前の後のスペースがなければ、会話中の名前まで太字になってしまうので注意しましょう。
・見やすい幅に設定する。
文章は、あまりに1行が長いと読みにくくなります。
ブラウザの横幅を変更して、各自が読みやすい長さに設定してしまえば良いのでしょうが、一応テーブルタグなどを使用して幅を指定したり、適度な幅で改行しておいた方が無難かもしれません。
環境によって善し悪しでしょうが、わたしのサイトでは今のところテーブルタグで400ピクセル幅に設定してあります。
ちなみにわたし、横幅が可変できない文章は腹立たしいので読みません。1行毎に行ったり来たり出来るかいってんだ、チキショーメ!
どーせ、ウチのモニターは小さいよ!
プレイヤー発言とキャラクター発言のスタンス。
明記しておきますが、ここからはわたしの非常に個人的な考えです。ですから、リプレイを“正しいTRPGの表記”と考えるならば、他の方法を取った方が良いと思います。
プレイヤー発言とキャラクター発言のスタンスは、プレイヤー毎に大きく違うものです。しかし、読み手からしてみれば、発言に一貫性がないのは混乱する原因となります。
本来、プレイヤーとキャラクターは違うものです。しかし、どうにもわたしには、これを文章にした時の違和感に馴染めないのです。例えば、こういう状態です。
マスター じゃあ、改めて自己紹介をどうぞ。
A子 「A子です。刑事をやってます。歳は聞かないで」
B夫 次はボクだな。「俺はB夫、20歳です」
マスター 西部警察とか知ってるくせに、20歳かよ(笑)。
B夫 ほっとけ(笑)。「A子さんの後輩の刑事だ!」
A子 「足手まといの、ね」
B夫 「あっ、ひで〜よA子さ〜ん」
マスター 「そいつに撃たれた不審な男だ」
B夫 「わっ!」
マスター 「撃たれた男と取引していた不審な男だ」
A子 こんな脇役まで紹介するのね(笑)。
マスター まあ、せっかくだからねー。
C美 「うふっ、次はわたしね。C美、フリーター19歳でぇす」
B夫 頼むから「うふっ」とか言わないでくれよ。
C美 文字なら分かんねーんだから、別にいいだろ。
マスター 「うぉっほん、C美くんのバイト先の社長だ」
C美 「あ、社長!」
マスター 「その職場の経理課長です」
C美 「給料の前借り、ありがとうございまぁす。うふっ」
B夫 やーめーろー(笑)。
D介 次、いい?「D介、学生、16歳です」
E奈 「クラスメイトのE奈、早生まれの15歳です!」
マスター 「理科を担当している一教師です」
E奈 リンゴ博士ですね。
D介 ……違うんじゃないか?
F太 次、アタシね。「アタシも……」
G恵 アタシ、じゃないでしょ。
F太 あ、そうか。「俺も同じ学校のF太だっ」
G恵 「その友人のG恵です〜。ふたりとも17歳です」
マスター 「F太に恨みのある担任である!」
F太 「何で俺を目の敵にするんだ〜」
G恵 「胸に手を当てて考えなさい(笑)」
マスター ま、これで全部だね。
──どうですか? 混乱しませんか? わたしはします。
リプレイというのは普通の小説などに比べると、登場人物が非常に多くなります。
PC1、PC2、PC3、PC4……。加えて、マスター、NPC1、NPC2、NPC3……。それだけでは飽きたらず、PC1のプレイヤー、PC2のプレイヤー、PC3のプレイヤー、PC4のプレイヤー……。
どーしろっちゅーんじゃい!
上記の例ですと、PC7人、PCのプレイヤー7人、マスター1人、NPC6人、計21人ですよ!
こんな短い会話なのに、物語としてはあるまじき行為です。
ですから、わたしはプレイヤーとキャラクターを合体させることにしました。これについては、いくつか注意しなければならないことがあります。
・一人称や言葉遣いを統一する。
これは当然やらなければならないことだと思います。実際のプレイ中に目撃すると「うっ、気持ち悪い」と思うことがないでもないですが、読み手の混乱を避けるためには、非常に有効です。
読み手には、プレイヤーの声色や表情は見えないわけですから、そういう発言の統一はとても重要だと思うのです。
・キャラクター発言の「」を減らす。
市販のリプレイを見ても、これは基準がマチマチなのですが、キャラクターの発言部分は「」でくくり、プレイヤー発言はそれ以外、という風になっている場合が多いでしょう。
しかし、台本のト書きのつもりで読んでいると、発言の中の発言、という違和感がどうも気になるのです。プレイヤー発言とキャラクター発言の区切りが、各プレイヤーによって違うからかもしれません。
なんといっても「」が多くなると見づらい!
ですから、なるべく「」は減らし、会話として成り立つようにしました。「」をつける時は、なるべくその前後に“〜って言うね”というような発言を入れています。これにより、自分の中での引っかかりはなくなったような気がします。
この方法は賛否両論なので、自分なりの考えをしっかりさせておいた方が良いでしょう。ちなみに、この方法を提示すると「それはおかしい」と良く言われますが、リプレイを読んで「おかしい」と言われたことはありません。
余談ですが、グループSNEのリプレイでは、全ての発言に「」がつき、その中でのキャラクター発言に『』がついていますが、この表記方法は非常にうっとうしいと思います。
グループSNE自身も「この方法はあまりオススメしない」と言っているそうなので、違う方法にした方が良さそうです。
・マスターの発言とNPCの発言の差。
NPCの発言は、必ず「」でくくるようにしています。何故なら、PCとPCプレイヤーは合体させてしまいましたが、マスターとNPCを合体させるのは無理だからです。
その代わり、NPCのみの発言の場合は、マスター表記の後ろにNPC名を入れることにしました。そして、なるべくマスターの発言には特色を出さないように心がけます。
これで、マスターとNPCの分離も促進され、記憶に残るNPCとなるのです。
──以上を踏まえて、先程の例文を直してみます。
マスター じゃあ、改めて自己紹介をどうぞ。
A子 A子です。刑事をやってます。歳は聞かないで。
B夫 俺はB夫、20歳です。A子さんの後輩の刑事だ!
A子 足手まといの、ね。
B夫 あっ、ひで〜よA子さ〜ん。
マスター(男1) 「そいつに撃たれた不審な男だ」
B夫 わっ!
マスター(男2) 「撃たれた男と取引していた不審な男だ」
A子 こんな脇役まで紹介するのね(笑)。
C美 うふっ、次はわたしね。C美、フリーター19歳でぇす。
マスター(社長) 「うぉっほん、C美くんのバイト先の社長だ」
C美 あ、社長!
マスター(課長) 「その職場の経理課長です」
C美 給料の前借り、ありがとうございまぁす。うふっ。
D介 次、いい? D介、学生、16歳です。
E奈 クラスメイトのE奈、早生まれの15歳です!
マスター(先生) 「理科を担当している一教師です」
E奈 リンゴ博士ですね。
D介 ……違うんじゃないか?
F太 俺も同じ学校のF太だっ。
G恵 その友人のG恵です〜。ふたりとも17歳です。
マスター(担任) 「F太に恨みのある担任である!」
F太 何で俺を目の敵にするんだ〜。
G恵 胸に手を当てて考えなさい(笑)。
マスター ま、これで全部だね。
──どうですか? 文章のつまらなさはともかく、読みやすくなったと思いませんか?
少なくとも、PCのプレイヤー7人は消えたのです。登場人物が21人から14人に減ったんですね。あっという間に3分の2になりました。
わたしは、読み物としてならば、プレイヤー発言はない方が読みやすい、と思います。……しかし、しかしですね。直す前の状態、削られた部分も、それなりに面白いんですね。
実際のプレイとリプレイは違う、と最初に述べました。リプレイは読み物として、そして資料としては有効だと思います。しかしそれは、どちらが優れている、というわけではなくて、楽しみ方が違うものだと思うのです。
ですから、リプレイのキャラクターを崇拝してはいけません。それは虚像です。TRPGは自分で考え、その場に適したプレイをすることが楽しいのです。そして、その場にいる人間だけに分かる雑談も楽しいものです。
リプレイだけでは分からない楽しさを、是非とも実際のプレイで体験してくださいね。
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