第6世界ガイド

魔法の復活

 SHADOWRUNの世界では魔法が復活しています。ゲームにありがちな「呪文を唱えると火の玉が出て敵が倒れる」とか「力ある言葉をとなえると傷がなおっていく」というものだけではありません。精霊を召喚して使役したり、アストラル空間と呼ばれる通常空間と重なるように存在する平行次元を自由に行き来することができます。また、儀式を行うことで複数の魔法使いの力をあわせた強力な呪文をかけることもできます。
 魔法使いには大別して2種類あります。まず、自然の力を背景としたシャーマン、そして体系だった魔法理論を用いるメイジです。
 魔法は、残念ながらその才能を生まれ持って得た人でなければ使うことができません。たとえその才能を持っていたとしても、魔法の3つの大きな能力(呪文、召喚、アストラル)を全て使うことができる人も希です。能力が限定された魔法使いのことをアデプトと呼びます。中には魔法の能力が肉体の増強に向かった人もいます。彼らをフィジカル・アデプトと呼びます。中には魔術品を作るのに長けたエンチャンターと呼ばれる人々も存在します。

メタヒューマンの誕生

 現在人間(Homo sapiens)は1属1種で亜種はありません。しかし、魔法の復活と時を同じくしてエルフドワーフと呼ばれる存在が生まれ、普通の人々の中でオークトロールと呼ばれる存在に変わってしまうということが起きました。彼らは親兄弟とは似ず、それぞれの種族に見合った姿形、そして能力を持ち合わせています。彼らは人間の亜種とされています。そして彼らを総称してメタヒューマンと呼んでいます。
 2050年代には今ある人種差別はなりを潜め、メタヒューマン差別が日常化されています。もっとも極端なものはテロとして現れています。また、2039年に起きた激怒の夜と呼ばれる世界規模の暴動で何千人ものメタヒューマン(と彼らに似せて整形した者)が殺害されました。
 アメリカではメタヒューマンは人権が認められていますが、日本では未だに人権がありません。

覚醒種の登場

 魔法の復活を引き金に、今まで伝説とされてきた怪物が現れるようになりました。彼らは大なり小なり魔法的としか説明のできない能力を持っています。また、魔法そのものを使うものや知性があるものも存在します。
 もっとも有名なのはドラゴンです。ドラゴンは大別してグレート・ドラゴンと呼ばれる知性ある種族と、より獣に近い下位のドラゴン種にわけられます。また、姿形からイースタンドラゴンウェスタンドラゴンフェザーサーペントなどに分けられています。
 また、コカトリスやバシリスクなどは、企業の保安用に飼われていることがあります。

 それ以外でも「ヒト・メタヒューマン吸血鬼化ウィルス(HMHVV)」と呼ばれるウィルスの患者であるヴァンパイアやそれに近い怪物も存在します。彼らは他人のエッセンスを吸って自分の活力とし、HMHVVを感染させて眷族を増やしています。

サイバースペース「マトリックス」

 マトリックスとは、世界規模のコンピュータネットワーク、グリッドを仮想現実の技術やアイコン化などによって感覚的に分かり易くしたものを差しますが、一般にはグリッドそのものをマトリックスと呼んでいます。
 マトリックスに入るには、たいていサイバーデッキと呼ばれるマトリックス投影型生体工学接合装置(苦笑)を用います。電話線とサイバーデッキを接続し、脳に繋げた電極をつなげてデッキを起動すれば完了です。デッキが起動している状態では外の感覚は放棄され、マトリックスからくる情報に身を委ねることになります。
 こういった便利な技術は犯罪者や犯罪すれすれのことを行うフリーランサーが黙っているはずはありません。彼らのようにマトリックスを渡り歩くもののことをデッカーと呼んでいます。
 現在行われているように(そしてあなたがこのWebを見るように!)ディスプレイとキーボード、マウスを使う方法も残っています。サイバーデッキは一般人が買うには一昔のコンピュータ以上に値段が高いのです。

人体改造技術の発達

 俗にサイバーウェアと呼ばれる人体改造技術も発達しています。マトリックスの項で説明した脳に電極を繋げる技術もそうですが、もっと即物的に四肢や筋肉、神経を機械的なものに変えたり、皮膚の下に装甲をつけるといったこともできるようになっています。
 また、知識や技術をチップに収める技術によって、擬似的にその技能を使うことができるシステムもありますし、マトリックスを操るデッカーのように、車両と一体となってコントロールするシステムも存在します(車両と一体となってコントロールする者をリガーと呼びます。コントロールシステムをリグと呼ぶからです)。
 身体を肉体の限界まで改造しつくし、戦闘に超人的な才能を持つ者を、尊敬を込めてサムライと呼びます。対一般人であれば、銃弾が当たっても傷一つ負わず、眼にも止まらぬ早業で撃った銃は百発百中、といった人物を想像してください。

企業の台頭

 2050年代には国家の力は格段に弱くなっています。大企業には自治権が認められ、企業の敷地内では国の法律ではなく社則が適用されます。企業では独自に警備を配置し、装備はさながら軍隊のようです。
 企業間のもめごとは、衛星軌道上にあるスペースコロニー Zurich Orbital にある企業法廷で解決されます。ここでは国家など何の権利もありません。

 また、行政サービスも民間委託が多くなっています。たとえばアメリカのシアトル市では、警察業務をローン・スター・セキュリティ・サービス社、消防業務をフランクリン・アソシエーツ社が請け負っています。「ロボコップ」に出てくるデトロイト警察のようなものと考えればいいでしょう。
 市の行政はこれら民間企業への委託事務が主な業務だと言っていいかと思います。

国家の再編

 以上のような情勢の変化からか、国家が現代から大きくかわっています。

 一番大きな変化はアメリカ先住民諸国連合(NAN)の成立でしょう。いろいろとあって抑圧されていたアメリカ先住民(通常「インディアン」という誤った呼ばれかたをしている人たち)が、魔法の復活と同時に独立を果たし、部族国家とそれをたばねる緩やかな連合体を作り上げました。アメリカ合衆国軍は武力により鎮圧しようとしましたが、圧倒的な魔法の力によって全て失敗しました。しかし、NANも部族間対立を内包し、後にエルフ達がオレゴンを拠点にして設立したティル・タンジェル、ブリティッシュ・コロンビアあたりを中心としたツィムシアンの脱退を押さえることができませんでした。

 ケベック州は独立し、アメリカとカナダの残りは合併してカナダ・アメリカ合衆国(UCAS)となりましたが、後に南部諸州は脱退してアメリカ南部連邦(CAS)となりました。メキシコはアズトランという軍産複合国家となり、カリフォルニアは日本の(押しかけ)援助によりカリフォルニア自由国(CFS)として独立しました。

 ちなみに、CFSは第二次大戦当時の満州国のように日本の傀儡となっています。

 ヨーロッパ大陸では、2031年から2年間続いたヨーロッパ戦争と呼ばれる消耗戦の後、分裂して都市国家のようになっています。