ようこそ、世界規模のコンピュータ・ネットワーク"マトリックス"へ!
たぶんあなたは自分のサイバーデッキ(つまりマトリックス専用端末)と、脳とのインターフェイスであるデータジャックを接続していることでしょう。これが本当の"WIRED"(接続されている)というわけです。昔ながらのキーボードandマウスで操作するのは"TIRED"というものです。もっとも、マトリックスをうろちょろしているやつの多くはTIREDな亀ですが。
さて、ジャック・インした貴方の視覚には、広大なマトリックス空間が広がって見えるでしょう。ところどころに建物が見えると思います。これがマトリックスに接続しているコンピュータの外観です。実際には、そう見せる信号を発しているのですが。
コンピュータ・システムやそこで動いているプログラムは、サイバーデッキにどういう風に見えるか、という信号を発しています。サイバーデッキはそれを解析して貴方に視覚として送り込んでいるのです。
ところで、貴方自身、というよりマトリックスでの貴方の分身もそういう信号を発しています。どういう風に見えるかは、貴方のお好みしだい。中世騎士の甲冑姿でも、忍者装束でも、人間でなくてもかまいません。貴方の分身プログラムを組み上げるときに他人から見える姿を選んでいるはずです。
さて、移動しましょう。まず地域通信グリッド(LTG)に接続しましょう。本来ならここでパスコードを聞いてきます。料金精算のため、利用ユーザーを調査しているのです。しかし、ちゃんとしたサイバーデッキならここは開放されているも同然。すんなり入れたはずです。ここから目的地に移動するには、目的地のLTGナンバーを知っていなければなりません。電話番号みたいなものですね。有名な公開されている場所であればイエローページみたいなものがありますから、これを利用すればいいでしょう。
地域外のコンピュータにアクセスしたかったら、まずアクセスしたいコンピュータのあるLTGに接続しなくてはなりません。今度はちゃんとパスコードを伝えなければなりません。正しいパスコードを持っていれば問題ありません。もしもそうでない場合……犯罪行為ですが、その場所を守っている進入妨害プログラムをだますか停止させるかのどちらかしかありません。もちろん、あきらめるという方法もありますよ。
プログラムをだましたり停止させたりするには、それ専用のプログラムが必要です。もちろん素直にだまされたり停止されるプログラムはありません。ほとんどの場合は抵抗してきます。ただ警報を発するだけのものや、進入者の逆探知を行うもの、分身プログラムを停止させようとするもの、中には貴方自身の身体にダメージを与える信号を送り付けてくるものまで存在します。
さて、アクセスしたいコンピュータまで到着しましたか? 到着したら、たいていパスコードを要求されるでしょう。正しいパスコードを知っていればOK、そうでなければ……さきほど説明した通りです。
こうやってサイバーデッキを操るものをデッカーと呼びます。貴方もデッカーの仲間入りです。
デッカーの情報源として有名なのはSHADOWLAND BBSと呼ばれるものです。ここには非合法活動をしているデッカーたちが集めた情報がうなるほどあります。なにか困ったことがあればここに来て調べてみるのもいいでしょう。ただし、ここのルールは「Give and Take」、あなたも情報提供者にならなければなりません。
SHADOWLAND BBS は常に権力者から追われる存在です。ですからいつもLTGナンバーを変更させています。常に変わる SHADOWLAND BBS の LTGナンバーを知っていること、これが腕のいいデッカーの要件の一つです。