第六世界における企業

企業的生活

 シャドウランナーと対極的生き方をしている企業所属のサラリーマンのことを述べてみましょう。

 この時代のサラリーマン(2050年代の俗語で sarariman と言う)は給料奴隷というべき存在になっています。企業のためなら健康を害するほどの残業も、社会的に批難されるべき犯罪も行ってしまいます。現代日本のサラリーマンと変わらないといってしまえばそのとおり。

 企業に席を置くかぎり、そして企業から役立たずとして追い出されるまで、彼らは企業の保護下で住居、医療、情報、娯楽などほとんどのサービスを受けることができます。

 極端な例ですが、レンラク・コンピュータシステムズのシアトル支店である「レンラク・アーコロジー」を紹介しましょう。(2054年データ)
 レンラク・アーコロジーはシアトル中心街にある地上276階地下21階の超高層ビルです。1フロアの面積も巨大ですので、ペンシルビルというわけではありません。実はまだ未完成で、完成時には地上320階という巨大な建物になっているはずです。
 1階から5階はショッピングモールとなっていて、一般の人も自由に買い物ができます。
 ここには未完成のうちから 70,000 人が住み、そのほとんどがレンラク社員です。ほとんどのサービスはこのアーコロジーの中で供給され、一歩も外に出ずに暮らすことが可能です。しかし、外に出るには(ショッピングモールに行くのですら)許可と監視が必要になります。(主に産業スパイとヘッドハンティング防止のためでしょう)

 シャドウランの基本ルールにあるアーキタイプのうち、フォーマー・ウェッジ・メイジ(元雇われメイジ)とフォーマー・カンパニー・マン(元企業人)はそういった企業にいた人です。何故彼らがぬるま湯のような企業人社会から抜け出したのか、そんなことを考えてみるとロールプレイも深まるのではないでしょうか。

企業とシャドウランナー

 企業はしばしばシャドウランナーにやばい仕事を依頼します。背後が判明すると立場が悪くなってしまう犯罪(他社の新製品サンプル奪取、要人誘拐など)について、一見無関係なシャドウランナーが行った場合だと足がつきにくいという利点があります。また、シャドウランナーは社員ではありませんので、いつでも切り捨てることが可能という理由もあります。

 企業とシャドウランナーの中継となるのが「ミスター・ジョンソン」と呼ばれる人たちです。彼らがシャドウランナーと接触する時に「ミスター・ジョンソン」を名乗ることからそう呼ばれます。
 彼らは必ずしも企業の従業員というわけではないようですが、「ミスター・ジョンソン」と名乗った時点で企業の代理人です。彼らは本名だけでなく企業名も隠します。これはシャドウランナーの口から背後が割れる危険を少なくするためです。
 ただ、コンタクトとして選んだ「ミスター・ジョンソン」の場合、企業名を知っていたほうが話が進みやすいですね。