December. 9, 1999
14:00

●今日のひとこと●

「ルールブックの記述とDMの判定はどちらを優先させるべきか?」

DMの判定が優先であるのが普通でしょう。しかし、私はルールの記述を優先させるべきであると考えます。その理由書きます。
記述されたルールに基づいて判定を行うと、その判定へのプレイヤーの信頼度は、DMが考え出した判定よりも高いです。これは、ルールによる判定の方が妥当でDMの判定は妥当性が低く受け入れにくい、というのが理由ではありません。DMによる判定の場合は、その判定基準がDMの頭の中にしか無いので、その判定の妥当性、適用の正当性をプレイヤーが確認する手段がありません。DMの頭の中には基準となる指針が存在し、その指針に従って判定している[かも]しれませんが、その指針をDMが紙に書くetcの手段でプレイヤーに事前に提示していない限りその判定を検証できません。ルールに従った判定の場合は、その適用にミスが無いか、妥当なのかどうか、プレイヤーがルールを読むことで確認する手段が有る為に、高い信頼を得る事が出来るのです。これが私がルールを使用する最大の理由です。

●DMの判定を優先させる場合のメリット

ルール知識に欠ける人でも、DMを出来る。
プレイ中にルールを探す必要が無いので、判定が迅速になる。
ルールブックの無い場所(会館等)でもDMing可能になる。
矛盾した判定を行っても、検証が不可能故にプレイヤーには分かりにくい

●ルールによる判定を優先させる場合のメリット

上記のとおり、プレイヤーからの信頼を得られやすい。
記憶に頼らずに済むので、終始一貫した判定を出来る。
DMの想像を超えるルールが有れば、ルールそのものに起因した状況を楽しむ事が出来る。

400Encの金属製のアーマーを着用し、300Encの装備を身につけたSTR16でCON18、DEX12の9レベルFighterがスキル無しで船から海中に落下したとします。こういったPCの生死に関わる場面で何が起こるかを、ルールを使用せずにプレイヤーが納得する判定するのは難しくないですか?

妊娠中のPCがPsionicBlastを受けた時に、その胎児にどんな影響を受けるのか?ルールの存在を知らずに判定できますか?ルールに基づいて判定を行えば、その後に起こるであろうイベントは楽しい物になるとは思いませんか?

小説「ヴァンパイアハンターD」を読んだプレイヤーが、ダンピールをプレイしたいと希望しました。新しい種族をでっちあげますか?Dhampirのルールはどうなっているか読みたくないですか?

ここでルールブック買いましょう。(笑)

−−続く−−
December. 10, 1999
17:00

●今日のひとこと 第2話●

「プレイヤーにルールブックを読んでもらおう!」

あなたがDMなら、参加プレイヤー諸氏にもルールブックを読んでもらうべきです。大量に出版され続けるあらゆるルール、サプリメントをDM1人で研究し、習得するのは至難の業です。セッションに参加するプレイヤーとDMが共にルールを研究し、テストし、ルールシステムに組み込んでいく事で、出版ペースに負けずにルールシステムをアップグレードし続ける事が可能になります。
RPGでは、無限大に多い状況が存在し無数の判定を行う必要が有ります。どれだけルールシステムを拡張しても、大きすぎる事は有りません。巨大なシステムは、DMオリジナルの判定を行う機会の減少にダイレクトに結びつきます。セッション内で行われる判定のうちで、ルールに基づいた判定の占める割合が増えれば増えるほど、プレイヤーの判定に対する信頼が増大します。

現在のAD&Dのルールシステムでは、あらゆる状況を想定したいわゆる「汎用判定システム」は存在しないので、個々の状況に応じて、それに対応するルールを使用する事になります。この事はAD&Dの弱点でもありますが同時に美点でもあり、状況に応じた個別のルールが存在する為に、より詳細で正確な判定が可能になっています。AD&Dをプレイするという事は、使用ルールが拡張され続けるという事でもあります。

さて、プレイヤーと共同でルールシステムを拡大していく事で、ルールシステムの発展スピードが早くなる事だけでは無く、「プレイヤーがルールに詳しくなる」という大きなメリットが有ります。

プレイヤーがルールに詳しくなる事で、DMがルールの適用を失念していないか、その判定にミスは無いのか、といったプレイヤー側からのDMに対するチェックが働きます。ルールシステムが巨大な物になればDM1人で管理し続けることは困難になるので、このチェック機能を利用する事で、セッション参加者全体で巨大なシステムを維持、管理する事が可能になるのです。

プレイヤーがルールを知る事で、プレイスタイルにも変化が生まれます。
■敵FighterがPCパーティーに追いつめられ、村の少女の首筋にショートソードを突きつけている。 これを、PCが説得して投降させる場面を想定します。

★DMを敵ファイターに見立て、各「プレイヤー」の中から対DMカリスマの高い人間が話しかけ、DMの機嫌によって左右される判定結果を心配しながら説得する。
★各「キャラクター」の中から、スキルによる修正後の説得値の最も高いキャラクターが説得し、その説得に使用したセリフからダイスロールに対する修正をDMに貰い、1D20で説得の結果を判定する。
この2種のプレイスタイルは同じゲームですか?どう考えます?ルール欲しくなってきましたか?ここでルールブック買いましょう。(笑)

−−プレイヤーにルールを読ませる手段に続く−−
December. 11, 1999
14:20

●今日のひとこと 第3話●

「プレイヤーにルールを読んでもらう為には?」

さて、昨日の[今日の一言]で、プレイヤーがルールを知っている事による、グループ全体に対するメリットについて説明しました。しかしながら、今行われているキャンペーンやセッションがうまくいっているならば、プレイヤー諸氏はあえてルールブックを読んではくれません。英語で書かれているルールブックがほとんどで、日本語で出版されたものや、同人誌etcの形で翻訳されている物はほとんどゼロに等しい状態ですから、英語を読むのが得意では無いプレイヤーの場合は尚更でしょう。そんな彼等にルールブックを読んで貰う為には、プレイヤー個々人に個別のメリットが発生する様にするのが重要です。そういったメリットが存在すれば、グループ全体のルールシステムの拡大、維持、管理といった、間接的にしか得られないメリットの場合とは異なり、プレイヤー自らが率先してルールを読み、研究し、DMにその採用を求めてくる理想の形に近づく事が出来ます。

ルールを読む事によってプレイヤー個人にメリットを与えるには、プレイヤー間のルール知識に格差を付ける事です。すなわち、プレイヤーが発見してきたキャラクター強化ルールや、プレイ中に有利な判定をもたらすルールをプレイヤー間全員で共有するのでは無く、その発見者のプレイヤーから適用し始めるのです。数回のセッションが行われる間にそうしたルールはプレイヤー全員の周知の物になってしまうのですが、この、知れ渡るまでの数回のセッションという期間が重要になります。自分の知らないルールで他のプレイヤーの使用しているキャラクターが強化されている事を見て、プレイヤー間にルール研究を競う切磋琢磨が生まれます。ルールを研究するだけで、セッションハンドリング技術やサバイバル技術を磨かなくても、一人で、自宅でルールを読むだけで自分のPCが強化されるのですから、ルールを読む気にさせる強力なモチベーションとなります。

AD&Dのサプリメント群には、「後から発売された物の方が強い」というはっきりした傾向が有ります。これは、[More Rules! More Powers!]と呼ばれますが、パワープレイヤーの要求に応える為の物と考えられます。一連の商品が持つこうした傾向の為に、「ルールを読むプレイヤーほど強い」方式でプレイする事は、プレイヤーが競い合って新作ルールを買い漁るという結果をもたらします。各自が買ったルールを読み、強いルールを発見し、DMの自宅に電話をかけ、他のプレイヤーに悟られない間に、その採用を持ちかけるのです。必然的にDMもルール研究を行い、結果として、グループ全体で使用するルールシステムの拡大に繋がるわけです。こうして導入されたルールは、複数のプレイヤーがその判定にミスが無いかチェック可能なルールになりますから、この様なルールが増えれば増えるほど、DMによる判定への信頼度も高まる事になります。
December. 12, 1999
20:20

●今日のひとこと 第4話●

「恣意的な判定を減らす」

さて、下記3話の様な手段で使用ルールを増やしていっても、ルールに基づいた判定が困難なケースは少なくありません。例えば、NPCの反応決定チャートはCHAによる修正と2回のダイスロールで決定される単純な物ですが、実際のプレイにおけるDMの判定はあのチャートほど単純な物ではありません。

[例]
Forgotten RealmsのDaggerdaleにPCパーティーがいるとします。その中の一人の7Level-Samuraiが猩々嚇の真っ赤なDo-MaruとKabutoを身につけている場合、その姿で突撃してくるのを見た敵はどんな対応をするのでしょうか?敵がゴブリン1匹ならどうでしょうか?敵がエイジカテゴリー4のホワイトドラゴンならどうでしょうか?4〜7レベルで構成されるキャバリー5騎とその従者12人相手では、どんな反応を引き起こすのでしょうか?
判断材料にするべきルールは多岐に渡ります。
★6level以上のSamuraiなので、Ki-PowerでFearを発動出来ます。この鎧はST判定を修正するのか?
★High-LevelSkillにも、高レベルFighterのChargeがFearを引き起こす例が有ります。
★Figher系Kitで、武器を振るう事で、相手の命中判定にネガティブ修正を与えるキットも有ります。
★Fear効果を与える事のできるマジックアイテムのアーマーやウェポンは何らかの恐ろしい外見をしている場合がほとんどです。
★何らかの形のHonorルールやPCの知名度を数値化するシステムを採用しているのなら、この赤い鎧はその数値に何らかの修正を与えるかもしれません。

赤い鎧がNPCに与える影響については、ルール化する事は困難です。特異な外見をしている場合は、反応チェック時がポジティブな場合はポジティブ修正を、ネガティブ反応の場合はさらにネガティブ修正を与えるというのも一つの解決策ですが、その外見の特異性を数値化するのは困難です。猩々嚇の鎧が+2または-2修正だとすれば、金属でコーティングされた羊の角のついたフルフェイスヘルムではどうでしょうか?殺したワイバーンの頭をロープで引きずりながら歩いているFighterはどうでしょうか?etc...

見方を変えると、NPCの反応の判定はゲーム内で多用されます。
商店で買い物をする場合の値引き交渉はどのように判定するのか?PCパーティーが一群の敵と戦闘している時に、どの敵がどのPCを攻撃するのか?etc....

NPCの反応に代表される様に、ルール化する事が困難な判定はDMがルールに基づかずに判定する事になります。この様な判定において、DMによる恣意的な判定が多用されると、プレイヤーのDMの判定に対する信頼は一気に失われる可能性がります。
恣意的な判定はなぜ行われるのでしょうか?DMがゲーム内で再現したいシチュエーションやストーリーの方向へプレイヤーを向かわせる為に使用される場合もあるでしょうし、気に入らないPCを痛めつける為に、敵の一群の中から、強い敵が理由もなく特定のPCを攻撃する事に決定するかもしれません。

ルールが存在し、その存在をDM、プレイヤー双方が知っている場合は、DMが恣意的な判定を行えばすぐに分かってしまいます。重量制限以下なのに切れたロープや、突然折れた剣、チャートによらない10日間も降り続く雨等は、すぐにプレイヤー間に疑惑の渦を巻き起こして、勇気有る参加者の1人によるDMへの告発へと繋がるでしょう。では、ルールが存在しない判定について、こうしたプレイヤー達はどのような反応をするのでしょうか?彼等はDMの恣意的な判定を嫌います。これは、ルールを知っているプレイヤーに見られる顕著な傾向です。
では、こうした判定を恣意的では無く公平に、少なくとも参加しているプレイヤーには公平に思える判定に見せるにはどうしたら良いのでしょうか?
−−次回に続く--
December. 13, 1999
16:20

●今日のひとこと 第5話●

「恣意的な判定を減らす手段」

それでは、実際のプレイにおいて恣意的な判定を減らすにはどんな手段が有るのでしょうか?実は容易な解決手段が存在します。

DMがルールが存在しない判定を行う場合でも、DMの頭の中には判定に使用した何らかの基準が存在するはずです。その基準を参加プレイヤーにその場で公開する事で、判定に恣意的な要素が混入していないかどうかのチェックを受ける事が出来ます。ダイスロールというランダム要素を含む基準を使用するならば、使用ダイスと目標値を事前に公開し、プレイヤーの行動や能力がそのロールを修正するならば、どの要素がどれだけの修正を与える事にしたのかも事前に公開します。この公開された基準が参加プレイヤーの承認を受けたならば、その瞬間からこの判定はルール(少なくとも参加プレイヤーには受け入れられた)となり、その上でオープンダイスで振られたロールには恣意的要素は入り込みにくくなるのです。

ダイスロールを使用しない場合でも同様です。なぜその判定をダイスロール無しで決定したのか、判定基準に不満が無いかどうかは、その基準を公開した上で判定結果を告げる事でプレイヤーに承認された物になります。

[例示します]

6名のPCパーティーと巣で遭遇したWhiteDragonがパーティーのメンバーの中から誰を最初の攻撃ターゲットにするかどうか、既存のルールで決定するのは困難です。そこでDMは各PCに1d20をロールしてもらい、最大の値を出したPCを攻撃する事に決めました。この基準をプレイヤーに告げ、全員にオープンダイスでのロールを求めます。
DM「WhiteDragonに近いPCから攻撃されるのが普通だから、Dragonに近いキャラクターから離れているキャラクターまで順番にロールに+6〜+1の修正付けてね」
Player1「オレのキャラはTwo-HandedSword装備してるから、対Largeダメージが大きいからDragonはいやがるんじゃないの?」
DM「そね。じゃぁ、君は-1修正」
Player2「オレのキャラはDragonHideのArmor着てるよ!DragonSlayerに見えるんじゃない?WhiteDragon程度だったら、DragonSlayerの事恐れるんじゃないの?」
DM「うーん...恐れるかもしれないし、逆にターゲットにされるかも。+3か-3かどっちかの修正が入る事にしよう。こっちとそっちで1d6を振って、そっちが大きかったら-3、こっちが大きかったら+3、同じだったら修正無しで行こう」
DM「他の人も、外から見える装備を申告して」
Player3「LongBowに矢をつがえてDragon狙ってる。最初のラウンドのイニシアティブ前に撃つよ」
DM「メレーウェポンは?」
Player3「外から見えるのはHandAxeかなぁ+2だけど」
DM「それじゃぁ接近戦には弱そうに見えるね。d20に+3修正ね」

この判定を、こうした基準の公開無しで行った場合と、参加プレイヤー総意で承認を得た場合との差異は分かりますか?少なくとも、DMが嫌いなPCを恣意的に痛めつけようとしているという受け止められ方は決して無いでしょう。
December. 14, 1999
13:20

●今日のひとこと 第6話●

「矛盾するルール、複数の判定方法の示されたルールをどの様に取り扱うか」

AD&Dの様な肥大化したルールシステムは、必然的に矛盾したルールを含む運命にあります。Dragon誌等で発表されるアンオフィシャルなルール類は、既存のルールとの整合性を調査した形跡の見られない物も多く存在します(故に魅力有るルールが生まれるのですが)。こうしたDragon誌で発表されたルールの間での矛盾は無数に見られ、各種サプリメントで発表されたオフィシャルルールとの間での矛盾すら多く見られます。

また、ある判定を行う為の複数のルールが提示され、DMが選択して使用しなさいという例も散見されます。DMGにも多く見られます。Death's Doorルールもそうですし、スペルキャスティング時のMaterialComponentさえも選択ルールの一つです。

ある判定を行う為のルールが一つしか存在しないか、DMも含めた参加メンバーには一種類しか知られていない場合には問題は起こりません。そのルールを使用すれば良いのですから。
しかし、グループで使用するルールシステムを下記の様に参加者全員で構築していく形をとっている場合に、複数の選択ルールや矛盾するルールが存在すると、どのルールを採用するかが大きな問題を引き起こします。なぜなら、DMが使用ルールを一方的に選択する事は、そこにも恣意的な意志が混入する可能性があるからです。DMがとあるルールを使用し、矛盾するルールを使わない事に決定した場合、その決定によって不利益を被る可能性のあるプレイヤーはすんなり受け入れてくれるでしょうか?もしくは、不当とも思えるような利益を特定のプレイヤーのみが受ける場合に、他のプレイヤーはどのような反応を示すのでしょうか?

採用ルールを決定する権限をDMが持つ事は、円滑なプレイ進行には大きな意味を持ちます。時間的制限を受けてプレイしているグループでは、ルール選択の論争が勃発すれば冷めてしまう参加者もいるでしょう。しかし、そのDMの権限に対して不信感を持つプレイヤーの存在を放置する事は、長期に渡るキャンペーンでは危険な事です。

この、一見すると相反する「プレイの円滑な進行」と「参加プレイヤーの納得と承認」を得ることの可能なルール選択の方法はあるのでしょうか?

一つの解決方法は、事前に選択ルールの類を抽出し、どれを判定に用いるかをプレイヤーに提示しておく事です。矛盾するルールの選択も同様で、出来る限り抽出し、事前に提示してしまえば、そのセッションに参加している時点で「提示済みの選択されたルール」については「プレイヤーの承認済み」となり、論争の起こる余地はありません。DMの事前準備が少し増える事を除けば、良い解決方法の様に思えます。しかし...

実際にはこの方法には大きな問題があります。存在する全てのオフィシャルルール、アンオフィシャルルールを事前に抽出する事は不可能なのです(それに挑戦しようとする勇猛果敢なDMの方がいらっしゃるなら、止めはしませんが)。その為に、下で示した様に「プレイ中に」「参加者全員で」使用ルールシステムを構築、維持する事を提唱しているのです。

それでは、「プレイ中に参加者全員で使用ルールシステムを構築、維持」しながら、「プレイの円滑な進行」と「参加プレイヤーの納得と承認」を得るルール選択方法はあるのでしょうか?

有ります。プレイ中に各プレイヤーから、使用したい矛盾するルールや選択ルールが希望として提出され、DMがそれらを事前に全て抽出しておく事が不可能ならば、「どのルールを使用するかを決定する為の法則」を事前に提示しておけば良いのです。この事前の提示は、セッション参加時点でプレイヤーには承認済みとなりますから、適用に不満がでる事は有りません。では、どんな「どのルールを使用するかを決定する為の法則」を使用すれば良いのでしょうか?

プレイヤーとDMの関係にも依存しますし、DMのマスタリングスタイルにも依存する色々な「法則」が考えられます。
■より強くなるルール採用
■よりPCが有利になるルール採用
■よりPCが不利になるルール採用
■出版順番で新しい方を採用
■ダイスロールでランダムに使用ルール決定
■DMの再現したいシナリオの助けになる方を採用
■DMの再現したいシチュエーションの助けになるルール採用
■オフィシャル優先
■オフィシャルルールを書いているライターの記事優先
etc....
複数の法則を優先順位を決めて適用していく事も可能です。
第一順位は、
■より強くなるルール
それにあてはまらないルールの場合は第二順位で
■オフィシャル優先
どちらもアンオフィシャルルールならば第三順位で
■新しい方優先
同じDragon誌の号数なので第四順位で
■ダイスロールで決定!

こうした「法則」を事前に参加プレイヤーに提示する事で、プレイアビリティーを落とさずに、ルールを拡張し続ける事が出来、プレイヤーの信頼も得られるルール選択は可能になるのです。
December. 16, 1999
13:00

●今日のひとこと 第7話●

「DMの持つ権限」

DMは、プレイヤーの持たない権限を持つのでしょうか?問題を分かりやすく考察する為に、RPGでは無い他のゲームの審判を例にあげてみます。

野球の審判は権限を持っています。判定を行う権力を持ちます。
もしも、ボールやバットやグラブ、球場にセンサーやカメラが埋め込まれ、絶対的な基準に基づいた判定を機械が行い、審判はコーラーとしてその結果を告げる事だけが役目だとすれば、その審判は権限を持っていると言えるでしょうか?私は、そんな審判は何の権限も持っていないと私は考えます。
言い換えれば、複数の判定が可能なグレーゾーンが存在する為に、参加チームが不満を持たない判定を行える様に審判には権限が与えられていると言えます。

AD&Dは他のRPGとは比較にならないほど大量のルールを持ちます。汎用判定システムは使われていないので、ルールの存在する判定については、記述通りに機械的に判定を行う事が可能です。この様な判定は、上記野球の例での機械による判定に似ていて、DMは権限を持つ必要は有りません。

しかしながら、下記4〜6話で扱った様に、記述されたルールのみに従った判定が困難な状況は、プレイ中にはいくらでも生まれます。その様な状況で、参加プレイヤーが不満を持たずに受け入れる事の出来る判定を行う為に、DMには権限が与えられていると言えます。

もしもDMに権限が与えられていないとすれば、言い換えるなら、参加者全員がプレイ進行や判定について同等の発言力を持つならば、誰かが不満を持つ判定をそのプレイヤーに受け入れさせる事は出来ません。その時点で、プレイ進行は中断され、他の参加者による説得が行われ、受け入れられないならばセッションは中止せざるを得ないでしょう。これに対して、グレーゾーンの判定をプレイヤーに受け入れさせる権限をDMが持つならば、こうした問題が発生する事は有りません。あるDM主催のセッションでは、そのDMがこうした権限を持つことを参加者は受け入れる事を前提とすれば、円滑な判定が行われます。

これらの事を前提とした上で、さらに考察してみます。
DMに権限を持たせる事による弊害は無いのでしょうか?
上記の野球の審判の例で言えば、審判は権限を持つにも関わらず、参加チームのプレイヤーは不満を持つこと無く判定を受け入れているとは私には思えません。ビデオのリプレイではミスジャッジである事が明らかな場合でも、謝罪すら行われない事がほとんどです。

マスタリングにおいてはどうでしょうか?参加プレイヤーは、セッションに参加している時点でDMの権限を受け入れていますが、この事=不満を持たない、では有りません。プレイヤーは自分の意志でDMを選択できますし、2度とそのDMのセッションには参加しないという選択も可能なのです。

それでは、DMの持つ権限を減らす事で、参加者が不満を覚えない様にする事は出来ないのでしょうか?別の物に権限と責任を持ってもらう事は可能でしょうか?次回以降で考察します。

−−次回に続く--
December. 20, 1999
17:00

●今日のひとこと 第8話●

「DMの権限を減らす」

ルールで明確に定義されていない判定を行う時の為に、DMには権限が与えられています。この権限に基づく判定に不満を感じるプレイヤーを減らす為には、2種類のアプローチが考えられます。

第1は権限を振るう機会を減らす事です。使用ルールの総量を増やしていく事で、ルールに基づく機械的な判定の機会が増えますから、DM権限を使って判定をプレイヤーに受け入れさせる機会は減少します。この方法は下記1話〜6話で詳しく述べられています。

第2のアプローチは、他の者に権限を持って貰う事です。グレーゾンを含む判定は、どれほど使用ルールを増やしていっても残りますから、その判定をDMのみで行わない手段が有ります。この他者に権限を持って貰う手段も2種類に分けられます。

■第5話の「恣意的な判定を減らす」で書いた方法
グレーゾーン判定を行うための基準を、参加プレイヤーも含めた参加者全員で決定します。参考になる関連ルールを参加者が提示し、DMは司会として議論をまとめ、基準を決定し、以降その決定は「ルール」として扱う事で、DMは権限を持つ必要は有りません。

■サブマスター導入
上記の方法は、NPCの反応の決定には向かない方法です。NPCの行動決定ルールも複数存在しますが、その行動パターンの全てをルールで規定する事は不可能です。NPCの行動はルールに基づかずにDMが権限を振るって決定せざるを得ない様に考えられますが、これを回避する方法は存在します。
サブマスター(NPCマスターとも呼ばれます)をプレイに参加させ、PC以外のNPCのプレイを担当してもらいます。このサブマスター方式の導入により、DMは判定のみを担当する事が可能となり、DM権限を振るう場面は極端に減らす事が可能になります。サブマスターは自分が楽しむ為にNPCの役割を果たし、DMサイドの参加者では有りません。PC対サブマスター、その審判がDMという図式でプレイする事で、DMの持たねばならない権限は極小まで減少し、その判定への信頼度は極大化します。

プレイに見学者がいる事はありませんか?先輩DMが後輩のマスタリングを見に来る事は良くありますし、自分のキャンペーンを行っている後輩DMが見学に来る事も多いでしょう。あなたがDMとしてそこそこ知られているのならば、地域の別グループから見学の申し出がなされる事も少なく無いはずです。彼等を見学者のままにしておくのは勿体ない事です!彼等にNPCマスターとして参加して貰いましょう。NPCマスターが参加してもいつも同様の判定が行われるならば、参加プレイヤーはDMによるNPCの扱い方を信用出来る様になります。いつもNPCマスターがいる必要は有りません。プレイヤーに、DMのマスタリングの公正さを確認する機会を与える事は、その後の判定の信頼度に大きな貢献をします。

PC対PCのプレイヤー間での戦闘が勃発した経験はありませんか?その判定を行っている時のDMは純粋な審判としての役割のみを果たしているとは思いませんか?
December. 21, 1999
23:30

●今日のひとこと 第9話●

「PCは死に行くもの」

ルールの増加はPCの死に易さに繋がります。「後から発売されるルールの方が強い」と一言で言いますが、強さには色々な概念が含まれています。複数の状況に対応出来る適応力、攻撃力、防御力です。ルール増加でもっぱら強化されるのは攻撃力で、その他の強さの上昇より早い速度で上昇していきます。モンスターも同様で、守備力よりも攻撃力がより強くなる傾向がはっきりと存在しています。これらの事から、使用ルールを増やすことは攻撃力の増大に繋がり、キャラクターがより死にやすくなる傾向があります。

愛着もあり感情移入もしている自分のPCが死ぬだけならともかく、プレイに参加出来ない状態にロストしてしまう事は悲しい出来事ではありますが、リスクを取る事で楽しみを稼ぐプレイスタイルには避けられない事です。ルールを記述どおりに適用していけば、PCの死亡率(ロスト率ではありませんが)は、毎シナリオ1キャラクターの死亡程度に収束してきます。

PCの死亡は悲しい出来事ではありますが、良い面も有ります。生き残る事が出来なかったキャラクターは淘汰されたと考える事も可能で、より強いキャラクターを新しいルールを用いて作成するチャンスでもあります。マジカルアイテムや、PCの築いてきた人脈などが一気に失われる為に一時的に新キャラクターは弱体化しますが、生き残れなかった理由の分析や、よりパーティーにふさわしいキャラクターを考え、最新ルールで組み直されたキャラクターはいずれ死んだキャラクターを追い抜いていきます。

プレイ中にキャラクターを失ったプレイヤーがプレイに参加出来なくなる事を防止する為には、「キャラクターツリーシステム」を導入する事をおすすめします。事前に複数のPCを作成しておき、PCが失われた時は即座に他のPCを利用してプレイに参加し続けるシステムです。DMが許可するならば、あるPCが稼いだEXPをプレイ終了時に他のツリーのPCにも全て適用する事で、大きくレベル差が開いていく事を防止出来ます。詳細はDSの基本BOXにあります。どうしてもパワープレイに成りやすいDS用に提示されているシステムですが、どんなワールドを使用しているのであれ、便利なシステムです。
December. 25, 1999
12:30

●今日のひとこと 第10話●

「長期間に渡ってプレイする為に」

「パワープレイは飽きやすいもの」という考えは広く一般に流布されている様です。PCの得られる強さと敵の強さに限界が有れば、この説は正しいかもしれません。しかし、AD&Dをプレイするならば違います。AD&Dはルールが拡張され続ける為に、PCの行き着く強さに限界がありませんし、同様に敵も強化され続けます。AD&Dならば、長期間に渡ってパワープレイのキャンペーンをプレイし続ける事が可能です。

パワープレイを遊ぶプレイヤーはどこに楽しみを見いだすのでしょうか?大量のルールを使用する事により、戦闘時の戦術は極端に複雑化します。無数とも思える戦闘時の行動選択肢から最良の選択を行い、真剣勝負の戦闘に勝利する事は大きな喜びでしょうが、これだけでは長期に渡ってプレイし続ける事は難しいです。長くプレイするには、ルールの複雑さを増していく事が必要です。ルールの増加は行動の選択肢の増大に直結し、戦術の複雑化をもたらします。こうして戦闘を複雑化し続ける事で、戦闘をいつまでも楽しみ続ける事が可能になります。

もう1つの喜びは、PCの成長、強化です。長期間生き残り続けるPCはレベル上昇に伴い強化されます。この強化はレベルが上がれば上がるほど緩やかな物になり、15レベル超では、ほとんど止まったに等しい状態になります。しかしながら、ルールの追加が行われるならば、新ルールによるPCの強化が続く為に、いつまでもPCの強化を楽しみ続ける事が可能になるのです。

PCもしくはプレイヤーがより強くなる事を望むなら(RPGプレイヤーでこれを望まない人がいるのでしょうか?)、PCは各プレーンを渡り歩くプレーンホッパーになります。ワールド依存のアイテム、スペル、生物が存在する為、それらに起因するパワーを入手する為には、プレーンホッパーとなる事は必然です。こうして種種雑多なプレーンを移動する様になると、ストーリー色はひどく希薄な物になります。NPCに代表される他人との関わりが希薄になるのがその一因です。また、オフィシャル世界をホッピングする事で、それぞれのワールドの市販設定に観光気分で触れるだけでも十分な楽しみを得られるのも原因の一つに上げられます。

NPCや特定ワールドとの関係構築に興味を持たなくなったPCやプレイヤーは、PCの強化という目的にその行動を純化させていきます。この状態に至った純粋パワープレイでは、ルールシステムの強化、増加がプレイし続ける為に必要な条件となります。AD&Dに飽きる事が怖いですか?防止するにはルールを買う事です。さぁ!こちらからどーぞ(笑)
13:30

●今日のひとこと 第11話●

「プレイヤーの減少を防ぐ」

キャンペーンが継続できなくなる理由は、参加者の興味喪失だけでは有りません。就職や結婚等で参加できなくなるプレイヤーが出てくると、キャンペーンの継続に大きな問題を引き起こします。AD&Dはクラスシステムを取っていますから、PCの人数が少ないと強力なパーティーを組むことが出来なくなります。1人のプレイヤーが複数のPCを担当するので無い限り、プレイヤーの減少はPCの減少であり、パーティーの力の減少を意味します。こうして弱くなったパーティーに対してパワープレイヤー達が興味を失うのは必然です。

パワープレイというスタイルは、こうした事態を防ぐ機能も内包しています。他のあらゆるプレイスタイルと比較しても、パワープレイに参加するプレイヤーほどルールに詳しくなれるプレイヤーはいません。第一に、ゲーム内で行われる判定やルール適用について、DMと同等の発言力を持って参加する事。第二に、自らのPC強化の為にルール研究を行う事。この2種類の条件故にパワープレイヤーは極めて短期間にDMを担当するのに十分なルール知識、判定技術を身につける事が出来ます。彼等に欠けているのは、プレイヤーを集めてセッションを開催する主催者としての役割を果たす技術と、実際のセッションを円滑に運営するセッションハンドリング技術です。プレイヤーとして参加する事でこれらの技術を身につけているならば、彼等はすぐにでもDMとして一本立ちする事が可能になります。

彼等にDMとして独自のセッションを行って貰う事は、大きな複数のメリットをもたらします。

第一に、DMとしてセッション運営も行う様になったプレイヤーは、そのルール研究速度が何倍にも加速されます。そうしたプレイヤーが参加してくれる事で、元々のDMのセッションで使われるルールシステムの発展速度も上がります。

第二に、こうして緩やかな大きなプレイグループが形成される事により、DMへのプレイヤーの供給の道が開かれます。新たに生まれたDMが自力でプレイヤーを開拓してくる事で、そのプレイヤー達は将来の親DMのプレイヤー候補となります。こうしたプレイヤー供給のルートが出来る事で、プレイヤー数減少によるキャンペーン継続不可能という事態は防ぐ事が可能になります。

こうして発展するプレイヤーグループは、ピラミッド状の組織となります。1人のDMの下に6人のプレイヤーがいて、その中の4人は地元ではDMとして活動を行い、それぞれ6人のプレイヤーを持ち、その中の4人がまたそれぞれDMを担当し....こうして50人規模以上のピラミッド状のグループが形成されると、相互に良い影響を及ぼし合います。パワープレイにおいては、参加プレイヤー間のルール知識や戦術レベルに大きな開きがあると楽しみが減ってしまいます。こうしたピラミッドができあがっていれば、新規プレイヤーを加入させる時に、一つ下のDMのセッション参加者からプレイヤーを選んで参加させる事で、ルール知識や戦術の格差はそれほど大きな物にはなりません。また、プレイヤーサイドから見ても、ルール知識の発展が早く、担当DMのそれを超えてしまったならば、上の階層のDMのセッションに移動する事で楽しみを持続させる事も可能になります。

セッション単位ではDMとプレイヤーがネットワーク状の組織を形成してルール研究を行い、グループ全体では親DMを頂点とするピラミッド、階層状の組織を形成する事で、プレイヤーやDMの相互供給を行う事の出来る理想的なグループとなります。

必要条件はパワープレイです。パワープレイを行っていくと、自然とこうした組織ができあがっていきます。さぁ、最初の一歩はルールの購入です。こちらからどーぞ(笑)
April. 5, 2000
20:50

今回は久々の●今日のひとこと●。これまでの記事を読んでいない人は、[ PowerPlay_How_To ]に過去の記事をまとめてあるので、そっちを読んでから今日の記事を読んで下さい。

●今日のひとこと 第12話●

「リアルさの呪縛から自由になる」

私のマスタリングするセッションの参加者から、「すごくリアルですね」といった感想をもらう事がまま有る。私は、「ルール使うだけですよ」と答えるのが常だ。サバイバル記事についても、同様の感想を述べる人は少なく無い。今回はAD&Dにおける「リアルさ」という物について考察してみる。

PCパーティーがとあるダンジョンに入るというセッションを想定してみると、そのセッションを運営する手段には複数の方法が有る。
■メソッドA
PCパーティー、プレヤーの力量から、プレヤーが楽しめるバランス良い障害(敵やトラップ等)を設置し、各PCがそれぞれ力を発揮できる各種の障害(シーフ用のトラップ、鍵、ファイター用のメレー戦闘系の敵、メイジ用のマジカルトラップetc)を配置し、DMの設定する難易度(クリアー確率20%とか80%とか)に従って各種障害の難易度を設定する。
現在のPCのレベルにとって妥当で、DMがハンドリングしやすいアイテム、金、能力がトレジャーとして得られる。
■メソッドB
ダンジョンの作成者や、現在の支配者の力量に従って、そのダンジョンを防御する為の仕掛けが決定される。ダンジョンキーパーの全能力で侵入者に対抗する為に取りうる最善の手段を尽くす。
トレジャーは、ダンジョンキーパーの所有物という事になる。
■メソッドC
ダンジョンの構造は、ルールブックのランダムチャートに基づいて決定される。敵やモンスターといった障害も、ランダムチャートに従って決定される。トレジャーもランダムチャートに従って決定される。

これら3種類のセッションハンドリング方法を比較する事で浮かび上がってくる事実が有る。最もリアルなダンジョンを作成できるのはメソッドBの場合で有るという事に異論は無いだろう。Bの手段ならば、ダンジョン内部の空気の供給や、モンスターへの食料の供給、ダンジョンの保守、維持、管理といった要素まで組み込んだリアルなダンジョンを作成するのは最も容易である。ダンジョンに侵入してくるPCパーティーの能力は一切考慮する必要が無いので、ダンジョンの作成者、管理者の能力のみを条件とした矛盾無いダンジョン設定が出来る。
では、見方を変えて、DMによるダンジョン設定への恣意性の最も入りにくい手法はどれだろうか?メソッドAは恣意性の固まりで、DMがプレイヤーを痛めつけるつもりならば難しいダンジョンにしたり、プレイヤーを喜ばせる為に大量のトレジャーを配置したりといった事は、DMのさじ加減一つで自由に行える。
メソッドBは、Aほどは恣意性は入りにくい。だが、DMがPCの能力やプレイヤーの能力を事前に知っている事から、恣意性を完全に取り除く事は出来ない。ダンジョンの入り口に致死的なトラップを配置する事はセッションをスポイルするかもしれない....等々の恐れから、ダンジョンキーパーの能力を参照しつつも、恣意的なダンジョン設定をしている可能性は常に残る。
では、メソッドCではどうだろうか?プレイヤーがダンジョンに入ろうとした時点でチャートを利用してダンジョンを作成していけば、DMさえも次の部屋の中がどうなっているのかを知らずにセッション運営をする事が出来る。チャートはプレイヤーやキャラクターの能力に依存して変動する事は無いので、DMによる恣意性は完全に排除する事が可能になるのである。

リアルさに基づいた判定やセッションハンドリングは、一見受け入れられやすい。また、ルールが存在しない場合にはリアルさに基づいた判定が用いられる為に、中級者以上のDMはそうした判定に習熟している。しかし、上記メソッドA〜Cの比較でも分かった様に、リアルさに基づいた判定は万能では無いし、デメリットも存在する。次回以降でより深く考察していく。
April. 6, 2000
10:40

●今日のひとこと 第13話●

「リアルさの功と罪」

リアルさや、リアリティーに基づいた判定について考察する前に、この言葉がどういった意味で使用されているのかを考えておきたい。「リアル」という言葉の意味が不明瞭なままでは、議論が拡散してしまうからである。

「リアルなワールド」「リアルな戦闘」「リアルな街」「リアルな神話群」etc...AD&Dのセッション内でリアルという言葉は色々な場面で使われる。いづれの使われ方でも、ある共通した特徴を持っている。どの例でも、「我々の生活する世界に似ている」という意味で使われている事に気づく。「リアルな〜」という言葉はこうした意味で使用されている物として話を進めよう。

■リアルなセッションのメリット
リアルなセッションには複数のメリットが存在する。ワールドや判定がプレイヤーの生活する世界に似ている為に、ルールを知らなくても、各プレイヤーの常識を利用して判定の妥当性をチェックする事が可能になるのである。また、リアルなワールドはプレイヤーが良く知っている世界に似ている為に、ワールドをイメージしやすいというメリットも存在する。一般的な村人の生産性は?鍛冶屋は人口何人毎に存在するのか?鋼鉄製の武器はどうしたらさ錆びるのか?水はどの程度の時間で腐敗するのか?等々等々。リアルさに基づいた世界では、ルールを知らないプレイヤーでも、一般的知識に基づいて判断する事が出来る。つまり、ワールドを「知っている」状態でプレイする事が可能になる為に、ワールドやキャラクターに対する感情移入を強化する有効な手段となりうる。こうした感情移入は、ワールドがリアルであればあるほどその世界をイメージし易い物になり、その強度がより上昇する。
■リアルなセッションのデメリット
同時に、リアルなセッションにはデメリットも存在する。「我々の生活する世界」に対するイメージは、各プレイヤーやDMによって異なるのが原因である。15mの高さの崖から落下した時のダメージ、平均的な街人の1ヶ月の生活費、宿屋の値段、伝染病の伝播率、精神力が肉体に及ぼす影響、50kgの荷物を背負った人が一日に移動出来る距離、催眠術のかかりやすさとその影響等々等々。セッションへの全参加者がリアルさを基準に判定すれば、同一の答えが出てくる可能性は低い。つまり、参加者に受け入れられる判定をDMが行う事が困難となる。

さて、これらメリットとデメリットをふまえた上で、リアルかつ、参加者に受け入れられる判定を行う事は可能なのだろうか?次回以降で考察していこう。
April. 18, 2000
12:40

●今日のひとこと 第14話●

「リアルの定義を変えてみよう!」

前回考察した様に、リアルなセッションにはメリットとデメリットが存在する。プレイ中の判定がリアルさに基づくならば、加者全員がその判定に納得出来ないのが最大の問題点となる。この問題が発生する原因は、「リアル」という言葉を「我々の生活する世界に似ている」という意味で使用している事に起因する。各参加者が実生活において同一の事象を経験したり、見たり、聞いたりした場合、そこから感じる感想が人それぞれ異なるのが原因である。
これらの事から、参加者全員が判定に納得するには、参加者全員の共通した認識に基づいて判定すれば良い事が分かる。残念ながら、「リアル」という言葉を「我々の生活する世界に似ている」という意味で使う限り、参加者全員に共通した認識を持って貰う事は不可能である。

全ての問題を解決するには「リアル」という言葉の定義を変えるのが早道となる。
(物理法則等も含めた)プレイ中に使用するワールドのイメージを、ルールブックやワールドセッティングに基づいて構築し、これらでサポートされていない部分については、我々の生活している世界を基準に導き出すのでは無く、ルールブックやワールドセッティングから導かれる法則に基づいて構築する。こうして構成されたワールドを「リアル」と称すれば、問題は一気に氷解する。

ルールブックやワールドセッティングは文章化して本の形で提供されているので、参加プレイヤーがそこから受け取る情報に差異は無い。誰が読んでも同じ内容が書かれているからである。同様に、各プレイヤーがサプリメントを読んだ結果から導き出した判定方法は、プレイヤーの実生活での経験に基づた判定方法よりは差異が生まれにくい。つまり、参加者に受け入れられやすい判定方法の提示が可能になる。

プレイヤーがゲーム中に使用する常識を、こうした形で導いた物に変更すれば、すなわち、プレイヤー自身の実生活に基づいて導いた常識では無く、サプリメント「のみ」から導かれる事柄を基準に常識を形成すれば、リアルさのメリットを失う事無く、デメリットを相当部分までうち消す事が可能になるのである。

こうして形成された「リアルな」ワールドにも問題点は有る。各参加者がルールブック等サプリメント類を相当量読み込んでいる必要が有るという点である。この問題はこれまでの過程で参加者全員にサプリメントを読ませる手段を講じてきているならば問題にならない。
June. 14, 2000
18:00

●今日のひとこと 第15話●

「パワープレイに対する批判に対処する」

今回はパワープレイヤーに対する助言を書いてみようと思う。パワープレイスタイルのDMの元にはパワープレイスタイルのプレイヤーが集まるだろうから、そのスタイルに対してプレイヤーから批判が出る事は少ないだろう。しかし、パワープレイスタイルのプレイヤーが常に同じスタイルのDMの元でプレイしている/出来るとは限らない。そんなパワープレイヤーの為に今回の記事を贈ろう。

あるパワープレイヤー(以降PP)がとあるDMのセッションに参加する場合を想定してみる。

セッションの開催されるDMの自宅にて
PP: おお〜ルールブック揃ってますねぇ
DM: うん。僕は基本的に全部買ってるから。ショップに取り置きを頼んでるんだよ。
PP: ルールはどっち使うんですか?
DM: あ、2ndね。1stも持っているけど、プレイヤーのみんなが1st知らないしさ
PP: オフィシャルルールは全部使ってるんですか?
DM: 「ん?え?どういう事?」
PP: 「オフィシャル」なルールで使用禁止のルールは無いですよね?
DM: (少し不安を抱きながら) ああ、かまわないよ。オフィシャルなら。
PP: ワールドはオフィシャルワールドですか?
DM: ああ、ウチはForgotten....
PP: (さえぎりながら) いや、宇宙観はオフィシャルを使用ですか?
DM: ああ、PlaneScapeの事かな?まぁ、もしプレイヤーがいくなら....
PP: あ、分かりました。コスモノロジーはオフィシャル使用ですね。
DM: そういう事になるね。
PP: で、PCパーティの「いまいる世界は」レルムなんですね?
DM: いまいる世界?とにかくウチのセッションの使用ワールドはForgottenRelmsだからね。
PP: ふむ。宇宙観はオフィシャルで、今パーティのいる世界もオフィシャルFRと。
DM: うん、そだね。
PP: じゃぁ次回セッション開催日までにキャラクタ作ってきますね

セッション日
Thayにて
PP: おお、コイツがスザスタムかぁ
DM: ネクロマンサーは怒りに身を震わせているよ
PP: 剣を抜いて接敵します。今アクティブなPsiはこれとこれとこれ、このラウンド発動するパワーはこれとこれとあれとそれです。チェックしますね。
DM: このラウンドにネクロマンサーは4種のスペルを撃ってくるよ。
Power Word Stun、Reverse Gravity,Maze,後一個は君には分からない。
PP:Wizardスペルは効きません。このラウンド終了ですね。
PP:では、128回攻撃です。あ、タムにかかってる全スペルレベル足して教えていただけます?消えるんで。
DM: 128回?何が?
PP:いや、このラウンドの攻撃回数ですけど。剣の
PP:じゃ、THACOとダメージ振りますね。あ、物品に命中した場合は対ディスインティグレイトSTお願いします。切断なんで。
PP:でわ、ダメージを。14,12,18,16,14,12,13,15,15,14,...
DM:まった、その瞬間ネクロマンサーの姿は消え....
PP:それスペルですか?働きませんよ
PP:13,15,15,14,16,18,17,16,12,15,14,16,14,16,16,....
DM: もう死んでます
PP: じゃ経験値を


(DMが意図的にそうしているのであれ、無意識であれ)パワーの制限されたセッション運営を行っているDMのセッションに、十分にルール研究の進んだパワープレイヤーが参加すると、彼の持ち込むパワーがセッションそのものを破壊してしまう事が想像出来るだろうか?パワープレイヤーはその世界の重要NPC(もちろんDMのお気に入り!)をいとも簡単に殺し、その世界最強とされるアーティファクト(もちろんDMのお気に入り!)を簡単に入手し、その世界最強のキャラクター(もちろんDMの大嫌いなもの!)になってしまう。DMお気に入りの世界はいとも簡単に汚され、他のプレイヤーの楽しみもスポイルされる。

こうしたプレイは、パワープレイに対する批判を強くこそすれ、(そのプレイヤー自身やプレイスタイルの)名声を高める事は決して無い。他のPRGサイトや、RPGを包括的に扱うサイトでパワープレイヤーがどの様に扱われているのか調べてみると良い。かわいく「困ったちゃんプレイヤー」と呼ばれ、その対処方法が話し合われているサイトが無数に発見出来るだろう。

彼等は「困ったちゃんプレイヤー」に対処する為に無数の手法を編み出している。(私の見たところ)最も有効に機能しそうなのは、DMがルールの採用、非採用、作成、適用、運用する絶対的権限を持つという手法である。重要NPCのスペルはAnti-Magic Shellの中でも機能するし、敵のHDやHP、攻撃力は、PCの強さに合わせて、戦闘中でも変化する。PCのラウンド毎攻撃力が10なら敵のHPは50、攻撃力が100なら、HPは500といった形で。
こうした手法のマスタリングを行うようになったDMが、その後パワープレイスタイルマスタリングに進化していく事はほぼ不可能だと私には思える。つまり、ただでさえ人気の無い(と思われる)パワープレイがさらに衰退の道をたどる事の後押しを、パワープレイヤー自身が行っているのである。

では、パワープレイDMの元でプレイ出来ないパワープレイヤーはどうしたら良いのだろうか?
DMがパワープレイヤーを恐れたり、いやがったり、理不尽な嫌がらせを行ったりするのは、彼のセッションや世界を破壊されるのを恐れるからである。そうしたDMの元でプレイしつつ、「困ったちゃんプレイヤー」にならない為には、その恐怖を抱かせなければ良い。あなたのルール研究の成果をキャラクターの攻撃力の強化以外の方向に振り向ければ、そのキャラクタのパワーは露見しにくい。攻撃力をそこそこに抑え、余ったリソース特殊移動力、情報収集系、回復系、交渉系等のサポート系に振り向けるのである。強力すぎる防御力も露見しやすいので、ここは我慢すべきだろう(それでもパーティー内最強の防御力は持てるだろうし)。世界やセッションに対して直接的で瞬間的な破壊力を持つ強力な攻撃力と異なり、こうした強力なサポート力は、ゆっくりと世界を破壊していく。即座に世界を破壊する様な力に対しては、DMは強権を振るう事によって防御しようとするだろう。彼にはルールを研究する事で対抗する時間は残されていないからである。しかし、世界がゆっくりとしたペースで破壊されていくならば、DMは色々な対処方法を選ぶ時間的余裕が有る。その対処方法に「DM自身がルールを研究する」という方法が選ばれたならば、そのDMはパワープレイに向かう可能性が残される事になる。また、パワープレイヤー側にとっても、参加の許可されないセッションやコンベンションが加速度的に増えていく事を防げるだろう。ゆっくりとした破壊によってもDMは、強権を握る事による対処方法を選ぶかもしれないが、速い破壊によって多くのDMを"消費"していくよりは、ゆっくりとしたペースで少ないDMを"消費"する方が、あなたの名声にも、パワープレイというスタイルの名声にも貢献するだろう。
July. 28, 2000
11:50

●今日のひとこと 第16話●

「PCの行動の自由度」

「てーぶるとーくRPGってどこが面白いの?」
「行動が提示される選択肢に縛られないから、自由に行動出来るんだよ?」
「選択肢?」
「コンピュータゲームだと、PCが知ってる選択肢からしか行動選べないでしょ?」
「ふむふむ」
「てーぶるとーくだと、プレイヤーの思いつくどんな行動でも取れるんだよ」
「それってゲームになるの?」
AD&Dをプレイする時、プレイヤーは自由に行動出来るのだろうか?自由度とは、取りうる行動の選択肢の量の多さを計る度合いの事である。とある目的に到達する為の行動のバリエーションが多いほど、行動の選択肢が多い事になる。
−例−
ゴブリンと戦闘中のメイジの行動の選択肢が、スペルキャストと、移動してダガーで斬りつけると、逃走の3種類しか存在しない場合と、4950種類存在する場合とでは、後者の方が自由度が高い

ゲーム中にプレイヤーが行動選択をするのは、何らかの目的を達成する為の成功率を引き上げる為である。成功率を引き上げる為に、プレイヤーは、その行動がどの様な結果を引き起こすか予想する必要が有る。予想出来なければ、複数存在する行動の選択肢の中から、何を選べば良いのかが分からないからである。
−例− ★結果予想可能な場合
●選択肢1 15%で目的達成
●選択肢2 25〜35%で目的達成
●選択肢3 30%で目的達成
●選択肢4 0〜50%で目的達成

★結果予測不可能な場合
●選択肢1 目的達成確率不明
●選択肢2 目的達成確率不明
●選択肢3 目的達成確率不明
●選択肢4 目的達成確率不明
結果予測可能な場合は、プレイヤーはどの行動選択肢を取れば良いのか判断出来る。結果予測不可能な場合は、プレイヤーはどの選択肢を取るべきなのかの判断が不可能である。

行動の選択が引き起こす結果の予想をする事とは、DMによる判定方法を知るという事を意味する。ダイスで決められる乱数による判定であっても、判定方法さえわかればプレイヤーはその行動の結果を予想する事が可能になるからである。

こうして見ると、プレイヤーの取る事の出来る行動は、実際には自由では無く、プレイヤーに判定方法の分かっている行動という事になる。
-例-
●選択肢1 15%で目的達成
●選択肢2 目的達成確率不明
●選択肢3 目的達成確率不明
●選択肢4 30%で目的達成
●選択肢5 目的達成確率不明
●選択肢6 25〜35%で目的達成
選択肢は6種類存在するように見えるが、実際にプレイヤーが選びうる選択肢は1,4,6の3種類しか無い。
判定方法を分かっているという事は、どのルールに基づき判断するかという具体的なルールを知っている必要は無く、どの様な判定結果が出るかが予想出来れば事足りる。
-例-
水中に落下したPCが何ラウンド息を止めていられるか判定に使用されるルールが分からなくても、自分のリアルライフでの経験から60秒は大丈夫だろうとの判断が可能ならば、水中に落とした剣を取りに行くには事足りる。


これらの事から、プレイヤーの行動の自由度を高める為には、プレイヤーに判定方法の予想できる行動選択肢を多く与えれば良い事が分かる。行動選択肢が増える事でセッション参加プレイヤー達は、どの行動を選ぶ事で目的達成確率が極大化するかの判断が難しくなり、ゲームの難易度が上がる。こうして難易度が上昇する事で、似たような状況で前回同様の行動を選択し続ける事に飽きるベテランプレイヤーの出現を防ぐ事が可能になる。

選択肢の増大=ゲーム内での楽しみの増大であるかどうかはまた別の議論になるだろうが、次回は選択肢の増大、すなわち、プレイヤーに判定方法の予測の出来る選択肢を増やす手段について考える。