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* 1.はじめに
これを書き始めた2004年4月現在、「オープンソース」だの「Linux」だのという単語がソフトウェア業界を賑わしています。主にサーバOSとしてLinuxが注目されている訳ですが、僕が2004年1月から3ヶ月間メインマシンとしてLinux(Red Hat Linux 9 Publisher's Edition)を使ってきた印象では、クライアントマシンとしても十分な環境が整ったと感じました。
Linuxというとコンピュータ関係技術者向けと思う人が多いでしょう。実際その通りです。僕は現在、小さなコンサルティング会社でプログラマとして働いているので、コンピュータ関連技術者の集合に入りますが、2001年8月から2003年10月の約2年間の間は、某出版社で編集者として働いていました。また、クリエイターズネットワークのIRCチャンネル「#もの書き」にも頻繁に出入りしています。ここにはプロ、アマを問わず多数の「物書き人種」が集り、文章技術に関する意見を交換したり、書籍の批評をしたり、或いは雑談したりしています。そこで観察していて分かったのは、
・現在ではアマチュア物書きにとって作品発表の主たる舞台はWWWである。
・当然、執筆にはパソコンを用いている。
・しかし自分のパソコンのハードウェア的な性能・環境向上には無関心(従ってロースペックのマシンを使っている人が多い)。
・それ以上に自分のパソコンのソフトウェア的な性能・環境向上には無関心(Windows98、メモ帳、MS-IME98なんて環境はザラ)。
・でも基本的にはみんな勉強熱心。
というような事です。
話は変りますが、現在日本のコンシューマパソコン市場はWindowsの寡占状態にあります。凡そ90%がWindows、10%弱がMacOS、そしてそれ以外のOSは合計で1%程度という所でしょう(参考:Yahoo! JAPAN 第11回ウェッブ・ユーザー・アンケート結果発表)。
こういう状況ですから、物書き人種も殆どはWindowsを使っている事はまず確実です。しかしながらWindows系OSはMicrosoft社の方針から、大抵はある一定の時期が過ぎるとベンダ(Microsoft)によるサポートが完全に無くなってしまいます。サポートされなくなったOSを使い続けるのは、極めて危険です。例えば新しいセキュリティホールが発見されたとしても、ベンダが修正プログラム(パッチ)を提供してくれる事は無いので、もし対応しようとしたらユーザが自らの手でどうにかする必要があります。そして多くの人はそんな事はできないでしょう(当然僕もできません)。
一定以上のセキュアな環境を保ちつづけようと思うなら、ベンダからのサポートは必須です。つまり、サポートが終了してしまったら新しいバージョンに変更しなけれいけません。Windowsは安い訳でもありませんし、折角整っていた古い環境を捨て、新しく環境を構築するのは酷く面倒です。また新しいOSを利用する為には、ハードウェアの性能がそれ相応に求められてしまいます。場合によってはOSどころか、パソコンその物を買い換える必要も出てくるでしょう。
しかし、サポートが長続きするOSを利用すれば、環境を捨てる事なくパソコンを使い続ける事ができ、またお金も浪費せずに済みます。
以上のような事柄を鑑みると、どうも僕には世の物書き達もLinuxを利用する方が最終的に得(楽)を出来るのではないか、という気がします。という訳で、元編集者で現役下っ端プログラマ兼ド素人物書きの僕が、物書きの為にLinuxを利用するノウハウを紹介して行きたいと思います。
# 僕はWindowsよりもLinuxがセキュアである、と主張している訳ではありません。
# 何しろセキュリティに関する知識が全然ないので、評価すらできない状態です。
# ただLinuxの方がウイルスの脅威が少ない事は2004年4月の時点では事実です。
* 2.Linuxの構造
まずは、良くある概念的で抽象的な話から始めましょう。可及的速やかに、具体的なノウハウを得たい人は読み飛しても構いませんが、長い目で見るならば、この章で扱う抽象的な事柄も理解していた方が良いのは間違いありません。
この講座を読んだ結果、みなさんが利用する事になるLinuxは以下のような構造を持っています。
[ アプリケーション ]
[シェル][ウィンドウマネージャ]
[シェル][ X Window System ]
[ カーネル ]
[ ハードウェア ]
図2-1.Linuxの構造
「Linux」というは、上図の中で言うと「カーネル」の部分の事を指しています。カーネルはOSの中でも最も基本的な部分で、ディスク(例えばハードディスクやCD-ROM、フロッピィ)の管理等を司っています。
シェルというのはWindowsで言えばコマンドプロンプト(DOSプロンプト)のような物です(DOSプロンプトと一緒すると怒り出す人もいますが)。コマンドと呼ばれる文字(キャラクタ)列で構成されたアプリケーション群を使って、様々な操作を行なう事ができます。Windows 2000を使っている人ならば[スタート]-[プログラム]-[アクセサリ]と辿ってコマンドプロンプトを起動し、表示された画面にdir<Enter>と入力すれば、シェルとコマンドの雰囲気は理解できると思います。シェルには色々な種類がありますが、Linuxではbashというシェルがデフォルトになっています。
X Window Systemというのはウィンドウ機能を提供している部分です。画面上に複数のウィンドウを表示し、そのサイズを設定したりします。これが入っていないと、全てコマンドの操作のみでLinuxを使う事になります。X Window Systemにも色々ありますが、現在では殆どがXFree86というX Window Systemになっています。
ウィンドウマネージャというのは、X Window Systemによって提供されたウィンドウを制御し、様々なウィンドウ関連設定を司っています。ウィンドウマネージャも沢山の種類があります。こちらは特にデフォルトの物が存在する訳ではなく、ユーザが自由にインストールし利用できます。
アプリケーションについては言わずもがなでしょう。ただ多くの人が想像するような文書整形ソフト、表計算ソフト、メーラ、ブラウザといった物だけでなく、コマンドやバックグラウンドで人知れず動いている物もアプリケーションです。
そしてカーネルからアプリケーションまでを纏めた物をディストリビューションと呼びます。ディストリビューションには様々な種類があり、それぞれ付属しているアプリケーションが違ったりと特徴を持っています。
ところでLinuxはカーネルの事だ、と言いましたが、一般的には「Linux」と言った場合、Linuxカーネルを持つOS全般を指す事が多いようです。
* 3.ディストリビューション選択
前の章でも言及しましたが、ディストリビューションには様々な種類があります。ベンダによって開発された商用ディストリビューションと、有志のユーザによって開発・メンテナンスされているディストリビューションがあります。商用ではRed Hat Linux(コンシューマ用のRed Hat Linuxは2004年4月で開発・サポートは終了し、以後はFedora Coreという非商用Projectに移行)、Vine Linux、Omoikane GNU/Linuxあたりが日本では有名です。一方非商用ならばDebian GNU/Linux、Plamo Linux、Gentoo Linux等があります。
商用ディストリビューションの場合、Red Hat Linuxのように開発・サポートが止ってしまう場合も多々あります。非商用ディストリビューションでも、そういった事が発生する可能性もありますが、商用の場合と違い単純に別の有志がメンテナンスを引き継げば良いだけなので、サポートが停止する確率は低いと言えます。
ディストリビューション選択の際に考慮するべき事は多々あります。例えば、
・開発・メンテナンス・サポートが長続きするか
・参考書は多いか
・参考サイトは多いか
・付属アプリケーション(パッケージと言います)は豊富か
・日本語への対応は進んでいるか
・自分の周囲にユーザがいるか
などでしょうか。
できるだけサポートが長続きしそうなディストリビューションが良いのは間違いありません。Red Hat Linuxのサポートが終了してしまった事もあり(そうでなければRed Hat Linuxを勧めたのですが)、僕自身が今後はDebian GNU/Linuxに移行しようと考えているので、この講座ではDebian GNU/Linux(以後Debian)を取り扱っていきます。
* 4.環境[pending]
この講座では後々インストールやアプリケーションの設定について説明していきますが、以下のような環境を元に執筆している事を理解して下さい。特定の環境に依存した内容になってしまうので、読者によっては読み替えが必要な事もあると思います。
** マシン
・IBM ThinkPad X23 モデル2662-E3J(詳細スペック)
・ハードディスクはHitachi Travelstar 5K80 HTS548080M9AT00(80Gbyte)に換装。
・メインメモリは256Mbyte追加して384Mbyteに増設。
** ネットワーク
・回線事業者:eAccess
・接続プロバイダ:@nifty
・回線速度:下り40Mbps(実効速度??Mbps)、上り1Mbps(実効速度???kbps)
・ルータ:NEC ATerm???
・インストールするマシンとルータは100BASE-Tで有線LAN接続
** その他
・USB接続フロッピィディスクドライブ(I/Oデータ)
・Windows95/98/2000/Me/XPがインストールさたパソコン
* 5.インストール
** 5.1.Debianのバージョン
Debianには3つのバージョンがあります。これが少々分かり難いので簡単に説明しておきます。3つのバージョンはそれぞれ、stable、testing、unstableと呼ばれており、それぞれにはコードネームとして『トイ・ストーリィ』の登場人物名が設定されています。
*** stable
名前通りの「安定版」です。セキュリティアップデートとバグフィクスは行なわれますが、パッケージのアップデートや追加は行なわれません。不具合が発生し難いのが特徴ですが、いかんせんパッケージが古いのが難点と言えます。Debianに詳しい人曰く「サーバ向け」のバージョンとの事。コードネームはwoodyです。
*** testing
「試験版」です。後述するunstableと混乱しがちですがunstableよりは、こちらの方が安定しています。新しいパッケージのテスト場であり、いずれはこれがstalbeになります。クライアント用途ならば問題無いというのが詳しい人の評価です。コードネームはsargeです。
*** unstable
直訳すれば「不安定版」ですが、どちらかと言うと「開発版」の意味合いが強いバージョンです。時には致命的なバグを抱えている場合もあり、開発をする人でもなければお勧めできません。コードネームはsidです。
*** バージョンの選択
どのバージョンにするかは用途次第ですが、ここでは先人(誰?)の知恵に従いtestingをインストールする事にします。不安な人はstableでも構いませんが、その場合この講座の手順と違ってしまう可能性がある事を理解して下さい。
** 5.2.インストール方法の選択
大まかに言ってDebianのインストール方法は4つあります。
1.インストールCD-ROMを使ってインストール
2.ハードディスクから起動してインストール
3.起動CD-ROMを使って起動し、ネットワークインストール
4.起動フロッピィディスクを使って起動し、ネットワークインストール
(1)が最も簡単で、(4)が最も面倒な方法です。僕は古いSCSI接続のCD-ROMドライブを持っており、ThinkPad X23(以後X23)はこのドライブで起動可能です。しかしDebianのインストールCD-ROMを持っていませんし、またCD-Rドライブを持っていないので(1)(2)のCD-ROMを使ったインストール方法は選択できません。書籍や雑誌に付属しているDebianのCD-ROMを入手すれば良いのですが、ここでは敢えて最も面倒な(4)の手順でインストールしていきます。
もし、DebianをインストールしようとしているパソコンにCD-ROMドライブが付いていたり、起動(ブート)可能な外付けのCD-ROMドライブを持っている場合は、(1)や(2)でインストールした方が事は簡単でしょう。但しブート可能な外付けCD-ROMドライブでもUSB1.1接続だと最大転送速度が12Mbpsですから、ADSLを使ったネットワークインストールと比べても速度的なアドバンテージは少ないと言えます。USB2.0接続ならば最大480Mbpsの転送速度なので問題はありません。FireWire(IEEE1394)接続も最大400Mbpsの転送速度が出ますが、僕は、FireWire接続の外付けドライブを用いたインストールに成功した事はありません。
** 5.3.インストールの準備[pending]
インストールに必要な物は以下の通りです。
・パソコン
・イーサネットカード(NIC)
・DHCP機能を持ったルータ
・USB接続のフロッピィディスクドライブ
・1.4インチのフトッピィディスク(最低2枚)
・起動ディスク用のデータ
・起動ディスク作成ツール(rawirte2)
*** 起動ディスクの作成
まずDebian JPのサイトから起動用イメージをしダウンロードしてきます。絶対に必要なものは、resc1440.binとroot1440.binです。場合によってはdrv14-1.bin、drv14-2.bin、drv14-3.binも必要になるかもしれません。詳しくは同じディレクトリにあるreadme.txtを読んで下さい。
次にこの起動用イメージから起動ディスクを作成する為のツールをダウンロードします。rawrite2というアプリケーションを使えばWindows上で作成する事ができます。
* 予定項目
X Window System(XFree86)
Window Manager(Gnome, Xfce)
IM(FreeWnn, Canna, SKK)
Editor(Emacs, gedit)
Mailer(Sylpheed, Mew)
Browser(Mozilla, w3m)
IRC(X-Chat)
Instant Messenger(Gaim)
mplayer
xmms(mp3player)
CVS
PPP(wvdial)
Wireless LAN
Memory Card(CF)
Printer
Samba
backup
# 先は長い……。
* 註釈
** Windowsのサポート期間
Windows95は2002年12月31日、Windows98は2004年1月16日でサポートが終了しています。