江戸の毒蜘蛛

▼DMの独り言

 2002年4月。僕がDMをしているReturn to Temple of Elemental Evilのキャンペーンのプレイヤの1人が受験の為4ヶ月ほどキャンペーンから離れることになった。
 それだけの間キャンペーンから離れてしまうとPCのレベル差が極端になってしまうので、そのプレイヤから復帰直前に彼のPCのレベルを上げるために『修行篇』シナリオをやって欲しいと言われた。この様にプレイヤ側からDMにサゼッションがあるととても嬉しいので二つ返事で引き受けた。

 2002年8月。とうとうそのプレイヤが復帰することになり『修行編』のシナリオを行なうことになった。彼のPCはいずれTatooted MonkNinja SpyHensin MysticなどのOAに掲載されているPrestige Classを取得していく予定だったので、OAのシナリオをやってほしいとの事だった。
 早速シナリオを練っていくがイマイチ良案が思いつかない。ただ考えついたのは、トーグの様なハチャメチャなシナリオにしてみようという事だった。3EのOAには西洋人的な東洋に関する勘違いが多分に含まれているので愚かなシナリオには丁度良いのである。そこで、いつも入り浸っているTRPG.NETのIRCチャンネル#TPRGで「コレコレこういう感じのシナリオをしたいんでけど良いネタないですかね」と言って様々な愚かなネタを募集し、その全てを詰め込むことにした。結果できあがったのは以下のようなシナリオ予告だった。

 様々な異世界から集められてきた流れの傭兵達。彼らに与えられた任務は重かった。今、町は悪代官の魔の手に晒されている。隠れ切支丹でありローマカトリックの先兵である代官はなんと軍資金を貯める為に抜け荷 (人身売買) を行なっていた!
 そして機は熟し、今まさに町を毒ガスが覆わんとしている!! 町を牛耳る代官Imagawa Yoshimotoの首級を上げ無辜の人々を救えるのは君たちしかいない。

空を飛ぶ天守閣

大凧で空を駆ける公儀隠密

隠された巨大秘密兵器

迎え来る代官の手先、刺客、暗殺者達


君は生き残れるか?

こうご期待

 まっこと愚かである。

▼参加キャラクタ

Name Class & Level Race Gender Alignment
オザワ Rog5/Bbn1 Human Male CG
カブラ OA-Mnk1/Forsaker5 Human Male LG
セップク Sharman6 Human Male LN
バリード Mnk6 Human Male LN
ヤナック Psion4(Telepath)/Metamind2 Kruresh Male TN
テルチック Bbn2/Ftr2/M-Rgr1/Tribal Protector1 Nezumi Male CG
※名前がシェイディングされたキャラクタはNPC

▼あらすじ

オザワ・イノウエ
 Unicorn Clanに住むRogue。類い希な探査能力と罠解除能力でDMの無茶なカラクリ群からパーティを助けた。

カブラ
 あの色物Class、Forsakerに挑戦する勇気ある人。やはり魔法の恩恵を受けられないので、徒花だった。途中で死亡したため急遽別のキャラ (コパーヘッド) を作って登場。

セップク・ヤスモト
 見事な名前を持つSharman。戦闘で「次はセップク」と言われるたびにDMは誰かが切腹するのかと思い勘違いをしていた。

バリード
 今回の主役。彼の要望でOAシナリオを行なうことになった。やはりMonkなので打撃力には欠けるが相変わらず高いACと良いDM的には嫌なPCだ。

ヤナック
 本人はRokuganの住人だと言い張っているがそんなわけない。Psion自体珍しいのに、種族がKruresh (If Thoughts Cloud Kill収録) だし。

テルチック
 NezumiのTribal ProtectorTentacle Blade (Book of Eldritch MightI収録) を振り回してCleaveする奴隷階級


 Rokuganの様々な地域から雇われてきた傭兵――すなわちPC達の事である。さて、真言宗なる宗派の坊主に連れて行かれPC達はお寺に到着した。そこで今回の依頼の内容を聞いた。要は「悪代官のいる城に乗り込み、罠をくぐり、モンスタを倒し、NPCを殺しながら天守閣まで行ってボスの首級を上げてこい」という至ってシンプルなものだった。

 真言宗の大僧正である阿浄から一通りの話を聞き終えたところで、何人のPCが天井裏に隠れている何者かの存在に気が付き「そこだっ」と叫びながら天井に向かって攻撃すると忍者が4人居ることが分かった。
 戦闘が始まるも、忍者軍団は三十六計逃げるにしかずとばかりにObscuring Mistを忍者ボスが唱え (実はScrollだけど) 、残りの下級忍者がPCを足止めするために霧を上手く使いながら戦った。しかしながら直接戦闘能力に劣る彼らでは、その道のプロフェッショナル集団たるPCにかなうわけもなく花と散ったのだった。

 緒戦を華々しく飾った即席パーティは意気揚々と情報収集を開始した。すでにだいぶ可笑しくなり始めている江戸の町。思うように情報が集まらないのだけれど、四苦八苦して集めた結果、以下のことが分かった。

 そんなわけで正面突破と相成ったわけだが、無策に突っ込んでも犬死にの憂き目に合うだけなので形だけの作戦を立てることにした。目指すは本丸なわけだけれど、正門から本丸までの距離は約200ft.。その間にはZombieらしきものが何十体もうようよしている。如何に弱いZombieとはいえこれだけの数を相手にするのは面倒なのでセップクがInvisibility to Undeadを味方全員にかけてコッソリと行くことにした。しかしながら、カブラはあのFosaker。彼は魔法を受け付けるわけにはいかないしそもそも受け付ける体質ではない (SR15) 。するとカブラは「俺はDamage Reductionが+2/5あるからZombieの攻撃なんて通らないから大丈夫」と言って彼は戦いながら強引に本丸まで行くことになった。
 確かにM size Zombieなら通常ダメージは1d6+1なので+2/5のDRを抜ける確率は33.3%しかない。抜けたとしても蚊に刺された程度のダメージしか入らないわけだ。そんなわけで安心して突破を試みた一行。ForsakerのDRは凄く確かにZombieの攻撃は全然通らない。ところがどっこいただじゃ問屋 (DM) が卸さない。Zombie40体に紛れてGhoulが10体ほどいた (これはちゃんとPCは知っていた) 。Ghoulってのはフィジカルアビリティ的にはZombieとさして差がない。ダメージも1d6+1であり、同じだ。しかしながら彼らにはPalalyzeという素晴らしい能力があった!「Fort DC14なんて1以外でOKだぜ」と思いながらカブラは戦っていたが天はDMを見捨てなかった。ついにSTで1をだして麻痺してしまったカブラ。その時点で既に十重二十重にZombie/Ghoulに囲まれ他のPCは150ft.も離れた場所にいた。INT13もあるGhoul2体は次のラウンドすかさずCoup de Grasを行ないしかも片方は最大ダメージを出した!! カブラはあえなくFort STのチェックに失敗し轟沈。魔法を受け付けてはいけないFosakerは復活することもできず次のキャラを投入することになった。
 仕方がないので残りのPCは姿を現わし、50体に及ぶアンデッドと正面から戦いあっという間に全部撃破し (主にセップクのTurn undeadとテルチックのReach + Combat Reflex + Great Cleaveのお陰で) ケンモホロロに一旦退却したのだった。

 厳正寺に戻り、都合良く現われたコパーヘッド (Pal2/Ftr1/M-Rgr1/Knight Protector of Great Kingdom2) を仲間に加え、1日休息して再挑戦することにした。
 翌日お城に行ってみると、流石の悪代官もたった1日では50体ものアンデッドを補充できないらしく中庭は死屍累々たる状態であったが動く物は1つとして無かった。

 そんなわけでようやく本丸に進入するPC達。1階部分はDMが苦心惨憺して作ったカラクリ屋敷である。最初の10分でそれを悟ったPC達はチキンとも言える慎重さを持って先に進んだ。ここでオザワの端倪すべからざる探査力が遺憾なく発揮された。それでも幾つかの罠 (Bestow Curseなど) には掛かってしまい、それなりに大変だった。折角苦労して考えたSafocationのトラップが発動しなくて残念無念である。
 さて、続いて2階部分。1階のカラクリで神経質になったPCは亀の様に進んでいった。途中調べてみると鶯張りになっていてMove Silentlyに-5のCircumstance penaltyがつく廊下があった。しかもこの奥に進まないことには階上に行くことはできない。するとオザワが「BootsをSlippers of Spider Climbに履き替えて壁を歩きます」という雅さの欠片もない移動方法をとり、先の安全を確認した。南北に長いその部屋は板張りで人の気配は無かった。奥に階段があるので近づくと、そこで罠(Alarm)が発動。回転扉が4つ開きそこからは忍者軍団が! ちなみに彼等は回転扉の向こうに不動の姿勢 (immobile) で立っていいたのでListen DCは30、更に扉一枚隔てたから+5されて35。ハッハッハ、聞こえてたまるかコン畜生。というわけであっさりSupriseを喰らったPC。隠密軍団の一斉毒攻撃でオザワが麻痺。次ラウンドも忍者軍団は27とか28とかいう高イニシアチブで行動したのでまだFlat-footed状態のお客さん。麻痺したRogue君はCoup de Grasのお祝いをもらい死亡。この1.5ラウンドの間でかなりのキッツイ攻撃をして満足気味のDMだったが、押っ取り刀で駆けつけたヤナックによるMind Blast一発で雑魚忍者1匹を残して全員が9ラウンドスタン、儚い青春だった。
 かくて3階へ。そこは大きな道場で、南側には大きな阿修羅像。その木像の一番下の2つの手、臍下丹田の前で上向きに組まれた掌の上には直立不動の姿勢で瞑想をしている男が!! PCが現われると「良く来た」と言いながら目を開けて、こう言い放った――

「いざ、尋常に、勝負!!!!!」

 正面から正々堂々掛かってくるこのお兄さん。全身に獅子と一角獣の刺青をしている。しっかりイニシアチブをとったDM。Lion tatoo+Empty hand+Charge+Power Lunge+Flying Kickで4d6+26ダメージ、ダイス目低かったらUnicorn tatooで振り直してやるぜ、コイこの野郎って違う此奴のモデルは猪木じゃなくてマスターアジアだ。しかしこういう無理したキャラは瞬発力しか無い。バリード、コパーヘッド、テルチック、熊 (セップクのコンパニオン) の3人と1匹に囲まれ、途中バリードをなんとか張り倒すもあえなく脱落。

 さてさてやってきました天守閣。とどのつまりは大ボスの間。薄い帳の向こう側に見える影は憎き悪代官Imagawa Yoshimoto。さあ全力で戦うぞとばかりに始めて見るとあらら? 所詮はHensin Mystic。一対多の戦いには滅法弱くテルチックのTribal Enemyであったばっかりに1ラウンドで終わった。む、むなしい。とここでセッションは終了――んなわけがない、悪代官はコンプリートデスしたわけでは無かった。いまわの際に、

「くくくく……わしを倒してももはや遅い。毒瓦斯作戦はすでに発動した。江戸は死の町とかす……」

と全く月並みだが如何にも悪役らしい立派なダイイニングメッセージを残した。すると、驚くべき事に天守閣がゴゴゴゴゴゴと動き始め城から分離し空を飛び始めた!! なんとあのダイイニングメッセージはコマンドワードだったのだ!! (そんな馬鹿な)
 更に死んだと思っていた悪代官がもう一言。全く往生際が悪い。

「ふははは、この天守閣の動力は一時間しか持たぬ。その間江戸の町が死に絶える様を為す術もなく見物し、そして死の町を墓標に突っ込んでしまうがいい!」

 慌てたPC達は天守閣を隈無く捜索し『できる空飛ぶ天守閣 Oriental Adventure版』を発見した。30分書けてそれを読み何とかこの天守閣を操作できるようになったのだっ。

「残りエネルギィ50%。現在の進路は5時方向」
「 8時の方向に敵影発見」
「旋回せよ!」
「「「QX!!!」」」

 更にこの城に搭載されていた巨大秘密兵器『四神砲』。天守閣についているのは方角は南、五行は火の朱雀だった。城の地下に呪縛された各Elementalからエネルギィを得、半永久的に動くこの巨砲はなんと無尽蔵に『Fire Orb 15d6』が撃てるのだった。
 山中で今まさに大凧に乗り江戸の町を強襲せんとする忍者部隊に向かって、標準を合わせ狙い過たず発射された朱雀砲。15d6のダメージに彼等が耐えられるわけもなく四散した。

「艦長、残りエネルギィが10%を切りました!!」
「不味い、着陸地点を探せ」
「3時の方向に厳正寺。そこの池に着水すれば大丈夫です」
「総員着陸準備をせよ、急げ!」
「「「QX!!!」」」(もういいって)

 ということでセッション終了。

▼参考

Tatooted Monk
刺青モンク。OAに掲載されているMonk用Prestige Class。レベルが上がると刺青パワーがもらえる。
Ninja Spy
忍者スパイ。OAに掲載されているRogue系Prestige Class。毒が使えるようになったりSneak Attackが増えたり、強弱で言えば大したことはないけれど忍者っぽくて好き。
Hensin Mystic
変身ミスティック。名前からして意味不明だが能力も意味不明なOAに掲載されているMonk系Presitige Class。高レベルの能力が強い。
トーグ
TORG。そういう名前のマルチバースTRPG。地球を救うヒーローになって遊ぶ良いゲーム。
Forsaker
フォーセーカ。MoWに掲載されているPresitige Class。世の中の魔法を嫌い、魔法を否定し、魔法を破壊する事が存在意義。
Sharman
シャーマン。OAに掲載されているDivine caster系基本Class。アニマルコンパニオンを連れているのは良いんだけれど、いまいちなところが多い。
Kruresh
クルレーシュ。If Thoughts Cloud Killに掲載されているPsion向きの種族。目が三つある。
Tribal Protector
トライバル・プロテクタ。翻訳すると部族の守護者かな? 自分の土地で部族の敵と戦うときはとても強い。
Tentacle Blade
テンタクル・ブレイド。Book of Eldritch MightIに掲載されている魔法のGreatsword。Mental Commandにより活性化してReachが5ft.伸びる狡い武器。
奴隷階級
Nezumiは虐げられているのです。
真言宗
OAの宗教がいまいち不明な為適当に作った。
阿浄
身長六尺四寸、体重三十貫の巨漢坊主。
魔法を受け付けるわけにはいかない
自ら望んで魔法の効果を受けるとForsakerとしてのありとあらゆる能力を永久に失う。
Coup de Gras
クー・デ・グラ。致命的な一撃とかって訳すのが良いのかな? 自動命中自動クリティカルでダメージ喰らってもまだ生きていたら10+damageをDCにFort STをさせて失敗したら死ぬ。つまりとどめ。
Knight Protector of Great Kingdom
ナイトプロテクタ・オブ・グレートキングダム。グレートキングダムの守護騎士。弱気を守り強きを挫くを生きながらにして実践しなければいけない高潔なPresitige Class。S&Fに載っている。
端倪すべからざる探査力
Searchチェックの平均値が35くらい。なんでも発見できそうだ。
Safocatoin
翻訳すると『窒息』
鶯張り
うぐいすばり。ギィギィなるように作られた板張りの廊下のこと。今でも京都の二条城とかに行けばある。
回転扉
まあお約束。
臍下丹田
せいかたんでん、と読む。下っ腹。へその下あたりのこと。
Empty hand
無手。OAに掲載されているMartial artsの一種。素手ダメージが上昇する。
マスターアジア
Gガンダムのアレ、ではない。映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズを見ると良い。









































 
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