僕はしがない吟遊詩人だ。得意技は歌。あとは少しだけ呪文も使える。友人からは「役立たず」なんて罵られて良くいじめられる。
けれど、そんな役立たずの僕がパーティの女聖騎士から告白された。「貴方と全てを分かち合いたいの」なんて言われたのは生まれて初めてかもしれない。彼女はいつも僕をいじめていたのに、何故だろう……。僕はドキドキしながら彼女がくれたお揃いの白金の指輪をじっと眺めた。
ある日、街道を歩いているとオーガの集団に襲われた。僕はいつもの用に陽気な歌を奏でた。モンスタの攻撃が届かないところで弓でも射っていればいいと思って。
すると彼女が何か呪文を唱え僕に掛けてくれた。彼女の優しさが心にしみる。そして勇敢な彼女は敵に向かって突っ込んでいた。
一合二合と切り結んでいると、彼女の後ろに回り込んだオーガが彼女を巨大な棍棒で殴ろうとしている。
「――!」
彼女が殴られた瞬間、僕は自分の大切な人が傷つくのを見て心を痛めるはずだった。でも、その瞬間に自分が殴られるような感覚を受けてそんな気持ちは吹っ飛んでしまった。
僕の周りには誰も居ない、殴られるわけが無いのになんでだろう。おかしいじゃないか! 向こうでは、また彼女が殴られていた。そしてその瞬間また僕の体に激痛が走った。
……思い出した。Shied Otherという呪文があることを。そういえば、そういえばあの呪文の触媒は白金の指輪だったかもしれない。
そうか、やっぱり僕はいじめられているんだ。でも大丈夫。この前みんなには秘密で買ったキュアのワンドがあるから。歌なんかやめてこれを使えばいいんだ……。