不味いコーヒー

 会社の給湯室に三〇×三〇×二五立法センチメートル前後のエスプレッソメーカ(という名前で良いのだろうか)がある。挽いていない豆と水を入れておけばあとはボタンを押すだけでエスプレッソだかが出てくるという代物だ。半年ほどの間積極的に使う人も無くメンテをする人もいなかった為埃をかぶっていたのだが、つい先日とある「濃いコーヒー好き」の副編集長がすっかり綺麗にし豆も入れ使えるようになった。
 こう見ても僕は一端の珈琲党であり、珈琲について一席ぶたせたら日が暮れても止まない程である(話し始めるのは日が沈んでからである)。当然、その味覚たるや一流の料理人も真っ青になるレベルまで下がっている。「エスプレッソメーカが使えるようになりました」というメールが部内に回るやいなや脱兎の如く座り込み作業を続け、一段落付いたところで早速使用してみた。するとその三〇×三〇×二五立法センチメートル前後の機器から流出してきた黒い液体は驚いてひっくり返るほど不味く、あわや吹き出してしまうかというところで辛うじて飲み込むと食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門、水戸黄門、印籠、助さん角さんを通りそれらをドロドロに溶かし飲んだ者の体はコロイド状になってしまい吸えば卒倒する刺激臭をまき散らす結果となり、外気に触れたところで酸素とドドンパ結合して蒸発した。
 エスプレッソメーカというものは斯様に恐ろしい物であると知ったので一つ賢くなったように思う。次はコーヒーメーカを使うことにしよう。


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