第1章:ユノーとキリ 「ユノー、あんなガキをパーティに入れるつもりか?」 「あ?悪いか?別にいいじゃないか、お前も同性が増えて嬉しくないのか?」  エリネ・ライサが二階に上がってから、デーブルの奥でエールを飲んでいた 女性がエリネと話していた男に言った。  この女の名前はキリ・フィフティーナ、男はユノー・オルベリウスと言う。 二人とも戦士風の格好をしているが、キリと言う女は少し戦士とは違う 雰囲気を持っている。 「俺は、あんな足手まといにしかならないようなガキは御免だね。」 「キリにだってああいう時期が………ってお前は無いんだよな。 でもこの俺だって始めはああだったんだから、いずれは俺みたいな いっぱしの冒険者になれるさ。」  ユノーが残ったエールをグイと一飲みし、摘みの肉を頬張る。 キリは表情を変えずにユノーを睨む。  と、そこにマスターが割り込んできた。 「キリは物心付いたときから冒険者やっていたんだから無理もないけど、 皆経験を積めばそれなりの腕前にはなるさ。」 「マスター、いい事言うねぇ!そうだよ、俺達であの嬢ちゃんを鍛えて やろうじゃないの!」 「なりたいから、それだけの理由で冒険者になるのは構わないさ。 ユノーやあんたら、この店に居る奴等は大抵がそうだろうからね。  だけど、身体もろくに出来ていないガキなんだぞ? 俺みたいな特殊な力でも無い限り、無理なんだよ。」  キリは他の仲間を見やりながら言った。キリの特殊な力とは、魔法の事である。 キリは剣技もさることながら魔導の腕も一級である。  ユノーは困った顔をして、マスターに助けを乞う様に目を向けたが、 マスターは「やれやれ」と言いたげに肩を竦ませてみせた。 「よし!じゃあこうしよう。」  ユノーは数分沈黙して考えた結果、条件を提示した。 「あの嬢ちゃんを一年間だけパーティに入れよう。いや、反論するな。 そんでもって、一年経っても腕が全く上がらないようだったらパーティから外そう。」 「………フ、無い知恵絞った結果…か。  そうだね、でも一年は長いな、半年だね。 一年もあれば誰でも少しは上達するさ、魔導にしろ剣術にしろ、な。」