第22章:イオンの回想
悩んでいた…昼間謎の老人に言われてあの言葉「剣を手放せ」
この剣は確かに呪われた危険な剣だ私自身、何度危険な目にあったか解らない。
だが確かに私は手放していない、愛着…だろうか…いいや、そんなことあるは
ずが‥無い。
あれは…いつの頃だったろうか。私達のパーティはとある古代遺跡に踏み込
んだ。数々の罠も軽々と突破し、探索は順調に進んだ‥私達は古代遺跡の最深
部にたどり着いた。
最深部…ここの一番奥には見たことのない文字がいっぱいに彫り込まれた巨
大な門があった。
「罠はない、どうする。開けるか?」
「開けてみよう、こんなに大きな扉だ。何かがあるに違いない」
仲間が扉を開けるかどうかの会話を交わす、私達は扉の奥へ行くことにした。
凄い、こんなに凄いことがあっていいのだろうか部屋の中は壁一面に様々な
剣が飾られていた。長剣・大剣・曲刀どれもすばらしい装飾が施され傷が付い
て無ければ錆びてもいない美しい刀身を輝かせていた、パーティの魔法使いが
これらがすべて魔法の剣であることを告げた。
部屋の中心には一振りのまがまがしくも美しい剣が安置されていた。剣は私
に話しかけてきた。
『魔剣使いよ…私を手にせよ。さすればさらに巨大な力が汝に与えられよう』
知識を持つ剣だ…パーティのみんなはまだ剣を見て回っている、どうやら私の
頭の中だけに話しかけているらしい。しかしこの手の魔剣はたいてい手にした
ものを乗っ取る気でいるはずだ、私は躊躇した。
『そのとおり、貴女が試練に打ち勝てば私は貴女の物になろう。だが貴女が試
練に打ち勝てなかった場合‥私に貴女の体を提供してもらうことになる』
驚いた、この剣は私の思考を読んだ、これほどの力を持つならば…
次の瞬間私は剣を手にしていた…
すさまじい苦痛と重圧、精神が押しつぶされそうになる剣の意志が私の頭に
流れ込んでくる激しい憎悪、巨大な欲望。しかし負けられない、両親に死なれてから私が唯一信用した物、それは力。私は…力が欲しい。
「おーい、だいじょーぶぅ?」
舌足らずな声がする、この声はパーティの司祭だ。目を開けて起きあがる、右
手にはしっかりとさっきの魔剣が握られていた。
『合格だ…貴女を私の所有者と認めよう…ふふふ』
今まで使っていた魔剣は今、手にした剣の力で砕け散っていた。
…一年後
私達パーティは戦っていた。戦いが始まってからもう30分位は経ったろうか
私達はまたもや古代遺跡に踏み込んでいた。
すでに二人が倒れた、あの舌足らずな司祭と中年の盗賊だ、ファイターの方も重
傷を負っている。
「やばいな」
ファイターが傷を押さえながらつぶやく。それにしてもなんて魔獣なんだろう。
皮膚はまるでドラゴンの鱗、そのくせ顔は3つそれぞれ別のモンスターの物が
付いている。
「ぐあぁぁぁぁぁ」
ファイターが魔獣のブレスに焼かれた。残りは私と魔法使い…私の恋人だった。
「魔剣よ…私に力を」
やるしかない…私は魔剣のまだ引き出したことのない力を引き出すことにした。
『御意』
力がわき上がってくる、思考が鮮明になる。そして流れ込んでくるのは…圧倒
的な殺意。すでに私は冷酷な狂戦士と化していた。
気が付くと辺り一面が血の海だった、仲間には念入りにとどめが刺されしか
もミイラ化している物や黒こげになった物中には氷漬けの物も居た、信じられ
ないとんでもない物の力を引き出してしまったというショックで動けなかった。
私の手は血塗れだった。
やっと我を取り戻したとき、目の前には瀕死の状態だがまだ浅く息をする魔法
使いが倒れていた。
魔法使いの看護を初めて1ヶ月…彼は普通に旅ができるぐらいに回復してい
た。彼はまだ私と旅をするつもりらしいが、私にはもうその気はなかった…
「解散しましょう」
私はうつむきながら彼に言った、彼はなにも聞かずに旅立って行った。
私も一人孤独に旅を始めた、しかし安息の日々は訪れなかった。毎日が血にま
みれた呪われた日だった。
気が付くと名前も売れ最高の傭兵にして最凶の傭兵と詠われるようになってい
た、金には不自由しなかったが心は荒む一方だった。
結局、私は剣を封印し今もまたパーティに参加して旅を続けている、私が不幸になるならかまわない、この力をパーティを守るために使おう。そう考えた…
「抜こう…剣を」
ふと自分の口から呟きが漏れた。
Written with MLR by リュー
1996/08/24 15:58:35
リレー小説目次へ
TRPGに関する情報へ
サイバラのホームページへ
E-mail address :
saibara@big.or.jp