第4章:ユノー一行の酒盛り


 ユノー達のパーティは、人もまばらになってきた酒場でまだ酒を飲みかわしていた。
イオン・インディペンスが声を掛けてから、2時間は経っている。

「しかしまあ、今日は何だな。」

 ただ鎧を着けていないだけなのか、普通の服しか身に付けていない
中年の男がキリの肩を2、3度叩いて大声で笑った。

「うるさいな、なんだよ。」
「んー?女が一気に二人増えて嬉しいだろう?」
「逆ハーレム状態ともおさらばだな。」

 中年の後にユノーも続く。中年はタップと皆からは呼ばれているが、
本名は誰も知らない。年齢や生い立ちも知らないし、誰も知ろうとはしない。
気が付けばパーティに加わっていて、今では欠かせない存在となっている。

「タップさん、ユノーさん。貴方達そろそろ酔ってきましたね。」
「ははっ!このタップ様はまだまだ酔わないよ。
エールが後酒樽一個くらいあれば、危ないな。
 お前さんこそ酒飲んでるか?」
「私は神に仕える身です。酒など不謹慎な……」
「酒の神様だったら居るんじゃないか?神様はいっぱい居るからなあ。」

 ユノーはそう言って、青年の方に目を見やった。
 青年は自分で言った通りに神官で、戒律でもあるのか、
酒を一滴も飲んでいない様子である。

「ふ、たまには飲んでもバチ当たらないんじゃないか?」
「いいえ、私は要りません。」

 キリが神官に向かって杯を差しだしたが、神官はきっぱりと断った。
言い遅れたがこの青年の名前はメロゥス・アルティッタ。神に仕えて8年目の23歳。

「で、俺はイオンとか言うのがパーティに加わるの…別に反対じゃないぜ。
 ハーフエルフなんて珍しいからな。結構目立てるかも知れないぜ。」

 そう言ってユノーは酒の勢いからか、かなり豪快な勢いで笑った。
タップもメロゥスも別に意見を述べるわけでもなく、他の2名に視線をやった。
一人は、先ほどのエリネ・ライサをパーティに加えるのに反対したキリ。
もう一人は、テーブルに影になるような場所でひっそりと果実酒を飲んでいた少年。
 名前はフィラント・エッティアーヌ。俗に言う弓手であるが、それよりも
狩人と言う方が当てはまる。
元々狩猟民族出らしく、弓を手足のように使って標的を打ち抜く。

「…………まあ初心者じゃないからな。
 まあいざとなったら、剣だろうが拳骨だろうが使って自分を守るだろうし…
賛成とは言わないが、別に反対はしない。詩人が一人くらい居てもいいだろうな。」

「すると、後は君の意見だな、フィラント………ってお前酔ってないよな?」
「あ、まだ3杯しか飲んでないから、平気です。
 別にどうでもいいですよ、援護射撃するときに間違えて、射っちゃうかも
しれないですけどね。それにエリネさん…でしたっけ?
同年代のようだから、嬉しいと言えば嬉しいかな…」

「よしっ!じゃあ話しもまとまった処で、そろそろ寝るか。
フィラントが冗談を言うって事は酔ってるって事だからな。」
「俺はまだ飲むぜ。ユノー、つき合えよな。」

 そう言われて、階段を上がろうとしたユノーはタップを横目に見て苦笑した。


影王


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