<特色その1>「運命」
深淵のPCは全員、「運命」というものを持ちます。例えば「親が罪人である」(親の犯した罪により、子供であるPCまで故郷において白眼視される)「死霊の守護」(親しい人物が、死後も死霊としてPCにとりついている。死霊は時にはPCをたすけ、時には自分と同じように死へと導く)といったような、一筋縄ではいかない運命が用意されており、基本的にPCは運命に導かれて旅にでるのです。
これにより、PCのキャラクター性が深まり、より深いロールプレイを支援します。更に、これらの運命はシナリオをも豊かにしてくれることでしょう。
<特徴その2>「縁故」
私が深淵のルールで一番好きな部分です。
人と人との結びつきの強さのことを、「深淵」では「縁故」というパラメータであらわしています。これは、必ずしもプラスの感情ばかりではなく、マイナスの感情も含まれます。そして、面白いのは、そのどちらの感情であるかは関係なく、純粋に感情の強さのみをあらわしている点です。つまり、最愛の恋人の縁故「5」は、生涯を通じての仇敵との縁故「5」と、同じように処理される、ということです。
そして、この縁故は時としてPCの心の支えとなると同時に、PCの心を削っていきます。ルール的には、縁故を使って行動にボーナスを加えた際に、寿命が1年削れます。また、縁故をふった対象が永久に失われた場合、その縁故の数に等しい数だけ寿命が削れます。
人は、その心によって強くなれますが、それと同時に心は人を傷つけ続けるのです。
<特徴その3>「夢歩き」
「深淵」では92枚の運命カードを使用します。そして、このカードを使用して、PCは様々な幻視や幻夢を見ます。それは、時として過去の回顧であったり、予言であったり、魔性の存在からのメッセージであったりします。時には、ランダムイベントをこれによって行うというテクニックも存在します。
これは、運命カードの運命欄の言葉(様々な、意味深で曖昧な言葉が書かれています)を、プレイヤーが手札からマスターに出すことで行われます。この、どのカードを選ぶか(どの言葉を選ぶか)は、プレイヤーからのストーリーへの働きかけであり、意志表示でもあります。
この他にも、運命カードを使用した戦闘や、幻想的な魔法や魔族たち、独自の魅力的な世界設定、そしてそれと密着したテンプレートなど、魅力は数多くあるのですが、紹介の域を超えるので、この場では省略します。
このような「深淵」ですが、無論短所は存在します。それは、一言で言えば「マスターの負担が大きい」ということです。
ランダム性の強い「運命」(運命自体を予め指定したとしても、運命に対処する方法は人それぞれですから、あまりあてになりません)をどうシナリオに絡めていくか。どのように夢歩きをどう処理していくか。そして膨大な量のルールや世界観を整理し、時には致命的なエラッタと格闘し、セッションハンドリングを行うためには、かなりの労力を必要とします。
しかし(以下の部分は、反論のある方もあるでしょう。よければメール下さい)、私自身は経験上、「深淵」はプレイヤーに関しては、マスターさえしっかりしていれば、初級者から上級者まで、幅広い層の人々が楽しめるゲームだと思います。「ノリ」や「お約束」に目先を奪われずに、「丁寧な」マスタリング(そしてプレイング)を行えば、それぞれのレベルに応じた楽しみ方ができるはずです。
それでは幻想を翼に乗せて、美しき物語の国への旅立ちを……