舞台は森の中の館。
人形達の館。
この館の人間は、この館の主人に仕えていた人形師だけ。
実は過去、この館は政争により暗殺者に襲われ、館の人間は人形師を残して皆殺されてしまった。
人形師は、それを悲しみ、館の人々の人形を作る。
それに目を付けたのが(54)人形使いラプティーク。
人形師の作る人形の何と素晴らしき事よ。まるで生きているかのようではないか。
人形師よ、お前に慈悲を与えよう。
魔族の慈悲を。
人形たちによる、生活。人間達の営み。
真実などいらない。事実さえあればいい。
しかし、真実を知る者がいる。
館のものの皆殺しを命じたもの。
イストリア侯国、イシュミスタ侯爵。
滅ぼしたはずの者達が、まだ生きている?
真偽を確かめるために、彼は配下のものを館に向かわせる。
それは、劇の始まり。あるいは終わり。
幕は上がる。降りるために。
キャスティング
ラムモット・フィデュア
館の当主。地方領主で、穏和な性格で知られる。妻は既に他界している。
ミルダ・フィディア
ラムモットの娘。子供(年齢は適当に決定する)。心優しい少女。人形師やメイド達と仲がいい。良く人形で遊んでいる。
アデリア、ブリニサ、エネン
館に勤めるメイド達。働き者。
ケイブレン
老年の執事。穏やかな人格。
レオフリック
従者。館の男向けの仕事全般をこなす青年。結構丈夫。
アベリン
人形師の老人。気むずかしい芸術家だが、家族のように暮らしている館の者達を愛している。
ラプティ
−クの影。アベリンの娘を名乗る。アベリンの面倒を見ている。
イストリアのクライン大公国戦役の終了した歳の冬。戦乱の明け暮れるオメラスの地にあって、平穏が人々によって切望される日々。
PCはイシュミスタ侯爵の部下。あるいは通りすがりの人間。
侯爵はPCに詳しいことを教えず、占領地の領主である館の主人に、臣従の盟約を誓わせるために呼んでこいとだけ伝える。相手は単なる田舎領主であり、そう難しいことでもないだろうと言う話。臣従を誓えば、既存の権利は保障するという条件。
他のPCは、穏和な性格の領主の噂を聞きながら、偶然(あるいはたまたま)館に向かう人々。旅芸人。領主に相談事のある者達。(戦災により減税を求める農民や、入会地についての相談をする狩人。あるいはその代表者)あるいは親族。
館は森の中に、静かにたたずんでいる。
ぼろではないが、どちらかというと質素な作りで、田舎領主の人格を思わせる。
PCは道すがら出会うか、順番に館を訪ねてくる方がいいか、メンツの顔をみて決める。どうでもいいこと。
館の執事がPCを迎え、主人は現在病気で伏せており、面会はできない、と告げる。(実は当主の人形は未だ完成していない)
PCは館に留まるように言われ、メイドたちがPCの面倒を見る。
館の中を自由に歩き回ることは許されるが、執事は「ではメイドに案内させましょう」と言って、メイドを監視につける。
メイドは、当主の部屋へはPCを入れないし、人形師の住む離れにも「あそこは非常に気むずかしい方がお住まいですから、あまりお近づきにならない方がよいですよ」と言って近寄らせたがらない。
当然の如く、メイドはPCが何かをあさろうとすると止める。
館(本館)
当主の部屋以外が自由に出入りできる。所々、綺麗な、あるいは可愛い(といったほめる意味の形容詞がつくような)人形があちこちにかけてあり、館を飾っている。人形について聞くと、メイドはこの館には人形師がいて、当主の一家や、彼女たちに人形を作ってくれるのだという。人形が様々な形容をもつのはその為で、子供向け、大人向け、男の子向け、女の子向けと様々な表情の人形がある。
人形師に会いたいというと、「非常に気むずかしい方なので、会うと不愉快な思いをなさるかも知れ真せんよ」と止める。仕事の最中に邪魔されるのをとても嫌い、場合によってはのみが飛んでくることもある。最近はずっと何かを作っていて、仕事のための小屋から出てこないのだという。
人形師は、老人と若い娘の二人で、主に娘の方が老人の人形師の面倒を見ているのだという。
当主が病気だという割には、医者の姿がない。
従者がPCの到来を聞くと、あわてて食料品の買い出しに走る。(館には食糧の備蓄がほとんどない)
離れ
人形師のための小屋。
メイドはここを訪れることを勧めない。
こっそり訪れたとしても、娘(ラプティーク)が現れて、中にはいるのを止める。外で問答をしていると、中から老人の罵声が聞こえてくる。「五月蠅いぞ!仕事の最中なんだ!邪魔をするな!」
老人は今、必死になって当主の人形を作っている。実は、老人の寿命はもはやつきようとしている。
中庭
中庭のはずれに、小さな墓が並んでいる。銘はない。
夢歩き。暗殺者の刃。破られる平穏な日常。
2
夕方。
PCたちは食堂で、従者が街で調達してきたあり合わせのもので作られた食事をとる。料理には、一切火が使われていない。それどころか、夜になるというのに館には一切火が灯されない。そのことに触れても、メイド達は火を恐れるばかりで、適当な言い逃れをしようとするばかりです。「この家のしきたりでして」「夜は日が暮れるともう寝てしまう習慣なんです」
メイド達が給仕をする。館の他の者は姿を見せない。
夕食が終わると、メイド達は後かたづけに忙しい。PCたちは自由時間。メイドに監視されずに動ける。
館にて
夜、人形師の老人が廊下にかけられている当主の絵を、目に刻みつけるようにじっと見ているのを発見する。人形師はPCと話したがらない。当主については、「明日にはあえるようにする。今日だけ待ってくれ」とだけ答える。
執事室
部屋はきちんと片づけられ、領地の経営などについての資料や報告書がたくさんある。
机の上には日誌が順番に並んでいる。その日記をめくると、急いだような字で奇妙な書き付けが見つかる。
「奴らがやってくる。我々が何をしたというのだ。当主様も、メイド達も既に殺されている。従者が帰ってこないところを見ると、彼も殺され、館も包囲されていると言うことなのか。一体……」
知性15の判定に成功すると、床に小さな血のシミらしきものを見つける。
発見した場合夢歩き。殺戮。死。
人形師の小屋
人形師の不在をつけば、こっそり入ることも可能。中には、館の人々の人形のパーツがごろごろしている。作業場の所には、作りかけの当主の首がある。
夢歩き。人形達の生。日常の人形劇。
当主の部屋
当主の人形は動かない。出来が未完成なので、未だに魂が入っていないから。
PCが当主が人形だと気が付いた時点で、3に移行する。
この時点でPLがあまり状況を理解していないのならば、夢歩きを行っても良い。
3
ラプティークは真実を知ったPCたちを黙らせようとする。
メイド達はPCの隙をついて包丁(短剣に相当)で刺し殺そうとする。従者と執事は逃走ルートを押さえる。人形師は自分の仕事場で仕事をしているが、問いつめられればのみ(やはり短剣に相当)で襲いかかる。武器を失っても、彼らは木人形なので、格闘で1打の効果がある。人形達は完全に壊れるまで戦う。
人形師が死ぬと(彼は死にかけの老人であり、殺すのに何の苦労もいらない)ラプティークが現れ、「可哀想に」とつぶやき、「あなたにもう一度だけ機会をあげる。平穏で、幸せな日常を取り戻す機会をもう一度だけ」と言って見えない銀の糸を人形師の身体に打ち込む。人形師は肉人形として再生する。
ラプティーク自身、元々魔族の将校であり、可能であるならPCを各個撃破しようとする。PCが集中するなら、ラプティークも戦力を集中して包囲殲滅しようとする。
暗いため、PCは−6から−3の修正を受ける。これは人形には関係ない。逆に、人形達は火を恐れるため、火を持ち出せば、人形達は襲ってこない。
ラプティークは請われれば、過去を語る。暗殺者によって館の者は人形師を残し、全員死亡したこと。残された人形師は家族とも思っていた館の人々の人形を作った。その出来があまりに素晴らしいので、ラプティークはその人形の出来映えにふさわしく、魂を込めてやっただけだと。
人形師の願いは、ただ日常を送ること。平和な何気ない日常。幸せな日常。それだけが願いだった。
ラプティークに協力を申し出る者に対しては、ラプティークは「爾の躰の、どの部分にかけてそれを誓う?」と聞き、答えた部分に見えない銀色の糸を打ち込む。その場所には原蛇の刻印3が刻み込まれ、更にその部分は吸収値2、硬度10となり、更に運命91−6支配の刻印を得る。沈黙を誓う者に対しては、「爾の躰の、どの部分にかけてそれを誓う?」と聞き、答えた部分に見えない銀色の糸を打ち込む。その場所には原蛇の刻印3が刻み込まれ、更にその部分は吸収値2、硬度10となり、更に運命91−4沈黙の封印を得て、この一件について一切を喋れなくなる。ラプティークは問答の際の言葉遊びは一切相手にせず、そんなことを口走れば人形にして破壊するだけである。
4
・PCが全滅、もしくはラプティークの支配下に入った場合
翌日元気な姿を見せた当主は、領地の民の相談事に応じ、侯爵の元へ臣従の誓いを行う。平和な日常は続く。いつまでも、いつまでも……
・PCがラプティークを倒した場合
館の人形は全て魔力を失い、動く者は全てなくなる。
・PCが真実を知りつつ逃走した場合
次に館を訪れたとき、そこにはただ館の焼け跡が残るのみである。