“深淵”シナリオソース

『カ・クラの典範』


魔道書群『カ・クラの典範』

 巨棲代末期(約1万年前?)、優れた魔法使いの一族である「旗の土鬼」によってこの魔道書群の原本は作成されました。
 「旗の土鬼」達の魔道書のほとんどは巨人の七王国の滅亡と共に消え去り、巨棲代の遺跡の中で長い時を過ごしていました。

 やがて「旗の土鬼」達の魔道書は長い年月を経て、人の子の手によって再び見いだされることになります。
 遺跡の中に埋もれた魔道書のほとんどが、その長い年月によって色あせ失われていました。それを見つけた魔法使い達は、保存と研究の為にそれらをいくつかの「断章」としてまとめ上げました。
 魔道書に対する研究はやがて、かつて「旗の土鬼」達のたどり着いた暗闇の中へと踏み込んでゆきます。
 深淵の深みや、魔族の魂、人を人以外の所産とする技・・・。
 それは既に、禁じられた異端の領域でした。
 魔道書に対する研究は一部の魔道士達によって密かに続けられ、その隠匿性ゆえに宗教的色彩を徐々に加えてゆくことになりました。
 その魔道書らを総じて『カ・クラの典範』と名付けられたのはこのころです。
 かれらにとって、それはまさしく奉じるべき存在だったのです。

 グラムの魔導師学院はそれに対し、すみやかな決断を下しました。
   すなわち、異端の粛正。
   すなわち、魔道書の封印。
 それは素早く、徹底的であったと伝えられています。

 それでも、いくつもの『カ・クラの典範』はそれを逃れることとなりました。
 それは、『カ・クラの典範』の「断章」の中にはそれ自身の運命をもつものがいくつも存在したからだと噂されています。
 そしてその噂は、彼ら優秀な魔導師達が墜ちて行ったのも「カ・クラの典範」の「運命」に引きずられた故だと続くのです・・・・。

(原案:ねこぱんち◎;さん)


序  詩

 そこにあるのは、書物で埋め尽くされた空間・・・そしてすみにある古びた机だけ。
 机の上には火の消えた蝋燭・・・置き忘れられた一冊の書物。
 書物は大分傷んでおり、今や題名すら掠れ判読は難しい。
 全てが年月と共に埃に覆われ、人々に知られぬままに消えてゆく・・・かと思われた。
 彼が訪れるまでは。
 彼が一冊の書物を持ち出すまでは。

 彼は慎重に指を伸ばし、太古より伝えられた手順を踏み、
 書物の封印を一つ一つ解いてゆく。
 しかし、彼は知らなかった。
 彼に全てが知らされている訳ではない事を。

 彼が驚きの声を上げるまもなく“深淵”が姿を現し・・・

 そして・・・。

 早朝、「石造りの街」メジナを地震が襲った。
 その被害はほとんど無く、メジナの街の多くの人々はそれに気をとめる事も無かった。
 ごく一部の者たちを除いては・・・・・。

(原文:蒼さん)