釜からパリッと焼けたシュークリームの皮が出てきた。
香ばしい匂いが広がる。
「うー。焼き立てなんだよ」
「熱いから触っちゃダメよ。……食うなよ」
「そんな。人を食いしんぼうみたいに」
「う。砂糖切れてる」
リルリィーアはそれには答えずに台所から出て行った。
「ひどいんだよ」
ティナはじーっとシュークリームを見ていた。
かすかに白く蒸気が抜けてきてすごくおいしそうだ。
なんていったって焼き立てだし。
お肉もお魚も熱々が一番うまいんだよぅ。
「……ひとつぐらいいいよね」
鉄板の端にあったひとつを手に取る。
「あちあちっ」
手がひりひり。あわてて左手にぽいっと投げるが、そっちのもすぐに熱くて耐えられない。
交互に玉遊びのように往復させる。
「ふー。ふーっ」
口をすぼめて息を吹きかける。しばらくして熱さが収まってきたところでティナは満面の笑みを浮かべた。
シュークリームは軽かった。焼き立てだと重さまで違うのかな?
「いただきまー。あむっ」
シュークリームの皮が口の中に張り付く。まだ熱い。でも予想していた甘みやクリームの柔らかさがまったくない?
「もご?」
舌を口内でふりふりさせるが空気しかそこにはない。
「……食うなーってアレほど言ったのに愚か者が」
半分あきれた表情でリルリィーアが砂糖を肩に乗っけて帰ってきていた。
「クリームは後から入れるんだよ」
「あう」
皮だけ飲み込んだティナはしょんぼりした。
「食った分割り当て減らすからね」
「えー」
「えーじゃねぇだろう!」
リルリィーアの雷が落ちた。