日もとっぷりと暮れた夕食時。
子供たちと広間で夕食を取っている中、リルリィーアはふと隣が気になった。
親友のノーラが、魚を半分残してフォークを止めている。
「食欲がないの?」
「いやちょっと最近。ねぇ」
ねぇ、といわれてもさっぱり。
「ダイエット?」
反対側の隣に座ったティナが容赦なく聞いてきた。
まだ十歳で育ち盛り。そのスレンダーな身体には、人を呪わば穴二つ、などという言葉は関係ない。
「うっ。言いにくいことをあっさり言ってくれるじゃないの。あんただってあと五年もすれば嫌でも気になるようになるのよっ!」
「……子供に当たってどうする」
だいたい自分の娘と同年代じゃないか。
今日も仕事で遅くなったので、ノーラは夕ご飯をリルリィーアにごちそうになっているのだ。例のごとく。
「何でこんなにカロリー高いのよ、ここはっ」
「といってもなぁ」
辺りをぐるりと見回す。
成長期の子供たちが一心に魚や野菜やパンにがっついている。会話もあまりないのは、リルリィーアの日頃の教育のたまものだと信じたい。
……食うぐらいしか楽しみがない訳じゃないですよ。
「で、どのくらい増えたの?」
ティナが平然と尋ねた。
「……そういうことは小声で申し訳なく聞くものよ」
リルリィーアが妹分をたしなめる。
「そうなの?」
「そうなのよ」
リルリィーアはうなずく。
「私だって気になるんだから」
「そりゃ、脂肪の下がみっちり筋肉じゃぁ重くなるよね」
「うるひゃい」
リルリィーアは親友をにらんだ。
「お姉ちゃんもちょっと増えた?」
「いうなっ」
ぺちっ。頭をひっぱたく。
食事中にはしたないですリルリィーア。
「あうう」
「ぬ……どこふえたの?」
ノーラはリルリィーアの身体を上から下までなめ回すように見つめて(同性じゃなかったらセクハラです)、ぴたりと一カ所に目をとめた。
「まさかっ」
「んーここかなぁ」
ティナは人差し指をたてるとぷにっ。とついた。
リルリィーアのまんまるい胸を。
「……あんたって人は許せないわ。なんて不公平なのよ胸から太るってあんた人間じゃねぇだろうぜったい」
「やめーっ。人が気にしているんだから黙れこのマッチポンプ小説家がぁ」
ノーラはリルリィーアの胸を手のひらでつかんだ。
ぶっちゃけ大きすぎて指の間から肉が余るというのはここだけの秘密だ。
「に、憎しみでこれがつぶせたらと言うか少し分けろだいたい何で子供産んでないのに何よこの胸資源の無駄よどうせ使わないんだから」
リルリィーアはむかついたのでノーラの口にパンを押し込んだ。
「もごもご」
「私だって……私だって好きで大きくなった訳じゃないんだからっ」
そんな無駄に仲のいい二人を見ながら、ティナは自分の平べったい胸に手を当てた。
「うう、わたしもいつかお姉ちゃんみたいに立派なるかなぁ」
十歳のガキがそんなこと考えなくてよろしい。というかあんパン控えないと腹に付くぞ脂肪が。
お題もの書き:ツケ参加作品