手の中から鳥が飛んでいく……日も近い?


 青い法衣の上に純白のエプロンを身につけたいつものスタイルで、リルリィーアは神殿の廊下を歩いていた。
 ここは二階。この階は丸々教室として使っている。七歳児から十五歳まで、初等教育を神殿で行っている。
 昼過ぎでもう授業は終わりだ。
 廊下から、吹き抜けになっている講堂を覗ける。天井から降り注ぐ白い光の元で、リルリィーアと同じ法衣を着た神官が祭壇に祈りを捧げているのが見えた。
「リルリィーア先生、さようなら」
 残っていた生徒が背後から挨拶した。少女はリルリィーアの横をすり抜けると、一度リルリィーアに笑顔を向けて走っていった。
「こらっ、廊下走るなっ!」
 少女は階段へと消えていった。
 リルリィーアはため息をついた。危ないってば。
 とりあえずリルリィーアはティナを探すのを続けることにした。
 そろそろ昼ご飯なのにまだ戻ってこない。うちの神殿長は。
「うー。そんなんじゃないんだよ」
 ティナの声が聞こえた。
「なんだよ。だってそうじゃないか」
 男の子の声も聞こえた。これはアレンだな。
 声はティナ立ちの四年生クラスから聞こえていた。捜査局の仕事で日頃から鍛えている隠密能力でこそこそと気配を消して近寄ってみる。
 足音を消すのは簡単である。
 気がつかれて会話止めても悪いし。
 そっとドアの隙間から覗き込む。これも保護者としての努めだ。
 白い光の中で、少年少女がにらみ合っていた。
 外は夏の日差しが照りつける。神殿の中もかなり暑くなってきた。
 少女のほうは顔は見えない。ふわふわした金髪でティナと解る。エプロンドレスだし。
「ティナなんか、リルリィーア先生がいないと何もできないんじゃないかっ!」
 向かい合うアレンは半ズボン。腰にポシェット。持ってくるなと言っているのに。
 シャツの上にポケットのいっぱい付いたチョッキを着ている。
 額に汗が。そりゃ暑いだろう。
「そんなことないんだよ」
「あるんだよ」


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