ふたつに分かれたら戻らない?


 ミトフェムの神殿には聖女様がいる。
 白い法衣に身を包み、神隠しから背中にウェーブのかかった金髪が流れている。
 青い瞳を真剣に、手元へと向けている。
「ふたつに分かれてしまったものは元に戻らないのでしょうか?」
 西の窓から流れ込む橙の陽光の中で、ティナは切なげに目を細めた。

「神殿内で買い食いするなって言ってるだろう」
 リルリィーアはティナの頭を引っぱたいた。
「あうっ」
 ティナは涙目でリルリィーアを振り向いた。
「何だ? 泣いているのか」
「うう、夕日がまぶしいんだよ」
「まぶしくないところにいけよ」
 リルリィーアはため息をついた。
「で、なにをやっているのだ。あんぱん食いかけで」
 ティナの手の中には、ちょうど半分になったあんぱんがあった。
 綺麗に半分なので、食べかけなのではなく先に手でちぎったのだろう。
「奇跡使ってもあんぱんって元にもどんないんだね」
 リルリィーアはティナの頭をマジ殴りした。
「はうっ。虐待、いじめだよぅ」
「そんなことに無駄遣いするなばかっ」

 聖女の奇跡は治癒系最高の魔法で、死体いたいなら何でも治せます。
 生命体なら。
 魔力使いまくるのでさすがに一日一回ぐらいが限度です。

「ばかっ。急患来たらどうするんだよ」
「うー。頭がばかになるんだよぅ」
 ティナの泣き声が夕暮れの神殿に響いた。


お題もの書き:別れ参加作品

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