例によって例のごとく、三人は三時のおやつにあんぱんを食べながらお茶会をしていた。
赤いのと幼女ともの書きである。
幼女こと金髪の女の子ティナはあんぱんを食べるのを止めて、隣に座るお姉ちゃんの親友に尋ねた。
「ねえ、ノーラさん。なんで最近お茶ばっかりなんだろう」
「聞くなティナ」
ノーラはペンを止めもせず答えた。
下を向いたままつらつらと書いている。早い。
「ネタがないんだネタが。それよりも一つ突っ込んどきたいんだが」
「ほえ?」
「紅茶にあんぱんって間違ってないか?」
「全然」
即答だった。
「緑茶にするとか」
「うーん。それもいいかも」
「お前はあんパン食えればそれでいいとか思っているだろう絶対」
「えへ」
ティナは笑った。
「で、ノーラさんは何しているの?」
「うむ、ちょっと研究。心理描写の」
「……ノーラさんプロの小説屋さんじゃなかったっけ?」
「気にするな。大人の事情って奴だ」
察してくだされ。
「というわけで、とりあえずアレをネタにしてみる。
ノーラの視線の先には、リルリィーアがいた。
長い赤毛の前髪で目元まで隠れて表情がよく見えない。法衣の上に真っ白なエプロンを身につけ、椅子に腰掛けカップを口元に運んでいた。
「お姉ちゃんを?」
「うむ、アレについて語ってみるぞ」
リルリィーアはカップを置くとため息をついた。
窓の外を見る。
外では子供たちが元気に遊んでいる。
「……という感じで書いてもさっぱりだろう」
「うーん、そもそも何が言いたいかというのがわかんないよぅ」
「というわけで心理描写を追加してやろう」
はぁ。どうして私は結婚できないんだろう。
リルリィーアはカップを置くとため息をついた。
窓の外を見る。
外では子供たちが元気に遊んでいる。
子供たちの世話をして。もうじき三十になろうかというのに。こんなままではいつ自分の子供が作れるかさっぱりだ
「とかやるとよくわかるわね」
「なるほど」
「お前らやかましい人で遊ぶな!」
リルリィーアが机を叩いた。
ちなみにこの国だと15歳で結婚である。リルリィーアはそろそろ孫がいてもおかしくない年頃だ。詐欺くさいぐらい若いので外見だけだとそういう気もしないが。
「……なんで使う予定ないのにそんなに若くて綺麗で胸でかいのよ」
「ほっとけ」
リルリィーアは親友を睨み付けた。
「なんでこんな女には旦那も娘もいるのだろうか。かみさまってふこうへい。親友の幸せな姿を見て醜い嫉妬を抱かずにはいられなかった。と。こんなふうに書いたり」
「ほえー」
「捏造するなよ」