仲直りしようよ


 ティナはほっぺたを膨らましていた。
 風呂上りでウェーブのかかったきれいな金髪は湿っている。ソファーにちょこんと座って頭をごしごしこすっている。
 白いワンピースの裾をひらひらさせ、不満げに足をぶんぶん揺らしている。
 頬が赤いのは湯当たりのせいだけではあるまい。
「てぃなー。いいかげん機嫌直してよ、ね」
 リルリィーアが顔色を伺いながら隣に座った。十分あったまって首筋に汗をかいている。
 いつものようにエプロンを身につけ、手に皿を持っている。その上にはシュークリームが三つ。
 ティナはシュークリームを一瞥してつばを飲み込んだが、ぷいっと脇を向いてしまった。
 ティナは怒っていた。
 無理もないとはリルリィーアも思わなくもない。
 ティナを空飛ぶ踏み台代わりにして自分は海へぼとん。ちょっとやりすぎたと反省してみる。
「ほーらシュークリームだぞ」
「そんなんじゃ釣られないんだもん」
「いや、魚じゃないんだから」
 リルリィーアはシュークリームをひとつ手にとって食べた。
 甘さが舌の上に広がる。
「ごめんね。あのときはあれしか思いつかなかったのよ」
「おぼれるかと思ったんだよ」
 シュークリームをひとのみして、ティナの頭をなでなでする。
 熱い。
 ティナはそっぽを向いたままだが、撫でられるままにしていた。
 ティナの前に皿を差し出した。
「ほら、せっかくなんだから。食べなさいな」
「いらない」
「そう? じゃぁ食べちゃうぞ」
「……」
「本当にいいのか? あーあ。せっかくティナのために作ったのに」
 ティナはシュークリームをひとかじりした。
「……なんであんこが……」
「いや、ティナはあんぱん好きだし」
「こんなんクリームじゃないよぅ。いくらなんでも」


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