信仰心重要


 子供たちに朝食を食べさせて、リルリィーアは散歩がてら聖堂に入った。一人の神官が祈っていた。
 その男は祈り終わって顔を上げた。秋の青空みたいに透き通った笑顔だった。それをリルリィーアに向け早足で駆け寄ってきた。
 私がなにかしたのか? とか思わなくもない。
「おはようございます」
 男は挨拶するとリルリィーアの手を取ってぶんぶん上下に振った。
 朝っぱらからハイだ。
「ようやく信仰とはなにか悟ることができました」
「はぁ、それはよかったですね」
 信仰がなにかわからないで神官なんかやってるんじゃないわよ。とも思ったが人のことは言えないので黙っていた。
 何はともあれ進むべき道しるべが見えたらいいのではないかと、法衣を着ているものの一人としては思った。
「朝、こう女の子が祈っていたんですよ。それを見てもうぼかぁもう。これだっ、ってわかったんですよ」
「はぁ?」
 つい変な声が出てしまった。
 ……そんな子いたっけ? ティナもうちょい上だし。
「幼女が一心不乱にはぁはぁしながら祈っているのをみるとぼかぁぼかぁぼかぁもうあれこそしんこうだなってぼかぁもう」
「落ち着きなさいな」
 うちのティナと信仰に何の関係があるのか。十歳だけど神殿長で聖女様だけどべつに奇跡でもみたわけでもないよね。
 そもそも十歳って幼女か?
 なんか激しく間違っているような気もしなくもないが。
「すみません。頭痛いんでちょっと下がらせてください」
 本当に頭痛がしてきた。リルリィーアは手を振り払って逃げるようにってか奥の孤児院に逃げた。


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