天気雨 蒼空かける    水平線と、白い空と、青い海と、白く帆をはる交易船を見ていたら、突然雨が降ってき た。  ティナは腕で髪をかばいながら近くの料理屋へと駆け込んだ。  店はがらんとしていた。窓際に一人の男が座っていた。 「ろりじゃないか」  アレスが口元を黒くして麺を食べていた。 「あ、お兄ちゃん」  カウンターに一言告げてから、てってってっと走ってアレスの向かいに座る。 「朝ご飯食べてなかったの?」 「ああ。ところでなんでこんなところにろりがいるのだろう?」 「うぐぅ。海を見てたの」 「泳ぎたいのか?」 「うぐぅ。ちがうよ」 「水着なら用意しておいてやろう」 「うぐぅ」 「見た目10歳な体型にぴったりだ」 「うぐぅ。だから、泳ぐんじゃないよ」 「おぼれるとか」 「ちがうもんっ。船に乗りたいんだよぅ」 「ほう」 「船に乗ってこーとーくのまちにいってみたいんだ」 「逃避だな」 「うぐぅ。なんでそんなこといういかなぁ」 「まぁ、大きくなったらそのうちつれていってやるから」 「約束、だよ」  ティナがにこにこ笑っていると、給仕が盆の上に皿を乗っけてやってきた。 「お待たせしました。いかすみスパゲッティです」 「わーいっ」 「おまえも食うのか?」 「わーい。ごちそうになります」 「……一皿だけだぞ」 「うんっ」  ため息交じりにアレスが外を見ると虹が輝いていた。