「狼少年」




「狼が来たぞ」
 嘘。
「狼が来たぞ」
 嘘。
「狼が来たぞ」
 嘘。
 
 いつも嘘ばかりつく。
 
 だから、本当に狼が来た時。
「狼なんて来ちゃいない」
 嘘をつく。
 
 助けてもらえるだろうか?
 おそらく助けてはもらえまい。
 少年は。
 
 助けて欲しい。
 助けて欲しい。
 助けてくれる人が。いることを。信じたい。
 だから、助けてもらえるかどうか、試した。
 嘘をついてまで。
 
 だから嘘をつく。
「狼なんか来ちゃいない。全部嘘だ」
 狼に喉笛を神ちぎられる寸前に。
 叫ぶ。
 その嘘。


mailto:不観樹 露生
不観樹露生的短詩