「風塵」


 殺風景な部屋の中には。いつも風が吹いていた。
 コンビニエンスストアのレシートが。舞う。

「風化………しているの?」

「そうかもしれない。そうじゃないかもしれない。
 僕は僕自身を…………風化させて。塵へと返したかったのかもしれない」

「じゃぁ、塵に戻れば? あなたにはそれをすることができる」

 カップラーメンの空き容器がころりと転がる。

「それは…………しない」

「ふぅん…………」

 窓の外へ。スーパーの開き袋が吹き飛ばされていく。

「しないの? できないじゃなくて。それともいつものお得意の自己欺瞞?」

 部屋の中を吹き抜けるのは風だ。
 部屋の中に残されるのは僕だ。

「なんで黙っているの? 答えられないから?」

 身体が。重い。椅子が、倒れる。

「それじゃ、朽ち果てるまで。ここにいるといいわ」

 彼女は風を捕まえると。そのまま窓の外へ飛んでいく。
 僕の中を。やっぱり風は吹き抜けていく。


mailto:不観樹 露生
不観樹露生的短詩