「個々路埋(こころまい)」



 とん。しゃらん、とん。
 とん。しゃらん、とん。

 ゆっくりと、世界は廻る。

 とん、しゃらん、とん。
 とん、しゃらん、とん。

 舞う。そのリズムで。
 いずこのものともしれない、リズム。

 とん、しゃらんとん。
 とん、しゃらんとん。

 誰も見ない。
 誰もいない。

 とんしゃらんとん。
 とんしゃらんとん。

 僅かずつ、僅かずつ、その舞はテンポを速めていく。
 意味があるのかないのか。
 そんな事とは関係なく。

 とんしゃんとん。
 とんしゃんとん。

 うっすらと、額に汗がにじみ出す。
 乱れた髪が、頬に貼り付く。

 とんしゃんとん、とんしゃんとん。

 相手のいないシャドウボクシング。
 舞え。
 踊り続けよ。
 全ての舞を。舞い尽くすまで。


mailto:不観樹 露生
不観樹露生的短詩