ホール岡路工房断空研!ミステリーツアーズ-悪夢の棲む家

悪夢の棲む家

編集:EL。 '0110 '0604改訂
推奨ルール:ゴーストハンターRPG

舞台と登場人物

 このシナリオは、ゴーストハンターRPGの公式舞台となる1920〜30年の欧米の、住宅の密集しているとある地方都市を舞台に仮定しています。
 時期は10月初旬。秋のはじめの頃になります。

 このシナリオは、前半ではダンチェッカー家がクリスティ家に仕掛けている嫌がらせを止めることが目的となっています。
 そして後半の目的は、次々と起こる怪奇現象から、「ストーカー」がやってくることを推測し、これを撃退することです。

クリスティ家見取り図
空き地
台所
 下
部屋1
バスルーム
トイレ
居間 階段
玄関
↑1F
部屋2
(ヘレン)
部屋3
(アレックス)
部屋4
(ソフィア)

トイレ
階段
ベランダ
ベランダ
↑2F

実際には、二つのベランダの間に仕切りはありません。
電話は部屋1の前の廊下にあります。
ソフィア・クリスティ 20代 ♀ 会社員
 今回の事件の依頼者です。母子でゴーストハウスと思われる家を購入してしまい、怪奇現象や、ノイローゼになった母親への対応に悩まされています。
ヘレン・クリスティ 50代 ♀ 主婦
 ソフィアの母で、すっかり気力を失っており、怪奇現象により大分神経が参っているように見受けられます。過去に「ストーカー」に殺された一家の母親の霊が、彼女に同調してしまっているのが実のところの原因なのですが。
アレックス・ロウ 20代  ♂ 公務員
 ソフィアの従兄弟で、霊を信じない現実主義者です。今回ソフィアがオカルト関係に助力を頼もうとしていることを知り、拝み屋の監視役を自任しています。仕事を休み、ずっとクリスティ家の留守番をしています。
ボニー・ダンチェッカー 40代 ♀ 主婦
 クリスティ家の右隣の家に住む隣人で、異常なまでにクリスティ家に関心を持つ「オバサン」です。その異常さは、実は亡霊に憑依されているせいなのですが。
クライド・ダンチェッカー 40代 ♂ 技師
 ボニーの夫です。機械修理の特技を持っています。PCから訪れない限りシーン5まで会うことはないでしょう。

尚、現在クリスティ家では、右上図の「部屋2」をヘレンが、「部屋4」をソフィアが使用しています。ソフィアが庭側の部屋を使用している理由は、居間と部屋4だけに、鏡の嵌っていない、外の見える窓があるからです。
 アレックスは「部屋3」を間借りしています。PCは「部屋1」と居間を使わせてもらうことになるでしょう。

 クリスティ母子の移り住んだこの家はとても変った特徴をもっています。
 まず、住宅密集地のさなかに建てられているのですが、隣家との間の隙間に人の入れるほどの隙間もなく、異様に接近して建てられています。
 また、家の中は、庭とベランダに面した壁面を除く3面の窓すべてに鏡が嵌っており、採光がとても悪くなっています。もっとも、鏡を外したところで、見えるのは隣の壁だけなのではありますが。
 廊下のどん詰まりは、壁一面の大きな姿見になっています。何らかの手段で入り口のない裏の空き地に降りられたPCは、姿見が、実は勝手口の戸を鏡に偽装したもので、廊下側からは開けられませんが、空き地側からは開けられることが分かります。尚、空き地への出入り口は、この偽姿見と、ダンチェッカー家の勝手口だけです。

用意するもの

1.依頼

 PCのひとり、もしくはPCの所属している心霊組織に依頼が舞い込みます。
 依頼者はソフィア・クリスティ。しかし面会するときは、必ず胡散臭そうな顔をしてアレックス・ロウがついてきています。

 依頼内容は、彼女と彼女の母親でなけなしの金をはたいて購入した念願の一戸建てに、どうもお化けがでるようなので、これを退治してほしい。というものです。

 尚、このシナリオは、依頼を受けてもらわないことにははじまりません。PCの善意に縋るか、もしくは依頼をうけて、クリスティ家の前にいるところから始めてしまうのが良いでしょう。(シーン1は過去の回想、という名目で演出するわけです。

 彼女がお化けが出るという理由は、現在の家に移り住んでからずっと、下記の怪奇現象に悩まされているからです。
 GMは下記の枠で囲んだ内容を紙に写し、PCに渡してください。以後このシナリオの前半では、下記の項目のひとつひとつについて、原因を究明するのが目的となります。
 GMは、シナリオを円滑に進行させるために、度々機会を設けて、PCたちに下記の問題解決の進捗状況を問いただすようにしてください。

  1. 道路に面した南側を除く、3方向の外壁にある窓すべてに鏡が入っている。おかげで外を覗けないし、光も入ってこない。(外を覗いても隣家の壁が見えるだけではあるが)
  2. 電化製品に故障が多い。テレビは画像が乱れ、ラジオや電話にもノイズが混じる等...
  3. ブレーカーが良く落ちる。
  4. 湿気が酷い
  5. 腐臭がする
  6. 家の中のものの位置が変っていることがある。(鍋や椅子、扉の開閉などの小物に限る)
  7. 風呂の水が真っ赤に染まっていることがある。血のような匂いもする。
  8. 窓を叩く怪音がする。窓をひらいてみても外側にはなにもなく、ただ目と鼻の先に隣家の壁があるだけである。
  9. ラップ音のようなものが聞こえる。
  10. 雑音だらけの悪戯電話が掛かってくる。ヘレンには「出て行け」と言っている声が聞こえるらしい
  11. 誰かが窓から覗いているような気がする。もちろん鏡張りなので外から覗かれることはないし、そもそも隣家との間には、人間の入れる隙間は無い。
  12. 誰かが家の中にいるような気配がする。ヘレンは人影を見たことがあると言っており、ソフィアも、居るはずの無い第三者の足音が、家の中でときどきしているように感じられる。
  13. この家の先住者の中に、自殺者がいるという話しを聞いたことがある。

 ソフィアに同行しているアレックスは、そもそもソフィアに、拝み屋に解決を頼むなどというばかげたことを考え直してもらうための同行していたので、ソフィアがPCと交渉している間にも、PCに落ち度があれば揚げ足をとり、非現実的な言葉を口にしたらそれを非難し、「霊など存在しない。ばかげている」という態度をあらかさまにソフィアに考え直すよう、説得を続けます。アレックスにしてみれば、これは欠陥住宅をつかまされたせいに決まっている、ということになるのです。
 しかし、最後にはソフィアに、他に頼る術をしらない。最後の手段なのだから、と逆に説得され、PCに仕事を依頼することにしぶしぶ同意します。

2.怪現象の調査

 シナリオの前半は、依頼時にソフィアが話してくれた13の怪奇現象のひとつひとつを解明していくことで進んでいきます。
 しかし、それらの調査の間にも、様々な事件にPCは出会うことになります。

玄関での錯覚
 クリスティ家の玄関を通った際、「知覚力」判定に成功したキャラクターは、この家の中に誰もいないかのような錯覚を覚えます。すぐ隣で誰かが騒いでいたとしても、この錯覚を覚えます。
 ※シス・ハンスの霊の影響です。
ヘレンの錯乱
 ソフィアがヘレンをPCに紹介しますが、ヘレンは項垂れており、PCに挨拶を返そうともしません。
 その後アレックスが、PCの調査方法などを理由に難癖をつけてきます。彼はPCを詐欺師としてしか認識しておらず、「霊などこの世に居ない」と明言してPCを非難します。
 その時、騒ぎを耳にしたヘレンが突然大声でわめきだします。彼女は全員に「ここから出て行って!」と
 ※マム・ハンスの霊が彼女に憑依している影響です
ダンチェッカー遭遇事件
 調査を始め、どれか一つの原因が判明したところで、ボニー・ダンチェッカーが来訪してきます。彼女が来訪してきたとき、ソフィアとヘレンは留守で(会社と買い物に行っていることにしてください)彼女は誰かが出てくるまで執拗にチャイムを鳴らします。
 対応に出てきた人物に対し、彼女は最近やってきたPCがどんな素性の持ち主で、何故やってきたのかをうるさく尋ねます。そして、とっておきの話しを装い、「この家で自殺した人がいるらしい」と話しをします。
 また、この際彼女は、あつかましくも防犯上の理由から合鍵をうちで預かろう、という申し出をしてきます。(これは、自分たちがクリスティ家に不法侵入している疑いを逸らすための工作です)
 その後ヘレンとソフィアが居ないのを良いことに、待たせてもらおう、皆のご飯を作ってあげよう、などさまざまな理由を作って家の中に上がりこもうとします。
 彼女が家にあげてしまった場合、ボニーは非常に執念深い眼差しで家の隅々を睨め付けつつ、うまくもないご飯を作ってから帰って行きます。その際、可能であれば、なにか小物をこっそり持って帰ろうとします。
入ってきてはだめ!
 ボニー以外の誰かが玄関を通ったとき、PCに「意思力判定」を行わせてください。一番失敗の酷かったPCは、玄関を通った人物に対しつい警告を発してしまいます。GMはこのイベント用に用意しておいたメモをPCに渡し、行動に移すよう促してください。
 誰も判定に失敗しなかった場合、ヘレンが居れば、ヘレンが錯乱したときのように叫びだします。ヘレンが居なかった場合は、ソフィアかアレックスが、辺りをきょろきょろ見回す不審な動きを見せるだけになります。
 最低1回はPCにこのイベントを行わせるために、GMは調査の合間に、人の出入りを演出してください。

 以上のイベントは必ず起してください。
 これ以外にも、ソフィアの話した13の項目に含まれる怪現象もPCは体験することになります。GMはPCがひとつ怪現象を解明するたびに、[3.][8.][9.][10.]のうち、まだ解明されていない怪現象を起してください。尚[1.][2.][4.][5.]の怪現象は、取り除かれるまで常に起きています。
 同時に11.12.の怪現象を起すこともできますが、こちらは知覚力判定に成功したキャラクターのみが体験する、本当の霊現象になります。(PCがそれを察しないように、知覚力判定はGMが行ってください)

 またPCは適切な調査を行うことで、以下の事柄を知ることができます。

 以下の「ダンチェッカーの思惑」では、13の怪現象のうち、ダンチェッカーの起したものについて方法と理由を説明しています。GMはダンチェッカーが犯人であることを伏せた上で、怪現象の原因をPCの調査の答えとして与えてください。

ダンチェッカーの思惑

 ダンチェッカー家では現在、クライドが老いた両親と同居することを考えています。クライドは仕事柄この土地を離れられないので、遠方の両親をこちらの家に呼びたいと考えているのですが、6年前に引っ越してきて以来住んでいるこの家では、一家4人が暮らすには少々狭い、とダンチェッカー夫妻は思い込んでいるのです。(実際にはそんなことは無いのですが)
 今後子供が出来たときのことなども考え、なるべく大きな家に住み変えたいと考えていたとき、彼らの頭に飛び込んできたのが隣家のことでした。

 隣家は人が居付かないことで有名で、実際つい最近までは空家だったのです(クリスティ家の先住者は、この家を恐れて住もうとしなかったのです)。そこで、不動産屋に相談して隣家を買い取り、壁を繋げて二世帯住宅にすることを考えていたのですが、不動産屋と交渉したボニーが勘の強い性格だったため不動産屋に悪印象を抱かれ、購入を予定している人が既にいることを理由に体よく追い払われてしまったことがありました。
 そこでダンチェッカー一家は、越してきたクリスティ家を、この家がゴーストハウスであるかのように見せかけて早々に追い出し、その後で隣家を安く買い取る計画を立てているのです。

 この計画を思いついたきっかけには、ボニーが、クリスティ家の裏庭から姿見と思われているドア(ガラスのドアに鏡が嵌め込まれているというのが真相です)を通って、家人に気づかれず屋内に進入する経路を発見したからというのがあります。彼らはこの秘密の通路を通って、下記のさまざまな嫌がらせを実行しています。

2.  テレビの不具合は、電気に詳しいクライドがテレビの中に強力な磁石を仕掛けた為に発生したものです。ラジオ・電話のノイズも同じくクライドが、妨害無線電波をダンチェッカー家から発しているためです。
3.  ブレーカーが落ちるのは、クライドがブレーカーの中身を劣悪なものと交換した為です。ちょっと負荷をかけると直ぐにブレーカーが飛んでしまうようになっています。
4.5.  湿気と腐臭は、ボニーがクリスティ家の床下に生ゴミと水を撒いているからです。
 ゴミは台所の貯蔵庫から、水は床下の換気口を使って撒いています。
6.  ボニーやクライドが、隣家に誰も居ない頃を見計らって進入した際、置き土産のように行っている嫌がらせです。
8.  ダンチェッカー家の窓から長い棒を使って、クリスティ家の窓を叩いています。故に表から見て右側の壁面の窓でしかこの音は聞こえません。
 注意深く行っているので、セッション前半中に現場を捕まえることはできません。
10.  ボニーとクライドが暇なときに電話している嫌がらせです。注意深く聞くと、電話の向こうで、この近辺でしか聞こえていない音(例えば電車の信号や、犬の遠吠えなど)が聞こえています。
13.  ボニーがクリスティ家に話しているデマです。この辺一帯に聞き込みをしても、そのような噂は誰も聞いたことが無い、という返事が返ってきます。

 これらの内、クリスティ家への侵入を必要とする[6.]は、PCが調査に入りクリスティ家の出入りが激しくなると行われなくなります。(2.4.5.は既に仕掛けられているものなので、排除するまで影響は残ります)

 これ以外の項目は本当の霊現象というのが答えですが、PCがこれも誰かの悪質な悪戯と誤解し、誤った答えを導き出した場合でも、GMはそれを正す必要はありません。

3.霊の活性化

 事件を調査すればするほど、今回の怪現象は、誰かの悪質な悪戯であることが判明していくでしょう。[8.][10.]の怪現象の解明を通して、悪戯の主ががダンチェッカーであることに当たりをつけることもできます。
 PCがその考えに至った時点で、家人が全員揃っている時に、クリスティ家にボニーを再び訪問させてください。。
 PCが、事件のすべてが、隣家の仕業である確固とした証拠をつかんでいるならば、この時点でダンチェッカーの悪事を問い詰めることができます。
 証拠をつかんでいない場合でも、ボニーを前にアレックスが、「クリスティ家の指紋を採取し、ボニーの指紋と照合すれば結果がでる」と提案します。
 アレックスは「ソフィアさん、告訴なさいますか?」と尋ね、裁判沙汰にすることを提案します。しかしソフィアは、これだけ懲らしめれば十分だろう、もうダンチェッカーが悪さしてくることも無いだろう、とそれを拒否します。
 ※上の「告訴なさいますか?」の一言は必ず言ってください。アレックスでなく、PCが自発的に言ってくれるならそれに越したことはありませんが、この一言が、この事件を心霊事件へと発展させるトリガーなのです。

 ボニーはこの一言を聞くと隣家に逃げ帰ります。その後GMは下記のイベントを起してください。

 結局霊など関わっていなかった、ということで、その後アレックスの矛先はPCに向けられます。
 PCが、まだ原因が確かに判明していない怪現象があることに気が付いていなかったら、ソフィアがそれを指摘し、もう少しの間PCたちに家の調査を続けてもらいたい旨を言います。
 勿論、アレックスはそれでは納得しません。ソフィアが食事の準備の為台所に下がると、すかさずPCに文句をつけようとします。

 ところが、アレックスが口を開いたとたん、家中の電気が消えてしまいます。ブレーカーが落ちたためですが、ブレーカーを正規の部品と交換していたとしても停電は起きます。
 そして直後、台所からソフィアの悲鳴が聞こえてきます。
 台所に駆けつけると、ソフィアが膝をついているのが見えます。事情を聞くと、停電になったとき何気なく鏡を見たところ、自分の背後に鉈を構え、全身を血まみれにした半裸の男が、今にもバスルームから出てこようとしている姿が写っており、それが鉈を振り上げて襲い掛かってきた、というのです。
 ソフィアに怪我はありません。勿論、アレックスは「幻覚を見たんだ」という態度で接します。
 そこへヘレンが無気力な表情で現れます。そして、ソフィアを見ると突然悲鳴を上げて「入ってきてはだめ! 逃げて! ストーカーがやってくる!!」と叫び、そのまま気絶してしまいます。後に尋ねても、彼女にこの言葉を叫んだ記憶はありません。

 蛇足ですが、ストーカーのアクセントを平坦にすると、ただの追っかけの変態がやってくるような笑い話になってしまいますので、「ト」にアクセントを置いた正しい発音をしていただいた方が、話しが盛り上がるかと思います。

過去の事件

クリスティ家では、過去に一家惨殺事件が起きています。
 被害者はハンスという一家。グラン(60歳、男性)、パパ(33歳、男性)、マム(30歳、女性)、シス(10歳、女性)、ラズ(6歳、男性)の5人家族です。犯人は現ダンチェッカー家に住んでいたグレッグという夫妻で、彼らも無理心中したらしく、隣家の中で死体で見つかっています。

 40年ほど前、この地に越してきたばかりのグレッグ夫妻(現ダンチェッカー家)はハンス家(現クリスティ家)に告訴されかけていました。
 理由は、グレッグの家が、ハンスの敷地にはみ出していたからです。
 ところがグレッグはつい最近新築の家を買って何も知らず移り住んだだけなので、そのような話しをされても困惑するばかりです。グレッグは家を建てた建設業者に話しを持って行きましたが、強面の交渉役に凄まれて逃げ帰ってきました。
 実のところ、ハンスも建築中なにかおかしいことに気が付き、業者と交渉しようとして同じ目に会っているのです。
 業者を恐れてハンスはグレッグに話しをつけ、当然ながら話しがこじれると、彼らに「10月末までに改築工事に着手しなければ訴える」と宣言しました。
 しかし、グレッグにはそんな資金は無く、また話しの不当さもあって腹立たしい思いを抱えていました。
 10月10日に両者の間で最終的な合意を求めて話し合いが行われ、グレッグはやむなく工事をすることを了承したのですが、この日の深夜未明に、グレッグ夫妻は裏口からハンス家に侵入し、一家惨殺を行ったのです。
 殺人計画は予め練られていたと見え、凶器に使用された鉈や鋸、金槌などは、10月の始めに購入されていたことが判明しています。

 グレッグ夫妻は深夜ハンス家に忍び込むと、まず「クリスティ家見取り図」の「部屋1」で寝起きしていたグランを金槌で撲殺し、次に2階に上がり、部屋3で寝ていたハンス夫妻を鉈で殺害しました。マムはまだ息があったようで、その後廊下まで移動した後、死亡しています。
 ハンス夫妻の殺害後、グレッグは部屋3に入り、ラズを鉈で殺害。その後一旦自宅に帰りました。
 どうやらここで口論があったらしく、グレッグ婦人はこのとき夫に殺され、死体はグレッグ家に置き去りにされました。
 グレッグはその後、老人と子供の死体を裏口から空き地に運び、ハンス夫妻の死体をバスルームに移動させた後、血で染まったハンス家を綺麗にしようと試みたようですが、1階部分をある程度綺麗にしたところでこれを諦め、バスルームでハンス夫妻の死体の解体作業に取り掛かりました。一人で死体を運び出すのには、夫妻は体が大きすぎたためと考えられます。
 しかし、この作業中に朝になり、修学旅行に出かけていたシスが帰って来たので、グレッグは彼女が脱衣所の手洗いで手を洗っているところを背後から金槌で撲殺しました。

 ハンス一家全員を殺害したところでグレッグは、全ての作業を中断して家に戻り、そのまま首をつって自殺しました。
 彼のとった行動は異常かつとりとめもないものですが、おそらく殺害を行っている間か、もしくはそれを決意したときに既に、グレッグは正気を失っていたのだろう、という考え方が事件を担当した警察ではなされています。

 この殺人事件は、まず、先日もたれた話し合いの結果を尋ねにグレッグ家を訪れた親戚により、夫妻の死亡が発見され、その後、話しを聞きに隣家に伺った警察が、一家の惨殺死体を発見しました。

 ヘレンが亡霊を表して言った「ストーカー」という言葉は、ラズ・ハンスが、家の家鳴りを、化け物の立てる足音なのだと空想していて、その空想の化け物につけた名前です。夜中にみしり、みしり、と音がするたびに、彼はストーカーが来た、と空想してこっそり怯えていたのですが、この日、彼はその化け物に殺されてしまう事になったのです。

真相・悪夢の棲む家

 グレッグに殺されたハンス一家の亡霊は、今もクリスティ家の中に漂っています。
 ヘレンが無気力でありながら、時々憑かれたような行動に出るのは、同じく娘を持つ、マム・ハンスの霊の影響を強く受けているからです。
 ハンス一家のうち、シスを除く4人は、次の日帰ってくる予定のシスをなんとか殺人犯から逃がそうと必死に警告を発しています。
 シスは、「どうしてうちに帰ってきたのに誰もいないのだろう」と不思議がっています。自分が殺されたことよりも、彼女にとってはそのことが、一番怖かったのです。

 家の中でしている怪音や幻覚は、彼らが発している音です。
 生きていた頃のように生活している音も含まれますが、それ以上に居住者に対し、殺人犯に殺されることを警告する内容のものが多くなっています。風呂の水が赤いことやストーカーが覗いているという幻覚、誰かの足音などがそれです。

 そして、ダンチェッカー夫妻も、グレッグの霊に、実はとり憑かれているのです。

 アレックスの「告訴なさいますか?」の一言により、ダンチェッカーにとりついているグレッグの霊が活性化したことを感じ取ったハンス一家の霊は、「シス」が殺されないようにこれ以後頻繁に心霊現象を起こし、10月10日の夜「ストーカー」やってくることに対し警告を発してきます。

4.続・調査

 シナリオ後半は「ストーカー」こと、ソフィアが見たものの正体を掴むことが主眼になります。
 今後ハンス一家、およびダンチェッカー家に取り付いているグレッグの霊が活性化し、様々な霊現象が立て続けに起きることになります。

 ソフィアが「ストーカー」を見た後すぐにバスルームを調べても、何も発見できません。この時アレックスはソフィアについていてバスルームを調べるのに同行しませんが、この為に、後に彼は、バスルームにPCが何かを仕掛けていたのではないか、と勘繰ることになります。そして彼は霊体験をします。

 事件の後で一息ついたときに、アレックスはPCのうちもっとも信頼できそうな人に、シャワーを浴びてくる、と断って浴室に入ります。勿論本当にシャワーを浴びる気は無く、自分の目でトリックを解き明かそうとしているのです。
 バスルームに入り、まず鏡張りの窓を空けて外を覗いたところ、彼は外から中を伺っている何者か(ストーカー)と目を合わせてしまい、驚きのあまり派手に転んでしまいます。その後、空の風呂釜に血がたっぷり溜まっており、周囲に人間の部品が転がっているのを目にし、大きな悲鳴を上げます。
 アレックスが転んだ音、悲鳴の声は無論PCにも聞こえますが、PCが駆けつけたとき、すでに幻は消えており、アレックスがほうほうの体で台所に逃げ出し、呆然としている様に会うだけです。
 何が起きたのかアレックスに尋ねても言葉を濁すだけです。
 彼が自分の体験した霊現象を公表するのは、彼が、霊は確かに存在することを確信した後のことになります。
 アレックスがこの体験を公表するタイミングは、PCが煮詰まっているとき、もしくは話しが進展しそうな時に、その潤滑剤として行うのが良いでしょう。
 PCがまだ、グレッグの霊に気が付いていない場合はこのアレックスの霊体験を公表し、「クリスティ家の霊は、何故警告を発しているのか。それは、外から覗いているストーカーが危険な存在だからなのではないか?」という意見をアレックスに言わせて、PCたちの目を、ダンチェッカーに憑依しているグレッグの霊に向けさせてください。

 このシーンでは、GMはPCに「ストーカー」がこの家にとりついている霊ではなく、この家の外からやってくる化け物であることを気づかせてください。
 キーは、怪現象の[1.]窓に鏡が嵌め込まれているのは、「誰か外から覗いているものの視線を遮るため」というのがその理由であることです。これを不審に思うことで、PCは外からの脅威に注意を向けることができるでしょう。

 PCが見当違いのことをしていたり、腰が重かったりしたときは、立て続けに下記のイベントを起こし、PCをせっついてください。

 PCが、「ストーカー」がクリスティ家の外に確かに存在しているため、ハンス一家の霊が警告を発しているのだという事実を掴み、では「ストーカー」とは何者なのか、ということに興味を移した時点で、先の「過去の事件」の情報をPCに与えてください。
 PCが過去の調査を行わない場合、アレックスが先の霊体験を告白した後で、一度外出して警察が保管している「過去の事件」の調書を探し出し、「過去の事件」の内容をPCに伝えます。

 これによって、ストーカーこと「グレッグ」の霊がダンチェッカーに憑依していることが疑われるようになるでしょう。

5.ストーカーとの対決

 グレッグの霊こそ、ハンス一家の霊が絶えず住人に警告を放っている、その危険の主であることにPCが気づいたなら、あとはこのグレッグの霊と、ハンス一家の霊の除霊を残すのみとなります。
 ただ、これにはタイムリミットがあります。10月10日の深夜。この時間になると、覚醒したグレッグの霊が、ダンチェッカー夫妻を操ってクリスティ家への侵入を開始するのです。

 PCがこの時間の罠に気がついた時点で、GMは「ゲームの中では、今日は10月10日だよ」と親切に教えてあげてください。PCが最後までこれに気がつかなかった場合、GMはグレッグに不意打ちを取らせることができます。PCが裏口を塞いだり、警察を呼ぶなどの万全の体制を整えようとする前に、時間を夜に進めて、ダンチェッカーの侵入事件を起してください。

 ダンチェッカー夫妻は入り口に錠をかけ、PCとの交渉には一切応じようとはしません。故に、ダンチェッカーにとりついていることが判明しているグレッグの霊を、事前に除霊することはできません。
 ダンチェッカー家に侵入することはできますが、アレックスは不法な手段には反対します。彼を説き伏せるか騙すかしてダンチェッカー家に侵入するには、人目を避けて夜、実行に移すほかはないでしょう。
 もちろん、PCがそんなことをしている間にダンチェッカーはクリスティ家の姿見=裏口から忍び込んでおり、この場合クリスティ家に残された人々でダンチェッカーと、ストーカーの対処をすることになります。

 10月10日にグレッグが侵入してくることが予測できていれば、逆に待ち伏せすることもできます。ただし、GMはPCに残された時間を限りなく少なくし、PCに残された時間を活用するための知恵を絞らせてください。

 ダンチェッカー夫妻は、侵入に先んじて、クリスティ家の電話線と電線を切断します。そしてそれに前後して霊的な力により、クリスティ家の玄関、居間、及び2階のベランダ側から出入りすることが不可能になります。何故か戸が開かない、壊れない、ということにしておいてください。
 10月10日のキーワードに気がついていなかったPCも、この時点でグレッグの霊がやってくることに気がつくでしょう。誰も気がつかなくてもアレックスが、今がまさしく「10月10日の深夜」であり、グレッグがクリスティ家に侵入した時刻であることに気が付きます。

 ダンチェッカー夫妻は、腰に金槌と鉈を装備して、裏口から侵入してきます。裏口にバリケードなどがしてあった場合、まずはこれを排除してからの侵入ということになります。
 ダンチェッカー夫妻のデータは、旧版ルールブックP118の、「殺人鬼」のデータを参照してください。
 ただしダンチェッカー夫妻はグレッグに憑依されているだけなので、殺してしまうと後々法的に問題が起こります。彼らはある程度正常のものの考え方が出来、戦略的に攻めてきますが、説得することはできません。
 上手くダンチェッカー夫妻を無力化できた場合、突然彼らは我をとりもどし、自分たちが何故こんなことになっているのかをとても不思議がります。不思議に思うのはPCも同じでしょう。もし、PCがそのまま現状に対処できていなかった場合、次の「ストーカー」の攻撃は不意打ちとなります。

 ダンチェッカー夫妻を撃退すると、彼らに憑依していたグレッグの霊が憑依を解き、具現化します。グレッグの霊こと「ストーカー」は、ダンチェッカーから離れた後、すでにダンチェッカー夫妻によって進路の確保された裏口から改めて侵入を開始します。
 もし、ダンチェッカー夫妻との戦闘で、PCにかなりの被害が出ていた場合、ストーカーは一撃加えられただけで滅びることにしても、説得に応じ、浄霊されることにしても構いません。PCに十分な余力がある場合は、ストーカーのデータは、旧版P117のゴーストとして扱います。

6.ただいま

 ストーカーを撃退したならば、次の日の朝にシーンを進めてください。
 今回の事件を振り返って登場人物の間で色々会話が交わされるでしょうが、折を見て、GMは最後のイベントを起してください。

 チャイムの音がします。2回、3回。しかし、誰かがチャイムを押しているならば、玄関のガラス越しにその姿が見えるはずですが、そこには誰も居ません。
 やがて戸が開き、10歳くらいの少女が入ってきます。
 「ただいま」
 彼女はそう言って荷物を置き、それから不思議そうに家の中を振り返ります。
 「おかあさん、帰ったよ。 ...おかあさん、居ないの?」
 誰も返事をしないのなら、少女は「ねぇ、どこ?」と呟きながら廊下を進み、台所を通って、バスルームへと向かいます。彼女が殺害された場所です。
 誰かが後を追ったのなら、少女が洗面所で手を洗い、そのまま姿が掻き消えてしまうのを見ることになります。誰も後を追わなかったのなら、やがてちいさく、「ごとん」と音がして、玄関に残された少女の荷物が、うっすらと消えてなくなります。

 以上でこのシナリオは終了となります。
 シナリオ経験点は500。(+モンスター経験点など)報酬は全員分で200$(20万円)となります。

ホール岡路工房断空研!ミステリーツアーズ-悪夢の棲む家