| ホール−岡路工房−断空研−妖精作戦 |
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作者:EL。 '01.09
対象ルール:ギアアンティーク・ルネッサンス(2000年以前)
PCはフィラムの辺境にある小さな町に居ます。
今この町の外れに、フィラムの軍用飛空挺が不時着しています。エンジンの不調が原因であるということですが、飛空挺の着陸している町外れ近辺は、飛空挺に搭乗していた軍隊が立ち入りを禁止しており、町の人々はそれを遠巻きに眺め、あるいは酒場で、この事件を肴に噂話に華を咲かせています。
GMはPCに、今何処にいて、何をしているのかを尋ねてください。シナリオとしては、PCは飛空挺の停まっている町外れと、酒場の2箇所に分散しているのが好ましいです。
飛空挺を見物しているPCは、軍隊の様子が慌しくなり、高圧的な態度の士官から「エンジンが回復したので、数分後にここを離れる。市民の協力に感謝する」とのお達しがあるのを聞きます。
その後周辺の警備は地元の警官に任され、飛空挺の関係者はすべて船の中に引き上げ、やがて船のエンジンが始動したらしい、低い唸りが聞こえ始めますが、その直後、船室部分の後方で町中を揺るがすほどの大爆発が起き、辺りに煙が充満します。技術者がいれば、爆発のあった辺りが丁度エンジンルームの辺りなのではないか、と推測することができます。そして煙が晴れるのを待たず、町を大地震が襲います。
ここで一度シーンを切って、[2]に進み、他の場所に居るPCに話を振ってください。彼らの行動が解決してから、先に進んでください。
煙が晴れる頃になると地震もやや穏やかになっており、空を見上げると飛空挺が既に空に浮かんでいて、その後部が無惨に引きちぎられているのが見えます。飛空挺のエンジンルームがあった後部は地上に置き去りにされており、それを支えるかのように地面から、巨大な9本の、発光する触手が伸びているのを目にします。
※他の場所に居たPCは、急いで町外れに駆けつけるなら、この頃に合流することができます。
飛空挺は低空を旋回しており、飛空挺の中で、軍人と白衣を着た女性が争っているのが千切れた場所から伺えます。そして飛空挺が丁度PCたちの頭上を通過しようかというとき、野次馬の中から「人が落ちるぞー!!」と叫び声が上がり、同時にPCたちの頭上に白衣の女性が落下してきます。
どのような手段を講じても構いませんが、PCが女性を助けようと積極的な努力を行った場合、彼女は一命を取り留めます。そうでない場合、彼女は地面に激突して暫くは口を利く事もできない瀕死の重傷を負います。(このシナリオの続きを作成するつもりが無い場合は死んでしまったことにしても構いません)
酒場などの町外れでない場所にいるPCは、突然大きな爆発音がして建物が震えるのを感じます。そしてその騒ぎが収まらないうちに大地震が発生します。
周囲の人は何が起きたのか、と狼狽していますが、ここで事態の把握に努めるなら、PCは2階などから町外れの方を見物していた人に爆発を起したのが飛空挺であることを聞くことができ、更に地震の後ならば、同じく高所に居た人から話しを聞くか、もしくは外に出て自分の目で、道路に亀裂が走り、そこを境目にPCたちの居ない側が陥没しているのを目にします。いえ、実際にはPCたちの居る側が浮上しているのですが。
境目の付近は地崩れが酷く近寄ることができません。近寄ろうとしても周囲の人物に、混乱が収まるまでは危険だ、と足止めされてしまいます。
その後、飛空挺の停まっていたほうから騒ぎがしてきます。GMは以上の事件を目撃させた後で、PCを町外れで合流させるよう誘導してください。シーンは一旦[1]に戻ります。
町の浮上は、以後シナリオをクリアするまで続きます。早くに手を打たないと、やがて気温の低下と空気不足で町は全滅するでしょう。
飛空挺は女性を振り落とした後、わき目も振らず一目散に退散してしまいます。
女性が健在なら、彼女から、事件のあらましを聞くことができます。
女性の名前はエバンゼリン。1級技術資格を持っている30代の科学者で、今はフィラムの軍と共同で新型エンジンの開発を行っています。
彼女から聞ける話しは以下の通りです。
今回彼女が乗っていた飛空挺は、彼女が軍と共同開発した試作エンジンを搭載していたのだが、丁度この付近を飛行中、エンジンの調子が悪くなり、ここに不時着した。
暫く調整していた結果エンジンの具合が回復したので、再び起動させたところ、突然何かが飛空挺の床を突き破った。慌てて乗員は退避したが、その直後にエンジンが暴走し、高エネルギーを放出し、大爆発が起こった。
飛空挺は予備の動力を使用し飛び立った訳なのだが、船上で軍の士官と彼女との間で、この度の件について責任の所在を問う口論になり、彼女は争った弾みに落下してしまった。
あの触手が何なのかについては、彼女も見当がつかない。ただ、触手が発している光は、エンジンが放出した高エネルギーの光と同質のものであるように思える。
彼女は必ずしも真実を話している訳ではありません。GMは彼女が話しを取り繕ったり、宙に視線をさまよわせる様を演出してください。また、彼女は決して新型のエンジンがどのようなものであるかを口外しませんが、実はあれは妖精を核に使用した妖精エンジンです。
触手を調査しに行くことは可能です。触手は発光しているだけで他になんの危害も周りには与えていませんが、近寄れば、光がエンジンルームから地下へと流れているのが分かります。
エンジンの調査は、エバンゼリンが健在ならば、彼女は最初のうちは危険であると反対します。しかし後で意見を翻し、自分以外の誰もエンジンルームに立ち入らないことを条件に調査に同意します。
エンジンルームの内側を見ることができたなら、液体を満たした発光するカプセルを複雑な機械構造が幾重にも覆っているエンジンを見ることができます。
幾本かのシリンダーが並んでいる機材がカプセルに直結しており、シリンダーにはさまざまな色合いの液体が注入されています。
1級技師資格の保持者は、エンジンを見れば、それが噂に聞く妖精エンジンではないかと推測することが出来ます。
医療、薬物、毒物、珍品知識の何れかの保持者は、シリンダーの中身が栄養剤の類のものであると鑑定できます。
エンジンは、エバンゼリンを持ってしても止めることは出来ません。この町を吹っ飛ばす覚悟があるなら別ですが。
話しが手詰まりになる前に、謎の老人が現れます。彼は下水掃除夫といった身形をしており、PCに「地下で拾った」と、一枚のプレートを見せます。そのプレートには古代語の一文が記されています。
古代語をPCの誰も読めなければ、エバンゼリンか、何故か老人も読むことが出来ます。プレートに記されている言葉は「ヘルメスは彼方へと飛ぶ也」です。ヘルメスはプレイヤーの世界の神の名前ですが、この際、星王ルーシラの眷属の亜神ということにしておいてください。
この町には、ユークリッド王朝時代のものと伝えられている地下構造物があります。(本当はトーラの遺産ですが)現在そこは、食料の倉庫などの用途に使用されており、老人のようなボランティアの掃除夫が雇われて働いているのですが、老人の話しだと、地震が起きた直後から、地下構造物の入り口が2重構造に変形し、壁面にはあやしげな文様が浮かび上がり、すっかりダンジョンの様相を呈しているということです。
老人は[3]でPCに話したことを町の権力者にも話し、結果急ぎ地下の探索を行ってくれる有志が募られます。
地下のマップは、トランプを使用して表現します。トランプの中からA〜Kまでの一組を抜き出し、そのうちAを除く12枚を、裏返しのままランダムに3×4マスで並べてください。出入りするためのスタート地点を決め、そこの一枚を表に返します。以後、PCがどちらかの方向に進むたびサイコロを一つ振り、その場所のカードがまだ裏返しのままならば表に返します。
それぞれのカードに書かれた数字とサイコロの出目により、以下のイベントが発生します。
| トランプの意味 | |
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| 2〜J | 幾何学的な文様と、脈動し、発光するパイプが通路を覆っています。通路は隣接するカードの数と同じ方向に分岐が存在します。[8][J]の場所ではイベントが発生します。 |
| 8 | 9匹の苦力虫が死んでない限り、必ず苦力虫(GAR P184)が現れます。虫は小さな路地を背にしてPCに対し威嚇を行い、決して路地の前を離れようとしません。路地の先は行き止まりになっているように見えますが、実は感圧式の自動ドアの向こうに、[A]に通じるエレベーターがあります。 |
| J | 苦力虫に怪我を負わされた探索仲間が居ます。彼とその仲間は、数字の[8]の場所で虫が壁を守るような、変な行動をしていたと報告します。 |
| Q | 元々地下構造物の管理室として使用されていた場所ですが、今はオーバーテクノロジーによって遺跡を管理する部屋となています。コンピューターが設置されており、モニタには遺跡の全マップが表示されています。また、侵入者(人間)と警備員(苦力虫)の所在地も表示されています。マップは古代語で表示されており、[Q]は「警備室」[K]は「整備室」と表示されています。また、異なる階層に一つ部屋があり、そこは「制御室」と表示されています。([8]にあるエレベーターのことは記されていません) またこの部屋からは、老人にもらったものと似たプレートが見つかります。プレートには古代語で「唱えよ、主」と記されています。 |
| K | 元々色々な資材がおいてあった場所ですが、今は遺跡の整備室となっています。苦力虫(GAR P184)が2匹おり、戦闘になります。 この部屋には古代語で書かれた、遺跡の操縦マニュアルが置いてあります。 |
| A | 遺跡のコントロールルームです。[K]で入手したマニュアルを解読し、老人から得たものと[Q]で見つけたもの、2つのプレートを使用してシステムロックを解除した後に「主」とパスワードを入力すれば、以後遺跡を自由にコントロールすることができます。 |
| サイコロの意味 | |
| 2〜5 | 特に何事も起きません。 |
| 1 | 苦力虫(GAR P184)が現れ、戦闘になります。苦力虫は、重傷を負うと逃亡を図り、これを許すと、以後遭遇したときには完全に体力を回復しています。 |
| 6 | 1度目のみ元気な探索仲間と出会います。2度目以降は負傷している仲間と会うことになります。彼らは、まだ表にしていないカードがあるばあい、そのうち一番近い1箇所の情報を提供してくれます。 また後半、まだPCが[A]の場所に感づいていない場合、[J]のイベントと同じく、[8]で虫が不審な動きをしていたことを教えてくれます。 |
最初に地上に戻る際、まだ苦力虫を1匹も殺していなかった場合、出口のところで探索仲間と出会い、彼らの口から「苦力虫を1匹殺した」という情報を聞くことになります。
地上に戻ると、死んだ苦力虫の数だけ、エンジンルームを囲んでいた触手が活動を停止しているのが分かります。町で待機していた人と話しをつき合わせてみれば、触手の活動が停止した時刻と、苦力虫が死んだ時刻が同時であることも分かるでしょう。
停止した触手の数にあわせて、町の上昇速度が減じているのも調べれば分かります。エバンゼリンが生きていれば、彼女の計算によって、触手が全滅したときの上昇速度がゼロになることが判明します。
この町は、トーラ文明の遺跡の上に建っています。遺跡はかつて神々が悪魔の月から押し寄せてくる降魔と戦っていた頃、星界の防衛線と地上を行き来する輸送船として活躍していたもので、無論、このまま上昇していけば、エアロックの外側にある町の人々は確実に死亡してしまいます。
遺跡は今まで長い休眠状態にあったのですが、エンジンにされた妖精の悲鳴が遺跡の機能を一部呼び覚まし、目覚めた遺跡が妖精エンジンに干渉して自分の上に導き、活動を再開するためにエンジンのエネルギーを取り込んだのです。
[K]で入手したマニュアルを解読するのには、エバンゼリンでもやや時間がかかります。ちなみに老人に頼むと、なぜかすらすら読んでくれます。
どちらにしろ、解読されるのはマニュアルの中でも、遺跡を無事降下させるための手順が記された場所のみとなります。エバンゼリンはそれ以外の部分について尋ねても「必要ない」と言い(実際は時間が足りなくて翻訳できないのですが)、老人の場合は笑って、今何が一番重要なのかをPCに説教しだします。
マニュアルによると、プレートを制御室の指定の場所にはめれば、システムロックが解除されて手動での操作を受け付けるとのことですが、実際に試してみると、パスワードを音声入力するように、と求められます。
ここでは、「主」と古代語で発音するのが正解です。(「主、と唱えよ」という意味でプレートにパスワードが書いてあったということなのです)システムロックが解除されると、あとはマニュアルを読んで操作が可能な人物が、無事町を、もと在った場所に着陸させることができます。着陸後触手は姿を消し、地下も元通りの形に変じ、異変の後を残すのは円形に崩れた町を取り巻く地形と、光を失った妖精エンジンだけとなります。
苦力虫を全滅させた場合も、町は下降を開始します。ただしこちらの下降は緩やかなものではなく、自然落下です。人々は生まれて初めてゼロGを体感することでしょう。
しかし、地面に激突する直前、町は何かに守られるかのように緩やかに1Gを回復し、音も無く、もともと町のあった場所に着地します。それどころか、上昇の際に崩れた縁の部分も、まるでなにもなかったかのように元通りになっており、町外れの妖精エンジンさえ、消えてなくなっているのです。
呆然とする町の人々の間を、「やれやれ、とんだことがあったもんじゃわい」と頭を掻きながら、老人が歩み去っていきます。
どうやら、今回は亜神のひとりに助けられたようですね...
町が地上に戻った後は、残されたものについてさまざまな騒乱が起きることでしょう。妖精エンジン、発露したトーラの遺産、エバンゼリンの頭脳、そして町を救ったPCの活躍などです。
これらのひとつひとつは、別のシナリオで解決するに相応しいものでしょう。しかし、都合によりこのシナリオの続きが出来ない方々も多くいらっしゃることと思います。
その場合、妖精エンジンとエバンゼリンについては、後日フィラムが回収に来たことにしてください。トーラの遺産は、これが世間に暴露されれば戦争の種になりかねないと、エバンゼリンが関係者各位に沈黙を守るようお願いします。いずれ誰かの口からばれることでしょうが、それはそのときのこと...
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