
ウェルス=ビーズ帝国はベアンツの伝統・文化の継承者として西方世界に君臨する超大国である。
政体は帝政ではあるが、政治面のベアンツの伝統、すなわち市民の自治を行っているため、様々な意見を
闘わす弁論術などが発達しているのが、他の地域と比べて特異的な点である。従来の市民の自治は
直接政であったと伝えられているが、現在の肥大化した人口には対処しきれなくなったこともあり、
間接政を行っている。このような他の地域には見られない政体を取っているために、この地域で発生する
トラブルもこの地域独自のものとなり、弁舌家や証文記録士といった職業に就くものが多いのも特徴である。
帝国の領域内には先住民族であるアイリス人と、かつての征服民族であったベアンツ人とが共存しているが
もはや共存も長期に渡っているために、民族間の衝突というものはほとんど発生していない。しかし、
アイリス人たちが失っていないものの一つに、類い希なる芸術への情熱と、美への追究心が上げられる。
美への追究から、芸術家になるものも多く、街のあちこちに彫像が建ち並んでいることは他の地域では見られない
特筆すべき事柄と言えよう。ベアンツ人の実務的な気質と、アイリス人の観念的な気質、これらの融合が
ウェルス=ビーズ帝国を形作っているといっても過言ではない。事実、過去四度に及ぶ暗黒教団を奉ずる
イーザル帝国との戦争においては団結力を見せ、ほとんどの戦争に勝利している。
国内の主要な経済は、なんと言っても交易の中継点という利点を活かした商工業が盛んである。
東方、あるいは西方から運ばれてくる品々が、この地で加工され、さらにあちこちへと運ばれていく経済的な
要衝となっている。こうした貿易業が盛んなことからも船舶の操船技術や造船技術が高まり、遥か遠方の
港にまで航海に出かける冒険商人たちが多いことも特筆に値するだろう。
また、農業においてはアジャナス大陸側では大規模な小麦畑が広がる大農場が多く、平地に乏しい
ロンドランドでは果樹などを栽培していることが多い。海に面した地域が多いのも特色であり、天然の良港が
多いのもその特色の一つである。また、レイディス=プールにある漁業組合に所属する船舶の中には
遠洋航海能力を持つものもあると言われている。
ウェルス=ビーズはアジャナス大陸のヘミトス半島および対岸のロンドランド北部に広く領土を持ち、
その土地も大半が農耕に適している。ヘミトス半島側は、レオポールド川やベル川などの大河があるのに対して、
ロンドランド側には大河がなく農耕に関しては制限されてしまっている。都レイディス・プールはヘミトス半島の
最南端から更に広がるルテキア半島に位置し東西の貿易の中継地点として賑わいを見せている。
ルテキア半島とアジャナス大陸とは幅約30マイル(48km)のヤーコフ地峡で結ばれている。アジャナス大陸側は
平地が多く目立った山もないが、ロンドランド側では海岸沿いと山間部での人口格差が激しい。
アジャナス大陸側第二の都市、ディオスス・プールはかつての都で、その街並みは当時の繁栄を偲ばせる。
この都市は湿地帯の上に建設され、東を海に、残る三方を湿地帯に囲まれており、防衛拠点としても
十分な役割を果たしていた。
ウェルス=ビーズの領域内には三つの森がある。一つはアジャナス大陸側、レオポールド川沿いに広がる
ミーデル森で、もう一つがロンドランド側、セポス王国連合との国境地帯に広がっている明るき森、三つ目は
北部の謎めいた地域に鬱蒼と広がる悲しみの森である。ミーデル森はそれほど深い森ではなく、川沿いに
帯状となって続いているが、奥地に関しては未調査、未踏破の地域が多く謎のままである。それに対して、
明るき森は広範囲に渡って広がっており、不慣れなものが歩くには少々危険がつきまとう。
しかし、明るき森の中にはエルフのザルトフィーア族が住んでいるので、友好的な種族であれば手助けを
してくれるかもしれない。悲しみの森に関しては、年間を通して深い霧が立ちこめ、外界の侵入者を阻むかのような
様子、雰囲気を醸し出している。この地への冒険を試み、かつ生還してきた者の報告によると、この森の中には
未だに地誌書に載っていないような未知のクリーチャーが生息しているという話や、気候や時間などの条件によって、
存在していなかったように思えたものが、急に現れたり、その逆があったりという不思議な話が多く聞かれる。
気候としては、領域全体が温暖で過ごしやすく、適度な降雨と乾燥により、夏場は湿り気が少なく、
過ごしやすい。冬場も数回、降雪が認められる程度であり、一年を通じて過ごしやすいことに変わりはない。
工事中
都レイディス・プールは、ベアンツ帝国のティースが崩壊し、大都市というものが西方世界から消滅した
現状では最大級の都市である。市内には行政区、工業区、 居住区に分けられており、その他にも
優秀な歩兵隊によって広く知れ渡っている国軍の第一軍管区司令部とその指揮下にある歩兵駐屯地が
市に隣接している。また、市は頑丈な城壁により五重に守られており、地上からの攻撃に関しては
完璧な防御を誇る。
市内の商業区には、各地のあらゆる品々が並び、東西の商人が集まっている様はさながら名産品の
展覧会のようである。また、市内のテイスフォー教の大聖堂には教会内の最高位者である総大主教が
執務を行っている。さらに、都市部を見下ろす東側の丘には官僚街と皇帝の居城となる雄獅子宮がある。
内海沿岸のディオスス・プールはベアンツ暦802年から860年に至るまで、都が置かれていた古都であり、
街並みは当時のものがそのまま残されている。この都市は湿地帯の上に建設されたもので、建設には
ドワーフの秘技と魔法の力が多用されている。本来なら、内海の貿易拠点となる位置にあるのだが、
内海を挟んだイーラ帝国との関係が思わしくないため、その働きは十分に果たされているとは言えない。
工事中
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