フォーセリア世界における人間社会は、点と線でイメージされる。
ファンタジーTRPGでは、孤立した社会の間をPCが移動するという状況が比較的に多く取られる。いくつもの大小の点が細い線でかろうじて結ばれているのをイメージしてもらうと良いかもしれない。ファンタジー世界であれば「点」が「都市や村落」、「線」が「街道」にあたる(そして怪物の脅威が線を細くする要因となる)。
これはあまりに整備された社会基盤を持つ世界では「冒険」がやりにくいことから編み出された世界設定手法といえる。先ほどのイメージを利用するならば「点と線の世界」と呼ぶのが手軽だ。
一方で現代を題材とするTRPGは、社会は整備されているが、そこでは捕捉されていない力が存在しているとする手法がとられる傾向にある。さしずめ「面の世界の裏」とでも呼べるだろうけど、これは今回は置いておく。
日本で一番有名なファンタジーTRPGに「ソードワールドRPG」というのがある。これの世界設定を「点と線の世界」という視点から再構築してみるのも楽しそうなので、少し遊んでみる。
1999年末頃のとある掲示板に書いた文章を再編集。さすがに4年近く前の文章だけあって、読んでて恥ずかしかった。
ちなみに私的FAQ集約ブツとしてなぜなにSWなんてのもやってたり。
いくつもの大小の点が細い線でかろうじて結ばれているのをイメージしてもらうと良いかもしれない。
こういう世界では「未だ結ばれてない線を繋ぐ」とか「断線を修理する」なんて冒険が簡単に作れる。ファンタジーの文脈で例を出せば「対立するエルフ族とドワーフ族の集落を、オーク族撃退を旗印に一致団結させ、交流を持つ程度にまで和合させる」とか「宿場町の依頼で峠に住み着いた怪物を退治する」とかね。
あるいは「線を渡ることのリスクを代わりに背負う」という形の冒険も提供できるか。運搬とか護衛とか。
『ソードワールド完全版』によれば、フォーセリア世界の歴史は「神話時代」「古代王国時代」「新王国時代」の3つに大別される。神話時代は考察するだけ野暮なので、ここでは「古代王国時代」から考えるとしよう。
古代王国時代の社会と怪物の関係はどういうものだったのか。これはルールブック306ページの次の一文が端的に説明している。
古代語魔法、精霊魔法、それに神聖魔法と呼ばれる三種類の魔法の体系は、華やかな文化を作り上げ、都市を空に浮かべ、そして成長した竜どもさえ下僕として使ったといいます。
ルールブックに収録されている怪物の中でも屈指の脅威度を誇る「成長した竜」でさえ統御したという点から、古代王国時代の社会は怪物を脅威としていなかったと考えられる。この考えは、怪物の中でも魔法生物がかなりの強さを持っていることによっても補強される。
そういう意味ではこの時代は「面の世界」と言えるかもしれない。
古代王国の社会体制は、支配者層の居住する「都市」とそこに物資を供給する「荘園」によって構成されていたのだろう。そして熱心な研究者や荘園監督を除けば、王国の民は都市部に集中していた、と。
んで、やがて支配の基盤である魔法が崩れ、辺境の地に追いやられたり荘園で労働力とされていた蛮族が自分たちの社会を作ることになるわけだけど……
そういう意味ではこの時代は「面の世界」と言えるかもしれない。
注意すべき点は、別に大陸の隅々まで支配する必然性はないということ。要は食料と産物が足りれば良いわけで。特に脅威となるような個体については強制の呪いでも課しとけば良い。
支配基盤である魔法の力が弱まり、荘園で働かせられてたり、危険な辺境に追いやられていた蛮族たちは自由を手に入れた。しかしそれは同時に荘園監督が追い払っていた怪物の脅威に晒されることも意味していた。
そこで蛮族は、天敵から身を守るために「砦=村」を築き「点の国家」として再出発をすることになる。これはやがては現在の「線の国家」に発展していく。
国とは国王が「王城/王都を中心とした地方(大きな点)」を支配し、これに従う貴族たちが「城館/都市を中心とした地方(点)」とつながってネットワークを結んでいるのが現状である。
魔法の復興により、点の半径は大きくなってはいるものの、国土の大半は未踏地/非文明地のままである。そこには怪物や定住しない人々─蛮族や山賊の類─が跋扈し、常に点と線の安定を脅かしている。
これが、「点と線の世界」としてイメージされるフォーセリアである。
一応、これで「『点と線の世界』としてのフォーセリア」は終わる。4年前の、それも掲示板への投稿物だったものなので、かなり改訂を加えたが論旨はそのままである。
ファンタジー世界を設計する上で、なにかの参考になるかと思いリライトしてサイトに転がしておく。
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