『活肉まん』

 登場人物  
   
  八神敦スチャラカ大学院生。鋼鉄の胃袋をもつ。 
  小松訪雪骨董屋のおやぢ。いつも何か食べているような。 
  おやぢ謎の饅頭売り。売っている肉まんがちょっと変。 
   
 寒い日は肉まん  
   
  八神「……寒い」 
  訪雪「ほふー(肉まん)」 
  八神「肉まんいいなー」 
  訪雪「ちょっと先でなんか怪しげな人が売ってたよ」 
  八神「そうですか、いってみよー」 
   
 訪雪に教わった方向にしばらく歩いていくと、道ばたにスチール机と保温ケースが置かれている。
そしてその傍らには、濃い顔立ちのおやぢが一人。どうやら彼が店主らしい。
 
   
 
 
   
 活肉まん  
   
  八神「おっちゃん、肉まん二つ」 
  おやぢ「へい、肉まんふたつ(ばたん、がさがさ)」 
   
  肉まん(ごそごそ) 
  八神「ん?」 
   
  肉まん「きゅー」 
  八神「………きゅー?」 
   
  おやぢ「うちのはイキがいいからおいしいよっ」 
  肉まん「きゅーきゅー(もぞもぞ)」 
  八神「何か鳴いて上に動いてるんですけど」 
  おやぢ「よそは死んでるのしか売ってないけどね、うちのはちゃんと生きてるから」 
   
  八神「うぬぬ」 
   
 ふと気になって見回すと、机の横に「活肉まん」ののぼり。
どうやら普通に売っているものらしい。
 
   
  八神「……いくら?」 
  おやぢ「いっこ50円。安いよっ」 
  八神「んじゃ2個で100円……はい」 
  おやぢ「毎度ありっ。かわいがってやっとくれね」 
  八神「……かわいがる?」 
  おやぢ「うん、がぶりと頭から」 
   
  八神「(肉まんをじーっとみて)どっちが…てゆーかどこが頭?」 
   
 
 
   
  肉まん「きゅー(ごまつぶくらいのつぶらな瞳)」 
  おやぢ「目のついてる方があたま」 
  八神「なるほど」 
   
  八神「それじゃ(小首を傾げながら去っていく)」 
   
  おやぢ「あんまんと一緒にしとくと、どっちつかずの仔が殖えるから気ぃつけてなっ」 
  八神「はーい」(てくてく) 
   
 寒い日は活肉まん  
   
  肉まん「きゅー?(みつめる)」 
  八神(ばくっ) 
  八神「お、マジうめぇ」 
  肉まん「きゅきゅー(仲間の最期を眺めてる)」 
   
  八神「次ー(ばくっ)」 
  肉まん「きゅー」(ひくひく……しーん) 
  八神「(もぐもぐ)あーうまかった」 
   
 ……2001年ある秋の寒い日、吹利市内での一幕。 
   
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