ギリシア・ヘレニズム世界
頁末
エーゲ文明
オリエント文明(特にエジプト)の影響でエーゲ海域に成立した青銅器文明
クレタ文明(前2600頃〜前1400頃)
- 中心地
- クレタ島のクノッソス
- 遺跡
- ラビュリントスとして知られる宮殿(伝説ではミノス王の宮殿)
- 発掘者
- エヴァントス(イギリスの考古学者)
- 特徴
- 小アジアから到来した謎のクレタ人の文明。エジプトの影響、海洋型、開放的で城壁が不在
- ギリシア人(印欧語族)の一派のアカイア人の侵入で滅亡
トロヤ文明(?〜前1200頃)
- 中心地
- 小アジアのトロヤ
- 遺跡
- ホメロスの『イリアス』に登場するトロヤ戦争の舞台となった城壁
- 発掘者
- シュリーマン(ドイツの実業家、自叙伝『古代への情熱』が有名)
- 特徴
- クレタ文明の影響を受けずに独自に発達
- ギリシア本土との戦争に破れミケーネ文明圏に吸収される
ミケーネ文明(前1600頃〜前1100頃)
- 中心地
- ギリシア本土のミケーネ、テリィンス、ピュロス、オルコメノス
- 遺跡
- ミケーネ王城(獅子門が有名)
- 発掘者
- シュリーマン(ドイツの実業家、自叙伝『古代への情熱』が有名)
- 特徴
- 南下してきたギリシア人の一派のアカイア人の文明
- クレタ文明の影響、尚武的で城壁などの軍事設備を整備
- ドーリア人(ギリシア人の一派で鉄器を使用)の侵入で滅亡
暗黒時代(前12C〜前8C)
エーゲ文明の文化
文字
- 絵文字、線文字A
- クレタ文明圏で使用、未解読
- 線文字B
- ミケーネ文明圏で使用、イギリスの建築家ヴェントリスが解読
文字の消失
上記の文字はミケーネ文明の滅亡とともに消失。
後のギリシア文字は前9〜前8Cにフェニキア文字から作成
ポリス世界の成立&拡大
エーゲ文明(前2600頃〜前1100頃)
- ギリシア人の南下
- 第一次南下:アカイア人の半島部定着
- 第二次南下:ドーリア人の半島部定着
暗黒時代(前12〜8C)
- 文字不在の時代
- 新社会形成への転換の時代
- 鉄器時代への移行
- 方言群の形成(北部のアイオリス人、中部のイオニア人、南部のドーリア人)
- ポリスの形成
- フェニキア文字の流入(末期)>ギリシア文字の作成
ポリス世界の成立
大植民時代(前750頃〜前550頃)
ギリシア人が本土を離れて地中海・黒海沿岸に植民市を建設
代表的ポリス
- ビザンティオン
- ネアポリス
- マッシリア
- ミレトス
- 小アジア西岸、自然科学の発祥の地
- シラクサ
- シチリア東岸、アルキメデスの出身地
植民活動の影響
- 交易活動の促進
- 商工業の発展
- 貨幣経済の進展(リディア王国の鋳造貨幣)
- ↓
- ギリシア文化の拡大
ポリス世界の拡大
ポリス
ポリスの形成
- アテネ型
- 軍事経済上の要地へのシュノイキスモス(集住)により成立
- スパルタ型
- ドーリア人の先住民征服により成立
ポリスの構造
- アクロポリス
- 城山(中央の丘)、神殿が存在
- アゴラ
- 城山を囲む公共広場、集会・裁判などを開催
- アステー
- 公共広場を囲む貴族居住区、周囲を城壁(市壁)で囲む
- クレーロス
- 城壁外に広がる自由人に分配された土地(農地)、奴隷を用いて耕作
ポリスの性格
- 独立した主権国家、自由・自治・自給自民の原則(市民皆兵)
- 相互に強いライバル意識
- ギリシア人としての同胞意識を持ち外敵に対しては団結
ギリシア人の同胞意識
- 国土をヘラス、自分たちをヘレネス、異民族をバルバロイと呼び軽蔑
- 一つの神殿を守るため周囲のポリスが隣保同盟を結成
- 重要な決定事項などに際してデルフォイの神託を崇拝
- オリンポス12神を信仰
- ペロポネソス半島の神域でのオリンピア競技会の開催
植民市の性格
- ギリシア本土の土地を失った人々や党争の敗者などが建設
- 母市から独立した主権国家、文化習慣は母市を継承
- ギリシア人としての同胞意識を持ち外敵に対しては団結
スパルタの国制
ペロポネソス半島のラコニア地方のドーリア人のポリス
厳格な身分制度
征服民
- スパルティアタイ
- 完全市民、少数のドーリア人が支配権独占
非征服民
- ペリオイコイ
- 劣格市民、商工業に従事
- ヘロット
- 農業に従事
社会・政治制度
- 特徴
- 王政のポリス(民主制への移行なし)
- 伝説的立法者リュクルゴスの法に基づく特異な制度の実施
- 他のポリスと異なり農業が盛行
(穀物の自給が可能、しばしば鎖国政策実施)
主な機関・役職
- 王
- 2つの王家、名誉職的な存在で権限は弱い
- 長老会
- 王を補佐する機関
- エフォロス
- 民会から選ばれた5名の監督官、政治的実務を担当
- 民会
アテネの盛衰
アテネ :中東部のアッティカ地方にあるイオニア人のポリス
王政・貴族政期
- 王政期
- ミケーネ期〜暗黒時代
- 貴族政期
- 暗黒時代〜前6C
民主制改革期
- 平民の台頭
- 商工業の発展による平民の経済力向上
- 武具価格の低下による平民の重装歩兵が主力化
- ドラコンの立法(前621)
- ソロンの改革(前594)
- アルコン(執政官)のソロンが貴族と平民の対立を調停
- 財産政治の実施・負債の帳消し・債務奴隷の開放
- 僭主制の開始(前561)
- 僭主ペイシスラトスによる善政
(貴族政を打倒・自作農育成・商工業奨励)
- 後継のヒッピアスが暴君化
- クレイステネスの改革(前508、民主制の基礎確立)
- 僭主の出現防止のためにオストラシズム(陶片追放)実施
- 旧来の血縁的4部族制を廃止し地縁的な10のデーモス(区)を設置
ペルシア戦争(前500〜前449)
アケメネス朝ペルシアとの戦争
ヘロドトスが『歴史』において物語的に記述
- 原因
- アケメネス朝ペルシアの西方拡大(小アジア〜バルカン半島)
- 地中海商業圏をめぐるギリシア人とフェニキア人(ペルシア支配下)の対立
- ペルシアの支配に対するミレトスをはじめとしたイオニア植民市の反乱(アテネが支援)
ダレイオス一世(第三代)による遠征軍
- 第一回(前492)
- アトス岬で嵐に遭遇したペルシア軍が撤退
- 第二回(前490)
- マラトンの戦い:ミルティアデス将軍旗下のアテネ陸軍の勝利
クセルクセス一世(第四代)の親征
- 第三回(前480)
- テルモピレーの戦い:レオダニス旗下のスパルタ陸軍の敗北
- サラミスの海戦:ペニストクレス旗下のアテネ海軍の勝利
- 第三回(前479)
- プラテーエの戦い:アテネ・スパルタ連合陸軍の勝利
- ミュカレの海戦:アテネ海軍が小アジアまで追撃し勝利
結果
- アジア的専制に対するポリス的自由の勝利
- アテネでの参政権が拡大され民主政が進展
- 地中海制海権がフェニキア人からギリシア人の手に移行
民主政完成期
ペリクレス将軍による統治(前443〜前429)
- 要因
- ペルシア戦争における無産市民の活躍(ガレー船の漕手)
- それによる無産市民の政治的発言権の増大
- デロス同盟の結成(前478)
- アケメネス朝ペルシアの再来に備えるためのアテネを盟主としたポリス同盟
- アテネは各ポリスが拠出した同盟基金を流用、自国の民主政の財源に充当
- 特徴
- 成年男子市民による直接民主政
- 民会が最高決議機関
- 専門官僚の不在 :抽選による選出(将軍は例外的に挙手により選出)、任期1年、重任禁止、日当支給(民会出席者にも日当)
- 限界
- 女性・在留外人・奴隷は参政権なし
- 奴隷制の残存(生産活動が奴隷制に立脚)
ペロポネソス戦争(前431〜前404)
デロス同盟とスパルタを盟主としたペロポネソス同盟の衝突
トゥキィディデスが『歴史』で批判的・教訓的に記述
- アテネの混乱・衰退
- 戦争中にペストが蔓延し将軍ペリクレスが死亡
- 民主政が堕落し、デマゴーグ(扇動政治家)に操られる衆愚政治に転落
- アイゴスポタモイの戦い(前405)
- アテネの敗北
- アテネの降伏(前404)
- スパルタの覇権確立
ポリス世界の崩壊
- コリント戦争
- スパルタとアテネ・コリント・テーベ連合の戦い
- スパルタがアケメネス朝ペルシアに援助を要請し、アケメネス朝が介入
- テーベの覇権
- 北部のポリスであるテーベが斜線陣を用いる戦術で強大化
- 将軍エバノミンダスに率いられレウクトラの戦いでスパルタ軍を撃破
- ポリス世界の崩壊
- 度重なる戦争、貧富差の拡大などが原因で中小自由農民が没落
- 傭兵の普及により「市民皆兵」というポリス的社会原則が崩壊
- 市民共同体意識の低下
マケドニア王国による支配(前337〜)
ヘレニズム世界の成立
マケドニアの強大化
- 首都
- ペラ
国王フィリッポス二世(位前359〜前336)
- 軍事力強化
- テーベのファランクス(長槍歩兵密集隊形)と斜線陣を採用
- 経済力強化
- 金銀に富むパンガイオン地方を領有
- カイロネイアの戦い(前338)
- デモステネス旗下のアテネ・テーベ連合軍を撃破
- コリント同盟(ヘラス同盟)の結成
- スパルタを除くギリシアを制圧
アレクサンドロス大王(位前336〜前323)
東方遠征(前334〜前324)
- 大帝国の成立
- バルカン半島〜小アジア〜エジプト・中央アジアまでを版図とする帝国成立
- ヘレニズム世界・文化の成立
- 東西の民族と文化の融合した独特の世界・文化
ディアドコイ(後継者)争い
大王の死後、後継者の地位をめぐって部下の将軍が対立
ヘレニズム3国の分立
イクソスの戦い(前301、分裂確定)
- アンティゴノス朝
- マケドニア・ギリシア地域
- プトレマイオス朝
- エジプト地域
- セレウコス朝
- シリア〜中央アジア地域
アレクサンドロス大王の東方遠征(前334〜前324)
アケメネス朝ペルシアの滅亡
- グラニコスの戦い(前334、小アジア西部)
- イッソスの戦い(前333、シリア北部)
- 戦の後にエジプトに侵入
- シリアのフェニキア人都市を征服し、アレキサンドシアをエジプトに建設
- アルベラの戦い(前331、メソポタミア北部)
- ダレイオス3世の死亡(前330)
- 敗走中に部下の手により殺害される
中央アジア侵入
- バクトリア地方
- ソグディアナ地方
西北インドに侵入
マガダ国の時代
東方遠征の終了
- スーサに凱旋(前324)
- バビロン入城(前323)
- アレキサンドロス大王、病没
民族・文化融和政策
- 民族融合政策
- 各地にアレクサンドリアを建設し、ギリシア人の入植を促進
- 部下たちに民族融和を奨励
- 文化融合政策
- 共通語 :コイネー(共通ギリシア語)をヘレニズム世界の共通語に設定
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