ゼロから始める天羅万象零

はじめに:

ユウ「おじさん!」
おじさん「なんだい、ユウ?」
ユウ「今度、友達を集めて『天羅万象零』のGMをすることになったんだけど……
ルールとか、シナリオの作り方が分からないんだ。教えてくれる?」
おじさん「ルールブックはあるな?」
ユウ「うん、買ってきた。ついでに合気チットパックも1個買っといた」
おじさん「ま、四人ぐらいなら1パックで充分だな。んじゃ、ルールブックを読ん
で、サンプルシナリオを遊べ。以上」
ユウ「うー……サンプルシナリオは友達がやっちゃったし、ルールブックは文字が
たくさんあってどこからどう読めばいいか分からないし。実際に遊ぶ時にどーゆー
風にするのか不安だし……」
おじさん「あのなー。むかし、D&Dやトラベラーが輸入された頃はゲーマーたる
ものルールブックを隅から隅までなめるように読みふけって、試行錯誤しながら遊
んだもんだぞ」
ユウ「そんな、ボクが生まれる前の大昔の話されてもね。時代は変わったんだよ」
おじさん「ぬ。そういう生意気を言うならおれは知らん。勝手にしろ」
ユウ「あーん。そんなコト言わないで。ね、お願い」(すりすり)
おじさん「む……ん……まあ、いい。手伝ってやろう」
ユウ「おじさん、ありがとう」*smooch*
おじさん「……なんか、いつもこの手でコキ使われているよーな気もするなー」

■1 ルールブックの解体

用意するもの:
・ルールブック
・カッター
・穴開け器
・二穴ファイル

おじさん「ではおれはルールブックを解体するから、その間に合気チットパックを
ばらしてろ」
ユウ「解体って、バラバラにしちゃうの?」
おじさん「GMするんだったら、その方が便利だからな。ついでにGM用に並べ直
す」

 で、おじさんが並べ直した結果はというと──

1)カラーページ
2)目次

ユウ「ここまでは一緒なんだね」

3)第五章 チャート&リファレンス

ユウ「わー、一枚ずつ切り離してある」
おじさん「ここはコピーをとったりするから、きちんと分けておいた方がいいんだ。
使用頻度も高いしな」

4)第三章 天羅万象
5)第二章 天羅人
6)第一章 天羅世界

ユウ「第二章と第一章がルールの後に来るのはなぜ?」
おじさん「実際に遊ぶ時のことを考えてみろ。ルールブックを初めて見る人間が、
プレイ中にこの二つの章を読む暇があると思うか?」
ユウ「ないと思う」
おじさん「なら、カラーページにある漫画で世界の雰囲気を、イラストで代表的な
PCの特徴をつかんでもらえれば、それでいい。逆に言うと、プレイヤーが天羅万
象についてもっと詳しく知りたくなったら自分でルールブックを買って第二章や第
一章を読めばいいのさ」
ユウ「でも、それは第三章(ルール)でもそうじゃない?」
おじさん「この章は使うページがあるんでな。そいつは後で説明する」

7)第四章 諸行無常

ユウ「シナリオの章は最後だね」
おじさん「まぁ、一度遊んでしまったら後はサンプルとしてしか使えないからな」
ユウ「この並べ直したのはどうするの?」
おじさん「穴をあけて、二穴ファイルに閉じる」

■2 ルールの読み方

ユウ「うー、ここが一番イヤだなー」
おじさん「そうかー? おれはルールを読むのが一番好きだな」
ユウ「世の中、おじさんみたいな活字中毒患者ばかりじゃないよ。ボクなんか夏休
みの課題図書読むんだって一週間かかったんだから」
おじさん「なんて本だ?」
ユウ「井伏鱒二の『黒い雨』」
おじさん「広島の学校らしい選択だな。ん、ちょっと待て。あんな薄い本になんで
そんなに時間がかかるんだ?」
ユウ「とにかくかかるものはかかるの!」
おじさん「しょーがない。まずはカラーページの漫画からいこう。これならすぐ読
めるだろう」
ユウ「うん…………読んだよ」
おじさん「この漫画で分かることを箇条書きするぞ」

・舞台は天羅という世界である
・天羅は戦国時代である
・戦争の雰囲気は近代っぽいけど一人で一部隊を全滅させちゃうようなムチャ
な戦いもありえる
・登場人物はなんか含みを持たせた思わせぶりなセリフをしゃべる

おじさん「ここまではいいな?」
ユウ「うん、だいたいは」
おじさん「では、カラーページの残りだ。このゲームに登場するPCはこんな感じ
だと思って読む」

・ヨロイ&ヨロイ乗り:ロボット。操縦するのは少年/少女。
・陰陽師:魔法使い。使い魔(式)が出てくる。
・サムライ:戦士。強い。
・法師:僧侶。仏教だけどやはり宗派はいろいろ。
・機人:戦士。サイボーグ。
・金剛機:ロボット。ヨロイと違って独立駆動。
・忍:忍者。当たり前だが忍法が使える。
・傀儡:アンドロイド。美形。
・蟲使い:蟲と融合した医者・薬師。でも戦えるらしい。
・鬼:先住民族。迫害されてる。
・神官/巫女:世界を支配している神宮家の使者。南北朝に分かれてる。

ユウ「なんかごちゃごちゃしてるね」
おじさん「そういうごちゃごちゃ感覚が天羅万象零の醍醐味だからな。ここまで読
んでどうにも合いそうにないようだったら、すっぱり諦めるのも一つの手だ」
ユウ「やだ。もったいない。せっかく買ったのに」
おじさん「では次に行くぞ。次も漫画だ。第三章を開いて。第三章には幾つかの解
説漫画がついている」

 ▼判定関係について
 ・行為判定(p189)
 ・対抗判定(p191)
 ・命中判定(p197)

おじさん「この三つは、実際にプレイをしている時に使用する判定についての解説
だ。それほど難しくはないだろう?」
ユウ「うん」
おじさん「で。次が問題だ。何せ天羅万象零のキモの零システムだからな」

 ▼零システムについて
 ・プレイの流れ(p207)
 ・セッションの進行 [場]について(p211)
 ・セッションの進行 [幕間](p215)
 ・セッションの進行[零幕]と邂逅ロール(p217)

ユウ「……ん、んーと。よく分からなくなっちゃった。最初のプレイの流れ(p2
07)は分かったんだけど」
おじさん「読む順番があるんだ。プレイの流れでいくと、まずはp217の、[零
幕]と邂逅ロールがある」
ユウ「ゲームの最初で、PC一人ずつに出番があって、NPCと会うんだね」
おじさん「それも、物語(シナリオ)に絡む重要なNPCだな。推奨は宿命の対象
となっているNPCだ」
ユウ「宿命はセッションごとのPCの目的・動機になるんだね」
おじさん「そう。だからここで邂逅ロールを使う」
ユウ「あのー。ものすごーい疑問があるんだけど。なんで、わざわざ邂逅ロールす
るの? サイコロ振らなくてもGMが『キミは彼女と一目惚れしたー』とか言っち
ゃっていいんじゃない?」
おじさん「GMはな。でも、プレイヤーはそうしたくないかも知れない。裁定者は
別の方がカッコいいと思うかもしれない。サイコロを振るだけじゃなく、その後、
邂逅マトリクスをあれこれいじり合うことで、『そのNPCをどんな奴にしたい?』
っていうのをGMとプレイヤーで合意形成していくわけだ」
ユウ「でも、最終的にはGMの思う通りになるんでしょ? 合気チット(PCは気
合)の数からいっても」
おじさん「そうだな。だが、その過程でプレイヤーがそのNPCとどういうドラマ
を作りたいか知るのは重要だぞ。まだゲームは始まったばっかりなんだから」
ユウ「うーん。なんとなく分かった気がする。ここはGMがぱぱっと決めちゃうん
じゃなくて、まずプレイヤーの意見を聞くところなんだね」
おじさん「そのとおり」
ユウ「でも、馴れるまではもたもたしそうだなぁ。それに、これって零幕だけでな
くて、重要NPCが他のPCと会う時にも振るわけでしょ? ペースがダウンしち
ゃわない?」
おじさん「人数を絞る。邂逅ロールを使うような重要NPCはプレイヤーの数まで
にしておくとかな」

ユウ「うん。じゃあ、次に読むのは……[場]について(p211)?」
おじさん「そうだ。合わせてp212〜p213のプレイ進行図やサンプルプレイ
に目を通しておくように。こんな風に天羅万象零のプレイは進むわけだから」
ユウ「えーと……『ここで上手よりPC登場』?」
おじさん「演劇の用語だよ。舞台の右手の方を指す」
ユウ「『幕』とか『場』っていうのもそうだよね。つまり天羅万象零って、演劇風
にやっちゃえって事?」
おじさん「時代劇のRPGだからな。もちろん、TVドラマ風や映画風でも構わな
い。カメラが切り替わったりCMが入ったりするまでが一つの[場]だ」
ユウ「『幕』は?」
おじさん「TVドラマなら一話分。映画なら……いろいろありすぎてちょっと一概
には言えないな」
ユウ「プレイ時間でいうと?」
おじさん「約1時間」
ユウ「それってすごく短くない?」
おじさん「人間の集中力を考えるとそんなもんだ。だからあんまり複雑にしない方
がいいぞ」

おじさん「で、最後がp215の[幕間]だ」
ユウ「うわー、やる事がいっぱいあるー」
おじさん「まあ、ようするに因縁がらみのルール上の作業がここに集中しているわ
けだからな。セッションの進行は一休みって所だ」
ユウ「気合とか業とか因縁とか合気とか見慣れない言葉がごちゃごちゃするよー」
おじさん「全部理解しようとしないで次行くぞ、次」

 ▼業システムについて
 ・業システムの流れ(p225)
 ・気合の使い方(p229)

ユウ「さっき出てきた業とか因縁とか気合とかが出てきたね。……ところで、この
業システムの流れ(p225)って、循環してるのは分かったけどどっから始まる
の?」
おじさん「キャラメイクすると、因縁が決まる。2つまでね(p183)」
ユウ「中級と初級だね」
おじさん「んで、プレイ前(ステージセッティング)に、これを使って最初の気合
を獲得しておく(p208)」
ユウ「ここでは合気チットいらないんだよね」
おじさん「さらに、左隣のプレイヤーのPCに対して因縁を決める(p209)」
ユウ「ここでも邂逅ロールを使うんだね。これで3つ」
おじさん「それと、シナリオの因縁である[宿命]がGMからわたされる」
ユウ「これで4つだね。後は幕間で自分で作ったり変えたりするんだね」
おじさん「業の方は、キャラメイクで初期値が決まる。最初の内はp297から掲
載してあるサンプルキャラクターを使うといい」
ユウ「業が70だの80だの85だの、高いのが多いけど大丈夫なの? 気合使っ
て108をオーバーすると修羅になってNPCになっちゃうんでしょ?」
おじさん「そこで前(p215)に戻って、幕間で因縁の書き換えや昇華によって、
業を減らすわけだ。まぁ、最初のうちは因縁を上昇させておいて──コストに注意
しながら──後で下げたり昇華する方向に持っていくのがいいだろう」
ユウ「うーん……気合を使えるようにするために因縁を消すのか……なーんか納得
いかない部分が……」
おじさん「『魔獣の絆』のエゴや絆の処理と同じだな。PCの心の動きというのを
システムで処理しようとすると、遊ぶ人によっては、頭で理解できても感情が納得
できないって事がある」
ユウ「どうしたらいいの?」
おじさん「まあ、難しく考えないで。最初はルール通り遊んでみることだな。それ
でどうにも納得できないなら、仲間内でルールを変えて遊ぶなり、他のゲームを遊
ぶなりすればいい」
ユウ「そうだね。ゲームはたくさんあるんだし。不満たらたらで遊ぶ必要なんかな
いよね」
おじさん「そうそう。たとえばここに新しいD&Dが、いやこっちのドイツのボー
ドゲームが──」
ユウ「おじさんも好きだね」

おじさん「後は、三章の頭に戻って、コンセプトと例の部分を読んでいって」
ユウ「色が違うところだね」
おじさん「これでルール把握はだいたいおしまい」
ユウ「大丈夫なの? なんかだいぶ飛ばしている気がするけど」
おじさん「大丈夫、大丈夫。ルールの詳細なんてのは、実際に使う時に『どのへん
に書いてあったっけなー』ってのが分かっていれば充分」
ユウ「んー。でも、ほらPCの特殊能力とか」
おじさん「そいつは簡単。第五章のp280〜p296があるだろ」
ユウ「うん」
おじさん「それをコピーして、関係のあるページだけをプレイヤーに渡す。陰陽師
PCのプレイヤーには第二章のp101〜p107の式作成ルールもコピーして渡
すこと」
ユウ「つまりそれって、自分のPCの能力はプレイヤー自身に把握してもらうって
コト?」
おじさん「もちろん、全然知らなくていいってわけじゃないけどな。それについて
は次で説明しよう」

■3 シナリオの作り方

おじさん「さて、いよいよシナリオを作っていくぞ。さすがにココは手が抜けない。
まずは第四章のシナリオを読むこと」
ユウ「全部?」
おじさん「全部」
ユウ「んー…………」
おじさん「では、ユウがシナリオを読んでいる間に天羅万象零のシナリオで必要と
なる物をリストアップしようか」

 天羅万象零のシナリオで必要な物
 ▼宿命:PCの行動の目的・動機になる
 ▼重要NPC:主に宿命と絡む
 ▼争い:侵略、防衛、内乱など、物語を動かすエンジン

ユウ「読んだけど……これ全部自分で作るの? なんかすごくたいへんそうだよ」
おじさん「そりゃ、初めてプレイする人のために手取り足取り親切丁寧に作ってあ
るからな。普通にプレイする時には、ここまで作る必要はない」
ユウ「じゃあ、どこまで作ればいいの?」
おじさん「そうだな、話の骨格となる[宿命]から作ってみようか」
ユウ「どういうのがいいの?」
おじさん「戦乱の世の中だからな。守る、あるいは逆に倒す、っていうのが基本だ
ろう」
ユウ「んー……それじゃあ、迫害されているオニを守るっていうのはどうかな?」

[宿命:一]オニの隠れ里を守る(目的)

おじさん「よしよし。それじゃあ次は敵だな」
ユウ「えーと、オニは心珠を持っているから狙われているんだよね。心珠はヨロイ
や金剛機に使われているから……」

[宿命:二]陰陽師、燕岳に対する嫌悪(感情)

ユウ「なんとなく、これで終わったような気もするけどPCはもう一人か二人いる
よね」
おじさん「『守る』というのを逆手に取ってみるのも一つの手だ」

[宿命:三]戦火による故郷の喪失(不幸)

ユウ「『前には守れなかったから、今度こそは』というわけだね」
おじさん「ここらで敵をもう一人追加するのもいいだろう」
ユウ「じゃあ陰陽師の配下に金剛機を出して、と」

[宿命:四]金剛機、陣風を成仏させてやる(目的)

おじさん「じゃあ、それぞれの宿命をPCと組み合わせよう。今回は初めてだから、
サンプルキャラクターを使うことにしようか」


[宿命:一]オニの隠れ里を守る(目的)
解説:是醍衆の一員として、キミは天羅各地のオニの保護を命じられている。
オニの多くは隠れ里に住んでいるのでそれを探し出すのもキミの仕事だ。
PC1:オニ

[宿命:二]陰陽師、燕岳に対する嫌悪(感情)
解説:キミは傭兵として燕岳の配下にいる。燕岳の仕事はオニ退治と心珠の収
穫だ。だが、女子供まで皆殺しにするこの仕事にキミは嫌気がさしている。
PC2:サムライ

[宿命:三]戦火による故郷の喪失(不幸)
解説:負け戦の後、山野を放浪していたキミはあるオニの隠れ里にかくまわれ、
傷を癒すことになった。
PC3:機人

[宿命:四]金剛機、陣風を成仏させてやる(目的)
解説:武芸者だったキミの兄が修羅となり、討伐されて数年の後。その兄の魂
を使った金剛機が存在する事をキミは知った。
PC4:法師


ユウ「次はどうするの?」
おじさん「全体のあらすじを幕という形で切り分けていこう」
ユウ「そうだね。いきなりオニの隠れ里で戦闘、ってわけにはいかないものね」
おじさん「最後にオニの隠れ里で戦闘の幕を入れるとして、その前は?」
ユウ「えーっと、その前の幕でPCが全員集結してオニの村を守ろー!って気分に
ならないといけないし。さらにその前の幕でPC同士が出会ったりNPCと会った
りする必要があるよね。じゃあ、全部で3幕か」
おじさん「プレイ時間を5時間として、キャラクターのデータ確認や世界の説明、
ステージセッティングなんかに1時間かかるとすると残りは4時間。零幕に1時間
かかるとして残り3時間。幕間の処理も考えて……3幕入れるとなると、1幕あた
りの時間は1時間ないぞ」
ユウ「うーん。どうしよう?」
おじさん「幕を2つにしよう。時間が足りなくなるよりは余る方がいい」
ユウ「展開がせわしくならない?」
おじさん「いや、天羅万象零は“世界最速”がポイントだからな」
ユウ「……おじさん、それぜっったいに意味が違うと思う」
おじさん「(しらんぷり)さて、先にNPCを作っておこうか。敵NPCとして燕
岳と陣風がいるから、邂逅ロールを振るようなNPCは残り1人か2人だな」
ユウ「じゃあ、残りのNPCは2人にして。オニのPCが会うオニ……いや半鬼に
しよう。隠れ里から自分から出ていったはぐれの鬼で、ちょっとひねくれてるの。
それと、機人が会うオニの娘/青年(PCの性別と反対)で、素直で優しいの」
おじさん「んじゃ、それでNPCのデータを作るか」

▼NPC1:燕岳
外見:
 長身だが猫背の中年男性です。商家の番頭という服装をしています。顔つきは
“普通”としかいいようがなく、三日もすれば忘れてしまいそうなぐらい特徴があ
りません。残酷な事を口にする時にもごく普通の口調で話します。
経歴:
 元は汀流忍者で、その後、陰陽術を学びました。その経歴を生かして、オニの隠
れ里を捜しだし心珠を収穫する任務についています。
 性格はきわめて冷酷で、外面は良いのですが内心では他人を虫けらのようにしか
思っていません。
ロールプレイのヒント:
 町中においては他人の目につかないように行動します。
 任務中は、本気か冗談か分からないアブナイ事を飄々と口にします。
 任務に失敗した部下に対して「困りましたねぇ。失敗は誰でもつきものですが、
んー、そうですね。やっぱり一罰百戒ということであなた死んでください」で、殺
したりします。
主な口調:
 自分のこと:私
 他人にたいして:あなた
 PCにたいして:あなた/(名前を知ってるなら)名前+さん

体:8 敏:8 感:8 知:10
心:8 共:8 天:6
負傷ゲージ:8/4/2
活力:16  霊力:36
〈隠身〉中級 〈回避〉中級 〈忍術:汀流〉上級 〈追跡〉中級 
〈陰陽術〉上級 〈事情通〉中級 〈作法〉中級 
武器:苦無 武器修正+2 射率3 射程10m


▼NPC2:陣風
外見:
 がっしりとした体格の中量級の金剛機です。
経歴:
 元はPC4の法師の兄である武芸者でした。子供の頃は芸事(特に笙)が好きな
温和な少年でした。その後、親や主君のために武芸者の道を歩みますが、戦いに身
を置くには心優しすぎたのでしょう。鬱々とし、ついにはある一揆鎮圧の戦で修羅
道に堕ちてしまいます。討伐され、死んだ後も今のように金剛機に封印されて戦い
を続けています。
ロールプレイのヒント:
 任務(オニを狩る)時以外は、基本的に姿を見せません。
 しかし、PCが探している場合には笙の音が聞こえます。陣風が吹いているので
す。(虚無僧の変装をしています)PC4の法師にだけは分かりますが、この笙の
音は生前の兄の物です。
主な口調:
 自分のこと:拙者(ふだんは口を利きません。笙を吹いている時だけ)
 他人にたいして:そなた(ふだんは口を利きません。笙を吹いている時だけ)
 PCにたいして:ぬしは(ふだんは口を利きません。笙を吹いている時だけ)

体:9(12) 敏:11(13) 感:9(12) 知:5
心:6 共:4 天:5
負傷ゲージ:9/5/3
活力:15  霊力:22
〈格闘戦闘〉上級 〈回避〉中級 〈運動〉中級 〈隠身〉中級 
〈白兵戦闘〉上級 〈射撃戦闘〉上級 〈芸事(笙のみ)〉初級
武器:珠太刀 武器修正+5 射率2 装填数6
特殊能力:
 零導夢:零導の有効半径を10倍(700m)とする
 散華:自爆装置。半径15mに30点ダメージ。遠隔操作可能。
 明鏡修正:+3
 金剛機高速機動
因縁:
〈設定:封印記憶〉上級
特殊設定:
 PC4と会話をするたびに合気チットを手に入れる(使用はできない)。
合気チットが【共感】以上になった場合には記憶惑乱が発生する。


▼NPC3:赤峰(人間名)カウ=マウ(鬼の名)
外見:
 十代半ばの、やんちゃな少年です。ボロをまとっており、頭に布をまいて角をご
まかしています。
経歴:
 オニの隠れ里に住んでいましたが人である母親が病死し、居づらくなって隠れ里
を出てしまいました。(オニの父親とは彼が幼い頃に死別しています)
 ですが、人の住む町もまた、彼を受け入れてはくれませんでした。結局、盗賊に
身をやつしてその日暮らしをしています。
ロールプレイのヒント:
 年齢や外見の割に醒めた態度を取っています。これはオニの中でも人の中でも受
け入れてもらえないことによります。ですが、内心では寂しい思いを満たしてくれ
る誰かを待ち望んでもいます。PCが馴れ馴れしくすると突っ張り、逆に冷たくさ
れると傷ついた視線を向けてきます。ようするに素直でないのです。
主な口調:
 自分のこと:おいら
 他人にたいして:あんた
 PCにたいして:(名前を知ってるなら)名前+兄ちゃん/姉ちゃん

体:4 敏:6 感:5 知:3
心:6 共:6 天:2
負傷ゲージ:4/2/1
活力:10  霊力:20
〈運動〉中級 〈隠身〉中級 〈偽造〉初級 〈早業〉初級 〈事情通〉中級
〈神通力〉初級 
武器:小刀 武器修正+2


▼NPC4:ケィル=サン
外見:
 外観は十代後半のオニです。PC3の機人と逆の性別です。しなやかな肢体を持
ち、整った顔立ちをしています。角は二本です。
経歴:
 オニの隠れ里に住んでいます。父親が隠れ里の長老格ということもあり、若いオ
ニたちの取りまとめ役をしています。
ロールプレイのヒント:
 素直で優しく、困っている人を見過ごせない性格の持ち主です。
主な口調:
 自分のこと:わたし
 他人にたいして:あなた
 PCにたいして:(名前を知ってるなら)名前+さん

体:4 敏:4 感:5 知:3
心:7 共:6 天:3
負傷ゲージ:4/2/1
活力:11  霊力:18
〈運動〉中級 〈神通力〉上級(+恵み)
武器:なし


ユウ「ふう。キャラクター作るのってたいへんだね」
おじさん「能力なんかはサンプルキャラクターを強化したり、アーキタイプ一つ二
つ持ってくればいいが、外見、経歴、ロールプレイのヒント、主な口調の4点は、
自分で作る必要があるからな」
ユウ「でも、NPC作成時にPCごとのの特殊ルール(陰陽術や神通力)を読むこ
とができたし、少しはルールも分かってきたような気がするよ」

おじさん「では、次はシナリオ用のマップだな。マップはいいぞー。どこに誰が誰
と一緒にいるか、一目瞭然だからなー」
ユウ「おじさんって……ほんっとーにマップが好きだね」
おじさん「今回のシナリオだと、人間の住む城下町とオニの住む隠れ里、後は隠れ
里がある山岳地帯が場所としてあればいいな」※マップ参照※
ユウ「NPCの枠があるけど、これは?」
おじさん「NPCは演出上“どこにいるかはっきりしない”って事もあるからな。
場所の一つとして用意しておいた」

おじさん「最後に各幕ごとの始まりと終わり、そして主なイベントを考えて、シナ
リオ作成は終了だ」
ユウ「イベント? 場じゃなくて?」
おじさん「場はPCの行動によっていろいろ変わるだろうからな。大まかな部分だ
け決めておく。それがイベントだ」

第零幕:『出会い』
・はじまり PC2が燕岳と共に、オニの隠れ里を襲撃する。(過去の別の場所で)
・おしまい PC1が赤峰(カウ=マウ)と出会う。(PC1の懐を巾着切りしよ
うとする)
・イベントA PC3がオニの隠れ里でケィル=サンの手当を受ける。(ほのぼの)
・イベントB PC4が笙の音に引かれて陣風と出会う。(しみじみ)

第一幕:『謀略』
・はじまり 山岳地帯で、猟師がオニに襲われて惨殺されるという事件の噂が城下
町に伝わってくる。
・おしまい 燕岳か陣風、あるいはその配下がオニの隠れ里を発見する。
・イベントA 赤峰(カウ=マウ)が、オニによる猟師の襲撃がでっちあげである
ことを調べようと、燕岳の屋敷に侵入する。PCが放っておくと、燕岳によって赤
峰は殺される。
・イベントB 山岳地帯で、オニの外観をした機面金剛機が山村を襲撃する。PC
が放っておくと村が炎上し村人は皆殺しになる。

第二幕:『決着』
・はじまり 燕岳の部隊がオニの隠れ里へ襲撃をかける
・おしまい 燕岳の部隊を撃退する/PCたちが全滅する
・イベントA PC4が陣風と会い、最後の決着をつける
・イベントB PC3が襲われているケィル=サンを助ける/助けられない

おじさん「よーし、次はいよいよプレイ開始だ」
ユウ「うまくできるかなあ……」

■4 プレイ開始まで

おじさん「RPGのセッションで一番大事なのが、プレイの開始前だ」
ユウ「それって、ステージセッティングのこと?」
おじさん「うんにゃ。プレイヤーを集めるところ」
ユウ「なるほど」
おじさん「まず、一番楽なのはいつも一緒に遊ぶ友人同士でプレイする事かな。誰
がどのキャラクターをやるか決めておくとなおいい」
ユウ「事前に自分のPCのデータを読んでもらったりとかできるしね」
おじさん「次に、RPGサークルの定例会なんかで、その場でプレイヤーを集めて
遊ぶやり方」
ユウ「これだと、プレイヤーが天羅万象零のルールを知らない事もあるよね」
おじさん「だから、事前紹介が重要になる。んで、最後はコンベンションのフリー
プレイみたく、まったく知らない人と遊ぶやり方」
ユウ「それはちょっと怖いなぁ」
おじさん「最初にこれをやるのはちょっと勇気がいる。が、サークルに入っていな
かったりRPGを遊ぶ友人の都合が悪かったりした場合は、これしかあるまい」
ユウ「コツはなんかないの?」
おじさん「やっぱり事前紹介をきっちりするしかない。こんな風だな」


■プレイヤー募集のための事前紹介7つのポイント

1)システム名とその傾向
2)プレイヤーに要求されるシステムへの理解度
 ▼代表的な指標:
  A「ルールブックを読んだこともプレイヤーをしたこともない」
  B「ルールブックは持っていないが、プレイヤーをしたことがある」
  C「ルールブックを保有しており、読んだことがある」
  D「ルールブックを保有しており、プレイヤーをしたことがある」
3)プレイヤー・キャラクター作成のありなし、持ち込みの可否
4)プレイヤー人数 
5)シナリオ目標と、目標達成への指針 
6)マスターの演出の傾向 
7)プレイヤーに希望すること 

おじさん「前半の1〜4は、セッションの円滑な運営のためのポイント、後半の5
〜7は、プレイヤーの遊び方の方向性を整えて、一緒に楽しく遊ぶためのポイント
になる。ちなみにこの7ポイントはどのRPGでも使えるので覚えておくと良い」
ユウ「今回の天羅万象零だとどうなるの?」
おじさん「そうだな……」
ユウ「ちょ、ちょっと。覚えきれないよ。こんなに」
おじさん「メモしておけ。メモ」
ユウ「うん。でも、5番とか最初から言っちゃっていいの?」
おじさん「どうせ宿命にもあるし。もったいぶってプレイヤーが物語生成以外の所
で悩むよりはマシだ。特にコンベンションで見知らぬ人と遊ぶ場合はな」
ユウ「プレイヤーが集まったら、次は?」
おじさん「まず、プレイヤーのルール理解度を確認すること。一人でも天羅万象零
のルールブックを持ってないしプレイしたこともないなら、まずカラーページのマ
ンガやPC紹介を読んでもらって、3章の解説マンガを読んでもらう。俺がやった
ように簡単に補足しながら」
ユウ「どこが一番分かりにくいかな?」
おじさん「因縁だな。これは各自のサンプルキャラクターに記載してあるやつを例
にして説明すること」

〈説明の例〉
 サムライが持つ因縁の「感情:弱さへの憎悪(中級)」とか「不幸:一番
大切なものの死」は、「負けるわけにはいかない」とか「力が欲しい」とか
「こいつに勝ちたい」あるいは「もう失いたくない」とかの演出をプレイヤ
ーがPCにさせることで、合気チットをもらい、PCを実際に強くしたり成
長させたりできる。

ユウ「あと、ルールの説明で注意することは?」
おじさん「そうだな。幕間では『可能なかぎり宿命の段階を上げること』かな」
ユウ「なんで?」
おじさん「セッションの終わりで宿命を達成できていれば、昇華できるから」
ユウ「ええっと。今回のシナリオだとオニは村を守ればいいし、サムライは燕岳を
倒してしまえばいいし、法師は金剛機を倒すか成仏させればいいし……機人は?」
おじさん「新しい故郷を手に入れる、かな? つまりは村を守ればいいのさ」
ユウ「なるほど。因縁を消せないと業がたまって修羅(NPC)になっちゃうもの
ね」
おじさん「それと、最後の幕。戦闘では『1アクションで〔因縁〕ロールができる』
というのがけっこう重要だから。特に戦闘が激しくて気合がなくなっちゃった時な
んか」
ユウ「ふーん……」(じーっ、と見つめる)
おじさん「(赤面して)いや、実はそういう事があったんだよ。俺が始めてプレイ
した時に」
ユウ「ま、誰にでもミスはあるってことで」
おじさん「コホン。他にもGMは次の物をコピーして用意しておくと良い」

▼プレイヤー参照用
・解説マンガ(p189、p191、p197、p207、p211、p215、
p217、p225、p229)
・ルールサマリー(p266〜271)
・PC特殊能力チャート(p280〜p296のうち今回のPCに関係する物)

▼サンプルキャラクター
・今回のプレイに使うPCのキャラクターシートをコピーする。拡大してA4にす
ると便利(p298〜309)

▼その他
・セッションログシート
・邂逅マトリクス
・フロアリファレンス

ユウ「宿命シートは?」
おじさん「手書きでもいいけど、あらかじめシナリオをパソコンで書いておいて、
プリンタで印刷して切ってわたすと楽」
ユウ「了解。なんか、これだけで疲れそうだね」
おじさん「というわけで、このへんで一回休憩をとるといい。たぶん一時間ぐらい
は経過してるだろうからね」

■5 プレイ開始!

おじさん「実際のプレイはステージセッティングから始まる」
ユウ「手順は?」
おじさん「ルールブックのP208〜209だな」
▼ステージセッティングの手順
1:キャラクターを選択(作成)する
2:席順を決定する
3:自己紹介をする
4:因縁ロールを行い、初期の気合を決定する
5:左隣のPCと邂逅ロールして関係を確認し、因縁を決定する
6:宿命シートをわたし、因縁を記入する
7:セッションログシートを記入してもらう

ユウ「あれ? セッションログシートを最後に書くの?」
おじさん「セッションログシートには因縁を書かないといけないからな。宿命とP
C間の因縁も最初に書いてもらっておこう。裁定しやすくなる」
ユウ「このステージセッティングで因縁ロールや邂逅ロールをするんだね」
おじさん「天羅万象零の独特のルールだからな、ここでまずやり方について馴れて
もらおう」

▼第零幕

「時は戦国。数百年続き、行く末さえ見えぬ戦乱の時代にひとつの物語があった」

ユウ「わわ。なになに?」
おじさん「このセリフで最初の第零幕のスタートだ」
ユウ「ど、どういう風にすればいいのかなぁ……」
おじさん「この場面では宿命(PCのシナリオ目的)と宿命に関したNPCが登場
するから、がんがん押していく」
ユウ「押す?」
おじさん「プレイヤーの立場になって考えてみろ。場合によっては初めてのゲーム
で、サムライとか機人とかいわれてもキャラクターの能力ぐらいしか分からない。
そういう場合には指針をGMが示してやらなくちゃ」

零幕での機人の〔場〕:
GM「キミは敗残兵だ。キミの軍は全滅し、キミは深手を負って山道を逃げて
いる。落ち武者狩りの雑兵どもや野伏どもに追われるようにして」

ユウ「いくらなんでも、いきなりすぎない?」
おじさん「うんにゃ。このぐらいでちょうどいい。もちろん、ここでGMは言葉を
止めて、プレイヤーに何かしゃべらせたり行動させたりすること。ユウならどうす
る?」
ユウ「えーと、深手を負ってるんだよね。じゃ『くそっ、この傷さえなければ』と
か言ってみたり」
おじさん「ほい」(合気チットをわたす)
ユウ「え? 今のでもらっていいの?」
おじさん「傷がなければ返り討ちにしてやるって意味だろ? 立派に因縁の『功名
心』にひっかかるよ」
ユウ「そういうものなの?」
おじさん「俺の場合はそうするってことだ。GMや裁定者によっては違う考えを持
つ人もいるだろうな。どんな演出が因縁にふさわしいか、カッコいいと思うか。そ
れは、人によって違う」
ユウ「でも、他人から自分のPCの行動や演出に口出しされたらなんとなくイヤな
感じがするよ」
おじさん「だから“合気チットを渡す”わけ。『今の行動/演出は自分としては評
価できる』ってね。もらったプレイヤーはどうすると思う?」
ユウ「合気チットは気合に変換したりしてヒーロー的な活躍や成長に使えるんだよ
ね。なら、合気チットがもらえそうな行動や演出をするようになる……かな?」
おじさん「“GMや裁定者の顔色をうかがう”と言うと言葉が悪くなるけど、一緒
に遊んでいる他のプレイヤーやGMが何を面白いと思ってくれるかを知るのは、け
っこう重要なことだ」
ユウ「でも、馴れ合うのもイヤだなあ」
おじさん「そこの所は案配が難しい。さっきも言ったが、嗜好は人それぞれだから。
だから“自分の殻だけに閉じこもっちゃダメだ”ってぐらいに認識しておけばいい
だろう」

零幕での機人の〔場〕(続き):
GM「キミはついに力つき、気絶した。そしてキミが再び意識を取り戻した時、
目の前に角の生えたオニの子供の顔があった」

ユウ「わー、展開が早い」
おじさん「で、ここで邂逅ロールをして重要NPCであるオニの子供に抱いた情動
を決める」
ユウ「GMだけでなく、プレイヤーの意見も聞くんだよね」
おじさん「というか、プレイヤーの意見を尊重した方が先々の展開がスムーズにい
く。GMの用意していたシナリオ展開とはちょっと違うかもしれないけどな」
ユウ「こんな感じで他のPCの場もやっていくんだよね。場の途中で裁定者の合気
チットがなくなったらどうするの?」
おじさん「素早く次の裁定者に合気チットを渡して場を続行する」

▼第零幕の幕間

ユウ「気合が業に変わるんだよね。それから『諸行無常』があって……どうするん
だっけ?」
おじさん「因縁を手に入れたり、因縁を伸ばしたり。前にも言ったけど、宿命の因
縁は伸ばす。特に今回のサンプルシナリオのように二幕しかないと、第零幕の幕間
で初級から中級に、第一幕の幕間で中級から上級に、と二回しかチャンスがないか
らな。ぜひ伸ばしてもらう」
ユウ「で、第二幕が終わった後の閉幕の幕間で昇華する、と」
おじさん「それと、合気チットは残しても使い道が限られているから。がんがん気
合に変換してもらう」

▼第一幕以降

ユウ「ここまではどちらかというとGM主導で動かしていたけど、サンプルシナリ
オなんか見ると、こっから先ってすごく単純だよね。これってプレイヤー主導でや
るっていうこと?」
おじさん「その通り。宿命の因縁という形でGMの望む指針は示してあるから、後
はどちらかというとプレイヤーがPCをどう動かしていくか、だな」
ユウ「具体的には?」
GM「p210にあるように、合気チットの量が少なくて前の場に登場してないP
Cを優先して場に登場させる」
ユウ「それで?」
GM「後はプレイヤーに任せる」
ユウ「いいの?!」
GM「まぁ、それなりに誘導することはあるがな。こんな具合だ」

第一幕での法師の〔場〕:
GM「というわけでキミの番だ。場所はどこにする?」
法師「(マップを見ながら)そう言われても……ところで、ここに『旋風』と
あるんですが?」(宿命の因縁は『旋風を成仏させること』)
GM「そこに行けば、旋風に会えるよ」
法師「会いにいきます」
GM「では、すすきの原に嫋々と響く笙の音が聞こえてきた。キミはこの音を
かつて聞いた事がある……」

ユウ「ふーん、なるほど」
おじさん「各場のコツは短く、手早くって所かな。ダンジョン型のゲームだと、忍
び足で歩いたり、聞き耳をたてたり、いろいろな手順を踏む事が多いけど、天羅万
象零は演劇風のRPGだから、そういうのはなし。場は素早く切り替えてテンポよ
く盛り上げていく」
ユウ「テンポをよくするために、何か注意することは?」
おじさん「そうだな。そのPCにあまり関係ない重要NPCの場合は、邂逅ロール
を端折るのも一つの手かな。サムライと旋風なんかは、第二幕の戦闘シーンで出会
って、それっきりっていう可能性もあるしね」

▼クライマックス〜エンディングへ

おじさん「戦国風のRPGだから、クライマックスになる場は、通常、戦闘が中心
になる」
ユウ「サンプルシナリオだと全員がそれなりに戦えるPCばかりだけど、戦闘力が
ないPCがいた場合はどうするの?」
おじさん「そのPCとプレイヤー次第だが、〔応援〕(p198)のような行動で
味方をサポートすることができる」
ユウ「そのためには、相手と関連する〔因縁〕が必要なんだね」
おじさん「それに、弱いPCにとっては、あえて自分より強い敵に立ち向かうこと
でそのキャラクターを演出することもできる」
ユウ「敵との戦闘で注意することは?」
おじさん「強い敵には漫然とサイコロを振っているだけでは絶対に勝てない。たと
えば高速機動に入った修羅金剛機なんかはムチャクチャ強い。こういう敵には自分
から攻めるのは突き返しの危険があるのでたいへん危険だ」
ユウ「じゃあ、どうするの?」
おじさん「一般には気合を使う。それも、一撃で決めるのが理想だな。へたに負傷
するとこのゲームの場合は強くなったりするし」
ユウ「気合の数が足りなかったら?」
おじさん「自分の手番で因縁ロールをして気合をためていく。それでも足りなかっ
たら、〔正念場〕(p218)宣言をして、合気チットを手に入れて気合に変換す
る。そして、そのラウンドで一気に勝負をかけるわけだ」
ユウ「それで、GMはどんな風にクライマックスをプレイするの?」
おじさん「クライマックスは、〔宿命〕をくすぐる演出から入る。こんな感じかな」


PC1:オニとPC3:機人に
[宿命:一]オニの隠れ里を守る(目的)
[宿命:三]戦火による故郷の喪失(不幸)
 足軽たちがオニの隠れ里を焼き払う場面を出したり、燕岳にその計画を語ら
せる。オニに対し、獣を狩るかのように人権を無視した言動をすることで、P
Cの怒りをかきたてること。
 また、戦闘中にも足軽たちや機面金剛機が、PCではなくオニたちを攻撃す
る場面を目の前で見せること。

PC2:サムライに
[宿命:二]陰陽師、燕岳に対する嫌悪(感情)
 燕岳に、サムライの強さを愚弄するかのような言動をとらせる。怒ったサム
ライが最初に燕岳に斬りかかった場合、それが実は本人の姿をした式で、本人
はどこかに隠れているというのが人を馬鹿にしていてよろしい。
 最後の最後まで姿を現さないのが、陰陽師の戦い方である。

PC4:法師に
[宿命:四]金剛機、陣風を成仏させてやる(目的)
 燕岳の命令に唯々諾々と従って動く機械のような陣風を見せる。陣風が戦闘
でダメージを受けた場合にポロリと笙を落とさせたり、それを陣風がまるで気
にする様子もなく踏みつぶしたりすることで、兄の魂がもはや今生に戻らぬ物
であると示すのもまた良し。

ユウ「……おじさん、意地が悪いとか言われない?」
おじさん「何を言う。GMにとってプレイヤーとPCのやる気を引き出させる演出
は全て善だ。ただ、これまでのRPGだとプレイヤーとPCが何によってやる気を
引き出されるかが違っていたりして苦労したものだが、こと天羅万象零にかぎって
言うとこの二つが合わせやすくてよろしい」
ユウ「戦闘がクライマックスの場だとすると、その後はエンディングだね」
おじさん「戦闘に勝利した場合と敗北した場合、そして戦闘に勝利したが修羅にな
った場合とが考えられるな」
ユウ「敗北もあるの?」
おじさん「そりゃ、戦闘だからな。GMも手を抜くのは失礼というものだろう。で
勝った場合にはそれを称えた後で、一人ずつ場を用意してあげて“それからどうす
る”っていうのをやってもらおう。んで、敗北した場合も同様にして“どのような
死に様を見せたか。あるいは負け犬となったか”の場になる」
ユウ「修羅の場合は?」
おじさん「修羅はNPCだからな。プレイヤーにPCのどの因縁で演出してもらい
たいか希望を聞いて、GMがそのNPCのその後を決めるのがいいだろう。それと
修羅は最後の幕間で宿命とかを昇華してもまだ108を越えている場合に限るから
な。戦闘終了直後に108を越えていても大丈夫な点に注意すること」

〈例:法師が修羅化〉
法師プレイヤー「では、この『禁忌:戦うこと』で演出を」
GM「じゃあ、法師はしかたがなかったとはいえ、自分が不動明王拳を使って
殺生を行ったことを深く恥じて、山にこもり、荒行を己に課すことになった。
もう二度と人と交わらないことを決意して」
オニ「止めても無駄なんですよね?」
GM「修羅だからなー。心が動く(因縁が昇華したり書き変わる)事はないの
だ」

ユウ「でも、この宿命とシナリオだと、シナリオが終わった後は各PCはまた別々
の道を歩む感じになるのかな?」
おじさん「だろうな。やがてまた交差することがあったとしても、それは別の物語
(シナリオ)として語られるという感じで終幕に入ると余韻が残っていい」
ユウ「最後の幕間で残った合気とかの精算や宿命の昇華、裁定者ボーナスをもらっ
ておしまいだね」

■6 まとめ:実際にプレイしてみて

ユウ「ただいまー。天羅万象零のGMやってきたよー」
おじさん「お帰り。どうだった?」
ユウ「……疲れたよ」
おじさん「そりゃ、初めてのゲームでGMをしたら誰でもそうなるわな。で、結果
はどうだった?」
ユウ「うん。サークルでメンバーをつのって遊んだんだけど、天羅万象零も、前の
天羅万象を知らないプレイヤーも楽しんでくれたようだよ」
おじさん「それは何より」
ユウ「でも、戦闘中になると合気チットわたしたりするのがちょっと面倒になった
なー」
おじさん「そりゃそうだな。他に考えたりすることがいっぱいあるし」
ユウ「それと、前の天羅万象をやった事がある人から、『前の天羅万象だと、序盤
がけっこう辛かったけれど、即興劇みたいに自由にプレイする事ができた。今回は、
序盤から快適に飛ばしていけるけど、自由は減った感じ』って言われた。ボクは前
の天羅万象を知らないんだけど、そうなの?」
おじさん「そうさな。宿命とか最初にPC間の因縁を結んだりとか、PCをシナリ
オに縛るルールは増えたな。その代わり安定度は増したぞ」
ユウ「うん。でも、その安定度もGMがきっちりシナリオを造りこまないとうまく
機能しないんじゃないかな?」
おじさん「サプリメントで、シナリオ集みたいなのが出るといいんだがな」
ユウ「でも、疲れたけど楽しかったよ。おじさん、いろいろ手伝ってくれてありが
と」*smack*
おじさん「こら、キスだけでごまかされんぞ。今夜はたっぷりお礼をしてもらうか
らな」
ユウ「え? う……うん……」(ドキドキ)

☆そして──☆

ユウ「おじさん。ボクもう手が疲れたよー」
おじさん「こら、手を休めるな。右の敵に攻撃! 俺は正面を突破する!」
ユウ「うぅ……LAN接続でDIABLO2……もう3時間もクリックし続け……」
おじさん「もうすぐ中ボスだ! 気合を入れていくぞー!」
ユウ「おじさんの……バカ……」

(おしまい)


 作成者:銅 大(アカガネ ダイ)

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