遊び方ガイド:スターロードの始め方



 無限に広がる大宇宙…………………………………………………………………
……………………………てな、もんでして。

 これより「スペースオペラ」を「スターロード」というRPGで遊ぶやり方
について解説してまいります。
 しかし、ま。
 一言「スペースオペラ」と申し上げましても、これが実に幅広い。
 【SF英雄群像】(著:野田昌弘)に登場する30年代、40年代の古典的な
スペースオペラから、スターウォーズ以降に興隆を見せたモダン・スペースオ
ペラ、そして90年代の国産ヤング・アダルト系まで、小説の分野だけでも数
百は下りません。これに知名度という点では小説に勝るコミックやアニメの宇
宙モノを入れると、数千、数万のオーダーになるやも知れません。あ〜……ペ
リー・ローダンは全部で1つとカウントしてくださいね。

 そこで、遊ぶ前の予備知識を兼ねて、スターロードがどんなゲームかをご紹
介してみたいと思います。司会を担当いたしますのは、「大ウソついても小ウ
ソはつくな」「マジメ7分にホラ3分」の銅大でございます。
 肩の力を抜いて、のんびりとお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。


■スターロードのPC



 スターロードのPCは“英傑(ヒーロー)”です。
 この世界にはいろいろなタイプの英傑がいますが、本コラムではそのうちの
3人にスポットをあてて説明をしていきましょう。

エリック「おれの名前はエリック・サンダーランド。サムライだ」
イリナ 「あたしはイリナ。イリナ・クディノフ・ラディフリンスキー。
    ドラゴン・ロードって役かね」
アヤ  「…….アヤ・カンザキ…….ウィザード」

 サムライ、ドラゴン、ウィザード、ロード。
 スターロードのPCはこの4つの役どころ(精髄)のうちの1つないし複数
を受け持ちます。サムライとドラゴンは戦闘を得意とし、ウィザードは技術に
長け、ロードは交渉を専らとします。

 プレイヤーは、PCを1人担当し、他のプレイヤーとチームを組みます。こ
のチームを『スコード(分隊)』と呼びます。
 スコードの表の顔はイロイロあります。
 運送会社や特殊部隊、特別捜査官などが一般的でしょうか。もしかしたら、
一人一人は別々の「生活」をしており、たまたま冒険で一緒になったのかも知
れません。

エリック「おれは元辰帝国宇宙軍のテスト・パイロットだ。ちょっとしたゴタ
    ゴタに巻き込まれてな。軍をやめてフリーランスになった」
イリナ 「あたしは、武芸の師匠であるおじい様に頼まれてアヤの姉代わりを
    している。でも宇宙船やメカはちょっと分からないからね。エリック
    任せているのさ。あたし自身、一つ所にいると危ないんでね」
エリック「そういや、おれたちが乗っている船はアヤの持ち船なんだよな?」
アヤ  「……ユキカゼ」
エリック「あれはどこで手に入れたんだ? 外観はシュトゥルモビク級強襲偵
    察艦だが、波動エンジンは──-ん?」
アヤ  「……………」
エリック「やれやれ。ま、言いたくないならしかたないか」
アヤ  「……………」

 スコード編成を行う場合は、お互いに話し合って、PCどうしの関係や物語
上の役割分担を考えてみましょう。この時に役に立つのが、キャラクター・テ
ンプレートの〔特徴〕です。
 エリック、イリナ、アヤは次の特徴を持ちます。

 ■エリック 〔ハイパーモード〕4レベル
       〔コンセントレーション〕4レベル
       〔トランスファースーツ〕4レベル
       〔護るべき者〕−6レベル

 ■イリナ  〔彗星理心流〕3レベル
       〔カリスマ〕4レベル
       〔村柾〕4レベル
       〔銃弾のターゲット〕−6レベル

 ■アヤ   〔スペースシップ〕5レベル
       〔アシスタント・メカ〕1レベル
       〔コンピュータブレイン〕6レベル
       〔誘拐のターゲット〕−6レベル

 アヤはその謎めいた出自から〔誘拐のターゲット〕となっており、
悪漢(ダークサイド・ヒーロー)に狙われています。
 イリナはとある名家の一員であり、高い〔カリスマ〕を持っています。両親
がいないアヤの姉代わりになって育ててきました。しかし、今の彼女は一族の
内紛により〔銃弾のターゲット〕──暗殺の対象となっています。
 その内紛には何らかの形でアヤが関係しているようですが、ゲームの開始時
点ではプレイヤーもGMも詳しいところまでは決めていません。
 エリックは生体改造〔ハイパーモード〕を受けた元軍人です。アヤを〔護る
べき者〕と考えています。

 この3人のスコードには、今のところ特に明確な行動目的はありません。
 ただし、イリナとアヤ が理由は違えど悪漢に狙われているため、アヤが
〔スペースシップ〕の特徴で所有しているSSTO(太陽系条約機構)の宇宙船
で星から星へと旅をしています。その途中で、何かの事件に巻き込まれたり、
知人や友人などから助けを求められて冒険(セッション)が始まるわけです。

 GMはキャンペーン用のアイディアとして、アヤの故郷の星が何らかの形で
宇宙規模の犯罪組織ダークマターと大きく関わっているという設定を考えてい
ます。そこに、イリナと同じ一族で彼女を暗殺しようとしている悪漢や、エリ
ックの昔の上官(兼恋人)などを絡める予定です。


■スターロードの悪漢



 スターロードは大宇宙での冒険活劇を楽しむRPGです。
 そして──ココが大事なのですが──冒険活劇の元となる事件は、必ず悪漢
(ダークサイド・ヒーロー)によって引き起こされるのです。
 PCが英傑を作成するように、GMは悪漢を作成してゲームに参加します。

 ここで『人形使い』という悪漢をご紹介しましょう。

人形使い「一人の人間にできることは限りがあります。過去、多くの英雄が自
    分の力を過信して破滅していきました。ナポレオンしかり。項羽しか
    り。だからこそ、私はお願いしたいのですよ。あなたの力を貸して欲
    しいと。──私のために、ね」

 悪漢は悪事を計画し、実行しようとします。その動機は個人的な理由による
ものであったり組織(黒体社)の命令であったりします。

人形使い「今回の私の仕事はある独立星系を我ら(黒体社)の支配下におくこと
    です。そのためには、社会不安によって今の政府を転覆させ、こちら
    の意のままになる人物をトップに据える必要がありますな」

 悪漢『人形使い』は、次のダークパワーを持ちます。使い方については後述
いたします。

  〔治安上昇〕 3レベル
  〔精神汚染〕 4レベル
  〔洗脳電波〕 2レベル/本拠地
  〔圧力〕   3レベル
  〔催眠術〕  3レベル/目的
  〔偽者〕   3レベル/名前
  〔油断〕  −3レベル

 ダークパワーを発動させるには、“壊力”(カイリー)が必要です。
 “壊力”(カイリー)は、英傑が使う“命力”(ミンリー)と対となる力で、スター・ウ
ォーズでいうところのフォースとダークサイド・フォースの関係にあります。
 “壊力”(カイリー)はシナリオによって数(トランプのカードを使います)が決め
られています。通常の基準値は15点です。
 消費した“壊力”は、PCに渡され“命力”となります。PCは最初に1点
しか“命力”を持っていませんからGMが“壊力”を使ってくれないと“命力”
は増えません。

人形使い「私はまず、星系首都の警察署長とテレビ局の技術者を〔催眠術〕で
    己の下僕としました。そしてテレビ放送に合わせて流した〔洗脳電波〕
    によって暴動を起こし、惑星の〔治安上昇〕に成功しております」


■スターロードのプレイ展開

 悪漢の計画が進行し始めたところで、英傑(PC)の登場です。
 といっても、『人形使い』はエリックたちとは無関係なところで計画を進行
していますから、GMの方から何らかの形でPCを事件に巻き込む必要があり
ます。ここはNPCの出番といきましょう。

■1■ オープニングフレーム

少年  「お願いです! ボクをクラーク軌道まで連れていってください!」

 たまたま(このくらいの偶然は許してもらいましょう)問題の星系にやって
きたエリックたちは、宇宙港で一人の少年と会います。少年は、PCにクラー
ク軌道(静止衛星軌道)にある、有人放送衛星まで連れていって欲しいとお願い
します。

少年  「お父さんが……衛星で働いているんですけど……ぜんぜん、お家に
    帰ってこないんです。もう半年も……最近は連絡も取れなくて……」

 この少年のお父さんは、『人形使い』の〔催眠術〕に操られていて、放送衛
星で洗脳装置のメンテナンスをしています。『人形使い』の正体を含め、あま
りに知りすぎているので、『人形使い』はこの技術者を生かして帰すつもりは
まったくありません。

 PCが少年を連れて(ちょっと軌道まで上がるだけです。たいした仕事では
ありません)放送衛星まで行こうとすると、いきなり〔圧力〕がかかります。
 宙港警察は取り調べと称してPCと少年を連行しようとします。

■2■ リサーチフレーム

 当局に目をつけられてしまったPCは、〔治安上昇〕で居心地のよろしくな
い、見知らぬ都市をうろつく羽目になります。

少年  「お父さんと一緒に働いているウエノさんに相談してみます」

 実はこのウエノは〔偽者〕で、正体は『人形使い』その人です。もっとも、
この時点でPCが知るはずもありません。
 いずれにせよ、悪漢は比較的早めに顔をPCに見せておくのがよろしいでし
ょう。

人形使い「私としてはあまり会いたくもないのですがね。ま、私の計画は完璧
    です。正体を知られることはありませんよ」

 さっそく〔油断〕してますねぇ。というわけで、PCはそれほど妨害を受け
ることなく、調査を行うことができます。

エリック「あ〜、それはいいんだが。おれたちはいったいぜんたい、ナニをす
    ればいいんだ?」

 あなたの場合〈荒事〉って調査技能があるじゃないですか。

エリック「なるほど。軍関係の対人技能か───って、そうじゃなくて! こ
    れで何を調べりゃいいんだよ?!」
アヤ  「………」(ツンツンとエリックをつつく)
エリック「あん? ああ、なるほど。なんで〔圧力〕がかかったり、〔治安上
    昇〕してたりするか調べればいいのか。え? 警察や軍の動きも分か
    れば教えて欲しい? よし! まかせておけ!」
アヤ  「………」(出かけるエリックに掌をにぎにぎしていってらっしゃい)

 『スターロード』では、PCはともかくプレイヤーは〔圧力〕〔治安上昇〕
が悪漢による陰謀(ダークパワー)である事が分かっています。それを調べるこ
とができれば、プレイは間違いなく進行するはずです。
 ところで、残ったお二人はどうします?

アヤ  「………」

 なるほど。〈情報〉で、放送衛星について調べるわけですね。とにかく、何
か普通でないことが発生していないかどうか。

イリナ 「じゃ、あたしは〈社交〉あたりを使って、放送衛星を持っている会
    社について調べてみようかね。坊主は、アヤと一緒に行動しな」
少年  「うん! よろしくね、お姉ちゃん」
アヤ  「………」(ペコリ、と頭を下げる)
ロボット「ワテモ一緒ヤ。ヨロシュウナ」

 アヤは、常に〔アシスタント・メカ〕のマスコットロボットと一緒です。

エリック「う〜ん。どうも暴動が多発しているせいで治安が上昇しているらし
    いが、なんで暴動が起きているのかは、暴動を起こした連中にすら、
    分かっていないときた。お、イリナじゃないか。何か分かったかい?」
イリナ 「それなんだけどさ……さっき会ったウエノって男、どうもヘンだ」
エリック「何が?」
イリナ 「いや、実家のコネを使って重役のところに会いに行ったんだけど、
    そこにウエノがいたんだ」
エリック「あいつ、確か下っ端の技術者じゃなかったか?」
イリナ 「向こうもあたしを見てあわてていてね。気になったんで、調べてみ
    たんだけど……ウエノって男。半年前に死んでる」
エリック「どういうことだ?」

 スターロードでは、悪漢がダークサイドパワーを使うたびに、悪漢を倒すた
めの情報(プライズ)が分かるようになっています。その中でも重要な情報が、
名前(正体)、本拠地、目的です。
 『人形使い』はダークサイドパワー〔偽者〕を使うことができますが、逆に
それが『人形使い』の正体をPCにさらけ出してしまう結果につながるのです。
 また、ダークサイドパワーを使えば使うほど、GMは“壊力”(カイリー)を消費
します。“壊力”の数はシナリオによって規定されていますから、無限に使用
することはできません。加えて、消費した“壊力”はPCの手にわたって、
“命力”(ミンリー)となり、英傑の活躍を助けることになるのです。

アヤ  「………」
少年  「お姉ちゃん、どうしたの? 難しい顔して」
アヤ  「………」

 どうやらアヤちゃんは、放送衛星に搭載されているのが〔洗脳電波〕の装置
であることに気がついたようです。しかしまぁ、さすがに少年にはそんな事言
えませんよね。

少年  「つまんないの……(携帯電話がプルプルと鳴る)……おっと、いけ
    ない。はいはい?」
ウエノ 「やあ」
少年  「あ、ウエノさん」
ウエノ 「会って話をしたいんだけど。今どこにいるんだい?」
少年  「えっとですねぇ──」
アヤ  「………」(気付いてない)

人形使い「なるほど。スラムに隠れているのはこちらにとっては好都合だな。
    少佐、速やかに連中のアジトに向かってくれ。抵抗するようなら殺し
    てもかまわん」
少佐  「了解」

イリナ 「さて、とりあえずアジトに帰ってまずは腹ごしらえといくかね」
エリック「アヤも何かわかったかな──あれは?!」
イリナ 「装甲車!!」

ロボット「pipipipipi──コラアカン! 窓ノ外ニ侵入者ヤ!」
アヤ  「!!」
少年  「うわっ!」

───────────────────────────────────
 閃光手榴弾が部屋の中に投げ込まれた。アヤは少年を抱きかかえて床に伏せ
た。閃光と轟音。
 マスクをつけた兵士が室内に突入する。アヤが咳き込みながら銃を抜こうと
するが、兵士の一人が駆け寄ってライフルの銃床でアヤを殴りつける。
───────────────────────────────────

アヤ  「──ッ!」
兵士A 「小娘! おとなしくしろ」

───────────────────────────────────
 兵隊がもう一撃をくわえようとして、バランスを崩して倒れる。その背後に
立つ青年の姿を見て、残りの兵士が動揺する。青年は無造作に歩を進め、倒れ
た少女と子供に近づく。
───────────────────────────────────

エリック「大丈夫か、アヤ?」
アヤ  「…….」(うなずく)
エリック「坊主も無事のようだな。えらいぞ」

───────────────────────────────────
 エリックがアヤの頭を撫でる。そして立ち上がり、少女と少年をかばうよう
に兵士に向き直る。雰囲気に呑まれていた兵士たちがあわてて銃を構え直す。
───────────────────────────────────

兵士B 「よし。そこまでだ! 武器を──ありゃ?」
兵士C 「丸腰か……」
兵士D 「抵抗するなら射殺しろとの命令だ。かまわん、撃て!」

───────────────────────────────────
 その瞬間。赤い閃光が室内を満たした。
───────────────────────────────────

少佐  「Aチーム、どうした? 今の閃光は何だ?」
通信機 『───────-』
少佐  「Bチーム、応答しろ!」
イリナ 「そいつは無理なんじゃないかな?」
少佐  「?! 貴様!」
イリナ 「遅い!」

───────────────────────────────────
 イリナが神速の踏み込みで間合いを詰め、少佐の胴を払った。
───────────────────────────────────

※戦闘について
 戦闘は、悪漢が“壊力”(カイリー)を消費して部隊やゲストキャラを登場させて
行います。今回の例では、1枚でゲストキャラの〔洗脳〕された少佐を、もう
1枚でエキストラである少佐の部下の兵士たちを3チーム(PCと同じ数)登
場させてみました。
 〔治安上昇〕によってPCの武装を制限した上での戦闘となりましたが──
まぁ、“壊力”2枚分の戦力では、こんなものでしょう。
 『スターロード』の戦闘システムと戦術については、稿を改めてご紹介した
いと思います。

エリック「こいつら、この星の兵隊らしいが、いったいぜんたいどういうわけ
    でおれたちを狙ったんだ?」
アヤ  「………」
イリナ 「アヤ、エリック、こっちに来てくれないかい?」
アヤ  「?…….(てとてとてと)………!」
エリック「この髭親父がどうかしたのか? こいつら(兵隊)の親分のようだが?」
アヤ  「………」
エリック「洗脳装置? これがか?」
アヤ  「………」
エリック「どうした? え? ここは危ない?」

人形使い「少佐は失敗しましたか。まぁ、いいでしょう。少し早いですが、計
    画を発動しますか。ガリンさん、〔洗脳電波〕のスイッチを入れてく
    ださい。出力70%。目標は──」

───────────────────────────────────
 人形使いの指は、PCたちのいる首都を指し示していた。
───────────────────────────────────

───────────────────────────────────
 首都は大混乱となっていた。クラーク軌道(静止衛星軌道)にある有人放送衛
星から放たれる〔洗脳電波〕は、人々の負の感情を増幅させる働きを持ってい
た。ミスを注意されたサラリーマンが手にしたペンを上司の顔面に突き立て、
渋滞に巻き込まれた運転手が、歩道を突進して人々を跳ね飛ばす。普段であれ
ば理性が抑える暴力的な衝動が、人々を突き動かしていた。
───────────────────────────────────

赤ん坊 「オギャア! オギャア!」
母親  「ああもう! うるさいわね!」
エリック「ん?──わわっ! ちょっと待て!」
母親  (ぽい、と赤ん坊を投げ捨てる)
アヤ  「!」
エリック「うわわ!…….ふぅ。 いくらうるさいからって、ビルの3階から
    子供を捨てるかぁ?」
イリナ 「しょうがないよ。あたしらだってアヤの妨害電波がなけりゃ、同じ
    ことになってたかもしれないんだ」
エリック「しかし……この子、どうする?」
赤ん坊 「ホギャア! フギャアアア!」
イリナ 「関わった以上、ほっておくわけにもいかないだろ。連れていく。坊
    主、あんたが面倒を見るんだよ」
少年  「うん」
エリック「ま、せめてもの救いは混乱しきってるから、警察や軍に妨害される
    ことなくユキカゼにたどり着けるってコトか。待ってろよ、ウエノめ!」

 ダークサイドの重要情報である、名前(正体)、本拠地、目的がPCの手によ
って暴かれれば、リサーチフレームも終わりです。
 今回のダークサイド『人形使い』の場合は、次のように情報がPCへと渡り
ました。

  〔偽者〕→→→『人形使い』は放送技術者のウエノに化けている
  〔洗脳電波〕→洗脳電波は有人放送衛星から放出している
  〔催眠術〕→→洗脳によって星系政府を支配下に置く計画をたてている

エリック「波動エンジン始動! フル加速で軌道に向かうぞ!」
アヤ  「………?」
イリナ 「大丈夫だって。坊主と赤ちゃんは、耐Gカプセルの中だよ」
エリック「いっくぜぇ! ユキカゼ!」

 宇宙船はスペースオペラの華です。
 スターロードでは、ウィザード系PCの特徴しだいで、オンボロの宇宙船を
上手に操って最新鋭艦をきりきり舞いさせたり、逆に、通常では手に入らない
高性能の宇宙船を使って、ピンチを切り抜けたりすることができます。

人形使い「首都宇宙港から宇宙船だと? こちらに向かっているのか?」
提督  「はっ。シュトゥルモビク型強襲偵察艦のようです」
人形使い「フム、“彼ら”か。面白い
提督  「いかがいたしましょう」
人形使い「撃墜しろ」

ロボット「ぱとろーる艦12隻ガ、航路ヲ封鎖シトルデ! ドナイシマショ?」
アヤ  「………」
エリック「そうだな、時間がない。ロビィ、フェルミオン・ブラストの封印解
    除」
ロボット「第3、第2、第1停滞力場解除! 波動関数、符号変換! 銀河竜
    脈ノ流レヲ捉エマシタデ!」
アヤ  (無造作に、引き金を絞る)

───────────────────────────────────
 ユキカゼの艦首に乾・巽・兌・坎・離・艮・震・坤の八卦陣が浮かび上がり、
高速で螺旋を始める。
 その螺旋が一点に微小した時、空間が裂け、ディラックの海から怒涛のエネ
ルギーが迸った。光は竜を象って、パトロール艦隊に襲いかかった。
───────────────────────────────────

 強力な武器や強力な装備はゲームバランスを崩し、緊張感を削ぐ危険があり
ます。そこで、スターロードではそうした強力なガジェット類に起動コストを
設けることで、無制限な使用を防ぐようにしています。たとえば、ここで登場
したフェルミオン・ブラストは戦艦の主砲並みの破壊力を持ちますが、戦闘で
使用するためには1回の戦闘につき命力1点(枚)を必要とします。

提督  「ご主人様」
人形使い「早かったな」
提督  「パトロール艦隊が全滅しました」
人形使い「なにっ?!」
提督  「敵艦は、至近に迫っております。ただちに脱出を──」

エリック「逃がしは、しない! コンバット・アーム展開!」

───────────────────────────────────
 推進タンクに偽装した2本の腕を広げ、ユキカゼは有人放送衛星をがっしり
とつかんだ。腕の先端がエアロックにドッキングし、強制的にこじあける。
───────────────────────────────────

イリナ 「さてと。それじゃ、一つ悪党退治と行こうかね」

 いよいよ、クライマックスフレームです!

■3■ クライマックスフレーム

 英傑のスコードは、ついに敵の本拠地である有人放送衛星に到達しました。

イリナ 「アヤ、どっちに行けばいい?」
アヤ  「………??」
少年  「ボク、お父さんに連れてきてもらってこの中を見学したことがあり
    ます! 案内します!」
エリック「それはちょっと……危険すぎるような気が……」
イリナ 「時間がない。坊主、しっかり頼むよ」

 クライマックスフレームで扱うのが悪漢(ダークサイド)との戦いだけでは戦闘力
の低いPCが活躍できません。
 そこで、ぜひGMに活用して欲しいのがロングアクション処理です。

 ロングアクションは複数ステップにまたがる「交渉」「操作」「移動」など
をトランプの山札で扱う処理です。PCは指定された技能でこの山札を消して
いき、すべてなくなったらアクション成功です。
 今回の冒険では『洗脳装置をみつけて解除する』行動を、『洗脳装置の発見』
と『洗脳装置の解除』という2段階のロングアクション処理で解決します。

 洗脳装置の発見:〈発見〉または〈勘〉
 洗脳装置の解除:〈メカトロニクス〉または〈コンピュータ〉

人形使い「それを黙って見過ごすわけにはいきませんね」
エリック「お前は──うわぁっ!」
アヤ  「!」
イリナ 「くっ!」
少年  「頭が……割れちゃう!」

 人形使いのダークパワー〔精神汚染〕です。制限時間内に〈意志力〉で打ち
破らないと、狂気に陥ってしまうという罠です。ヒーローが意志を集中できる
のであれば、それほど恐るべき罠ではありませんが──

人形使い「いや、もちろん。この隙に部下を招集して戦わせますよ。あなたた
    ちはここで死ぬのです!」
エリック「なめるなよ! “武神召還”!」

 エリックの奥の手が特徴として手に入れた〔トランスファースーツ〕です。
 少なからぬ命力を消費しますが、その威力はパワードスーツをしのぎ、しか
も転送にはわずか1APしかかかりません。

人形使い「なんと?!」
エリック「くらえ! レーザァ、ブレイドォォ!」
人形使い「うわわ! お前たち、私を守れ!」
下っ端 「え? そんな──うわあ!」
エリック「逃げるな! 卑怯もの!」

 壊力デッキが残っている間は、ダークサイドはほぼ無敵です。
 英傑の攻撃を『無傷』で防ぎ、増援部隊を呼んで戦闘に参加させることがで
きます。
 しかし、戦闘ばかりに消費してはいけません。

イリナ 「喝ッ!」
人形使い「しまった! 〔精神汚染〕が打ち破られた!」

少年  「見つけた! お姉ちゃん、こっちだよ!」
アヤ  「………」
人形使い「ああ! 洗脳装置まで発見されてしまった!」

 たとえ戦闘で敗北しなかったとしても、ロングアクションが達成されてしま
うと、通常は悪漢の負けです。そのため、壊力を『困難』につぎ込み、ロング
アクションの山札を増やす必要があります。

人形使い「お嬢さん。洗脳装置をヘタにいじると、廃人になってしまいますよ。
    フフ……」
アヤ  「………」
人形使い「怒った顔もなかなか魅力的ですね」

 ゲームシステム的には、単に「ロングアクションのデッキのカード枚数が増
える」だけなのですが、GMはそれらしい演出を心がけてみてください。

人形使い(それにしても、この娘をほっておくわけにはいきませんね。よし……)
少年  「お父さん?!」
父親  (無言で少年とアヤにサブマシンガンを向ける)
少年  「え?」
アヤ  「…….ダメ!」
父親  (サブマシンガンをフルオートで撃つ)
エリック「させるか! 『インターセプト』!」

 英傑が持つ命力が悪漢の壊力と根本的に違うのは、それが誰かを守る/助け
る能力であることでしょう。『インターセプト』はサムライ限定の命力効果で、
他のPCやNPCに向けた攻撃を迎撃することができます。

少年  「お父さん! ぼくだよ! わからないの?」
父親  (サブマシンガンを構え直す)
イリナ 「(あの少佐と同じならブレスレットが洗脳装置の端末のはず!)
    やってみる!」

───────────────────────────────────
 イリナは村柾を鞘におさめると、すり足で少年の父親へと近づいていった。
 小さく息を吸い、止める。
 チン、という小さな音がして、父親の腕のブレスレットが床に転がった。
───────────────────────────────────

エリック「うまいぞ、イリナ!」
父親  「うぅっ……」
少年  「お父さん!」
父親  「私は──そうだ! 娘さん! そのプロトコルを反転させるんだ!」
アヤ  「!」(こっくりとうなずく)
人形使い「ま……待て!」

───────────────────────────────────
 洗脳制御装置のパネルが、次々に赤から青へと切り替わっていく。
───────────────────────────────────

人形使い「しまった!」
エリック「これでお前の野望もおしまいだな!」
人形使い「くそっ!」(身をひるがえして逃げる人形使い)
イリナ 「逃がさないよ!」
人形使い「う、うわあああぁぁあ!!」

■4■ エンディング

少年  「ありがとう、エリックさん、イリナさん、アヤお姉ちゃん」
父親  「助かりました」

───────────────────────────────────
 大きく手を振る少年とその父親に別れを告げ、エリックたちは宇宙港の建物
の中に入っていった。アヤの腕の中では、赤ん坊がむずがっている。
───────────────────────────────────

 悪漢が倒され(または逃げ出して)その悪事が潰えれば、物語は終幕となり
ます。(悪漢の計画が成功してしまった場合も、やはり同様ですが)
 このときに登場したNPCに一言ずつもらって退場してもらうと、すっきり
した感じがします。

少佐  「洗脳されていたとはいえ、すまないことをした」
エリック「人形使いの計画はこれで終わりなのか?」
少佐  「わからん。おそらくは、洗脳されたのではなく、自分から参加した
    連中が何人かいるはずだ。草の根分けても探し出してやる!」
エリック「がんばれよ」

ロボット「トコロデ、今回ハただ働キデッカ?」
イリナ 「しょうがないよね」
提督  「傷ついた船の整備と補給なら我々の施設を貸そう。もちろん無料だ。
    叙勲も申請しておこう」
エリック「補給と修理はありがたいですが、叙勲は勘弁してください」
提督  「なぜかね?」
イリナ 「ちょっと訳ありでね……次の星へと行かないといけないんですよ」
提督  「いいだろう。ならば、せめて燃料は満杯にしてくれたまえよ!」

 報酬は、ヒーローの背景や性格にしたがって用意しましょう。
 貧乏が似合うヒーローであれば、イロイロな理由をつけて、できるだけ報酬
は削るべきでしょう。または報酬に見合う出費を用意することです。
 特に〔貧乏神〕な特徴を持つヒーローは、プレイヤーが演じやすいように、
貧乏なままでいた方が好ましいでしょう。
 一方で、無欲な性格のPCの冒険であれば、出費分ぐらいはGM側で用意す
るべきです。特に宇宙船が損傷を受けると、その修理費用だけで破産してしま
うPCもでてきます。
 あまりにヒーローが裕福になりすぎると──
  「危険で高報酬な仕事を引き受けるのはおかしい」
──ことになってしまいますし、
 あまりに貧乏になりすぎると──
  「そんな金にならない仕事をするのはヘンだ」
──となってしまいます。
 シナリオの導入にバリエーションを設けたいのであれば、「お金には困って
いないが大金にも縁がない」パターンが何かと便利です。

赤ん坊 「ふぎゃあ! ふぎゃあ!」
イリナ 「問題はこの子よねぇ」
アヤ  「……」(眉間に皺をよせ、真剣な表情であやす)
エリック「宇宙港はマヒ状態だからなぁ……救護室はケガ人いっぱいだし」
母親  「あの……すみません。その子は……」

───────────────────────────────────
 母親の腕の中で、安心したかのように赤ん坊が愛想をふりまく。
───────────────────────────────────

母親  「ありがとうございます! 私、どうしてあんなコトを……」
イリナ 「あなたのせいじゃありませんよ」
赤ん坊 「あぶあぶ。ぱあ」
エリック「こいつも、お母さんに抱かれてご機嫌みたいだな」
母親  「本当にどうも。ありがとうございました」

アヤ  「お母さん……」
エリック「(ポン、と頭を撫でる)さて、それじゃあ」
イリナ 「新たな星へ出発といこうかね」
アヤ  「うん!」

 さて、エリックたちを主人公とした『スターロードの遊び方講座』はこれで
おしまいです。

 次は、皆さん自身が銀河を旅する番です。

 それでは、良い冒険を!

 作成者:銅 大(アカガネ ダイ)


  HomePageに戻る