<<はじめに>> 皆さんは、スペオペヒーローズをプレイしていて、こんな疑問を感じたことはあ りませんか? 「このヒーローは、普段はどんな恰好をしているのかな?」 「どんなところに住んでいるんだろう?」 宇宙船同士のチェイスをしたり、凶悪な異星生物と戦っている場面は想像できて も、服装や住宅など、普段の生活は意外と思い浮かばないものです。 そこで、本コラムではヒーローたちの素顔に焦点をあて、彼らの日常生活につい てシャレを交えながら想像してみようと思います。 『働かざるもの食うべからず』というわけで、今回は宇宙ならではの職業にスポ ットを当ててみました。 真面目7分にホラ3分。大ウソついても小ウソはつくな、の言葉をモットーにや っていきますので、よろしくお付き合いください。
1.宇宙の掃除屋 ユン「──どう? なんとかなりそう?」 エド「(ゴソゴソ)う〜ん。やっぱ、ダメっぽいです。エンジンに一発くらったのが 痛かったですね」 ユン「やっぱりドッグ入りかぁ」 : : ユン「……てわけなの。1ヵ月ほど何か仕事ないかな?」 職安電脳「短期契約デスネ。条件ヲ入力シテクダサイ」 ユン「儲かる奴」 職安電脳「ラングロック星デ『掃除夫』ヲ募集シテイマス。期間ハ半月デ、報酬ハ 200万クレジットデス」 ユン「200万?! 何を掃除したらそんなに儲かるのよ?」 職安電脳「軌道上ノ『ごみ』デス」 真空の宇宙空間……しかし、その宇宙でもゴミ問題が深刻化しつつあります。 機能を停止した人工衛星や切り離された多段ロケットのパーツなど、私たちの頭上 では宇宙開発が残した無数のカケラが飛び交っているのです。いかに小さく軽いゴミ とはいえ、これらが秒速数kmで激突すればタダではすみません。 そのため、スペオペ世界では宇宙を漂うゴミを処分する宇宙ゴミ回収業者という職 業が存在します。小さなゴミであればレーザーで蒸発させ、大きなゴミであれば運動 量を与えて軌道から追いだすのがお仕事です。 センサーと長時間にらめっこする、根気と注意力が必要なツライお仕事ですが地味 でもあり報酬はよくありません。職安コンピュータが紹介した半月で200万という のは、相場を考えると破格すぎる金額です。 そして、そういう美味しい仕事には大概、ウラがあるものです。 エド「ユンさん。2時の方角、高度+30kmに熱反応」 ユン「了解。ビーム砲チャージ開始。照準セット」 エド「!!───動いた! 加速80Gで接近! 核宙雷です!」 ユン「こなくそ! 消えろ!」 掃宙艇の船首からきらめくプラズマ粒子が放たれる。 エド「目標、消滅しました。ふぅ……」 ユン「うーん。やっぱコレで200万は安いわよねぇ」 軌道上に宇宙機雷を敷設し、航路を封鎖するというのは、辺境で宇宙海賊が開発途 上の惑星を自分のコントロール化に置くために使う作戦です。 『宇宙船を無事に通して欲しければ……』 と直接脅しをかけてもいいですし、自分たちの支配下にある輸送船だけには宇宙機 雷の軌道を教えておいて、間接的に経済を掌握しても良いでしょう。 機雷を除去する技術も金もない植民惑星では、宇宙海賊の言いなりになるしかあり ません。 そこへ颯爽と登場するのが、我らがヒーローというわけです。 エド「センサーに反応! 駆逐艦サイズの武装宇宙船が接近してきます」 ユン「そろそろ、敵さんも痺れをきらしたかな?」 エド「そのようですね。通信が入っています」 海賊『貴様らか。ワシの完璧な作戦を邪魔してくれよったのは』 ユン「何のことかしら? 私たちはこの星の人に頼まれて宇宙のゴミを掃除している だけよ」 海賊『ふざけるな! ただの掃除夫に宇宙機雷が5個も掃除できるか!』 エド「じゃあ、あなた達が宇宙機雷を軌道上にばらまいていたんですね」 海賊『おうよ! それがどうした』 ユン「ねぇ、エド。こいつらも『宇宙のゴミ』のようだから掃除しちゃおうか」 エド「そうですね。契約通りに仕事しないとお金がもらえませんから」 海賊『? バカかお前ら? そんなちっぽけな掃宙艇でワシの船にかなうとでも思っ ているのか? ガハハハハハッ───?!』 海賊船の横っ腹に宇宙機雷が猛然と突入し、爆発する。 海賊『な、なんだぁ? なんでこんなところに機雷が?』 エド「実は、宇宙機雷の掃除はもう終わっているんです」 ユン「あんた達がいるその場所は、こっちが宇宙機雷を置き直した航路のド真ん中。 ちょっとでも動くとズドン、といくわよ。さあ、おとなしく降伏するならよし。 さもなきゃ──」 エド「掃除、しちゃいますよ」
2.星詠みの少女 スペオペヒーローズの世界を表現する大事なキー・アイテム。それが、ジャンプド ライブです。言わば究極の『超技術』とも言うべきこのアイテムは、人類自身の発明 ではありません。異星文明のプレゼントであり、人類はそれをコピーして使っている に過ぎません。 宇宙船がジャンプする場合、重要なのはジャンプ航路の計算と、コントロール・パ ネルの制御です。この二つを行うには<超空間工匠>という専門技能が必要です。一 般の船ではコンピュータによって計算・制御されていますが、ヒーローの船ではクル ーの誰かがこの技能を保有している事が多いようです。 ユン「だって、コンピュータはヒーロー・ポイント使えないじゃない」 エド「ユンさん。そんな、身も蓋もない言い方しなくても……」 今回は、その<超空間工匠>技能に絡んだ職業についてご紹介しましょう。 ユン「宇宙船は直ったけれども……」 エド「仕事、きませんねぇ」 ユン「仕方ないか。SS(スペース・サポート社)の事務所にでも顔を出して仕事を 探してくるわ。特急指定の貨物の一つぐらいあるでしょ」 エド「行ってらっしゃい。ボクは宙港街で予備パーツでも買い込んできます」 [2時間後] エド「ととっ……ちょっと買いすぎちゃったかな。そろそろ帰ろうか」 女の子「助けてください!!」 エド「わわっ! (ころんで荷物が散乱する)……君は?」 女の子「追われているんです。助けて!」 黒服の男たち「いたか?」「いや、こっちにはいない」「そっちを探せ!」 エド「えーと……(とにかく、まずは逃げよう)」 [宇宙船センチュリー・ファルコン号にて] ユン「まいったなぁ。なーんにも仕事がないんだもの……ありゃ?」 女の子「おじゃましてます」 銀色の髪を背中まで伸ばした可憐な少女が、上品にお辞儀をした。そばではエドが かいがいしくお茶をいれている。使っている茶器は来客用の最高級の陶磁器だ。 ユンの体内のIFF(敵味方識別装置)が警戒信号を発した。 こいつは、敵だ。 エド「あ、お帰りなさい。ユンさん」 ユン「この子は?」 エド「クリス・ノートンさんです。クレンテス星系まで、ファルコン号をチャーター したいんですって」 ユン「クレンテス? (携帯端末を叩いて)太陽系から120光年の植民星系ね…… あなた──クリスさんだっけ? 何しにそんな辺境まで行くの?」 クリス「わたしの故郷なんです。お願いです! 連れて行ってください」 ユン「(少し意地悪な気分で)でもねぇ。ウチも慈善事業やってんじゃないから」 クリス「お金ですか? これで……足ります?」 少女の取り出したカードを、ユンは何の気なしに端末に差し込んだ。取引銀行との 若干のタイム・ラグの後、金額が表示される。 ユン「!!! ち、ちょっとエド……コレ見て。コレ」 エド「?! ──戦艦が1隻買えますね」 [地球衛星軌道:太陽系連邦宇宙軍 軍令本部内] 士官「提督! “C”がカードを使いました」 提督「そうか。どこにいる?」 士官「土星の衛星タイタンの周回軌道上です。個人所有の宇宙船センチュリー・フ ァルコン号からアクセスがありました」 提督「土星圏の第5タスクフォースを緊急出動させろ!」 [宇宙船センチュリー・ファルコン号にて] ユン「エンジン出力、巡行加速」 エド「ジャンプ・ポイントまで1時間。進路クリア……じゃありません。こいつは… ……(絶句)」 センチュリー・ファルコン号の軌道前方には、『ライオン』『テレメーア』の2隻 の高速戦艦を基幹とする20隻あまりの宇宙艦隊が展開していた。さらに、空母 『グローリアス』からは70機あまりの最新鋭攻撃機『フュアリ』が次々と宇宙空間 に射出され、ファルコン号のあらゆる変更可能な軌道を封鎖していった。 エド「前方の艦隊から通信が入ってます。『すみやかにエンジンを停止させ、臨検を 受けよ』だそうです」 ユン「言うとおりにする他ないわね。ケンカを売れるような相手じゃないもの」 クリス「だめえぇぇ!!」 予備の耐Gシートに座ったクリスが叫ぶ。無音の衝撃がセンチュリー・ファルコ ン号の120mの船体を揺さぶった。 次の瞬間。センチュリー・ファルコン号の船体は、太陽系から消え失せていた。 [地球衛星軌道:太陽系連邦宇宙軍 軍令本部内] 提督「ジャンプしただと? グライムズ、お前が指揮をとっていながらなんてザマだ。 ……オリジナル・ドライブ? 本当か? ……わかった」 士官「“C”の力でしょうか?」 提督「間違いない。クソッ! よりによってオリジナル・ドライブ搭載艦とは……今 頃はアンドロメダ星雲の向こう側に行っちまってるかもな」 士官「そうでしょうか?」 提督「お前だって“E”がどうなったかぐらい知っているだろうが」 士官「はい。しかし、“E”と“C”の精神特性はまったく違います。この分析デー タをご覧ください──」 [宇宙船センチュリー・ファルコン号にて] ユン「………ん? ここは……エド、起きて」 エド「あっ……ユンさん。何があったんです?」 ユン「攻撃を受けたってわけじゃ、なさそうね」 エド「それどころか、艦隊の影も形もありませんよ───土星がない! ここ、太陽 系じゃありませんよ!」 ユン「私たち、ジャンプしちゃったわけ? どこに?」 クリス「たぶん……私の故郷だと思います。星空に見覚えがあるもの」 エド「まさか! 太陽系から120光年も離れているんですよ」 クリス「…………」 ユン「何かわけがありそうね」 夢の超光速航法であるジャンプ・ドライブといえども、無限の距離を瞬時に移動す ることはできません。オリジナルのジャンプ・ドライブで一回に跳躍できる距離は2 0光年。コピー・ドライブでは約10光年が限界です。(ルールブック76頁参照) これは、航法の問題でもあります。オリジナル・ドライブはさらに長距離ジャンプ も可能らしいのですが、そのコントロール方法が分からないのです。 そこに『異能者』が現れます。(ここからは筆者オリジナルです) 彼/彼女の特徴は、きわめて高い<超空間工匠>技能を保有していることです。直 観力と共感力によって、彼/彼女は無意識にジャンプに必要な航法の計算を済ませ、 何百光年もの距離を“跳ぶ”ことができるのです。 ここでは、そのキャラクターの能力を『星詠み』と呼びましょう。 クリス「……偶然、この力があることが分かった私のところへ、銀河連合の人がやっ て来ました。そして太陽系にあるジャンプ航法制御システムの研究所に連れ 行かれました。4年前のことです」 ユン「それからずーっっと、モルモットみたいに扱われていたわけ?」 クリス「(笑って)そんなひどい目にはあってませんよ。何しろ、私たちは既知宙域 全体で、8人……7人しかいませんから。とっても大事にしてもらってます」 エド「少なくとも、お給料はいいようですね」 クリス「でも、それを自由に使うことはできないんです。それに、どこへ行っても護 衛と監視がついてて……これじゃ、ボーイ・フレンドも作れやしない(そう言 って、ちらり、とエドの方を見る)」 エド「(視線にどぎまぎとして)ところで、クリスさん。さっきはどうやってジャン プ・ドライブを動かしたんですか?」 クリス「うーん……この船って、オリジナル・ドライブを搭載してますよね。その子 にお願いするっていうのが、感じとしては一番近いのかなぁ」 エド「その子? オリジナル・ドライブがですか?」 クリス「そう。この船のドライブは素直だから、すぐに応えてくれたわ」 ここでクリスが使っているのは、ある種の超能力でしょう。オリジナル・ドライブ に宿る疑似知性(?)ないし制御用のプログラムに、コントロール・パネルを経由せ ず、ダイレクトに指示を出しているのです。 この能力を、コピードライブに持たせて自動化することができれば、恒星間の移動 や輸送に革命的な影響を与えることは間違いありません。 ユン「で? どうするのクリスさん? 今頃は銀河連合の艦隊がしゃかりきになって クリスさんを捜し回ってると思うけど」 クリス「そう……ですね。やはり帰らないといけないでしょうね(寂しそうに)」 エド「でも、せっかくですからご両親に挨拶するくらいは……そんなに道草にもなら ないでしょうし。ね、ユンさん」 ユン「(この優しさがくせ者なのよね……)ま、いいでしょ。チャーター料金もいた だいてることだし」 クリス「(無言で二人に向かってお辞儀)」 [その半日後……クレンテス星系外縁部] 空間が歪み、剽悍なデザインの高速宇宙船が、ジャンプ・アウトする。 海賊「どうやら、我々が一番乗りのようだな。フフフ、銀河宇宙に7人しかいないと いう異能者の娘。このリーパンがいただくこととしよう」
3.宇宙海賊になる方法 海賊「フフフ、銀河宇宙に7人しかいないという異能者の娘。このリーパンがいた だくこととしよう」 リーバンさん、リーバンさん。 海賊「む。なんだ?」 お忙しいところ申し訳ありませんが、宇宙海賊についてお聞きしたいのですが。 海賊「惑星に到着するまでは時間があるな。まぁ、いいだろう。何が知りたい?」 このコーナーは『宇宙の職安』ですが、まさか職業安定所で宇宙海賊の斡旋をして るわけじゃありませんよね。どうやったら、宇宙海賊になれるんですか? 海賊「たしか、竹本泉さんのマンガでは進路指導のコンピュータが『アナタハ宇宙海 賊ノ適性ヲモッテイマス』って結果を出すことがあったと思うが……」 まぁ、ほんわかワールドでの冒険でしたらそれでもイイんですけどね。それって、 元ネタはアンドレ・ノートンさんの『太陽の女王号』シリーズでしたっけ? 海賊「松本零士さんのイラスト付きのな。後、このネタは新谷かおるさんがコミック 『QUEEN1313』でも……」 やめましょう。キリがありません。 海賊「そうだな。で、話を戻して『宇宙海賊になる方法』だが── 1.宇宙海賊の家庭に生まれ、親の後を継いで宇宙海賊になる 2.犯罪者が宇宙船を手に入れて宇宙海賊になる 3.まっとうな宇宙船乗りだったが訳あって宇宙海賊になる 4.宇宙海賊ではないのだが、周囲からは宇宙海賊呼ばわりされる 5.その他 ──といったところだな。それぞれ、例をあげて解説しよう」
1.ワイムとブリュンヒルト号のコンビの場合
「ワイム。お前も今日で15才。もう立派な大人だ」 「じいちゃん。俺、学校に行く時間なんだ。話なら帰ってからにしてくんない?」 「3年前に、お前の父さんと母さんから預かった物がある」 「おい、じいちゃんってばどこに行くんだよ……な、なんじゃこりゃああ!!」 「海賊船ブリュンヒルト号だ。今日からこれはお前の物だ」 「……なぜ海賊船なんだ?」 「実はお前には黙っていたが、わが家は先祖代々、海賊業を営んでおってな。わし も、わしの娘であるお前の母さんも海賊なんじゃ」 海賊「といった具合だな。ブリュンヒルト号はユニオンに加盟していない、一匹狼の 海賊だ」 どちらかというと、主人公(PC)側の設定ですね。シナリオフックとしては行方 不明になった両親を探す、海賊ユニオンの陰謀を暴く、宇宙警察に捕まった両親の保 釈金を稼ぐ、植民惑星を食い物にしている悪徳企業を叩きのめす、などでしょうか。
2.『暴風』ガルスの場合
海賊「悪役(NPC)の海賊なら、元々犯罪者の宇宙海賊というのが適任だ」 「俺が最初に人を殺したのは、16才の時の事だ。相手はイケすかねぇ宇宙鉱夫でな。 雀の涙ほどの給金で俺をコキ使いやがった。だから、宇宙服にチョイと細工して『事 故』にあってもらったのサ。それから俺はヤツが見つけたイリジウムの鉱脈の権利を 売っぱらって、今の船を手に入れたってわけだ」 (惑星カルガンの歓楽街で酒をあおりながら) 海賊「品性もなければロクな技術も持ち合わせないタイプの海賊だ。宇宙海賊のほと んどは、この手の小物だな」 他にも、密輸業者が転じて宇宙海賊になる場合なんかもこのパターンですね。
3.リ・ホイテと『首吊り』号の場合
海賊「海賊になるまでは堅気だった奴もいる」 「わしが海賊になった理由だと? フン、人間が身を持ち崩すのは酒か賭け事か女だ。 わしの場合は賭け事と酒だな。ポラリス・エンタープライズから追い出されたのは酒 を飲んでおエライさんに喧嘩をふっかけたせいだし、その後で自由貿易船のローンが 払えなくなったのは賭けで儲けをフイにしちまったせいだ……まぁ、遅かれ早かれ首 は回らなくなったろうがな」 (或南星系の軌道港にある闇市にて) 海賊「この手の連中は、宇宙船の運行の技術は優れている。だが、海賊に一番必要な 度胸や決断力に欠けることが多いな」 そりゃまた、どうしてでしょう? 海賊「堅気の道を選びながら、ズルズルと周囲の状況に流されて海賊に落ちぶれたか らな。そういう奴はなかなか踏ん張りがきかないものだ」
4.[私掠船]ブロードソード号の場合
海賊「自分たちは海賊だと思っていないのに、周囲からは海賊呼ばわりされる奴らも いる」 「さぁ、観念してロケットを停止させろ。さもなきゃ、次はブリッジを撃ち抜くぞ」 「クッ、この海賊めが。いいだろう、言う通りにしよう」 「違うっ!! 俺たちは海賊じゃねぇッ!! 俺たちは私掠船だ!」 “しりゃく”船? なんですか、それは? 海賊「平たく言えば国の許可を得た海賊だ。国から拿捕免許状をもらって、敵対する 国家に対して海賊行為を働く。一種の傭兵だな」 ははぁ。そういうのは、珍しいんでしょうか? 海賊「歴史的にはそうでもない。16世紀から17世紀にかけて、スペインと海洋国 家としての覇権をかけて争っていたイングランドの海軍というのは海賊の集まり だった」 そういえば、スペインの無敵艦隊と戦ったドレイク船長って、海賊出身でかつ貴族 だったそうですね。 海賊「さすがに銀河連合加盟国では表立って拿捕免許状を出すことはないがな。非加 盟国で、貧乏な国が戦争をする時には決まって私掠船を雇うことになる」 そりゃまた、どうしてです? 海賊「金さ。貧乏な国には宇宙軍を作る金も維持する金もない。どうせ傭兵艦隊を雇 うなら、金を払う代わりに免状を交付するだけの方が安上がりだ」 汚い話ですねぇ。 海賊「戦争、だからな」
5.リーバンと海賊船グレイザー号
ところで、リーバンさんは、1〜4のどれに相当するんですか? 海賊「私か? 私はどれでもない。あえて言うなら1のパターンに近いかな。私は天 涯孤独の身で“ユニオン”に育てられた。生え抜きの宇宙海賊というわけだ」 “ユニオン”というのは? 海賊「宇宙海賊による秘密結社だ。単なる宇宙海賊ではなく、幾つもの企業を影から 支配し、場合によっては星系国家さえも操ることができる力を持っている。犯罪 界の銀河連合、といったところか」 ……なんか、すごくデカイ話になってきてませんか? 海賊「(苦笑しつつ)いや、私も正直なところ組織の全貌を掴んでいるわけじゃない。 今言ったことは裏世界で噂されていることだ」 つまり、どこまで巨大な組織かは、スペオペ世界を冒険する人たちが自分で確かめ ろ、ってことですか。 海賊「そういう事だ。──さて、時間だ。ステルス・システム展開! 第1、第2パ ワード・スーツ分隊は降下用意! いいか、標的にはかすり傷一つつけるなよ。 この作戦はスピードが勝負だ。相手もこちらと同じ発掘宇宙船。気を抜くな!」 ステルス・システム? こちらと同じ発掘宇宙船? じゃ、この船は…… 海賊「言っただろう。私も組織の全てを知っているわけじゃない、とね。よし、準備 はいいな! 作戦開始!!」 海賊船の船体がチラチラと瞬く。電磁的に半透明となった海賊船は、降下軌道に乗 って惑星の向こう側へと飛び去っていった。 宇宙の職安編:おしまい
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)
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