宇宙の住宅:惑星編
<<はじめに>>
皆さんは、スペオペヒーローズをプレイしていて、こんな疑問を感じたことはあ
りませんか?
「このヒーローは、普段はどんな恰好をしているのかな?」
「どんなところに住んでいるんだろう?」
宇宙船同士のチェイスをしたり、凶悪な異星生物と戦っている場面は想像できて
も、服装や住宅など、普段の生活は意外と思い浮かばないものです。
そこで、本コラムではヒーローたちの素顔に焦点をあて、彼らの日常生活につい
てシャレを交えながら想像してみようと思います。
今回はヒーローたちの住宅事情について考えていきたいと思います。
合言葉は、いつものように『真面目7分にホラ3分』『大ウソついても小ウソは
つくな』でまいります。
それでは、よろしくお願いします。
1.恒星と居住惑星の関係
エド 「こんにちは/こんばんわ、皆さん。今回はゲストとして宇宙開発事業団の
元主任惑星調査員、チャンさんに来ていただきました」
チャン「ほっほっほっ。わしがチャンじゃ。よろしくな」
ユン 「チャンさんは、40年間、現役で惑星調査員として活躍されたベテランの
──ちょっと、どこ触ってんのよ、このジジイ!!」
エド 「あああ……ユンさん、落ちついて下さい。相手はお年寄りですよ」
チャン「そうそう。老い先短い老人の、罪のないイタズラじゃよ。ほっほっほっ」
ユン 「フーン……もっと短くしてあげましょうか、おじいちゃん?」
エド 「えええ、えーと。チャンさんには居住可能な惑星を見つけるためのノウハ
ウを教えていただきたいと思います」
チャン「居住可能な惑星を探す時は、まず恒星の色を観察する。赤はダメじゃ」
ユン 「なんでよ」
チャン「赤い恒星は小さくて暗い。さもなきゃ、死ぬ間際でブクブク膨れておる。
どちらにも自然のままで人の住める惑星はない」
エド 「小さくて暗いのが、M型スペクトルの星。膨れているのが赤色巨星ですね」
太陽系近傍の星は、半分以上が赤くて小さな星(M型の星)です。質量が太陽の
半分以下のこれらの恒星は暗くて寒いので、人が住めるほど暖かい惑星はまず存在
しません。
チャン「あと、青白いのもだいたいはダメじゃな」
エド 「スペクトル分類だとO型、B型、A型ですか」
ユン 「質量が太陽の2倍〜40倍ぐらいある大きな星のことね」
チャン「こいつらは、寿命が短い。生命が自然発生するには、あまりにもな」
恒星の寿命は、その質量に反比例します。たとえば太陽の10倍の質量を持つ星
は、2000万年〜3000万年ほどの寿命しか持ちません。逆に太陽よりも小さ
な星は何千億年も(線香花火のようにチビチビと)輝き続けます。太陽と同じくら
いの質量の星は、おおむね100億年の寿命を持ちます。
チャン「というわけで、残ったのが白、黄色、橙じゃの」
エド 「スペクトル分類だとF型、G型、K型ですね」
チャン「ま、一番ええのはG型かの。まぁ、全体の10%くらいしかないが」
ユン 「ちょっと待ってよ。今あなたの経歴を調べたけれど、M型の恒星系ミカン
と、A型の恒星系バシークに居住可能惑星を発見しているじゃない」
エド 「え?……あ、ほんとだ」
チャン「ほっほっほっ。なかなか鋭いのう、お嬢ちゃん」
ユン 「こらジジイ、嘘ついてるんじゃないわよ」
チャン「いやいや。嘘をついてるわけではないぞ。M型の星も、A型の星も、『自
然のままでは』人が住めるはずないのは事実じゃ」
ユン 「??」
チャン「じゃが、この宇宙は奇妙なところでな。何者かが手を加えた惑星があちこ
ちにあるんじゃよ」
リアリティを尊重した場合、この宇宙に『そのままで人間がすぐ住める』ような
星はありません。たとえその星に生命が満ちあふれているとしてもそれは別の進化
の道を歩んだ、地球の生命とはまったく似ても似つかぬ異質な存在でしょう。
が、しかし。
スペオペ宇宙の基本法則は『宇宙はヒーローのためにある』です。
敵の攻撃を受けて宇宙船は大破。惑星に漂着したのはいいが、そこが死の世界で
ヒーローは全滅しておしまい……では、この基本法則に反してしまいます。
とはいえ、あからさまに物理法則にそっぽ向いてもらうのも露骨すぎて興を削い
でしまいます。ここは日本人らしく、折衷案といきましょう。
2.巨大水棲生物の惑星
チャン「生まれてまだ1億年の星、バシーク。ここを探索した時は、わしはまだ紅
顔の美少年じゃった」
ユン 「何年前の話よ、何年前の」
チャン「まだ新人の惑星探査員見習いじゃったからの……50年前」
ユン 「嘘をつくなぁ! あんた、今年で90才でしょうがぁ!」
チャン「(聞こえないフリで)バシークの第5惑星の大きさは地球の1/3しかな
く、本来ならまともな大気を持つはずもなかった」
エド 「あったとしても炭酸ガスを主体とするごく薄い大気のはずですよね」
チャン「そう。だが、バシークには少し薄いものの、酸素を含む呼吸可能な大気圏
があったのじゃ!」
エド 「?? どうしてです? 酸素の大気って、光合成をする植物がないと生ま
れないんでしょ?」
ユン (エドってノセられやすいのよねぇ……お姉さん、ちょっと心配)
チャン「それがあったんじゃよ。調べてみるとバシーク第5惑星の表面はほとんど
が海洋で、そこは生命で満ちあふれていた。小型のプランクトンの類から、
海ヘビに似た魚類、そして地球の物よりもでかいクジラがおった」
エド 「生まれて1億年の星で? そんなに早く進化する事があるんですか?」
チャン「わしらのチームも、それが不思議でな。さっそく調査してみた……すぐに
答えは出たよ。惑星の唯一の陸地に、異星人の奇妙な遺跡が見つかってな。
バシーク第5惑星は、異星人によって惑星改造されていたんじゃ。そこに住
む生き物は、すべて異星人がよその星から持ち込んだ物だったわけじゃ」
ユン 「ふーん。でも何のために? 自分たちが住むため?」
チャン「いや、連中は短期間滞在する事はあっても、その星に住むことはなかった
ようじゃ」
エド 「じゃあ、科学か何かの実験でしょうか?」
チャン「そうでもない。惑星改造というのは連中にとってごく簡単な事らしくてな。
実験をするほどの事ではなかったようじゃ」
ユン 「じゃあ、何なのよ。単なる気まぐれだというの?」
チャン「これはわしの想像なんじゃが、バシーク第5惑星は連中にとっての『生け
簀』だったと思っておる」
エド 「生け簀って……あのお魚を養殖したりする生け簀の事ですか?」
チャン「そうじゃ。何しろ、クジラにせよ海ヘビにせよ全長100mだの200m
だのとやたらと不自然な大きさだったからな。それもこれもトロフィーにす
るため、と考えれば納得がいく」
ユン 「……趣味のためだけに、惑星一つを改造しちゃうわけ? 豪快って言うか
無茶苦茶って言うか……」
チャン「ま、本当のところは分からんままじゃがな」
この例のように『大昔に異星人が惑星改造した星』という設定であれば、少々無
理な自然環境でも居住可能にする事ができます。これならエドモンド・ハミルトン
のキャプテン・フューチャー風のスペオペ世界(水星から冥王星まですべて居住可
能)を再現することもできます。
この時、異星人の目的にヒネリを入れてみるとシナリオのネタになります。
例)監獄惑星からの脱出
美しい緑あふれる惑星……しかし、ここは異星人の監獄惑星だった。着陸した宇
宙船が出発しようとすると、隠されていた砲台が宇宙船を撃墜してしまう! そう
とはは知らずに着陸して遭難したヒーローたちは……
2.箱庭の惑星
もう一つ、異星人によって改造された惑星をご紹介しましょう。
ユン 「ミカン第1惑星も、やっぱり異星人によって改造された星なの?」
チャン「ん……まぁな。白い氷河に覆われた星で、3か所だけ暖かい水のある場所
があった。火山の活動によるホット・スポットじゃ。異星人は、この地熱を
利用して小さな閉鎖生態系を作り上げたんじゃ」
ユン 「バシーク第5惑星に比べるとやたらスケールが小さくなったわね」
チャン「しかたあるまい。連中は戦争に敗れ、追われる身じゃったからな」
エド 「どういう意味です?」
チャン「ミカン恒星系に移住してきたのは、落ち武者たちだったんじゃよ。宇宙に
たくさんあり、しかも価値の低いM型恒星系は連中にとって恰好の『隠れ里』
だったんじゃな」
エド 「でも、隠れ住むんでしたらスペース・コロニーの方が見つかりにくいんじ
ゃ……」
チャン「もちろん、連中もそうしていたとも。第1惑星に作った3か所の生態系は
故郷を偲ぶための『箱庭』なんじゃよ。帰ろうにも帰れない故郷を思い出す
よすがとして作ったんだろうて」
ユン 「…………結局、その人たちはどうなったの?」
チャン「さてな。許されて故郷に帰ったか、それとも追手を受けてさらに宇宙をさ
まよい続けたか……今となっては分からんよ」
人類自身の手による惑星改造──テラ・フォーミング(地球化)──は可能でし
ょうか?
答えはYESです。しかし、現在の惑星改造理論では莫大な資源と資金、そして
何千年〜何万年もの期間が必要です。それが気にいらない場合は世界観に合わせて
マスターが決めて下さい。
「俺の世界ではナノ・テクノロジーとノイマン・マシンを使うから、10年で惑星
改造が可能だ」でもいいわけです。
それに、リアリティ重視の世界でも部分的な改造なら可能です。一番困難なのは
『呼吸可能な大気』ですから、それ以外の『気圧』や『温度』は割合に早く実現す
ることができます。『外出には酸素マスクが必要だが、それ以外は特に気にしなく
てもいい』改造途中の惑星も存在するはずです。
エド 「でも、昔はこんなに多くの異星人がいたのにどうして今は誰も残っていな
いんでしょう?」
チャン「すべて滅びたか。それとも銀河規模の大災害があって皆逃げだしたのかも
知れんの」
ユン 「大災害? 銀河の核が大爆発を起こす(起こした)とか?」
エド 「すごい好戦的な宇宙人が侵略を起こしているのかも知れませんよ」
チャン「ふむふむ。なら、その『好戦的な宇宙人』とは地球人かの。ここにも1人
えらく凶暴なメスがおるし」
ユン 「失礼ね」
チャン「おや、違うのか。なら……(さわさわ、もみもみ)」
ユン 「(プチン!)いいかげんにしろぉ!!」
(ドカ、バキ、グシャ)
ユン 「まったくもう……あのセクハラじじいときたら」
エド 「でも、すごい人ですよ。惑星調査員時代に30もの居住可能惑星を見つけ、
今ではチャン財団の当主ですからね」
ユン 「財団の当主? そんなに金持ちなの?」
エド 「ええ。ミカン第1惑星なんか、丸ごと財団の所有物ですからね。それも、
『箱庭』をそのままの姿にとどめるために、人の手は極力入れないようにし
ているみたいですよ」
ユン 「ただのスケベじじいかと思ったら、そういう所もあるんだ。ちょっとは見
直したかな……ほんのちょっとだけど」
チャン「なら、わしもほんのちょっとだけパフパフしてええかのぉ」
ユン 「いいわけあるかー!!」
宇宙の住宅:惑星編 おしまい
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)
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