宇宙の武器屋
<<はじめに>>
皆さんは、スペオペヒーローズをプレイしていて、こんな疑問を感じたことはあ
りませんか?
「このヒーローは、普段はどんな恰好をしているのかな?」
「どんなところに住んでいるんだろう?」
宇宙船同士のチェイスをしたり、凶悪な異星生物と戦っている場面は想像できて
も、服装や住宅など、普段の生活は意外と思い浮かばないものです。
そこで、本コラムではヒーローたちの素顔に焦点をあて、彼らの日常生活につい
てシャレを交えながら想像してみようと思います。
今回のテーマは、スターウォーズやガンダムで有名なライトセイバー/ビーム・
サーベル。いわゆる実体のないレーザーや精神力による剣です。
いったい、あれってナニなんでしょうね?
というわけで、いつもでしたら真面目7分にホラ3分をモットーとしております
が、今回は完全なホラ話でございます。よろしくお付き合いください。
『ボッタクル商会』
惑星イシャーにある『ボッタクル商会』。
木造平屋。築50年。日当たり悪し。
しまりの悪い扉に質屋ののれんをかけた、一見して古物商にしか見えないこの店こ
そ、その道の好事家たちが100光年先からも足を運ぶという、由緒正しい“刀屋”
なのである……
エド「と、いうわけで。ボクたちは今、ボッタクル商会の前に来ています」
ユン「どうでもいいけど“刀屋”って言うよりは幽霊屋敷よねぇ……」
エド「ユンさん、声が大きいです。聞こえちゃいますよ」
ユン「はいはい。ま、とりあえず中に入りましょうか……ぬッ……このッ……」
エド「どうしました?」
ユン「扉が動かないの……よ……フンッ!!」
(ベキャッ!)
ユン「やれやれ、やっと開いた」
エド「あのぉ、ユンさん。これって壊れたんじゃあ……」
ユン「もとから壊れてたからいいのよ」
老人「ウム、合格じゃ!」
ユン「わっ! 驚かせないでよ、おじいちゃん」
老人「鋼鉄製のフレームをへし曲げたゴリラにも匹敵するその腕力! 人の家の扉
を壊しておきながらいささかの動揺も見せぬその精神力! お主こそ10光年
に一人の逸材じゃ!」
ユン「いやぁ、それほどでも」
エド「(これって誉めてるのかなぁ?) お爺さんは?」
老人->店主「わしか? わしはこの店の主人の37代目トコトン=ボッタクルじゃ」
エド「37代目? ここってエナジー・ソードのお店ですよね?」
店主「その通り。わしの店は代々600年以上にわたってエナジー・ソードだけを
扱ってきたんじゃ」
エド「600年?!……あの、それって旧暦の17世紀じゃぁ……いくらなんでも
そんな昔にエナジー・ソードはないんじゃ」
ユン「そーよ、そーよ。そんな石器時代にエナジー・ソードみたいなハイテク武器
があるわけないじゃない」
エド「……ユンさん、それって遡り過ぎです」
店主「フン! これだから半可通の素人は困る。エナジー・ソードがハイテク武器
じゃと? どっからそんな馬鹿な話を仕入れてきたんじゃ。おおかた、そこら
のエセ科学解説書あたりじゃろうて」
スペオペヒーローズのエナジー・ソードには“レイソード”や“レイランス”など
があります。解説にはイロイロと書いてありますが、やはり注目すべきはカタログ・
データのダメージの項目でしょう。
“レイソード”=“ダメージ値 体力+3”
つまりエナジー・ソードというものは、使用者の体力によってダメージが決まって
しまうのです。エナジー・ソードのブレード部分がレーザーだのプラズマだのなら、
体力に関係なくダメージは固定のはずです。
そこで、ここではエナジー・ソードの刃は“超能力”であるというネタを採用して
みました。
店主「そもそも、エナジー・ソードというのは人間の“気”の力を具現化して刃を
成し、それで敵を切るというものじゃ。本来は剣の道を究めた達人にしかなし
えぬ技じゃよ」
ユン「不便ね。CE社のレイソードなら誰だって使えるわよ。ホラ」(ブゥゥン)
店主「所詮は紛い物よ。“気”の力をカラクリ仕掛けで増幅しておるのじゃ」
エド「じゃ、本物ってのはどんな物なんですか?」
店主「まずはこの“光の剣”じゃ。これは14世紀のアラブ人冒険家、シンドバッ
トが使っておったものでの。シンドバットの死後は長く所在が分からずじまい
だったが、19世紀になってイギリス人の探検家リチャード・バートンが見つ
けだした」
エド「あの、それって千夜一夜物語……」
店主「(気にせず)シンドバットは、“3つのしもべ”の1つ、怪鳥ロックの背中
に乗りこの剣を縦横に奮って戦った。その姿を見て人々はシンドバットの事を
[ロック・ザ・スーパーマン]と讃えたと古文書に記されておる」
ユン「おじいちゃん、この剣って刃の部分ばっかりで持つところがないんだけど」
店主「根性で持て……といっても、お前さんにはムリか。こいつを使ってみろ」
ユン「うわ、すっごく長い」
店主「“物干し竿”と称されたカタナじゃ。17世紀の日本の武芸者、佐々木小次
郎が使っておったエナジー・ソードでの。この長いカタナを自在に使って繰り
出す小次郎の必殺技“スワローズ・スラッシュ”は無敵であったと聞く」
ユン「フーン(素直に感心している)」
エド「…………」(お地蔵様状態)
店主「だが、その小次郎もガンリュー・アイランドでの決闘で宮本武蔵という武芸
者に破れておる」
ユン「そのムサシという人もエナジー・ソードの使い手だったの?」
店主「いいや。じゃが、こいつはなかなかの策士での。決闘の時間にわざと遅れて
きたりして、小次郎を焦らして平常心を失わせたのじゃ。しかも『小次郎敗れ
たり! 鞘がなくては勝った後もカタナをしまうことができまい!』などと言
いがかりをつける始末」
ユン「ホントに言いがかりよねぇ。エナジー・ソードに鞘なんてあるわけないじゃ
ないの」
店主「まぁ、そんなこんなで頭に血が登ってしまっては、勝てるわけはないわの。
お前さんも気をつけることじゃ」
ユン「はぁい。──ところで、他にはないの? これって宇宙船の中で振り回すに
は長すぎるのよ」
店主「では、この“オリハルコンの短剣”はどうかの? これは大昔に海に沈んだ
ムー大陸の王家の末裔である、緑色の髪の少年が使った剣での……」
(((( 暫時経過 ))))
ユン「ちょっと、エド。いつまでお地蔵さんやってるのよ。船に帰るわよ」
エド「───はっ。ああ、ユンさん。いや、ちょっと目眩がしまして。あれ?
そのエナジー・ソードは?」
ユン「いろいろ見たんだけどね。この剣が一番よさそうだったの。使う人の力まで
増幅してくれるのよ。すごいでしょ?」
エド「刃の部分が真っ黒で、しかもブンブン唸ってますねぇ」
ユン「“黒の剣”って言うんだって。むかーし、メルなんとかっていう国の王様が
使っていた由緒ある剣なのよ。オマケにこの角笛までもらっちゃった」
エド「それはいいですけど、あんまり町中で振り回さないほーが……ユンさん?
ユンさん?」
黒い剣の唸りが大きくなり──そして、フェイド・アウト
宇宙の武器屋編:おしまい
作成者:銅 大(アカガネ ダイ)