タイトル:花嫁は男の子っ?
ちょっと地球から遠く離れてみよう。
火星? 木星? いやいやもっと遠くだ。
冥王星のはるか向こう、オールト雲と呼ばれる彗星の巣。光でも一日以上かかる太陽系の最辺境だ。
ここにコラプサーとよばれる小さな星がある。まぁ、ブラックホールのようなものだと思ってくれればいい。小さいけれどとっても重い。だからこのコラプサーの周りだと、時間と空間が――この二つは実は一つなんだけど――極端に歪んでしまう。その歪みをちょっと利用してやることで、コラプサーから、別のコラプサーへ、ぴゅーん! と一瞬で跳ぶ事ができる。そう、他の太陽、他の星へ行く事ができるんだ。もちろん、その目的地の星にもコラプサーがないといけないけどね。だから、コラプサーの周りには宇宙船がいつもたくさん順番待ちをしている。そういう宇宙船の整備や補給、慰労なんかのサービスを提供するショップ宇宙船も列を作っている。太陽系のように人が多い星だと、緑豊かなスペース・コロニーもあって、もう何年も故郷の惑星に帰る事ができない船乗りたちを慰めてくれる。
で、このコラプサーを順々にたどっていく。二つ目の星や三つ目にある星は、それなりに人もいて、それぞれが独立している。新しい星で一旗あげようって人はいつの時代にもそれなりにいるから、こうした中継地点にある星はいつもにぎやかだ。中には犯罪者が支配している無法の星なんかもあって、良識ある大人は眉をひそめている。
四つ目や五つ目にある星はれっきとした辺境。これからがんばるぞー、って感じの星だ。住んでいる惑星もまだまだ完全には地球化(テラフォーミング)が終わっていなくて、人間をちょっと変わったデザートぐらいにしか考えていない猛獣や猛虫や猛木がいたりなんかする。それを切り抜けてよっこらせと石に座るとそいつがかみついてきたりすることもあるので、地元の人の注意はちゃんと聞くようにした方がいい。
それ以上先の星、となるとこれはもうちょっとバカンスにはオススメできない。ほとんどナマの原始惑星ばかりで、ひどいのになると番号でしか呼ばれていない星や、人間よりもロボットの方が多い星もある。ああ、惑星ロビィはのぞくよ。あの星はロボットが自治権をうち立てた星で、人権のあるA級ロボットなら誰しも老後はそこで暮らしたいと思っているロボットの星なんだから。
その、人類が到達した先っちょにある星の一つが、この物語の舞台、「灯(ともしび)」だ。太陽系からはるばる八〇〇光年のかなた。七つのコラプサージャンプでようやく辿り着くその星は、言っちゃあなんだけど、あんまり見栄えのいい星じゃあない。うーん、どちらかというとみすぼらしい茶褐色の星だ。大きさは地球よりちょっと小さいくらい。その代わり、中が詰まっているから表面重力は地球ととんとん。海はあるけど、なんとなく大きな河のような感じで惑星の表面を九つに分割している。月は二つ。ちっちゃくて、少し離れたところをぐるりんと回るジャガイモのような月と、元は丸かったんだろうけど、数十億年前に運悪く他の小惑星と激突したらしくて半欠けになった月が楕円状にぐーるぐーる回っている。
宇宙からのぞいてもこれ以上の事は分からないから、ぐぐっと灯に近づいてみよう。大きい方の月が衝突で壊れた時の破片のかけらは、まだ帯となって惑星の周りを巡っている。夜空を見上げるときれいだろうが、惑星と行き来する宇宙船にとっては邪魔なだけだ。大きいかけらには番号が振ってあって、宇宙船が衝突したりしないようにナビゲーターは注意している。
この破片と塵の帯をかわすと大気圏まで後少しだ。大気は呼吸可能だから安心していい。でも、少し酸素が薄いから頭が痛くなる人がいるかもしれない。
大気の層に入った。雲はあんまりない。どちらかというと乾燥している。風はちょっと地球よりも強い。シャトルなんかは気をつけて滑空しないとね。
南の方に降りてみよう。ああ、そうそう。ちゃんと磁石は使える。むしろ地球よりも磁場は強いくらいだ。そこに逆三角形をした大陸がある。縁の方に茶色の緑地帯がある。なんか変な言い方だけど、この星に元からある草木は葉っぱが緑色ではなくて茶色をしているんだ。そして緑地帯、じゃなくて茶地帯、だと変なのでやっぱり緑地帯から内陸に入ると、そこは延々と広がる褐色の岩砂漠。降水量が少ないので、植物も育たない。 でもよく目をこらして見てみよう。あ、そっちじゃなくて右上の方。
ぽつん。
と、緑の染みがあるのがわかるだろうか。よく見えない? では高度をもっと下げて。 今度は見えただろう。岩砂漠の中に青い小さな湖があって、その周りにきれいな四角い区画に分けられた緑の草木があるのが。この草木は灯原産のものじゃない。地球原産のものだ。この星にあわせて遺伝子はちょっといじってあるけど、おおむね元のまま。植えられているのは環境に合わせて乾燥に強い種だ。いろんな植物が区画ごとに分けて植えられている。全体の広さはおおむね一〇〇平方キロメートルになるだろうか。たくさんのC級ロボットたちが、緑の中で植物の世話をしている。
ここは惑星開発には欠かせない、緑化プラントの試験場だ。言うなれば農場の雛形。どんなに実験室で研究して遺伝子をいじっても、実際のところその星でどんな草木が育ち作物が植えられるかはやってみなくちゃわからない。この試験場は、いろいろな品種を試してこの惑星にあった種を見つけだすのがねらいだ。
だからあっちには小麦、そっちにはトウモロコシ、向こうにはジャガイモと食べられる作物は一通りそろっている。日系人が多いので稲と白菜も欠かせないのだがどうも旗色が悪いようだ。じりじりと照りつける太陽の下で白菜の色つやがよろしくない。
その白菜の畑の中で、麦わら帽子に作業着の子供が、しゃがみこんで白菜を観察しつつスレートを片手に「むぅ」なんてうなっている。
「あー、やっぱりだめだー!」
子供は右手に持っていたペンでスレートをむちゃくちゃに操作した。いくつもの画面がスレートの上を浮かんでは消える。どうやら白菜の生育状態をチェックしていたらしい。
「水を一〇パーセント増やしたけど、ちっとも元気にならないよ。これ以上水を増やしたらどう考えても赤字だし……」
子供はひょい、と身軽に立ち上がる。右手のペンでちょい、と麦わら帽子を持ち上げ、うらめしそうにぎんぎらぎんと輝く太陽を眺める。
麦わら帽子の下から、顔がのぞいた。
初めて見た人は、おや、と思うかも知れない。
この子は男の子だろうか。それとも女の子だろうか。声は男の子だとしても声変わり前のきれいなボーイ・ソプラノだし、胸とお尻は女の子だとしても第二次性徴前でぺったんこだ。外観から骨盤の形を見分ける特技を持っているならともかく、見た目は男の子とも女の子とも見分けがつかない。
いや。
むしろ女の子だと思うのが普通かも知れない。
強い日差しにさらされているのに肌は灼けた様子もなく白くなめらかで、長いまつげの下の目はぱっちりと大きく、小さくて可愛らしい唇から細いおとがい、そしてほっそりとした首筋へと流れていく造作は、極上の美少女と呼んでいいだろう。首にかけたタオルで額の汗を拭う仕草も、どことなく匂い立つ色気がある。観客はおろか、千キロメートル四方に町一つないのがもったいないくらいである。
さて、もったいぶるのもこのへんにしよう。
この子がこの作品の主人公、山崎猛(やまさき たける)くんだ。残念ながら男の子で年齢は一二才。もしも町に住んでいるようなら女の子に大人気のきれいな顔立ちだが、さっきも言ったように、ここは周りを岩砂漠に囲まれた陸地の中の孤島。自分の顔が周囲に与える影響とは無縁に生活を送っている。
「やっぱりこの品種はだめかぁ。いけると思ったんだけどな」
猛は桜色の唇をちょっととがらせて、スレートに白菜のデータを出した。ずらりと並んだ中の『農協試作GP01号“ふるばーにあん”』に大きくバツをつける。
「火星ではこいつが次の主力だっていうから期待したのに。でも暑さに強い品種はたいてい歯触りが今ひとつしゃきっとしないし」
スレートを消して猛は大きくのびをする。空にはぎんぎらぎんの太陽。日中の最高気温は四〇度以上になる。けれど乾燥しているから、夜はけっこう冷える。
「あーあ。お兄ちゃんになんて言おう」
そこへキコキコと自転車の音が聞こえてきた。キコキコキコキコ。かなり急いでいる。
「あれ? お兄ちゃん?」
猛の兄の剛(つよし)は猛に似て整った顔立ちをしている。が、さすがに女性に間違われる事はない。日頃の野良作業で体格も良く、ほどよく男性的な魅力をアピールしている。
やはり千キロメートル四方に町一つない状態では意味がない魅力である。兄弟そろってもったいない話である。
ききーっ。タイヤから煙りをあげつつ自転車が止まった。そのまま乱暴にがしゃんと乗り捨てると、剛は白菜の畑にずかずかと踏み込んできた。見かけの割に繊細なところがあり、畑や草木を愛する剛らしからぬ行動である。見ればきれいな顔もどこかこわばっている。
「ど、どうしたのお兄ちゃん」
いつもと違う剛の様子に、猛は大きな目をぱちくりとさせた。剛は弟の問いに答える事なく、猛の頭の上にのっかっていた麦わら帽子をとった。
癖のない、ストレートの髪が風に流れた。これは剛も一緒で、兄弟で交代で散髪する時も楽でいい。そろそろ散髪の頃合いである。
「髪の毛は……なんとかできなくはないな」
腕組みをして剛が言う。そしてその視線は猛の頭のてっぺんから、つま先まで、じろじろと何度も往復する。その横顔は牛を買う時よりも真剣である。
あげく、牛を買う時にやるようにあちこちにぺたぺたと触り始めた。本人も混乱しているのか弟の口に手を突っ込んで奥歯を調べていたりする。
「はほへ? え? あ? なに?」
じゃれているわけではないのは猛にもすぐにわかった。本当に、真剣に、実の弟の品定めをしちゃったりなんかしているのである。この兄貴は。
あげく品評して曰く。
「困った。脂肪がない」
「当たり前だよ!」
決して豊かというわけではない生活に毎日の農作業。これで太れるものなら苦労はいらない。
「……服でごまかすしかないか」
「ねえお兄ちゃん。いったい何の話をしてるの? ボクがどうかしたの?」
猛は麦わら帽子を胸に抱いて、ちょっと小首を傾げて悲しそうな瞳を兄に向ける。なんと言いましょうか。計算してやってるなら俳優にもなれる絵になる仕草である。これを素でやっているわけだから、こんなところで白菜育てているのは才能と資質の浪費以外の何物でもないだろう。
さすがに弟の可憐な仕草には、兄もくらりときたようである。同時に、それまで張りつめていた内心の何かがぷっちん、と切れてしまったようだ。はぁ、と大きなため息をつく。
「いや、おまえに問題はなにもない。問題が発生したのは亜陽(あや)の方だ」
剛は自分にとっては妹、猛にとっては姉の名前を出す。
「お姉ちゃんが? また何かわがまま言ったの?」
兄弟にとって、亜陽は鬼門であった。この二人を見ていればだいたい想像がつくと思うが、二人の姉妹の亜陽もけっこうな美形である。コケティッシュな魅力もある。それでいて性格は山姥である。生まれてこのかた、亜陽にどれだけ振り回されたか。二人とも数える気にもならない。
「お姉ちゃんが何かしたならボクも手伝うよ」
「そうだ」
剛は重々しく言った。
「猛にしかできない事があるんだ。頼んでいいか」
「なに?」
猛が覚悟を決めた顔で剛を見上げた。年が離れているので、この二人、上背にもかなりの差がある。
地球の太陽よりもちょっとばかり動きの速い灯の太陽が平坦な大地に近づいていった。あたりを真紅にする壮大な夕焼けが一帯を染め上げる。
赤い赤い空の下で兄弟はじっと互いを見つめ合った。
「猛」
「うん」
「今日から女になれ」
「…………え?」
これが、猛の災難と恋の物語の始まりだった。
六〇万人。
灯の全人口である。数え間違いでも〇を一つ二つ忘れているわけでもない。開拓済みの星であれば小さな町かコロニー規模の人口である。しかも、その六〇万人が惑星全土に散っているのだ。想像しにくいだろうから、具体的に人口密度を計算してみようか。灯を球体と仮定すると、その表面積は四×π×(aの自乗)。aは半径である。灯のaは赤道で六二〇〇キロメートルであるから、答えは四億八二八〇万六四〇〇平方キロメートル。人口密度は〇・〇〇一人/平方キロメートル。一〇〇平方キロメートルに一人の割合である。
これが猛に降りかかった災難のそもそもの原因である。文句を言っても始まらない。そこにあるのは冷厳なる数字であり、数学教師ときたらまずたいていは冷酷な人間と決まっているのだ。
ようするに、灯においては、家族でもない限り(場合によっては家族ですら)人と人との出会いが大きく限られているのである。
これが何を意味しているかというと。
結婚相手を捜すのがたいへん。
なのだ。いやもう深刻なんだから。本当に。
もちろん、灯にも町はある。どこでも一〇〇平方キロメートルに一人しかいないわけではない。の、だが。しかし。
そもそもの絶対数が足りないのである。六〇万人というあれはばぶばぶの赤子からよぼよぼの老人まで含めた数字で、さらに人権を持つA級ロボットまで含んでいる。自分と同じくらいの年で、しかも結婚してもいいなー、とか思う人と出会える確率は絶望的に少ない。この人はちょっと……とか思っているうちに、ふと気がつくと三〇、四〇になっていたりするのだ。昔と違って医療は発達しているから六〇で出産というのも難しくはないが、やっぱりもうちょっと若いうちに結婚したいというのが人情である。
というか、させたい。
親が。
よって灯では時代錯誤な事に、親があらかじめ子供の結婚相手を決めてしまう事が多々あるのである。特に親同士が友人であったりすると危険だ。生まれた時から許嫁ができてしまったりする。
当然、この方法がうまくいくとは限らない。反抗する子供も多い。反抗する子供の取る行動の多くは家出である。灯の人口は六〇万人であるから高等教育機関、いわゆる大学とかはない。頭のいい子はこれを逆手に取り、奨学金を取って大学に進学する。つまり、余所の星に行く。そしてそのまま帰って来ない。勘当されたって平気の平左だ。若者にとってみれば、辺境の開拓惑星で一生を送るよりも、文明化された惑星で楽しく生きたいっていうのが本音だ。まぁ、その後、里心がついちゃって灯に戻る者もいなくはないが、帰ってこない方が圧倒的に多数だ。
そこまで頭のよくない子供はどうするか。
密航である。
よく誤解されるようであるが、現代の宇宙船は密航者を見つけたからといって宇宙服なしてエアロックから船外投棄したりしない。方程式はそこまで冷たくはないのである。しかしわざわざ引き返して密航者を元の星に戻すほど暇でもない。スケジュールがあるし、何より燃料がもったいない。そこで、次の星まで連れて行って、そこで放り出すのである。その後の事は本人しだいというわけで、家出をしたい若者にとっては実に都合のいい話になっているのだ。
とはいえ、チケットもなしに宇宙船に潜り込むのはそれなりに困難が伴うし、そもそも灯のような田舎の星にそう頻繁に宇宙船が来るわけもない。家出をするのもなかなかに難しいのである。
何もそんな事までしなくても、と思うかも知れない。
その認識は、甘い。
人口六〇万人。知人の知人とまではいかなくとも、知人の知人の知人で惑星全土が覆い尽くされている世界である。惑星上のどこに行ったって隠れたって必ず見つかる。絶望的に広がる人跡未踏の地でサバイバルしながら孤独に青春を送りたいというのなら話は別だが、それくらいなら親の見つけた結婚相手と一緒になる方がましであろう。
そして亜陽が今回どうしたかというと……。
「たらしこんだんだな」
「たらしこんだんだね」
ここは農場の中心にある泉のほとりに建てられた一軒家である。家といっても簡素な物である。カマボコ型の構造に元宇宙軍の軍人であれば懐かしさを感じるかも知れない。このカマボコはマーフィッド社のタイプ七七野戦中隊本部セットである。表面には砂漠迷彩がほどこされたままだ。中はもちろん違う。五人の家族──今は三人──が暮らすように仕切り直されている。山崎家の主人とその妻が、C級ロボットの事故によって不慮の死をとげて三年。残された三人の兄弟たちは力を合わせて農場を守ってきた。
中隊指揮所。すなわち現在のリビングで猛と剛は顔を見合わせてため息をついた。
三ヶ月前。農場に家畜の世話をする新しいC級ロボットがやってきた。C級としては珍しく人型をしているけれども、家畜の世話をするにはこっちの方がいい。なんといっても家畜が安心する。新型で、ちょっと高かったので農場の財政事情は悪くなったけれども。
そしてその三ヶ月前に話はさかのぼる。
そのC級ロボットと一緒に、ロボットを作った惑星オーロラの技術者が、技術指導のために農場にやってきた。まだ若い男性で、人付き合いよりもコンピュータをいじっている方が楽しいというタイプだ。見かけは決して悪くないのだが、なんといっても人見知りが激しい。相手の顔を見て話ができない。声もぼそぼそと小さくて聞き取りにくい。
つまり女性に免疫がない。言っては悪いがそういうタイプである。
その青年に亜陽が何くれと世話を焼くのを、兄と弟は素直に喜んだ。そして放置していた。それを良いことに亜陽が青年に何を吹き込んだのか。そこまでは分からないけど結果は明らかだ。
青年は仕事を終えて帰る時に、亜陽を一緒に連れていってしまったのである。
よりによって二日後に、許嫁との初顔合わせがあるというその時に。
「お姉ちゃん、いやがってたからね」
「最近はあまり文句を言わなかったから油断していた」
「どうするの? ごめんなさいって謝る?」
「それが出来ない」
苦い顔で剛は言った。弟には言わないが、両親から受け継いだ農場は今ピンチにある。簡単に言うと人の手に渡る寸前なのだ。それを食い止めているのが、農場のバックにある後藤家である。第一期入植者の子孫というのはどこの植民惑星でも尊敬されるものだが、後藤家もその例に漏れず、灯では名家である。そこの当主の息子が死んだ猛達の父と同じ学校出身の友人で、自分たちの子供を互いに結婚させようと前々から決めていたのだ。
「とにかく、亜陽は俺が探し出して連れ帰る。猛は――二日後の顔合わせをなんとかごまかすんだ」
「無理だよ! だいたいボク、男の子だよ?」
がしっと、剛は猛の肩を掴んだ。細くて丸みを帯びた肩の感触が掌に伝わる。
「大丈夫だ。保証する」
保証までされてしまった。
(続く)